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ハロウィンSS

今年のハロウィン

去年はお誘いがあって出かけましたが、今年はそれぞれ、のんびりしているようです。


「あ、ひろさん、ここも南瓜のお化け売ってる」
足を止めた新井に苑田も立ち止まる。
「ん? ああ。ハロウィンが月末にあるから。 日本人は外国のイベントをお祭りにして楽しむの好きだしな」
本来は秋の収穫を祝い、悪霊を追い出す祭りだけど。日本のお盆に、似ていると誰かから聞いた覚えがある。
「去年は仮装したよね」
「あんなのは、一度で十分だ」
「今年は、地味にやる? 」
「・・・買いたいのか? お化け」
「へへ」
生の南瓜は食べられない物を使う、と聞き、飾り物を買い、ついでに、ひき肉入りの南瓜パイを買って帰った。



「和弘さん、見て」
買い物途中のデパ地下で、智が腕を引いた。
「・・。眼玉ゼリーか。去年も見たな」
「買ってもいい? 」
「少しなら。こっちのお化けのケーキのほうが可愛い。これも買うよ」
「今年、仮装する? 」
「女装以外なら、してもいいかもしれないね。智は? してみたいの? 」
「うん。仮装なら手を繋いで歩けるし」
可愛いことを言って上目遣いになる恋人に、和弘は抱きしめたくなる衝動を抑え込んだ。



「兄さん、今週着る衣装って・・、これ? 」
オレンジと黒の舞台衣装を広げながら舞人が言う。
「『ハロウィンだから』ってことらしい。三矢湖さんがそう言ってた」
「ハロウィンかー。去年は面白かったね」
久しぶりに、自由に外を歩いた。誰も自分たちを気にしない、声もかけられない。
自分たちの知り合いもいない場所と時間。
「楽しかったな、舞人」
「うん、また行きたい」
無邪気な言葉に、
「そうだな。三矢湖さんに頼んでみようか」
二度と叶わないだろう願いを口にして、翔一は弟の肩を抱き寄せた。


「いらっしゃいませ」
「・・、とうとうここもお化け祭りか」
入ってきた男は、うんざりした口調で、すぐそばにある作り物の南瓜と蕪のお化けシールを貼ったランタンを指ではじく。
「好きなお客さまもいらっしゃいますので」
マスターは澄ました顔で微笑むだけ。

「もう一杯もらおうか」
俺の声に、マスターはほんの少しだけ眉を寄せ、黙ってグラスを受け取る。
同じものを前に置いてくれたが、コースターに乗せていた。
妙な物を、と思いながらグラスを取れば、隠れていた部分に、

** キリンの被り物、今年は使いますか? 

ご丁寧にイラスト付きで書いてある。ムッとしたが、この一年、どんな顔であれを手入れしてたのかをふと想像し、可笑しくなった。




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