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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その25

ガムテープで?


最近、面白いブーム(?)が起こっています。
マスキングテープとガムテープ(布テープともいいますね)。

どちらも作業に使う、地味めな存在
マスキングテープは、ペンキなどを塗る時にはみ出さないようにするもの。
ガムテープは言わずと知れた段ボール箱などによく使われているものです。


でも。今意外な使い道が。。。
マスキングテープがとってもカラフル。花柄、アニマル柄、クマもんまで!インテリアやら縁取りやらに使われて。今では文房具的扱いで、専用のコーナーから、専門店まである~。

たとえばこんな感じ。    http://konohana.ocnk.net (http://まで付けたけど、飛べるかな?)


 
もっとすごいのがガムテープ。
なんと、カバンが作れる!

私が見たのは5日くらい前の朝のワイドショー。ご飯作りながら、でしたが、思わずTV画面見に行きました。笑。

こんな感じです。   http://www.minp-matome.jp/pub/508195D2-A336-4A98-BA60-6272CA63CA64
(こっちもhttpつけたけど・・・だいじょうぶでしょうか?不安・・)

本まで出てる。 中島麻美著『ガムテープでつくるバッグの本 (EASY TO MAKE!)』 /池田書店



世の中ってホント不思議。
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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*夏休みの出会いー14

さて、告白した結果は?


「あのさ。・・・ごめんね?俺、変なこと言って。」
「いいえ・・・。」
続きが出てこない俺に、未遊が、
「能見くん、聞くことがあるんならさっさと言って。私たち時間ないんだから。」
と、腕時計を見る。
「・・・。
優奈ちゃん・・、彼、いないんなら・・・、俺と、・・・・付き合って、みないか?」
え? と
目を見張る優奈ちゃんへ、俺も赤くなりつつ、
「その・・、一目ぼれ、みたいなんだ、俺。・・お願いします。」
頭をさげる。

「あの・・・、私」

次の言葉に緊張する。

「・・・はぃ」

う・・・わ。
OKの言葉に下を向いたままの顔がにやける。けど、
「優奈、いいの?」
「なっ・・未遊!なんだよそれ!」
水を差すような言葉にがばっと体を起して一歩踏み出し・・・、
「熱っ・・!」
まともに体重をかけてしまい、足の裏が焼けそうで引っ込める。二人が目を見張ったあと
吹き出した。

はァ・・、かっこ悪。

「・・大丈夫ですか?」
「あ、うん、大丈夫。ありがとう。」
心配してくれる優奈ちゃんに笑うと、ぽっと赤くなる。ほんと、可愛い。

未遊に促され、三人で家へ戻る(もちろん日陰を)。
改めて、
「能見 智です。」
「新村 優奈です。」
「「よろしくお願いします」」
挨拶する。
「あ、新村(にいむら)って言うんだ。」
「はい」
「そしたら・・・、優奈ちゃん、って呼ばない方がいいのかな?」
最初から名前呼びはマズイか?とも思ったけど、
「いいんじゃない?優奈、そういうとこはっきりしてるから嫌なら’嫌’って言うし。」
「先輩」
優奈ちゃんが未遊の腕を引く。
「・・ほらね?」
「もうっ」

「智―、なにして・・・、あら、こんにちは。」
玄関の話し声に母さんが出てくる。
「あ・・こんにちは。」
「こんにちは。お邪魔しています。」
「まあまあ。智、何してるの?女の子立たせたまんま。
どうぞ上がって。・・しょーがない子ね。」
挨拶する二人を見て俺の横にまで来て、大歓迎の笑顔。


『プリズム』

『プリズム』12*変化と決意ー6

用事のある人間しか出社しない、土曜日。
苑田は、PCにデータや思いつき、温めていたプランを打ち込んでいた。

もしかしたら、ここを辞めるかもしれない
進藤にも、新井にも会わないよう調整しながら仕事し、考えていた。
(俺が居なくなれば、進藤も考えを変えてくれるのではないか?)


隆裕の事が知られ、付き合いに亀裂が入るまで進藤の強さは自分に光を当ててくれていた。救いにもなっていた。
だからこそ憎悪も仕打ちも甘んじて受け、こんな関係を続けていたのだ。
(あの時、子湖塚のバーであいつも苦しんでいた事を聞いた・・・・)
あの進藤が、俺に弱みを見せた。

他人の心の内側へ踏み込む事を恐れていた俺に、初めてそれを許したのが進藤だったのも、因縁さえ感じる。
(これを終わらせたら、話をしてみよう)
とくに何を言いたい訳ではないが、自分の気持ちを正直に伝えられたら。
そう思ってディスプレイから目をあげる。

人影が動いた。

(進藤?)
一瞬、見間違いだと思った。彼の事を考えていたから、幻影を見たのだと。


だが、それは幻などではなかった。
とある机の前に止まって何かしていたが、気になって席を立った苑田が確認に来る前に、一課のドアから姿を消していた。




「いない・・・」
確かに人が、と思って来てみたが、今日出てきている社員はいない。静かな部屋に自分だけが立っている。
(俺も以前はここにいた・・・・)
進藤と斜め向かいの席で、ともに仕事に夢中になって、やっと顔をあげて生きていけるようになっていた。
(よそう。今さら)
頭を振って感傷を追い出す。それでも懐かしく、変わっていない机の配置をゆっくり回りながら、新井の机まで歩いた時、PCのキーボードの下に紙が挟まっているのが見えた。妙に不自然で引き出す。
自分の顔色が変わるのが、分かった。



「ただいまー」
「あら崇、おかえりなさい。どうしたの急に。」
「うん、考えごと。一人でいると纏まらなくなりそうで。」
「いいけど。おかず、違っちゃうわよ。」
実家に帰ってまず台所に顔を出し、廊下に並んだ本の背表紙を眺めながら、
「母さん、本貸して。」
いくつか抜き出す。親の趣味が読書でよかった。

今まで触る事も無かった分野の恋愛物。自分が読むことはない、と思っていたのに。
自分の部屋で着替えて腹這いになり、ペラペラめくっていく。


#「おまえ変だよ。男が好きだなんて!」
「・・だけど、しょうがないだろ・・・。好きになっちゃったんだ・・・・」


#「嫌だっ・・。さ・わるな・・・っ」
「ここはそんなこと言ってないぞ・・・・ほら」
「ゃめ・・・ひっ・・!」


時々目に飛び込んでくる男同士の挿絵と会話の文章に息苦しくなる。
生々しく手に残る感触と、苑田さんの声を思い出したからだ。

あの時俺は、苑田さんに触れていた夫婦に、確かに嫉妬していた。そして俺の与える刺激に反応する苑田さんに欲情していた。

(嫉妬して、欲しいと思った・・・なんて、まるで好きな人みたい・・・・?!
俺、は・・・・、苑田さんが、好き、なのか?)

思いが流れ着いた先に驚いて自分に問い返す。
本当に同性の男が好きなのか?と。

『プリズム』

『プリズム』12*変化と決意ー7

新井かーさん、頼もしい相談相手(?)です。ね?新井くん。



「苑田さんは・・、いつでも先に居て、仕事に厳しい人で・・・けど、笑うといい顔で、ずっとそばに居たいと思った・・・。俺を何度も助けてくれて、あんな目にまであって。」
言葉にすると胸がじりじり焦げる気がする。こんな気持ち、初めてだ。

俺は、苑田さんが好きになってる。
「・・苑田さんが、好きだ。男とか女とかじゃなくて、苑田さんだから、好きなんだ。」
自分に言い切った時、目の前が明るくなったようだった。


夕食の後、部屋に戻らずテーブルに座ったまま、洗いものをしている母さんに聞いてみた。
「ねー母さん。・・・・同性愛、って、どう思う?」
「ん―――・・、大事なものだって思ってるわ。」
「大事?!」
「だってそうでしょ?無いと困るし、それがなければ崇だって生まれてこなかったのよ?」
ええ?

「・・・違うと思う・・・・」
子供を作るのは男と女じゃないと無理だよ、母さん。
「何言ってるの、‘愛’がないと出来ないの。」
そうじゃない場合もあるけど、と続いてがくっとした。そっか、水音でよく聞こえてなかったんだ。
「でも、そんな事聞いてくるなんて初めて。その相談?」
「・・・・って言うか・・」
どうやら真面目な相談ね?と洗い終わった手を拭きながらこっちを向き、お茶の支度をしてくる。
「はい。やっぱりこういう時は日本茶よ。」
目の前に、湯気の出てるお茶・・。もう夏なんだけど。。

「それで?」
座った母さんが促す。
「・・・うん・・・・」
「あなたの話?他人の話?」
「両方・・」
「フルコースねぇ。確かにそれじゃあ崇の頭に余るわ。」
「母さん・・・」
それでも意を決して話そうとしたら、
「おーい、母さん、ちょっと来てくれ。」
「はぁい。」
父さんが呼んだ。



「はい、お待たせ。話す順番考えられた?」
「あんまり」
「話したい事からでもいいわよ。」
「あの、さ・・・。母さん、同性愛・・ってどう思う?」
「・・・・いきなり地雷ねぇ。」
母さん、用心深くお茶を飲んで、
「そう・・ね、びっくりするわね、身近にいたら。」
「嫌じゃない?」
「実物見たことないもの、嫌かどうかは分からない。全くの他人で、イケメン同士だったら大変だろうなあ、とは思うけど。」
「大変?」
「イイ男が二人で一緒に生活していたら、田舎じゃあっというまに噂になるわ。野次馬も見に来るだろうし、近所から集中攻撃されるかもしれないし。」
都会なら何とかなるんだろうけど。と言うから、つい、
「母さん・・、まさかと思うけど経験あるの?」
口走って、
「馬鹿ね、知識よ。いろんなものの受け売り。」
こつんと頭を叩かれる。

はあ~、脅かさないでよ。

で、そのついでに体を前倒しにして、
「職場に居るの?そんな人たち。」
と聞いてくる。・・・何で目がキラキラしてるのさ。
「見てみたいなあ。普通にしてるけど、ちょっとした時のアイコンタクトとか、男同士で頬染めたりするの。」

俺がその予備軍だって知っても、そんな顔するのか?母さん。

「・・聞いた話なんだけど、さ。職場の人の兄弟が、同性愛して、その相手の親戚と同じ部署になったんだって。」
言葉の意味が理解出来た瞬間、母さんの顔が真剣になる。
「――― その話、知ってる人、どれくらい?」
「少し。・・・片手くらいだと思う。」
「一生言っちゃダメよ、崇。どっちの人も苦しむんだから。」
「どっちも?」
知ってる限りでは進藤部長の方が悪いみたいだけど。でも、
「傍から見ているだけじゃ解らないことってたくさんあるの。『あの人が』、ってよく言うでしょ?」
「母さんも?」
「それはおとうさんに聞きなさい。」
父さん、笑って逃げて、絶対言わないと思うよ。

『プリズム』

『プリズム』12*変化と決意ー8

話は、核心に迫る・・・?


「崇の話は?」
「俺のは・・・。気になる人が、いて、好きに・・なったかもしれないって・・・・」
明言できないから、『かもしれない』とぼやかした。でも、母さん食いついて。
「ほんと?! 年上?年下?」
「・・・と、年上」
「メガネかけてる?」
「かけてない」
「好き嫌いのある人?」
「・・無いと、思う・・」
「兄弟とかは?」
「お兄さんいたけど、亡くなったって・・」
母さん、痛ましそうな顔になって、
「お気の毒に・・・・」
矢継ぎ早の口撃が止まる。ホッとしたけど、質問してたの、俺のはず・・・・。

「でね、母さ・・」
「もうお付き合いしてるの?」
「付き合いって言うか・・・、仕事教えてもらってる、先輩・・・なんだ。」
「じゃあ、告白もしてないのね?」
「でっ・・、出来る訳ないだろ!
・・・気がついたの、最近なんだし(いや、今さっきだ)。」
ふうう、と大げさにため息をついた母さんは、
「近いうちに何とか理由つけて、必ず連れていらっしゃい。」
と厳命した。





月曜。
苑田はじりじりしながら社の通用口に立っていた。何人かが不思議そうな顔をしながら苑田を見、社内へ入っていく。
(来た)
人波の中、目的を見つけ出し足早に近づき。
「進藤。」
呼ばれた方は目の前に立ち塞がられ、嫌そうに顔を顰める。
「出社前におまえの面など見たくもない。どけ。」
「話がある。」
「断る。」
言葉では引かない、と分かり、その身体を押しのけようとして腕を掴まれ、不快な顔で苑田を睨む進藤。
「放せ。」
返事をせず、苑田はぐい、と腕を引いた。
「遅刻させる気か?」
予想外の力に僅かに焦り、そのことに舌打ちする。
「すぐ済む。」
進藤の顔を見ずに言い、一つビルを挟んだ小路に足を踏み入れた。


「用件は何だ。」
「一昨日これを、た・・・、新井の机で見つけた。」
そう言って苑田が突き付けたメモ用紙。

‘苑田の事で話がしたい’

その横に、日時と場所が指定されている。


「なんだ、社内でコソ泥の真似か?」
進藤が、自分の書いたメモを見ながら、フン、と鼻を鳴らす。
「まだ新井を’接待‘に使う気なのか?
そんなに使いたいなら俺を使えばいい。新井や、他の奴には手を出すな。」
「確かにおまえの孔ならこなれていいだろうが、初物好きな方々は大勢いるのさ。」
進藤は、怒りに震える苑田に嫌な嗤いで答える。
「おまえに俺の邪魔をする資格など無い。俺の後ろで下を向き、呼ばれたら走って来て這いつくばればいいんだ。」
傲慢に投げつけ、背中を向けた。

雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その26

サンダルは苦手 。

家の中ではスリッパ履いてパタパタ歩いてます。それは平気なんですけど。
踵(かかと)が靴から離れるのが嫌なんでしょうね、きっと。


ヒールの高い靴も苦手になりました。仕事の手伝いなどで、普段はほぼスニーカー。
雪が積もる地域(日本海側)の住人なので、冬場は長靴の出番もたくさん。
つまり、カッコイイ靴を履く機会がどんどん減っていった訳で・・・。

お蔭で珍しい(?)体験も。
つい最近、大会がありました。・・えーと、ワタシ、自営業の家族なので、’商工会’というものに所属しています。
その商工会の定期大会。ちょっと改まった場なので、スカートにパンプス(今ではこう言わないようですね)履いて行ってきました。


帰って来てビックリ!ストッキングが、、黒くなってる。。
よくよく見れば、足に当たる皮のパンプスの一部が剥がれて、ストッキングにこびりついている!?のでした。

年1回履くくらいの皮靴。踵もすり減っていないのに、早くも「これ、どうしよう・・・」の靴に。半泣きー。


でも、冠婚葬祭にヒールのある靴って必要だしなあ。
靴の修理屋さん、この靴救ってくれるかしら?



皆さまは、どんな靴履いてますか?



『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*夏休みの出会いー15

智くん、道を間違えて(?)前進中。



「あ、いえ、ちょっと借りたもの返しに来ただけですから。」
「あの、もう帰るところですから。」
「そう・・?
じゃ、智、送ってあげなさい。」
「いいえ、大丈夫です。」
「・・お邪魔しました。」
「あ・・、そこまででも、行くよ。」
母さんにジロッと見られ、慌ててサンダルを履く。二人は、その足元を見てくすくす笑いながら外へ出て、俺も後へ続いた。




「おひさ。」
「わ、内海焼けてるー」
「屋外労働してたからな。涼二の方こそ」
「へっへっへ、彼女とおデート。テーマパーク行ってきた。」
「・・智、何ニヤニヤしてるんだよ?」
新学期、久しぶりに全員集まった学食で内海に聞かれ、鼻高々でスマホをかざす。

「じゃ~~ん。とうとう俺にも彼女が出来ました。」
「えっっ?!」
「わお、いつの間に?」
「・・・・かわいい娘(こ)だね。」
待ち受けには優奈ちゃんがこっちを向いて笑顔で手を振っている画像。
「ただ今絶賛恋愛中でーす。」
あのあと携番・メアドを交換し、週三くらいの割で連絡し合っている。
「へえー、智がねぇ」
「・・そんなに、よく話すことがあるな。」
「あるんだよな、それが」
「あー、分かる。俺だってそうだったもん。」
思い出してニヤつく涼二。
「でも、その子って年いくつ?高二?」
と聞く和泉に
「そ。だから今のうちに仲良くなって、一緒の大学に通いたいな・・・、とか」
目下の希望を打ちあける。
「それって、この大学受けて合格しろってこと?」
「・・・大胆」
「いーじゃんか。」
「いっそ留年すれば?一緒に居られる時間が長くなるぞ。」
「内海」
いつもはノリのいい内海の、妙に尖った言い方にウキウキしていた気持ちがしぼむ。

『プリズム』

『プリズム』12*変化と決意ー9

話は決裂。 苑田、静かに怒っています。




時間を気にしながら、足早に立ち去る進藤。苑田は、何年か振りに目を上げて見送った。

昔より自信に溢れ、どこか汚れた背中だった。



ゆっくり深呼吸を繰り返し気持ちを落ち着けると、苑田も小路を出る。
「進藤。新井は、これ以上巻き込ませない。」
低く。強く呟きながら。

昼休み。
苑田は社内で、人気の少ない場所を探して階段を上った。役員たちのいる階も思った以上に人が通る。
ふと目についたのは、通路の角。衝立(ついたて)が置かれ、簡略な応接コーナーになっている。
人目につきにくいそこへ入り、スマホを取り出した。



― どうした?」
― いつかの貸し、返してください。」
苑田からのコールに二回目で出た香川へ、前置きも無しに切り出す。

― ・・・いいぞ。何をしろって?」
聞こえる冷たい声の向こう側に怒りの炎が見えるようで、電話越しなのに体が緊張するのを覚える香川。
― 西園寺 佳奈子、と言う京都の女性のこと、調べてください。」
― 『西園寺 佳奈子』? わかった。二日もあれば・・・・」
― 二時間、待ちます。ダメならほかの伝手(つて)を頼りますから。」
― おい待て。短すぎる。」
― 無理ならいいです。」
― 苑田!」
通話を切られ、舌打ちする。すぐリダイヤルしながら、今まで聞いたことも無い苑田の声音に何があったのかと疑問がわく。
(ひょっとして・・・、あの坊やか?)
新井の顔が浮かんだ。

― はい」
― 京都に住んでる、『西園寺 佳奈子』だな?」
― そうです。四日後、夜八時までに東京のホテル・MIYABIまで連れて来てください。」

要求が増えてる。

― ・・分かった。女を見付けて、四日後の夜、八時までに東京のホテル・MIYABIまで連れて行けばいいんだな?」
― ええ。」
プツ、と切られる。挨拶も無く。
「いったい・・・」
何が苑田をそこまでさせる気になったのか。
「おまえ、分かるか?」
つい己のi-phonに問いかけていた。

しかしその姿勢で考えていたのは数瞬。短縮コールで相手を呼び出しながら、
「潮時、なんだろうな・・・・」
こちらも呟いている。


― おう」
― 頼みごとだ」
忙しいだろうに、香川からの電話に五度は鳴らさず出てくれる。
― またかよ。たまには『女口説きに行くぞ』ってな誘いはないのか?」
― 俺にはその気がない、って何べんも言ってるだろ?高松」
― ・・・・・そうやって一生義理だてするのか?」
― 第一、ヤりたくても立つモノがない」
知ってるくせに、と笑えば、向こうも笑ってため息をついた。

『プリズム』

『プリズム』12*変化と決意ー10

 男同士の会話、ですね。香川は、案外あっさり身の振り方を決めました。





― 頼みごと、って何だ?」
― 人捜し。一時間で出来る限り知りたい。」
― また無茶を言う。」
― おまえにしか頼めないんだ。」
― 俺は便利屋か?」
― いいや。頼れる友人だ。」
・・・ったく、おまえは・・・・。
電話の向こうで愚痴をこぼし、間を空けたあと、
― 分かった。誰だ?」
― 女。京都の西園寺 佳奈子。」
― 西園寺佳奈子!?」
驚いた声が耳に痛い。

― 怒鳴るな。鼓膜が破れる。」
― まさか俺の知ってる女じゃないだろうな?」
― 分からん。・・頼まれたからな。」
― 誰に?」
探りを入れる言葉に香川の眉が寄る。が、隠すことでもないと、
― 苑田 範裕。」
名前を告げれば、
― ・・・。あいつ、か。」
― 知ってるのか?」
思い当たる気配に、会わせたことは無いはず、と不審を覚えて問えば、
― 京都で会った。進藤が連れて来ていたんだ。」
ちょっとあってな、と言葉を濁す。
― けど、そいつが言ったんなら、あの西園寺だ。一時間もありゃあ十分だが骨が折れるな。」
― 礼はする。」
― どんな?」
面白そうに聞いてくる旧知の友に、
― おまえの下に付くよ。」
以前から欲しがっていた答をするりと口にした。
― ・・・香川・・・・」
先代の組長の葬儀が済んでから、いくら誘っても靡(なび)かなかった男の突然の変心に、驚きより不安が先だつ。
― ・・おまえ、どうしたんだ?」
― どうも。誘っていたのはおまえの方だろう?喜ばないのか?」
― そりゃあ、うれしいけど、なあ・・・」
ううーーん、と唸る友人を、
― 薫織の後釜に座る気は無いんだからいいじゃないか。」
からかう香川。
― ばっ・・馬鹿!んなこと言ってんじゃねえ!俺ァただ・・・」
先々代の組長、夫の跡を継いだ未亡人の薫織を愛した香川。だが、組とは無関係を貫き、彼女の死後は組の幹部が見守る中、自身の竿を落とすことでけじめをつけた男だ。
それでも’組‘へ誘っていた高松。半ば諦めていたところへ、交換条件ながらあっさり’組‘へ入る事を承諾され、思考回路が妙な方向を向いた。
― なぁ、香川」
― 何だ?」
― おまえ・・・・苑田、ってやつのこと・・・・」
― ああ。いつか言ってた『啼かせたい男』だ。」
さらりと答えられ、目を剥く。何か言おうとしたがそれより早く、
― けどな、安心しろ。あいつにはもう相手がいる。俺も割り込むほど野暮じゃない。今回のは借りを返すだけなんだ。」
いつもの、漂然とした香川の口調が高松の耳に届き、ほっとした。
― 任せとけ。西園寺佳奈子な、立派な報告書作ってやっから待ってろ
よ。」
― ああ。」

電話を切った高松は、
「明日は西から夜が明けるか・・」
と楽しげに一人空を見上げた。




苑田が指定した日時、香川は女連れでホテルのロビーに立ち、これからの続きを待っていた。
(少し早かったか)
辺りを見回したが、苑田の姿がない。

「お?」
エレベータの鳴る音にそちらを見れば扉が開き、探していた本人が降りてくる。軽く手を上げ合図した香川に近付いてきたが、常にない鋭さを秘めた様子が艶となり、人目を集めていた。

『プリズム』

『プリズム』12*変化と決意ー11

「香川さん、今日はありがとうございました。お待たせしてしまいましたか?」
「いや、俺たちもさっき着いたばかりだ。」
答ながら目だけを動かし佳奈子を示す。苑田も一瞬だけ光を放った目で応え、彼女に視線を合わせた。
「ようこそ、西園寺さん。」
「・・・あなた」
見知らぬ男に連れられ、慣れぬ東京にいながらも女王然とした姿勢を崩そうとしない佳奈子だったが、苑田を見て表情を動かした。
京都での出会いを覚えていることが苑田にも伝わり笑みが浮かぶ。
「・・その節は。わざわざのお越し、恐縮です。」
「今度は何?」
帰る前に聞いてやろう、とでも言いたげな口調に、
「進藤がいるんです。お会いしたいだろうなと思って。」
毒をたらし込むような、含みをもたせる声が返され、佳奈子の、性格を表している華やかな柄の和服の肩が震える。
「ここで、食事しています。」
「・・・。呼び捨ては許さないと言ったはずよ。」
「俺はあいつと同期ですから。」

言葉の針の投げ合い。横にいた香川の判定は、‘勝負あり。苑田。’となった。

「・・・・連れて行きなさい」
険の立った目と尖った口調で命じたが、あれ以来会えていなかったのだろう、焦燥が透けて見える。
「かしこまりました。どうぞ。」
香川に一礼し、佳奈子をエスコートしながら歩き出す。
「苑田。」
俺の役目はここまでだろ。片目をつぶってそう告げ、見惚れる笑いを見せた男は背中を向けた。
(やり抜けよ)
エールを送って。


☆ ☆ ☆


その少し前。ホテルの九階では、レストランの前で進藤が人待ち顔をしていた。エレベータが開くたび視線を向ける。

「良積さん。」
何組かが彼の前を通り過ぎたあと、名前を呼ぶ声に笑顔を作る。
「祐美さん・・・・田之倉専務?!」
「やあ、進藤くん。迷惑かと思ったんだが、娘が、どうしてもと言ってね。」
「いいえ、とんでもありません。・・ここが専務のお口に合うといいのですが。」
箱入り娘に甘い父親だが、他に話もあるらしい。
それとなく二人分の予約しか入れてない事を言い、料理に不手際があるかもしれないと先に断り、鷹揚な反応にひそかに息をつく。
「良積さんでもお父さまが苦手?」
「祐美さん・・。もちろんです。私の上司である以上に、祐美さんのお父上ですから。」
聞きつけた祐美にからかわれたが、嫌みにならない程度のトーンで肩を僅かに竦めて答え、やってきた案内係のあとに続くよう促した。


☆ ☆ ☆


「ここで?」
「そうです。  待ってください。」
エレベータから降り立った勢いのまま中華料理の店に入ろうとした佳奈子を、前に出て体で押しとどめ、苑田は出入り口に立つ案内係へ声をかけた。
「君、ちょっと。」
「はい、なにか?」
「ここに、進藤と言う名で予約が入っていたと思うんだけど。」
「あの・・・」
「ああ、私は彼と同じ会社の者なんだ。どうしても確かめないといけないことが起きてね。」
襟元のバッヂを摘まんで見せ、続きを言おうとした。が、
「居るのね?」
佳奈子が身を乗り出す。
「案内なさい!」
「西園寺さん、いけません。」
詰め寄ろうとしたのを止めさせる。
「確か、連れがいたはずだけど?」
佳奈子の剣幕に怯えた係だったが、苑田の態度に安心したのか
「ええ、はい。お二人。」
素直に答えた。
「二人?」
「二人、ですって?!」
「は・・はい、そ・うです。進藤様には、男女、お一人づつの、お連れさまが、ございました。」

『プリズム』

『プリズム』12**変化と決意ー12

  



短く長い、沈黙。
「そう。・・・ああ、こちらはその進藤と懇意にされているご婦人。めったに東京に来られないからこの機会にどうしても挨拶したい、と仰るので、無理は承知でお連れしたんだ。
大丈夫かい?」
「あの・・、少々お待ちください。担当に確認して」

「どきなさい。」
やり取りに業を煮やした佳奈子が店内に踏み込もうとする。
「いけません。進藤は今、仕事中なのかもしれないんですよ?担当者が来るまで・・・」
(進藤が食事しているのは、婚約者の専務の娘のはず。もう一人の男の連れは、恐らく専務本人か家族だろう)
佳奈子を止めながら胸の中でそう考えを巡らせる。

苑田が知ってる事を佳奈子は知らない。
ただ、進藤が女連れで食事をしている、事自体が気に入らないのだ。
そして苑田は、佳奈子が進藤に執着していることに気付き、巧みに誘導していた。

「どきなさいっ!」
「西園寺さん!」
彼女の苛立ちが怒りに変わり、佳奈子は苑田を突き飛ばす勢いで押しのけ、中に入っていく。
「お、お客様、お待ちください・・、お客様!」
「君、私が連れ戻す。進藤は?」
「は、はい、奥の個室を・・・」
「個室って?」
「あ、み、奥へ行く通路の、右手の」
「分かった。ありがとう。」
狼狽える係からあっという間に聞き出し、佳奈子の後を追う。
華やかな着物が店内を足早に移動していた。

「西園寺さん、進藤ならあちらですよ。」
「声に振り向いた佳奈子の柳眉が逆立っている。
「どこ!?」
薄く笑い、背中を向け、歩き出す苑田。が、五歩といかず止まる。田之倉祐美を見つけたのだ。

「田之倉専務のお嬢さんではありませんか?」
「え?」
振り向くのは、確かに祐美だ。携帯でも鳴ったのだろうか、個室から出てきている。
予想外の展開にほくそ笑んだが、
「西園寺のおばさま?」
彼女は苑田より、彼の後ろに立つ女性を視界にいれて驚きを見せた。

雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その27

七五三


今日は七五三、当日でした。
いつ頃からか、早めに写真を撮ってお参りする・・、なんてパターンが定着してきたようですが。

私も、弟たちもそれぞれ’よそいき’を着せられ、千歳飴の袋を持たされた姿が写真に残っています。
飴は嬉しかったけど、長くて長くて、途中まで舐めしゃぶったものを放り出してしまった・・ような記憶も。
コラコラ、ですね(苦笑)。



七五三はもともと昔の朝廷や貴族の儀式だったので、そのことも11月15日に七五三が行われる事と関係しています。
男女ともに三歳になると髪を伸ばし始める「髪置き(かみおき)」
男の子が五歳になり初めて袴をつける「袴着(はかまぎ)」※着袴(ちゃっこ)とも言います
女の子が七歳になると着物の付けひもをとり、帯を使い始める「帯解(おびとき)」

の儀式を行われていたことが七五三の起源とされています。

  これが、だいたいの方が知っているだろう七五三の解説。


ほかにも、
二十八宿という暦で11月の「鬼宿日(きしゅくにち)」と言われる吉日に当たるので、鬼に邪魔されずにお参りができるから
五大将軍綱吉の子=徳松の神尾気のお祝いが行われたのが11月15日だったから
旧暦の霜月(11月)の15日は秋の収穫を祝う「霜月祭」の日であり、この大切な日に子どもの成長も祝ったため

などあるようで。



そして、飴。
千歳飴は元禄時代、江戸浅草の飴屋の七兵衛が考案し、長生きするようにと長い袋に千歳飴と書いたのが はじまりとされています。 お宮参りの帰りにおみやげとして買って帰り、親戚や近所に配られました。

・・・。昔から、商売上手な人はいますね。。 現代は太く短く、二色とか、三色ある飴まで揃っている模様。



お祝いごとが、’イベント’化しているなあ、と思いました。
こちらは明日まで(土)晴れそうです。神社に行ったらたくさんの親子連れが居るかもしれませんね。


あー、私も便乗して飴、買っちゃおうかなー。それとも、和菓子がイイかなー。

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*不思議な二人

「あ・・、悪。そんなつもりじゃ・・・」
「・・もしかして焦ってる?内海」
「ばっ・・、そんなんじゃないって!」
彼女がいないのを気にしてるのか、と涼二の振りに顔を赤くして、いるらしい内海が慌てて否定した(日焼けで分かりにくい)。
「たださ、飲みに行けなくなるとか、泊まれなくなるとか・・。」
「なーんだ、そっちの心配?」
「だったら内海の部屋に場所変えする?」
「それはちょっと」

話が流れて、拗れそうになった雰囲気が元に戻っていく。ほっとした。


「智、ごめんな。」
「いいって。俺も浮かれ過ぎたかも。」
講義が終わって帰りかけ、校門そばで内海が待っていて俺に謝って来る。こっちも少し反省してそう答えると安心した表情で笑った。
「おまえも早く彼女作れよ。」
「ああ。・・考えてみる」


九月は台風もあって雨降りの日が多かった。そのせいであのマンションへなかなか行けない。そうなると逆に行きたくなってしまう。

「今日は大丈夫そう。」
天気予報を気にしながら待っていた二十六日。今朝まで降っていた雨もようやく止んで、午後には雲も切れ、青空が見える。夜が待ち遠しかった。




今夜は、ドキドキした。

いつものように準備してボリュームをあげると、あの部屋も人が入って来たばかりのようだった。



―ここは?
―レンタルルーム。鍵が空けば借りられるんだそうだ。一度来て見たかったから、頼んでおいたのさ。
―なぜそんなことを?
―決まってるじゃないか。おまえ、いつも声抑えてるだろ?ここならどれだけ声を出しても・・・・
―昌吾(しょうご)さん。
―照れるな。俺も聞きたい。おまえの声をな
―・・・ん・・っ・・・・

キス、してるのかな。今回は、大人同士みたい。声が二人とも渋い。

―昌吾さ・・・・、あ・・
―脱がせるってやつは、気分が盛り上がるな

シュッと音がした。ネクタイでも外してそう。会社員同士?でも片方の人、敬語使ってる。

―・・・・? 昌吾さん?何を

どさっ、て音が聞こえる。なにしたんだろ?

―動けないだろ

相手がくすくす笑ってる。他に何かしてるみたいだ。ごそごそ音がする。

―や・やめてください・・・・、こ・んな
―いいじゃないか、誰か見てる訳じゃなし。

た・確かに見てはいませんけど。‘しょうごさん’、相手の人に何したんだろ。声がすっごく恥ずかしそう。

『プリズム』

『プリズム』12*変化と決意ー13

 そして舞台に役者が揃います。



「・・・・祐美、さん?」
「やっぱり伯母さまですのね?まあ、どうなさったんですの?こちらでお目にかかれるなんて思ってもいませんでしたわ。」
「本当に。ごきげんよう、祐美さん。今日はまた一段とおきれいですけど、お食事にいらしたの?」
嬉しそうに近付く祐美に、さっきまでの怒気を見事に隠して、佳奈子も驚いて見せる。
「はい。・・伯母さまにはまだお話ししていませんけど、私、婚約したんです。今日は、父と、その方と。」
「まあ!おめでとう、祐美さん。」
頬を染めて恥じらう姪に心からの祝福を送る。そして、
「それで?どんな方なの?」
「父の会社の、進藤さんと言う方です。」
自らを、奈落に突き落とした。

「・・・・・・ひろ美さん、ごめんなさい、もう一度仰ってくださる?その方のお名前」
「進藤 良積さんと、・・・伯母さま、どうかなさったんですか?」
「いいえ、大丈夫・・。それ・で、いつ頃から、お付き合い、・・してるのかしら?」
血の気の引いた顔で、気丈に聞き続ける。
「あの・・、半年くらい、前からです。」
「そう。。」
答を聞いて、目が底光りして、据わった。
「あ、そうだわ、伯母さま、お時間があればいらっしゃいません?良積さんにも伯母さまを紹介できます。」
祐美は、何も知らないまま、さらに佳奈子を言葉の槍で突き刺す。
「私、が・・?」
「それはいい。好都合です。よかったではありませんか、西園寺さん。
お嬢さん、西園寺さんは進藤に会いに来たんですよ。」
わざわざ京都から、と畳みかける苑田。祐美はその応援(?)に力を得て、
「だったらどうぞ、伯母さま。父も喜びます。」
はしゃいで腕を取る。

佳奈子は、なかば放心状態で手を引かれ、男二人が待つ個室へ歩いていった。



「お父さま、良積さん。サプライズなお客さまよ。」
個室のドアを開け、祐美が明るく告げる。
「祐美、少し声を慎みなさい。」
「いいではありませんか、専務。・・・祐美さん、どなたです?」
「伯母さま、さあ。」
姪に手を引かれ、苑田に背中を押され、ゆら、と部屋へ入る佳奈子。
その目が進藤を捕らえた時、不気味な色に染まった。
進藤も、佳奈子を認めた途端、凍りついたように体の動きを止める。

「これは伯母うえ。お久しぶりです。いつこちらに?」
田之倉が、驚きながらも食事の手を止めて、笑顔で尋ねる。
「つい先ほど。・・・ね、健一さん、この方が祐美さんの婚約者?」
「あ、ええ、そうです。優秀な部下で、娘も一目ぼれしまして。」
今日は、婚約発表をいつにするかの相談を・・、と言いかけ、佳奈子の様子が違う事に気付く。
「伯母うえ?」
佳奈子は進藤にヒタリと視線を当てたまま、ゆっくり唇を動かした。
「・・・良積さん。
あなた、祐美さんが、私の姪だと気付いて・・近付いたの?」
進藤の答えは無い。
佳奈子は足音も立てず座っている男の横へ立ち、感情が爆発する前の静けさで問う。
「私と楽しんでおきながら、祐美さんにも手を出したの?」
部屋の空気が一気に冬の冷気になっていく。
「・・お・ばさま・・・?」
「それとも・・、知らぬ存ぜぬで押し通すつもりだったのかしら?」
声のトーンが上がる。
「・・知らん。・・何の、ことだ・・・・」
箸と取り皿を持ったまま、佳奈子を見ず呻くように答える進藤。ここまで聞いていた田之倉が怪訝そうになり、
「進藤くん、君は西園寺の伯母を知っているのか?」
二人を交互に見ながら問いかけた。

『プリズム』

『プリズム』12*変化と決意-14

悪事は暴かれ、野望ははかなく消えていきます。



「いいえ・・。全く」
「そうか?京都では随分親しそうだったが、俺の見間違いか?」
「苑田!」
冷たい揶揄の声に呪縛が解けたのか、進藤が怒りを露わにしてガタッ!と椅子を蹴り立ち上がる。
「いい加減な事を言うな!あれは接待だっ!」
形相を変えテーブルを叩いた進藤に、祐美が小さく悲鳴を上げて父親の後ろに隠れる。

「接待?」

さらに苑田を罵倒しようと息を吸いこんで出来た間に、佳奈子の声が鉛の重さで落ちた。
「かな・・・・西園寺さん」
ギクリとした進藤が慌てて彼女を見、言い繕おうとしたが、
「私と過ごした、あの、熱い夜を・・、接待だと言うの・・・?」
はらはらと涙をこぼしはじめた佳奈子に狼狽し、後ずさった
「伯母さま」
祐美が駆け寄り、差し出したハンカチで顔を覆って嗚咽しはじめる佳奈子。その姿に、
「進藤くん、説明してもらおうか。」
田之倉の冷めた声が。

「女性と遊ぶな、とは言わん。ただしそれはあくまで遊びで合意の上だ。千歩譲って、西園寺の伯母が田之倉の親戚だと知らなかったにしても、伯母はそのような女性ではない。
 なぜ、夜の付き合いまでする仲になったのかね?」
「専務・・・。私は」
自らの罠に落ちた進藤が、汗を浮かべながら抜け出そうと足掻くのへ、
「良積さん・・。
伯母さまと、そんな関係で、私と・・・・?」
事情を察した祐美も、佳奈子の背中を撫でながら涙を浮かべて言い、退路を塞ぐ。のろりと進藤の顔が動き、祐美を見た。
「ひろみさん・・・、違う、俺は」

「触らないで!」

今まで熱のこもった目で見上げていた男が自分へ伸ばしてきた手を拒絶し、彼女は大きく身を引いた。
「酷い方。私だけでなく伯母さままで騙すなんて!」
百年の恋も醒めた目で非難する。
「騙されたのは俺の方だ!
取引先との会食中に割り込んできて誘いをかけてきたんだぞ、その女は!俺に落ち度はない!」
「何ですって・・?!
誘いに応じたのは貴方でしたわ、良積さん!」
「・・伯母うえ。祐美の前です。」
キッとなって泣き濡れた顔を上げ、さらに言い募ろうとした佳奈子だったが、田之倉の差し水にハッとして口を噤(つぐ)み、ちらりと姪を盗み見る。
祐美は、言い合いより進藤の態度に怯えて青い顔になっていた。

「良積さん・・、いいえ、進藤さん。
あなたは私を欺いていたんですね。優しい、頼りがいのある方だと思っていたのに。」
「祐美」
「やめてください。 軽々しく名前を呼ばないで。
お父さま、佳奈子伯母さま。帰りましょう。」

もう愛情など消えてしまっていた。理性の目で見直せば、そこにいるのは功を焦る男でしかない。進藤の呼びかけさえ煩わしかった。

「そうだな。婚約は解消だ。・・・・行こうか。」
「待て、この・・」
「進藤、よせ。」
田之倉親子が、佳奈子を両脇で支えるようにして部屋を出そうとする。その三人に追いすがろうとする進藤の肩に手をかけ、苑田が止めた。
「苑田・・・。おまえは」
振り向いた進藤の顔が怒りで染まり、
「どこまで俺の邪魔をすれば気が済むんだ!」
ガツッ、と拳が頬を殴りつける。
「きゃああ!」
祐美の叫び声にとんできた店員が、さらに苑田を殴ろうとした進藤を取り押さえる。
「くそっ、放せ!」
体格のいい店員に羽交い締めにされても抵抗する進藤に、
「見苦しいぞ、進藤くん。これ以上私に恥をかかせないでくれ。」
田之倉の言葉が止めを刺す。

『プリズム』

『プリズム』12*変化と決意ー15


進藤の抵抗が糸の切れた操り人形のように止まり、がクンと首を落とした。
「・・・・っう・・っ、く・・そぉ・・・」
呻きが、喉をつまらせた泣き声になる。
力の抜けた進藤に、もう大丈夫とみたのか店員も拘束を解き、ややバツの悪そうな顔をして一礼すると出て行った。
蹲る姿を、眉をひそめて見ていた田之倉と祐美だったが、佳奈子は・・・違った。

「・・健一さん。」
「はい。なんでしょう?」
「彼はもう・・?」
「私も娘も用はありませんが。」
「では、お願いしてもいいかしら?」
「はあ・・・」
首を傾げる田之倉に、
「私がいただいてもかまわない?」
す、と、床に崩れ落ちた進藤を指さす。捕食者になった目が輝いている。
「伯母さま?」
「伯母うえ・・。あれを、ですか?」
「ええ。」
「ですが・・・。まだ、社の人間ですし」
「いいじゃないの。祐美さんだって、もう見たくもないのでしょう?」
「はい。」
「私が引き取ってあげるわ。だから安心なさい。」
佳奈子に聞かれ、きっぱり頷く祐美に嫣然と笑いかけ、もう一度田之倉を見る。
「どう?」
「・・・・・。解りました。お願いします。」
「ありがとう、健一さん。今までで最高のプレゼントよ。」
頭をさげる田之倉に手を打って喜び、
「さあ、それじゃ、後は私が片付けるわ。二人ともお帰りなさい。」
ウキウキと急かす。が、
「専務。進藤をどうするんですか?」
苑田の声にうんざりした顔をした。



「話は聞いていいたのでしょ?良積さんは私のものよ。あなたにはもう関係ないことなの。
さっさと出ていって。」
「専務。」
「聞いての通りだよ、苑田くん。社には私から申し出ておく。特に支障はない。」
出向でも、進出のための勉強でも、口実は作れる。そう言って今度こそ娘を促し背中を向けた。

「さあ、良積さん、これで私たちはいつでも一緒よ。」
「や・・やめろ・・・。寄るな・・・」
「あら、つれない事を。でも、ほかにあなたの行く場所は無いの。聞いていたでしょう?健一さんが全部手配してくださるから。
ねえ、良積さん、私たち、相性がいいのはあなただって知っている。これからはいつでも・・・・」
「ち・近付くな!・・そのだ・・、苑田!この女、何とかしてくれ!」
唇を舐めながらねっとりした笑みを唇に乗せ、近付いていく佳奈子に、射すくめられて動けない進藤が脂汗を流しながら、蒼白な顔で苑田に助けを求める。
「進藤・・・・」
殴られた時口の中を切ったのだろう、鉄の味のする唾を飲み込み、苑田は哀しい目で彼を見た。

静かに首を横に振る。

「おれには無理だ。・・・おまえは、手に余るものを求めたんだ、進藤。」
「そんな事は無い!俺は・・・、や、やめ・・、ぅ、むうぅっ」
佳奈子が進藤の視線を遮るように正面から抱きつき、首に腕を回すと口を塞ぐ。逃れようと必死な進藤が床に尻もちをついた姿勢のまま後退するが、すぐに壁に突き当たってしまう。
「んうっ・・・」
ディープな口淫にかわったのか、くぐもって湿った音が溢れだした。



それ以上見ていられす、苑田は踵を返し、部屋を出た。せめてもの情(なさけ)に、ドアを閉めて。

『プリズム』

『プリズム』13*苑田の家族

 田之倉専務、仕事が早い。



翌週、営業のフロアは蜂の巣を突いたような騒ぎになった。
一枚の辞令が貼りだされたのだ。

「おい、見たかあれ」
「見た見た。いったい、どうなってんだ?」
「進藤部長、専務の娘と婚約してたんじゃなかったのか?」
「まさかインサイダー取引とか?」
「あんなに仕事出来る人だったのに・・・」
「その仕事! 引き継ぎもないんだろ?」
「あ、しいっ。社長だ」


「営業部の諸君。」
大会議室に集められた営業部員が、ドアを開けて入ってきた社長のひと言で、水を打ったように静まる。
「この度、我が社始まって以来の出来事があった。進藤部長の事だ。」
言葉を切り、部屋を見回す。
「諸君にはまことに不可解、かつ迷惑な事だと思うが彼は京都へ出向いてもらっている。
 我々にとっても急なことではあったが、先方の強い希望もあり特別な配慮を持って単身、先行してもらう事が決定し、辞令にもあった通り今日から向こうで働く。
なお、当分の代行には中島くんが当たってもらう。早急に役員会議を開き、役職も公表するので、しばらくの間、各自頑張ってもらいたい。

以上だ。」


「・・エライ事になったな・・」
「主任。他人ごとじゃないんですから。」
横にいた主任の呟きについ口が出る。
「分かってるさ。俺だっていきなりこうなるとは想像さえしてないし、心の準備だって無い。 
だが気になるのは進藤だ。一体何があったんだ?」
苑田も最近見かけない。そう呟く主任にドキリとする。心の中で数えてみた。
(あの日から・・・、十日、経ってる。。)
何が起きても不思議じゃない時間だ。そして確かに苑田さんを見かけることはあっても、声を掛けられる距離ではなかった。


「中島くん。」
「はい、専務。」

社長の話が終わり、営業の人間が仕事に散りはじめるなか、社長の後に従って来ていた田之倉が中島を呼び止めた。
「進藤くんは、君の後輩だったそうだね?」
「ええ、やり手でした。はらはらすることもありましたが、業績は上げていたので出世は早かった。」
「そのようだな・・。度を越えなければまだ上がれただろうに。彼は、自滅した。」
「自滅?」
「私にとっても残念だった。」
中島の繰り返しに気付かぬ振りで、ではあとを頼む、と肩を叩き、田之倉は部屋を出て行った。



「進藤は、京都。か・・・」
社長の補足説明を聞いたあと、もう一度辞令を前に、苑田は文字をなぞった。あの時の言葉通り、佳奈子は進藤を放さず京都へ戻ったのだろう。
女郎蜘蛛が巣にかかった獲物を絡め取るように。
(俺は、進藤を・・・・)
唇を重ねる二人を思い出し、けれどその先を考えられず思考がフリーズする。
視界がモノクロになり、叫び出しそうになった時、背中を叩かれた。

「苑田さん、ここにいたんですか?」

雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その28

口笛、指笛。 ほかにも色々。

私が出来るのは下手くそな’ホ―ホヶキョ’くらい。
指笛とかなんてはるか彼方の次元。 さらに口だけで色んな楽器とか効果音とか、もうただ見てるだけ。
ヒューマン・ビート・ボックス・・などと言うそうですねー。



なぜこんな話?

・・・実はこの間、’ハンドフルート’という、演奏 ――でいいのかなあ―― をしている動画を見て、見入ってしまったから、なんです。こちらのサイト。

http://videotopics.yahoo.co.jp/videolist/official/music/pf3c2d9ec3e.

あー、いまだにちゃんと貼れたか、飛べるか、自信がないです。。すみません。



草笛では、’すずめのてっぽう’と言う雑草でピーピー鳴らした事があったっけ。でも、音階は出来なかった。
曲を吹いて楽しむのなら、木の葉っぱなんですって。

カシ、シイ、クスノキ、シロダモ、ヤブニッケイ、などの幼木の葉、ヤブコウジ、ヒサカキ、チャ、などの成木の葉、観葉植物のベンジャミン、ポトス、スパッテイなども。

むむむ。

でも、風船ガムを膨らませることができない私に、それ、出来るの?


**スズメのてっぽう(雀の鉄砲)。こちらも一応貼ってみます。
http://www.weblio.jp/content 行けますように(お祈り~~)。

『プリズム』

『プリズム』13*苑田の家族ー2

苑田が見たのは、もちろん。




びくっと大げさなほど肩が跳ね、振り向くと。
「あら・い・・?」
「はい。さっき、主に・・・、中島部長代理、に、言われたんです。営業担当増えるから、しばらく苑田さんと組め。って。・・・あれ?顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」
新井が小首を傾けて聞いている。

「あ・あ。・・中島さんが、・・・俺と?」
「そうです。よろしくお願いします。で、リストもらったんで、すぐ挨拶回りしたいんですけど・・・、苑田さん?」
「・・・。何でも、ない。ちょっと、ここで待っててくれ。」


「中島さん、どういう事ですか?」
いきなり指名された部長代理・中島。その周囲に指示を求める人が輪を作る中、割り込んで強く問う苑田。
「どう・・って、見ての通り、こんなで身動きとれないんだ。おまえなら融通利かせられるだろ?一課には頼んでおくし、新井のこと、頼む。」
「ですが」
「中島・・部長代理、すいません、この書類、どこに出せば・・」
なおも聞きただそうとした苑田の横から、一課の人間が紙の束を見せながら中島の視線を横取りする。
「ちょっと見せろ。・・・・・、ああ、これなら総務でハンコもらって」
「中島部長代理!電話です!」
「いま行く」
そう言う事だ、あとでな。と中島は苑田に軽く手を上げ合図すると、指示を求め続ける人間たちを連れながら呼ばれた電話口へ、歩き去った。


主・・、中島部長代理と話して(?)きた苑田さんが戻って来る。
「待たせて済まない。」
「いいえ。俺だって驚きましたから。」
「出かける前に打ち合わせしようか。」
「はい。」
ここは慌ただしいから、と、静かな一課の苑田さんの机へと移動した。



あっという間に十日ほど過ぎる。
人事も行われ、中島主任は正式に部長になり、直属の上司は、課長の小野山さんになった。
俺はと言えば、ずっと苑田さんが外回りに付き合ってくれ、その仕事ぶりに驚かされっぱなしだ。
今日もそうだった。

「こんにちは。名賀都商事です。」

訪ねたのは、俺は初めて、苑田さんは昔来ていた営業先だ。
「やあ、名賀都さん・・、と、苑田さんじゃないか!久しぶり。」
「お久しぶりです、藤盛さん。」
ん?と言う顔で近付いてきた人が、苑田さんを見て懐かしそうに声をかける。
藤盛さん、は、新しく俺が担当することになった双葉工業の人だ。
「どうしたんだい?異動?」
「ええ、上の方が。それで、こちらが新しく担当になる新井。俺はしばらくサポートすることになったんです。」
「そうかぁ。ま、顔が見られたから、俺としてはそんなのもたまにはいいけど。で?営業してくの?」
「それはこちらの新井が。
新井、こちらは俺が以前お邪魔していた時からお出での藤盛さん。総務のヌシだ。」
「はじめまして、新井と言います。これから担当させていただくことになりました。」
「ヌシがないだろ?苑田さん。・・・ああ、よろしく。」
藤盛さんは、俺が出した名刺を受取り、代わりにポケットから小壜(びん)を取り出すと。
「な・何ですか?これ」
「当ててみな。」

横では苑田さんがくすくす笑っている。

手の平に乗せられたのは、茶色くれ、コロンとしていて・・・。
「これ・・・、むし、ですか・・?」
「当たり。蜂の子の佃煮だ。」
「ええっ!?」
「落とすなよ、珍味なんだから。」
「珍味っって、こ、これ、食べ物?」
「そ。新人さんはみんな食べた。」
腰が引けてる俺に、苑田さんまで、
「食べないと藤盛さんの機嫌が悪くなるんだ。」
頑張れ。って~~。

目をつぶって、えいやっと。・・・・無理やり丸呑み、した。

『プリズム』

『プリズム』13苑田の家族ー3

新井くん、新しい営業先の藤盛さんに気に入ってもらえた様子。



目をつぶって飲みこんだあと、
「み・水、ください・・・」
「ほれ。」
藤盛さんが差し出したコップの水を一気飲みした。

「よく頑張ったな。」
苑田さん、口元を緩めながら誉めないでよ。
「いやー、大したもんだ。こんなに短い時間で食べ、じゃない、飲みこんだの、そういないぞ。」
あっはっは、と笑う藤盛さんへ、
「じゃあ、私からはこれを。」
苑田さんが提げていた紙袋を出す。
「・・お、巣蜜か?悪いなぁ。」
「すみつ?」
「蜂の巣の、蜜が入ってる部分だ。藤盛さんの好物。」
「熊みたいだろ?」
ちょっとおどける。
「え?藤盛さんって、熊年生まれなんですか?」
思わず聞いたら、二人してフリーズしたあと吹き出した。
「ぶはっ、はははは・・・!新井さん、あんたいいな! 
これから、よろしくな。」
「っはい、よろしくお願いしますっ。」

そのあと、藤盛さんと倉庫に行って、物品のチェックと、・・追加を入れてもらった。

「ありがとうございました。」
「いやぁ、礼を言うのはこっちの方だ。苑田さんが来てくれなくなってからずっと、会えなかったもんな、こいつに。」
帰り際の挨拶に、手土産の紙袋を嬉しそうに見る藤盛さん。二つのうち一つは、課内で食べるのだそうだ。アイスにかけるととてもおいしい、と言っていた。
「こんな時だし、みんなも喜ぶ。」
「それはよかったです。では失礼します。」
「失礼します。」


「苑田さん、あの、巣蜜っていうの、どうしたんですか?」
帰り道で聞くと、
「ああ、検索かけて店を調べた。リスト見た時藤盛さんがまだ窓口だって分かったから、あればいい土産になると思って。」
他の営業先も、人が替わっていなければ俺が持ってる情報使えるかもしれないし、おしえるよ、と、苑田さんはこともなげに言うけど。

「それって、教えてもらえるんですか・・・?」
「おまえが聞けば、な。」
少しだけ意地悪な目をしたけど、顔は、笑っている。
「教えてください!」


☆ ☆ ☆


土曜、朝から母さんが張り切って台所にいた。
「それで?何時に出るの?崇。」
「九時。範裕さんが向こうの駅まで迎えに来てくれて、一緒に行ってくれるって。」
「範裕さんのお宅に行くの、初めてなんでしょ?絶対手土産要るから、待ってるのよ。」
「でも、向こうだって支度してる、って、範裕さん・・・」
「何言ってるの、手ぶらでなんか行けないでしょう?」
「そうだぞ、崇。まして教えてもらいに行くんだろ?母さんの作った物も持って行きなさい。」
ほらこれ、と父さんまで包みを出す。
「あらお父さん、いつの間に。」
「まあな。」


結局紙袋を二つもさげて行く事になり、改札口で待っていてくれた苑田さんがそれを見て驚く。
「・・大荷物だな。」
「父さんと母さんが、持っていけって。」
はああ、と大きくため息をつけば、
「いいご両親じゃないか。」
と言って笑って、ひとつ持ってくれた。


「和美さん、ただ今戻りました。」
「こんにちは。お邪魔します。」
「いらっしゃい。お待ちしてました。」
出迎えてくれたのは、雰囲気がどこか苑田さんに似た女の人。

『プリズム』

『プリズム』13*苑田の家族ー4

新井くん、苑田の’家族’とご対面。



「範裕さんが前に『後輩が・・・』って話していたの、このかた?」
「ええ。」
「・・初めまして。新井 崇です。 これ、少しですけど。」
「まあ、ご丁寧に。どうもありがとう。さ、どうぞ。」
「お邪魔します。」

「父さんは?」
「床屋さんに行ってるわ。お客様に会うのは久しぶりだから、って。」
「大げさだな。」
和やかに笑う範裕さんだけど、‘和美さん’と呼ばれた女の人は誰なんだろう?
気にしていたら、
「範裕さん、静代さんにも紹介してあげたら?」
「・・・・・、はい。崇、こっちに来てくれ。」
和美さんの言葉に迷ったあと俺を促してある部屋に入る。そこには、小ぶりなタンスのような仏壇があった。
両開きの戸は開いていて、中には写真と位牌がふたつ。

正座して鈴(りん)を叩き、手を合わせる範裕さん。俺も真似て後ろで手を合わせた。
「・・・・兄の隆裕と、母さんだ。亡くなって、・・・もう十年くらい経つ。」

それじゃあ、あの写真の人たちは、先輩と子湖塚さんが話していた・・・・。

背中を向けたまま教えてくれた範裕さんが、どんな表情をしているのか分からないけど、声は落ち着いていた。


「ただいま。」
玄関の方で男の人の声がした。範裕さんのお父さんだ。
「行こうか。」
「はい」

「お帰りなさい。いらしてるわよ。」
「ああ、玄関に靴があった。・・床屋が混んでいてね」
「お帰り、父さん。」
「こんにちは。お邪魔しています。」
「・・・・・・、ああ、初めまして。範裕の父です。」
仏壇のある部屋を出て居間に戻ってところで、範裕さんのお父さんに会う。ぺこ、と頭を下げながら挨拶したら、なぜか驚かれてしまった。
「あの?」
「あ・・、いえ、範裕が会社の人を連れてくるのは初めてなので。」
「父さん、居間、使っていいかな?(自分の)部屋だと広げる場所がないんだ。」
「かまわないよ。ゆっくりしていってください、新井さん。」
範裕さんに答え、俺にも声をかけてくれて、お父さんはテーブルにあるキッチンへ。
「和美さん、コーヒーを入れてください。」
「はい、ちょっと待ってくださいね。」
そんな会話と、カチャカチャ食器の触れ合う音が聞こえてきた。
「崇、ここで待っててくれ。今、資料持って来る。」


びっくりした。範裕さんの資料。
「・・・こんなに?」
「これでも整理したんだぞ?」
苑田さんが営業をしていた当時の担当者だけでなく、社会ネタなんかまで添付されてる。そんなファイルが、沢山。
「なんで、新聞記事まで?」
取引先の社名が付いたファイルを一つ取り、中身を広げながら聞くと、
「話題に困らないようにしてただけだ。たいした事じゃない。おまえもタムラ文具の部長の趣味まで覚えただろ?」
「けど、あれも範裕さんが教えてくれたからで・・・」
「要は、覚えて自分のモノにすればいいんだ。必要なものがあったら持っていっていいから。」
それより、範裕さんに直に聞く方がいいんだけどなあ。
内心そう思いながら目を通していく。

ふわっ、とコーヒーのいい匂いがした。
「範裕さん、少し休憩したら?」
和美さんの声も。
顔を上げたら、お盆を持って、俺たちを見ている和美さんがいた。
「そうですね、いただきます。」
広げていた書類をよせてできた場所に、コーヒーと、
「・・・和菓子・・?」
「ええ。これ、水まんじゅう、って言うのよ。意外でしょうけど、コーヒーと合うの。トライしてみて。」
知り合いから教えてもらったの。と、屈託ない和美さん。範裕さんもくすくす笑いながら、
「和美さん、いつも色んな事にチャレンジしてるんだよね。」
面白そうに話してくれる。どっか母さんに通じるものがありそう。

『プリズム』

『プリズム』13*苑田の家族ー5




お昼になって、作業は一時中断。和美さんと母さんのおかずがテーブルに並んだ。
「新井さん、遠慮しないでね。」
「駄目ですよ和美さん、そんなこと言ったら。崇はよく食べるからすぐ無くなる。」
「そんな事ないです。」
「あるさ。中華料理、たくさん食べたじゃないか。」
「あれは・・。お腹空いてたし、料理もおいしかったからで、がっついてたわけじゃありません。」
「そうか?」
「そうです。」
食べながらそんな会話をしていると範裕さんのお父さんが手を止めて、不思議な表情でまた俺と範裕さんを見ている。

何だろう?
気にしていたら、
「新井さん、落とすわ。」
「えっ? あ」
じゃが芋の煮転がしが箸から落ちる。
「す・すいません。」
慌てて、つい指で摘んで口に放りこんでしまった。それを見て目を丸くする範裕さんとお父さん。
「崇・・」
「・・・・・」
「あ・・、」
赤くなった俺に、和美さんが吹き出した。
「・・っ、くっ、ふふふ・・」
「あの、すいませんっ、俺」
「いいの、気にしないで。・・・・でも、そんなとこも似てるのね、新井さん。」
「似てる?」
「そう、隆裕さんに。浩司さんもそう思ったんじゃないかしら?」
ねえ、と和美さんは範裕さんのお父さんに話を振る。
「ああ・・・。こうして、話すのを聞いていると違うのに、ちょっとした仕草なんかが似ていて驚くよ。」

気をわるくしないでください、と言われ、気にしてない、と答えたが心がキシッと痛む。

昼からも資料を選り分けたりメモったりして、ようやくおわらせたのは夕方だった。

「・・まあ、これくらいあれば当座はなんとかなるだろう。」
「はい。ありがとうございました。 終わった~~。」
うーんと体を伸ばして声を出すと、
「あら?終わっちゃったの?」
キッチンにいた和美さんが聞きつけ返事してくれる。
「はい。長居してすみませんでした。」
「それはいいけど・・」
そばまで来て、俺たちを見比べる。
「新井さん」
「はい?」
「あのね、私も‘崇’さん、って呼んでいいかしら?」
「いいですよ。」
俺の家だって苑田さん、じゃないもんな。そうおもって頷くと、
「わ。ありがとう。私も和美さん、って呼んでね。・・・範裕さん、そんな顔しないで。」
クスッと笑う。
え?と範裕さんを見れば、頬を赤くしてそっぽを向いてしまう。
「それじゃ崇さん、お願いがあるの。」
「何ですか?」
「買いだし頼んでいい?」
「買いだし?」
「和美さん。」
俺と和美さんの間に範裕さんが割って入る。少し怒ってるみたいだ。でも、和美さんは意に介さず、
「あなたも一緒に行ってらっしゃい、範裕さん。はいこれ。」
「買い出しなら俺一人で大丈夫だから。崇だってもう帰らないと。」
「だーめ。二人で行かないと、量が多いから持てないわよ。はい、範裕さん。」
小さな、折り畳んだバッグみたいなのと、メモと財布がずいっと出される。
ほら、早く。時間なくなるわ。と急かされ、否応なく外へ出されてしまった。


雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その29




私は、’車は生活の足’という田舎住まいです。
車が普及したからなのか、電車やバスが経営上数を減らしたのかは知りませんが、こちらは一家に1台以上がほとんど。

諸々の事情で太平洋側から日本海側、雪の多い北陸へやって来た時はペーパードライバー・・・だったのですが、
今では堂々と’おばさん運転’している状態。


今回は運転歴の中から少し。



逆走。   これは3・4年前の事です。
中央分離帯、片側2車線の道を走っていた時のこと。前に何台か先行している車があったのですが、信号もないのに急にブレーキング。追い越し車線(右手側の車線)にいた車が慌てて走行車線(左側)に。
「何か道路に落っこってるの?」
かと思いきや!!
ブ――ッ。・・・っと、逆走するもみじマークの軽トラックが!?
「うそ。。こっち向いて走ってくる・・・」
瞬間フリーズ、でもすぐ我に返って。最初から走行車線走ってて良かった~~(って問題?)。 でした。

運転していたのはお爺ちゃん。
あまりに普通に走っていったので、こちらが??になってしまいました。特に新聞記事にもならなかったので、無事どこかの目的地へ行けたのでしょう。でも、実例を見たのにはオドロキ!でした。


2つ目は、タイヤ交換。   こちらはもう・・10年以上前です。
車を日常的に乗るようになった頃の冬、張り切ってスノータイヤへの交換をしたことがあるんです。
ダンナ様、
「そんな苦労すること、やめとけ。」
といったのですが、どォうしてもやってみたかった。 車庫のスペースを作ってもらい、腕まくりして始めたら。。
ジャッキで車を持ち上げるだけでゼーハー。タイヤを取り替えるのに大汗。 一つ替えるのに20分くらいかかって。
終わった時には、
「晩ご飯、店や物にして~~~・・・・」
ぐったり、でした。
以来タイヤを積んでガソリンスタンドなどでやってもらってます。


皆さまは、どんな交通手段を使ってますか?

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*不思議な二人ー2



―・・・いい眺めだ。
―・・・・
―鏡でも見るか? そそられるポーズをしている。
―結構です。堪能したなら解(ほど)いてください

うっわー、相手の人、怒ってるよ。

―そう言うな。

カチャカチャと金属音。これって・・、

―しょ・・・・っ

声が途切れた。もう何回もこんな展開を聞いてるから何となく次が分かる。

―・・・っう・・ンあっ

やっぱり。ベルトはずして、・・内に手を。

―いつもより感じてるな。もう硬くなって
―見・・・、見ないでください
―どうして?せっかく椅子に座らせて手をどかせたんだ。楽しまない方がどうかしてる

手をどかす?

―そんな顔をする。だからおまえをこうしたくなる。
―・・・っ。ぁ・はアッ・・。

なんか、俺、いつもより興奮してる。しょうごさん、相手の人に、何を・・?

―・・・くぅ・・・・ん・・っ
―あいつらには見せられない顔だな、紫朗(しろう)

しろうさん、が相手の人か。多分‘しろうさん’、‘しょうごさん’のこととっても好き
なんだ。だって一度も拒否してない。

―昌吾さん・・・・

うー、もろに腰にくる声。俺も名前呼ばれたい。

―一休みするか?
―・・・・好きにすればいいでしょう?

あ、ちょっと拗ねてる。理解るけど。しょうごさん、笑ったみたい。

―わかったよ。そんなおまえをつまみにビールでも飲みながら休もう。
―し・・・

しょうごさん!・・・それ、だめだよ。 俺、思わず立ち上がっちゃった。わ、やば。

―・・・・・おい、ほんとかよ

しょうごさんの声が遠くに聞こえる。別の所にいるのかな?

―紫朗、ちょっと出てくる
―昌吾さん?

ええ?出てくる・・って。部屋から出るってこと?こっちも焦る。でも、早くも玄関、あ
たりで靴をトントンやるような音が。

―昌吾さん、どこへ?

ガチャッとドアの開く音。ほ・本気?しろうさんのこと、どうするの?

―昌吾さん!



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