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『プリズム』

『プリズム』21**ガール・フレンドー13


「崇」
耳元でひろさんの声がする。俺の好きな、優しいトーン。
「ん~・・・、もぅちょっと・・・」

「崇、双葉工業から電話があったぞ?」

え? うそ

がばっと起きた俺に、
「おそよう。おまえ、実家だといつも寝坊するのか?」
可笑しそうに笑うひろさん。
「・・・・おどかさないでよ。」
本気で焦ったんだから、と続けると、
「三度、呼んだ。揺すって起こしてもよかったんだがあんまり幸せそうな顔をするから、悪戯したくなった」
ふにっと頬をつまみ、またくすくす笑う。
「ひろ・さん」
「早く来いよ」

顔を洗って台所へ行くと、
「お、やっぱり範裕くんが効くんだな」
「そうね。範裕さんの声を録音しておけば、崇を起こすのが楽になるわ」
今度までにそういう機能のついた目覚まし買っておこうかしら、なんて母さん、父さんと笑いながら箸を取った。
「・・・いいじゃないか。今日は休みなんだから」
文句は言ったけどお腹は空いてる。大人しく座った。


二階の部屋へ戻って、俺の本棚を眺めるひろさんに初めて聞いてみる。
「ひろさんって・・・、何が好きなの?」
「どうした? いきなり」
「うん・・。俺、ひろさんのことあんまり知らないなあ、って。だから聞きたくなったんだ」
ふうん、と言う顔をして俺を見る。
「何が知りたいんだ?」
「え、と。。好きな色とか・・・食べ物・・?」
ぷっと吹き出すひろさん。
「十ヶ月は経ってるのに、知らなかったのか?」
しょうがないなあ、と、呟き、ベッドを背中にして座りこんだ。
「書くものもってこい。教えてやる」

「ひろさん・・・、それ、苦手なの?」
「いいだろ、それくらい」

意外。

いそいそと、探してきた未使用の大学ノートにひろさんのことを書き出していくうちに、苦手なものが分かった。普段のひろさんからは想像もつかない。
それは、生きている蛸。 死んでるのとか、食べるのとかは平気なんだって。
思い出せば、たこ焼きは食べていたし、スーパーの魚売り場でも普通に蛸を見ていた。だから気付かなかったのか。


「崇、おまえこの曲聞くのか?」
「へ?」
取りとめもなく聞いていたひろさんのことを項目別に分けている作業中、ひろさんは何か目についたのか、CDラックから一つ抜き出して俺に見せる。
「それ? うん、何となく気に入って。 ひろさんも好き?」
「ああ。かけていいか?」
「ん。俺も聞きたい」

CDをセットし、部屋の中に音が流れだすと、ひろさん、もう一度座ってベッドにもたれ、目を閉じた。

「こんなもんかな・・・?」
ひろさんの横に場所を移し、ノートの整理がをしていた俺が、ひと息ついてふと横を見る。
そこには、目を閉じ、腕組みして指先で時々リズムを取りながら、音の世界に入り込んでいるひろさんがいた。

(ひろさんって、こんな顔だったっけ・・・・?)

目を閉じているせいか、仄かに笑みを浮かべているせいか、いつものひろさんが見当たらない。
代わりに、一人でどこかへ行ってしまいそうな、透き通った雰囲気があって。

(ひろさん・・。俺のそばに居てよ)
体の向きを変え、覗き込む。







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『プリズム』

『プリズム』21**ガール・フレンドー13

BGMがかかって、気持ちが盛り上がったんでしょうか?新井くん。  でも、油断大敵・火がぼうぼう・・・ってね。



気配に気付いたのか、ゆっくり目を開け、笑いかけてくれた唇にキスがしたくなって顔を寄せ、
「ひろさん・・・」
小さく名前を呼ぶ。一瞬見開かれたあとそっと瞼が落ちて、俺はひろさんの体の脇に両手を付き、唇が重なりそうになった。

「崇、いつまで範裕くんと・・・」

父さんの声が背後でブツッと途切れる。
ぎくり、と固まった俺が振り返れば、父さんがドアを開けた姿勢で固まっている。

「と・うさん・・、あのさ、」
「崇?・・・ああ、何か崇に用でしたか? 今、顔に何かついていたようなので見てもらっていたんです」
焦りまくって声まで裏返りそうな俺に被せるように、ひろさんの声が普通に父さんに聞く。
「あ・・、ああ、そ・・か。 そうか、それならいいんだ。いや、そうじゃなくて。
い・そぐ用事しゃない、し、ま、また声、かけうよ、うん」
ぎくしゃくと言いながら手足を動かし、ドアを開けたまま、どす、どす、と階段を下りていった。


「まだ、何も話してないんだろう?」
お父さんには。
ひろさん、俺の腕をどかして立ちあがり、部屋のドアを閉めてから向こうを向いたままぽつり、と言う。
「・・・・うん・・・」
母さんには、弾みで話してしまったけど。
「知られてないなら、言うなよ」
背中が淋しそうで、何も言えなかった。


階下(した)では、父さんと母さんが話していた。

「お父さん?範裕さんを呼びに行ったんじゃなかったの?」
テーブルの椅子にどさっと座った夫に、妻が話しかける。
「・・・・・母さん」
「なあに?」
「今・・・、崇と範裕くんが、その・・・、顔を、近付けて・いて」
「キスでもしていましたか?」
「キ・・!ち・違う! 違って、だ、その・・・顔に、なにかついて、多分ゴミとか、ホコリだかを取ってもらって、とか・・・」
「だったらいいじゃありませんか。
気になります?お父さん」
大急ぎでオーバーに手を振った夫の前にコーヒーを置く。
「熱いですよ?」
聞こえなかったのか、すぐ手にとってひと口。

「熱っ・・!」
「だから言ったじゃないですか」
「・・・・母さんは、気にならないのか?」
クスクス笑う妻に少し恨めしげに問うと、
「崇ですか? 全然、特に落ち込んだり、自棄になったりしてないし」
夫の前に座り、真面目に答える。
「私は、崇が幸せでいるのが一番。
相手が外国の人でも、年上でも子持ちでも、いいの。あの子が笑顔でいてくれるなら男の人だって」
「か・母さん・・っ「

ついに夫は頭を抱えてテーブルに突っ伏した。


何も恥ずかしい事はしていない。
そう自分に言い聞かせ、父さんが降りていってから少し時間をおいてひろさんと台所へ顔を出す。
「父さん、用事があるみたいだったけど、なに?」
俺の呼びかけに、勢いをつけてこっちを見る。
俺たちが普通なのに安心したのか、
「あ・・うん。か、母さんが、テーブルの横に置くワゴンみたいなのが欲しいって言うから、道具なんかを見に行こうと思ってたんだ・・・」
「崇、一緒に行ってらっしゃい。
範裕さんは残って。話がしたいの。いいでしょう? お父さん」
父さんに全部言わせず、さっさと仕切る母さんのお陰で、俺とひろさんは別行動。父さん、ほっとしていた。


ホームセンターへ行く途中の車内で、
「崇。・・・その、範裕くんだが。好きな人とか・・、いるんだろうか?」
「うん、いるよ。範裕さんにも、俺にも。」
躊躇いながら聞く父さんに即答する。
嘘じゃない。 聞かれたのは、『好きな人はぃいるか?』 だ。『誰?』 とか、『名前は』 とか言わなかった。

「そうか・・・、そうか。それならいいんだ」






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『プリズム』

『プリズム』22**贈りもの

少し苑田の視点が入ります。 ~~ から、 ~~ の間です。



「範裕さん、紅茶でもいいかしら?」
「はい」
「お父さんと崇がいつ帰ってくるか判らないから、飾り事は無しにしましょうね」
「・・・はい」


~~テーブルに紅茶のセッティングをして座る崇のお母さん。その前に座る。
砂時計をくる、と回して時間を計りはじめた。
「・・・崇は、あなたに本気のようだけど」
落ちる砂粒を見ながら、話しはじめる。
「ええ」
「あなたはどう?」
目を合わせ、直球を投げられなぜか・・・ほっとした。
答を整理するため、一度目を閉じ、ゆっくり開く。
「・・・世の中の常識から外れる事。うしろ指を指されること。どちらの家族からも喜ばれない・・・だろう事。
たくさん、ありますよね、同性との恋愛に反対の理由。 」
俺は、指折り数えた。 でも。

「済みません。俺は、崇を受け入れてしまった。
愛して、います」
その気持ちは本当で、疚しい事はひとつもない。姿勢を正して答えた。

崇のお母さんはひとつ頷くと紅茶をカップに注いで、笑いかける。
「よかった。
崇に、後悔させないでくださいね、一生。」
「はい。
どこまで一緒に歩いて行けるか判りませんが、手を離さず歩いて行くつもりです。許していただけますか?」
「もちろんよ。 親は、子供の幸せを何より願うものなの」
よろしくね、と手を差し出され、その手を握る。温かなぬくもりに崇を託された気がした。
~~


材料を買いこんで帰ってくると、母さんと範裕さんは本の話でもりあがっていた。

「範裕さんと話していると楽しいわ。お父さんも崇も付き合ってくれないから」
「そんな事ないです。お母さんの方こそすごい。読み込み方もジャンルも桁違いで」
「年の功よ」
二人で本棚の前に座って話しているのを見ると、家族みたいだ。

そう思うと、胸がじんわり温かくなった。

二泊は出来ない、と、ひろさんは帰った。 俺は父さんのワゴン作りを手伝う。
普通の休日。それがすごく大切に思える。

あの時、本当にキスしていたら。 父さんが問い詰めたら。
俺は何を言って、どう動いただろう。


~~ 苑田も、自分の部屋へ帰りながら考えていた。

崇には、まだ何の傷もついていない。
俺の家族のようにはなっていない・・・今は。だが、これからは?
もし何かあったら。 俺が、引き金になったら。

強く頭を振ってその先を考える事を打ち消す。それでも崇の父親が見せた対応は、胸に刺さって抜けそうにない。
 崇の血を分けた子供の世話をする事を思い描いている姿が自分の父親に重なる。

いつか、別れなければならないかもしれない―――――― 。

心の底で、低く呟いていた。 ~~


二十二日の土曜、苑田は会社にいた。

明日明後日、世間はX’マス行事が目白押しだ。そんな中さすがに二連休・三連休を取るものは少なく、休日出勤する者が多い。
「苑田くん、済まない」
「いいえ、当てにされて嬉しいくらいです。 書類、揃いました。行きませんか?」
作成したばかりのそれを封筒に入れ、苑田は声をかけた市島に笑顔を見せる。
今日出社したのは、市島からの頼みがあったからだ。

新井の部屋で、三人で話をした結果市島の壁が低くなり、苑田とも普通に会話するようになった。
そしてその事が市島自身も変化させ、苑田の言っていた通り、公私ともに‘もて期’に突入していた。







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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その58

羨ましい話があります。鮫の「歯」です。

何度も何度も生え替わり、一生で、2万!個以上も歯が生える種類もいるのだそうです。しかも、縦に6~20列で、口の中にずらっと並んでいる。。

口の奥、喉に近い方は予備の歯で、獲物を噛んで取れたり、使い物にならなくなったりすると抜け落ち、次の歯が待ってました!とばかりに前へせり出してくる。
そんなことがなくても、擦り減ったりして来ると自然に抜け落ちまた次の、新品・鋭さ抜群の歯が、しずしずと最前列に。
3日~1週間くらいで生え替わる・・・、後ろの歯に押し出される? んですって。



すごいことになってマスが。。上の絵 ↑一応鮫の下顎の断面と歯の並び・・・のつもりです(汗)。


あ~~羨ましい!
虫歯になっても、歯を磨かなくても待ってれば新しくなる!!しかも全部自前の歯。
ワタシなんて自分の歯は、1・2・・3・・・やめておこう(6本以上はありましたよー)。

何列も並んでいなくてもいいから、せめてもう1回くらい生えてきてくれないかなあ。そうしたら、今度こそちゃんと手入れするのに。


・・・そう言えば、親知らずは、歯の再生に使ったり病気(パーキンソン病や、骨折にも)の治療にも使えるんだそう。
抜いた時、液体窒素の中に入れて冷凍保存。虫歯になった時とか、その歯を抜いて、解凍親知らずを移植。。
自分の歯だし、入れ歯とかインプラントよりもリーズナブルなんだとか。

知・・、知っていれば、歯医者さんに言って置いといてもらったのにーーーッ!


残りの歯、大事にしよう。
でも、甘いの大好き、なんですよね・・・・。


『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*


「敏江」
攻防に決着をつけたのは政英おじさん。
「な・なに?」
「和弘さんの言う通りだ。好きな人がいるのに見合いを勧めちゃよくないよ。今回は止めておいた方がいい。」
「あなた・・」
きっぱり言い切る政英おじさんに、とうとう白旗をあげた敏江おばさん。
「・・・わかったわ。でも、気が変わったらいつでも言ってちょうだい、和弘さん」
「ええ。ありがとう敏江さん」
和叔父さん本当に嬉しそうに笑った。


俺は、落ち着かない。
なんでだろう?
あれから敏江おばさんは仕事の話をして土産の地ビールセットなんかを持って帰った。
「今度は智くんの分も持って来るわ~」
とか言いながら。 冗談はやめてほしい。

「それにしても・・・。
和弘、いつの間にそんなお相手ができたんだ?」
父さんが銚子を取りあげながら聞く。
「いつから、って言うのは内緒。自分でも判らないんだから。ああ、好きなんだなと気付いたのもさっき言ったみたいに最近なんだ。」
穏やかに笑って猪口にお酒をもらう和叔父さん。
「俺たちにならいいだろう?敏江みたいに言いまわる訳じゃなし」
あ、父さん、和叔父さんを酔わせて聞きだすつもりだ。でも父さんの方が弱いんじゃなかった? お酒。

「なあ~、言えよ、和ひろー。おれ・・っが、こ・なに、聞いたんのに・・・っ」

あーあ、やっぱり。
差しつ差されつやってるうちに、先につぶれたのは父さんだった。
「枝里子さん」
「はいはい、用意は出来てるわよ。片付けはするから連れてって」
「ありがとう。智くん、手伝ってくれる?」
「・・うん」
しょうがないよな。洋服着てる男って俺だけだし。

和叔父さんと俺に両脇を支えられて、父さん、よろよろしながら部屋へ行く。その間も
「なー・・。かず・・っろ、教え・・・」
ぶつぶつ。

「ほら、兄さん。帯ほどくから。
智くん、ちょっと支えてて。」
和叔父さん、見事にスル―して、布団の上に座らせた父さんからするする帯を取って、着物を広げて。

「あ・れ?」
なにこれ?
「どうしたの?」
「これって・・・タオルだよね?」
なんで?
「ああそれ?着物を着る時に使ったんだ。着物って洋服と違う体型が必要だから。彩香ちゃんもしたんだよ」
「姉貴も?」

「・・・ぷ」
「こら。笑ったね?」
「だ・・ってさー」
「でも、明日智くんもやるんだよ」





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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-2


「それにしても・・・、いったい、どうしてこうなったんだろう?」
電車を待つホームで、周囲の変化に付いていけない市島が困惑した声で呟く。横で、聞こえた苑田がくすりと笑った。
「ご自分の変化には気が付かないんですか?市島さん」
「私が、変わった?」
「ええ」
電車に乗り、声は小さくなったが続ける。
「総務の絹里さんも言っていました。以前より話しやすいと。それに、ちゃんと顔を見て放してくれる。と」
「それは・・。君と、新井くんに言われたからだ。
雑談の中にもヒントがあると」
「雑談も会話です。それに相手も喜んでくれるでしょう?」
「だが、私は聞く方が多くて・・・」
「ヒトは、話したがりなんです。だから聞いてくれると喜ぶ。 ほら、俺も今よく喋っている。市島さんが聞いてくれるからですよ。・・・」
続けようとして内ポケットのスマホが鳴った。私用のほうだ。

「すみません」
断って背中を向け取りだすと、未登録番号で表示が無い。迷ったが、受信を切った。
「苑田くん?」
「間違い電話だったようです」だが、間を置いて着信音が。 今度は電源を落とした。


市島との用件が終わり、戻ってきた社内の休憩スペースで、苑田はスマホを取り出し電源を入れる。 やはり、と言うべきか着信があった。

(一体誰が・・・)

私用の番号を知っているのは両手で足りるほどで、全員表示される。
そして、また鳴りだした。今回は、番号が表示されて。

見知らぬ番号に躊躇したが、鳴りやまない。画面に触れ、耳を当てた。

― ・・・はい」
― あ・・・」

(女性?)

記憶に引っかかるこえに、胸がざわつく。

― あの・・・、りん、と申します。覚えておいででしょうか、苑田さま」
― ‘りん’さん・・?」
―はい。一度、京都で・・・お会いしました」

京都!

スマホを持つ手が震えた。
声の主は、あの時、西園寺佳奈子を教えてくれた・・・・・。

― ・・・どうして、俺を?」
― 志づ様にお願いしました。・・・助けていただきたいのです」
声から、懸命に求めている様子が伝わる。 だが、助ける、とは・・・。
― ご迷惑でしたら、断ってくださって結構ですから・・」
そこまで言って、初めて気付いたようで、
―今、お時間とか、大丈夫でしょうか?」
尋ねてくる。 苑田の頬が緩んだ。

― ええ、休憩中です。俺一人ですよ。頼み事は、なんですか?」

躊躇いの沈黙を、黙って待つ。

― ・・・・・枕を、交わしてください」

― 『枕』?」
―・・・私を、抱いて欲しいのです」
― !  ・・・本気、ですか?」
― はい」

声に決意がある。それならば真剣に答えねばならない。

― 理由(わけ)を聞くことは、できますか?」
― ・・・結婚、することになりました。」
― ~~~・・・だったら。 何故です?」
結婚するというなら、その前に情交などもっての外だろう。第一相手に失礼だ。
彼女だってそんな女性には見えなかった。







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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-3




― ・・・・・私も以前、あの、ステージに・・・・」
― りんさん!」
その先は言わせたくない、と遮ったが、
― そんな女でも、あの方は望んでくださいました。でも・・・。
  恐いのです。もし、あの方を拒否してしまったら、と思うと。
  あの方は’待つ‘と仰ってくださいました。 嬉しくて舞い上がりそうでした。

  だから、受け入れたいのです、あの方の全てを。
  お願いします。力を貸してください。」

― ・・・分かりました」
― ありがとう・・・ございます」
苑田の答えに、りんが涙声になる。
― 俺も貴女に助けてもらった。
  恩返し、しますよ」
わざと軽く言って、りんの負担を減らそうとする。
― それで、いつがいいんです?」
― 明日、志づ様のお供で東京へ出ます」
― 明日?」
記憶を探った。予定を入れてあるはずだ。確か・・・。
― ちょっと、待ってください」
手帳を取り出す。
十二月二十三日。

崇と、過ごす予定があった。

― 予定がおありでしたら、苑田さまに合わせます。短い時間でも構いません」
― そう言う訳にはいかないでしょう。 貴女の、一生のことです」
りんの言葉に、強く反対する。
― 苑田さま・・・」

― 確かに予定はあります。ですが、変更してもらえるものです。貴女の事情よりは軽い。
  待ち合わせの場所を決めましょう」
― ・・・・済みません。 ありがとうございます」


助けてやれるならいくらでも手を貸してやりたい。
そう思う苑田だったが、自ら嵐を招いたことは、分からなかった。


― 崇。済まない、急な接待が入った。明日は行けなくなりそうだ。イヴの夜の食事にしてもいいか?」
― え・・。うん、仕事じゃしょうがないよ。あ、でも、範裕さんの部屋で待っててもいい?」
― おまえがいいなら俺は構わない」
― やった!」

りんとの話を終えて、すぐ新井へ電話を入れた苑田。最後の、嬉しそうな声に後味の悪さを覚えたが、話せる内容ではない。
(ごめん。これきりだから。)
心で謝り、仕事を片付けた。


翌日。
苑田は包みをテーブルに置き、部屋を出た。
「喜んでくれるといいけど」
クリスマスカラーでラッピングされたのは、崇へのプレゼント。
生まれて初めて・・・恋人への買い物だった。
箱に気付いた崇の様子を想像し、口元が綻んでいたが、待ち合わせ場所に着いた時、表情は緊張していた。

和服の女性が二人、苑田を待ち受けていた。

「済みません、お待たせしてしまって」
早足で近付き詫びる。
「いいえ、私たちも先ほど来たばかりです。東京は久しぶりなので楽しみに参りました。
では、りんをお預けします。」
苑田に答えた、小柄で年配の女性が連れを見る。
「よろしくお願いいたします」
しとやかに頭を下げたのは、あの時の女性。
「はい。確かに」
志づに答え、
「お久しぶりです。こちらこそよろしくお願いします。」
りんへ挨拶した。






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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-4

緩いですが、後半ベッドシーンがあるのでRを付けることにしました(R-15かな?)年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。















「まずは荷物をどこかへ預けましょう」
志づと別れ、とりあえず、と休憩に入ったカフェでりんの荷物に目を止める。
「何を持って来たんですか?」
このまま海外にでも行けそうなスーツケースだ。
「あの・・」
品よく紅茶を飲んでいたりんが赤くなる。
「着替え、など・・です」
「こんなに?」
「・・・私用で外出するのは、初めてなので・・・・」
二十代にはなっているだろうりんの、その言葉に胸が詰まる。

「確か・・、予定は一泊でしたね。泊まるのは、どこですか?」
話題を変える。
「ここです」
面食らった。
「ここ? 」
「はい。東京駅ステーションホテルを手配していただきました」
どこへ行っても帰るのに迷わないから、・・・との理由だそうだが、驚いた。

志づが、彼女を可愛がっているのがよく分かる。
「では、ホテルのフロントか予約してある部屋へ荷物を置いて、出掛けませんか?」
その姿にそれ(スーツケース)は似合いませんよ。荷物持ちをしてもいいですが、と笑顔で言うと、
「す・済みません・・。気付かなくて・・・」
恥ずかしそうに俯く。

その風情が、守ってやりたい気持ちを起こさせる。
彼女を妻に、と望んだ男も、そう思ったのだろうか?


「お待たせしました」
部屋へ荷物を置き戻ってきた彼女はワンピースに着替えていた。少し残念な気もしたが東京は階段が多い。着物では動きにくいのだろう。
クラシカルなスタイルは、りんを引き立てている。
「それじゃあ、行きましょうか。 見たいところなど、ありますか? 」
「あります」
彼女の上げたリクエストを聞きながら予定を立てていく。


東京駅へ戻ってきたのは、夜になってからだった。
スカイツリーのライトアップまで見てきたので、靴の中で足が痛い。

「食事は部屋で取りましょうか」
「・・・はい」
疲れを隠し、笑顔を見せていたりんがほっとする顔になった。


食事を終え、片付けてもらうとあとは寝るだけになる。
りんは、緊張していた。

「りんさん」
「あの・・・。呼び捨てで、かまいませんから・・・・・」
緊張を和らげようと優しく呼んだが、向かい合わせに座って答える声は、どうしようもなく語尾が震え、指を硬く握っている。
苑田は席を立ち、彼女の背後に回ってそ・・・・っと手を回した。
「ぁ・・・」
椅子の背もたれごと抱きしめられびくっと震えるりんに、
「大丈夫。ドキドキしているのは、俺も・・・だから」
耳元で呟き、気持ちが落ち着くのを待つ。
やがて、りんの体から強張りが抜けていった。

「汗を流しましょう。先に、入りますか?」
入浴を仄めかすと、こく、と頷く。

苑田がシャワーを浴びてでてくると、部屋の明かりは落とされ、寝室のベッドサイドライトだけが灯されていた。

「りん」
ベッドの端に座っていた彼女の横へ腰を下ろし、バスローブの肩を抱く。身を委ねるように凭れてきたが体の震えが伝わってくる。
「大丈夫だから」
抱いた手を上げ、湿り気のある髪を撫でる。ゆっくり、何度も繰り返すうち、こつんと頭を苑田の肩に乗せた。
「苑田さま・・・」
「大丈夫。忘れる事はできなくても、傷を埋める事は出来る、から」
「はい・・」
顔を見合わせれば潤みはじめた瞳が見上げてくる。妹を思うような愛しさと、差し出された可憐な花を摘む欲情が湧き出てくる。
顎に手を添えると、りんは目を閉じた。


「心配しないで。感じたまま、声を出して」
唇に触れるだけのキスの後そう囁き、ゆっくり彼女を横たわらせ、バスローブの紐を解いていく。自身は腰に巻いたバスタオルだけ。

抱く側になるのは、どれくらいぶりだろう。
いつもと違う、見おろす姿勢が、抱く側の、男であることを思い出させる。
本人は汚れてしまったと言っていたが、傷一つない柔らかな体は無垢なままのようだ。







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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-5

苑田とりんさん、一夜の契りです。 男女とは言え(?)当然Rなので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。
大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。





















肌が触れ合うと、びく、と強張る肢体の体温を感じながら一度抱きしめ、頬に唇を寄せる。
額に、目元にもキスを落とし、また桜色の唇に触れる。
バードキスを繰り返し、薄く開いた隙間へ舌を伸ばす。優しく舐め、歯列を擽るようになぞり。
角度を変える時に吐息が零れ、さらに開いた中へ差し入れ、ゆっくり愛撫した。

胸元に紅い痣をつけながら、りんの艶やかな喘ぎを聞く。
着物で帰ると聞いたので、見られる場所に痕は残さなかったが、口と指で何度もなぞり上げ、声をあげさせていた。

「ぁ・・っ、そ・苑田さ・・・ぁう・・んっ」
「ここも。いい?」
「・・・っ。・・・、あ」
快感が広がっているようで、陸に上げられた魚のように全身をびくびくと震わせて反応する。
(これでは、辛かったろう・・・)

食事の最中、りんが志づとの出会いを話してくれたことを思い出す。

あの時、苑田と同じステージに上げられていた少女と同じように、りんもまた借金の肩代わりをしていたのだと言う。 敏感な反応をするりんは、それゆえステージでは酷い扱いをされていたらしい。
何度目かのステージで志づがりんを見つけ、’買い取る‘形で引き取り、以来ずっと手元に置いて慈しんでくくれたのだそうだ。
「志づ様は、ご主人とお子様に先立たれ、ずっとお一人だったそうです。私のように助けられた者が二人ほどいましたが、皆志づ様を慕っていました」
その話をするりんも表情を輝かせていて、志づを敬慕しているのがとてもよく分かる。


つい、と手を滑らせ、柔らかな毛並みに隠された谷間へ指を潜らせるともう潤んでいて、莢から顔をのぞかせた肉芽に触れる。
短い悲鳴のような声を上げて、りんが応えた。


◇  ◇  ◇     


「ひろさん、いつ帰るかな」
遅くなる、泊まるかもしれない、と言われたけど、先に寝る気にもなれず。ホットカーペットの上に掛け物を持って来てくるまりながらぼんやり呟く。
時計はもうすぐ午前一時。点けっ放しのTVはニュースからバラエティーに変わり、東京駅のクリスマスフェアを映している。
「あー、二人で行ってみたいなー・・・」
レポーターが歩き回って喋るのをぼけっと見ていた。が。
「ひろさんっ?!」
録画のレポーターの後ろを通り過ぎる人の中に、ひろさんがいた!

がばっと体を起して画面を凝視したがもう見えない。
「他人の、空似だ・・・・」
自分に言い聞かせたけど、嘘くさくて気分がささくれる。
「もう、寝よう」
ひろさんは、仕事で接待なんだから。
だらだら起きてても仕方ない。TVを消そうとして、
「・・・・・! やっぱり、ひろ・さん・・・・」
移動した画面の片隅にひろさんが、女の人と一緒に歩いてるのが・・、映った。


◇  ◇  ◇     


「・・・あ・・あ。ゃっ・・・い、やぁ・・ん」
目を閉じて、ゆっくり身を沈めていく苑田を受け入れ、感情のまま昇りつめようとしていたりんの声音が変化した。
「・・りん?」
「や・・、嫌あっ、・・ぃやッ」
肌が粟立ち、逃げようともがく。
「りん」
「やめて・・・っ、もう、イヤ・・ッ!」

過去を、思い出したのか?

咄嗟に両手首を握り押さえつける。
「りん!目を開けて俺を見て!・・・・見るんだ、りん!」
「っ。・・・・・ぁ」
声が届いたのか、ビクリとしてから瞼が上がり、揺れ動いた瞳がようやく焦点を結んで苑田を見つめる。
「・・・苑田・・さま・・・」
「・・戻って、きたね?」
安堵して、息を吐く。
「・・・・済みません・・。私・・・・」
見開いた両眼から泪が溢れた。
「いいから。そのために俺を呼んだんだろう?」
滴を吸い、指で拭って微笑む苑田に赤くなって俯く。
「乗り越えよう、一緒に。 きっと、できるから。  それと」
「・・・なんでしょう?」
「名前を呼んでくれないか?」
「名前・・・ですか?」
「そう。こんな時に俺だけ呼び捨てはおかしいだろう? 
多分、きみの結婚相手も(名前を呼ばれたら)喜ぶと思うよ」
「でも・・・」
さっきとは違う意味で赤くなるりんに、
「範裕。今からはそう呼んで。・・・続けて、いいかい?」
入れたままの雄で軽く奥を突く。
「・・・・っ、はい・・・」






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その59

夏が来るたびに思う疑問。  (虫の話なので、苦手な方はスル―してくださいね)



何故でしょう?ゴキブリと蚊は、情け容赦なく叩いて、
「やった!」
とガッツポーズ出来るのは・・・。



私の場合、蜘蛛、あ、小さいものですよ。

女郎蜘蛛(じょろうグモ。黄色と黒のボーダーが、見た目によってはきれいな雌の蜘蛛)みたいに大きなものは無理! 
です・・・。

が、
足を広げても小指の爪くらいの大きさならば 、「外で生きてねー」 とキャッチ&リリース(家外へ)。
庭に、山椒の木があって、アゲハ蝶の幼虫も居たりします。それも、 「頑張れー」 と応援できるんです。



やはり姿かたちと生態なのかな?
この2年ほど、ゴキにはほとんど遭遇しません。猛暑日が続いたりしたので生き残れなかったのかもしれませんけど。
今年は、どうでしょうか。
でも、天気予報みたいに、’ゴキブリ予報’ なんてされても嫌ですね。

知ってますか?
あのゴキブリめ・・・飛ぶんですっ!
油を塗ったようにテカテカしてる羽は、実用性があったんです!  一度叩こうとしたら飛んできて、 お化けに出会うより怖かったですよ~~(マダデアッテマセンケド)。


蚊、の方は、ほとんど条件反射ですね。
昔、関東に両親と住んでいた頃。夏休み、母親の実家に帰る(?)と’蚊帳’を吊ってもらって寝ました。
珍しくて面白くて、何度も出這入りして、結局蚊に喰われるという・・・・・。苦笑。

そうそう、こっちも1回だけ仏心をおこして、「吸わせてやる」 とじーっとしてた事がありました。
映像で見るように、本当にお腹が赤くなって膨らむんです。。 なんだかプチ感動で、その時はあまり痒く無かった記憶がある、ような無いような。


年々やつらと対決するのが面倒になってきてます。
今年も噂の新商品を買って防御です。          皆さんも頑張って!

 あ、そうそう、私の、わりと効果がある蚊よけは、ダンナ様の側にいること。蚊の雌に一番好かれるんです。あはは。  

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*頼みごとー20

和叔父さん、父さんの腕を着物から抜きながらさらっと言う。
・・・え?

「だって着物着るんだよね」
「そうだけど」
「着物は、昔の人の体形が似合うんだ。大げさに言うと茶筒に帯を巻く感じ。だから、男も女も着物に合わせて補正する。
男の場合はだいたいお腹回りにタオルを巻く。そうしないと帯がちゃんと決まらないから。」
「俺も・・?」
「当然。僕だって巻いてるよ」
「和叔父さんも?」
「うん。
あ、兄さんの体ちょっと持ちあげるから、こっちに来て着物を抜いてくれる? 智くん」
「はーい」
答えて場所を替わる。
「じゃあ、行くよ。・・・いち、に、さんっ」
「それっ」
タイミングばっちりで着物は抜けたけど、弾みがつきすぎて、
「・・ぉわっ!」
畳に尻もちをついてしまう。
「智、大丈夫?」
「・・あ、うん」
和叔父さん、着物を被ったような俺を見て俺を見てクスッと笑う。
「そこに居て。兄さん寝かせるから」
慣れた感じで父さんを横にして布団をかける。
「さあ、もういいよ。僕も着替えよう。  智くん、見たい?」

あ。

「見たいっ」
飛び起きた。
「じゃあ、着物と帯、持って来て」


翌日、俺は早目に起きて和叔父さんを待った。
二階の六畳間はもうパネルヒーターが点いてて暖かい。着物を着る準備も万端。うずうず
しながら待ってると階段を上がる足音が。
「早かったね」
「だって着るの初めてだし」
和叔父さんは今日も着るらしい。俺は父さんが着たやつを着る。その方が身体に馴染むん
らしい。
ちょっとヤだけど。。

「何か食べてきた?」
「うん、ちゃんと食べた」





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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-6

後半、ちょっとだけRぽくなります(R-15?)。 なので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、少しさがってどうぞ。
新井くん、怒ってます。。

















◇  ◇  ◇


眠れない。
膝を抱え、脳内に何度も蘇って消えてくれないさっきの映像を、消したTV画面に映しては睨みつけていた。

接待だ、と言ったのに。
女の人と寄り添って。

デートのようだった。・・と思ったところで怒りがこみ上げる。
見つけた時は嬉しくて、包み紙を丁寧に開けたまま未開封の箱。そのプレゼントもゴミ入れに叩き付けた。


俺には嫉妬したくせに、自分は女の人と付き合うのか? ひろさん。

目がくらみそうな怒りの感情に、どうにかなりそうだった。  


◇  ◇  ◇


~~ イヴの朝、ホテルを後にした。
りんは、あれから意識を飛ばすこともなく、最後には歓喜の涙をこぼしながらイき、心の傷にようやく蓋をする事ができた、らしい。
 朝食を・・、と乞われたが崇が待つ部屋へ早く戻りたくて断った。

玄関のドアの前でひとつ深呼吸をし、そっと鍵を開ける。
寝ているかもしれないと静かにドアを開けて中へ入り、水を飲もうとキッチンへ行こうとして。

「おかえり」
低い声にギクリと立ち止まる。
「あ、ああ。 ただいま。・・・遅くなって、悪かった・・・」
スーツも脱がず、ゆら、と近付く崇の気配に気付かないまま、
「・・・シャワー、浴びて、くる。
食事に行くの、昼からで・・・いいだろ?」
顔を見られず、横をすり抜けようとした。 ~~



玄関の開く音に立ちあがる。
そーっと入ってくるひろさんの姿に、煮立っていた怒りが沸点を越えた。

おかえり、と言う声まで低くなる。
俺の横をすり抜けようとしたひろさんの、二の腕を掴んだ。体が強張るのが伝わり。

「ゆうべ、TV見てた。・・・東京駅の」
顔を見ずに言う。
「え・・・?」
「ひろさん、映ったよ。女の人と一緒に。・・・接待って、あれ?」
「たか・し・・・」
「デートだったらそう言えばいいのに。俺に嘘ついて、約束破ってまでして。
俺には妬いたくせして、自分のことは隠すつもりだった?」
強引にこっちを向かせて止められない怒りをぶつけた。

ひろさんの顔色が変わる。

そんな風にばれるとは思ってなかったんだろう。そして俺は‘他人の空似’だと否定したかった、して欲しかったわずかな望みも消えたのにカッとなり、頬を平手打ちしていた。
「俺は、ひろさんにとって何なんだ! そんなに俺のこと信用できないのか!?」
息が、荒くなる。
「何か、言えよ!」
「・・・・顔を、洗ってくる。・・それから、話すか、ら」
「逃げるのか!」
「崇。・・・まだ、朝なんだ。もう少し、小さな声で・・・」

そんなこと聞きたいんじゃない!

噛みつくようになキスをして口を封じ、拒もうとするひろさんを両腕で拘束する。
ふ・・・っと微かに鼻を掠めた香水の匂いが怒りに拍車をかけた。
「んぅっ、・・・っく、ん・・っ、・・・っは・ぁ」
息が出来ない、とばかりに苦しそうに声をもらし、身を捩らせるのを許さず、舌を引き抜く勢いで吸い上げる。







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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-7

今日はもちろんRです。(R-18)  新井くん、無理やりひろさんを。。なので年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールして、どうぞ。


























くた、と力が抜けた体にようやく唇を放せば、肩で息をしながら腕の中をずり落ちていく。へたりこんだひろさんに合わせてしゃがみ込み、来ていたジャケットと上着を剥ぐように開きベストを捲り上げる。
「・・っあ、崇・・・」
狼狽えるひろさんを押し倒し体重をかける。腹の間に隙間を作り、探りながらベルトに手をかけると何をされるのか気付いて手足をばたつかせ、俺の下から逃げようとした。
「嫌だ・・っ、崇、やめ・・・」

逃がさない。 ひろさんは、俺のものだ。

「そんなに暴れたら、周りに気付かれるよ?」
そう囁くとひろさんの動きが鈍る。
すかさず留め具を引き千切るようにしてファスナーを下ろし下着ごと雄を握った。
「んあっっ・・」
急所を押さえられ、悲鳴を上げる。でも、ひろさんはきっとあの女性(ひと)を抱いてる。
俺がいつも啼かせるようなことをひろさんもしてたんだと思って、嫉妬と、訳の分からない不安がズキッと胸を刺す。
その痛みを忘れようと握った雄を扱けば反応して硬くなっていく。

こんなになるくせに、あのひととベッドに入った。

「っ、ぁっ、・・・あ・ぁっ。や・・もっ、崇、だ・め・・・っ」
刺激に応え、下着の色を変えながら張り詰めていく雄に、堪え切れなくなったひろさんが腰を揺らす。
「イきたくなった? いいよ、イって」
「ゃ・・や・だ・・ぁ。たか、し。 手・・・、放し」
返事の代わりに染みをつくっている先端をぐりぐり擦る。
「・・・ぁ、・・ぃああっ!」
顎を上げ、背中を反らせて達し、下着の中に逐情した。
すすり泣くような喘ぎを聞いても怒りが収まらない。でも、俺の雄が今のに勃ちあがっている。それをひろさんの中へ突き入れたくて、体を起して膝立ちになり、横たわる体に手をかけスラックスを引き下ろそうとした。
その、手を押さえられ苛立つ。
「恥ずかしいの? 今さら。そんなこと無いだろ。
腰、上げなよ。入れてあげる」
冷たい声が出た。
涙でうるんだ目をして首を横に振り、‘止めてほしい’と訴えるけど許せない。

「崇・・・。頼むから・・」

「そんな顔で俺を見たって無駄だよ」

服から手を放してひろさんの両手を床に縫い止める。
「俺がひろさんにどれだけ本気か教えたげる」
その姿勢で近くなった顔に言葉を落としてただのキスをして、もう一度スラックスと下着を掴み引き下ろした。
「ゃぁ・・・」
腰が上がらないせいで引っかかり止まる衣類。舌打ちしてひろさんの体を強引にうつ伏せにして下ろした。
俺が指先で引っかいたのか赤いミミズ腫れが浮き出る双丘を引き上げ、膝を立てさせ、ぐい、と押し広げて窄まりを晒す。
「ぃ、ゃ・・・、たか・し・・・」
細い声が聞こえたけどぐっと指を押し込んだ。
「力抜きなよ。痛いだけだから」

準備も、濡らしもせず拡げようとする俺に、息を呑んで体を硬直させ、痛みをこらえている。さすがに無理だと気付き、濡れたままのひろさんの雄を握って白濁の残りをこすり取る。
ひっ、と喉を絞った声がしてそこもピクリと震えた。

もう一度、わずかな滑りをつけた指を押し込む。
今度はじわりと蕾が開いて、呑み込みだす。力を入れ、根元まで受け入れさせた。
短い息継ぎで侵入を耐えていたひろさんの中もまだ硬い。 だけど。

「ひぃ・・っ、あ・・!」
とっくに覚えたポイントへがり、と指先を食い込ませると全身が跳ねあがった。
指を引き、増やして捩じ入れそこばかり執拗に弄る。
「ぁ・あ。・・・っ、い・ゃだ、たか・・ぁっ、嫌っ、・・・崇・・っ」
感じだして濡れていく声とうねりはじめる内壁。
三本入れた時には、クチ、クチュ・・・、と、指の動きに粘りのある水音が混じりだす。
「こんなに感じてるのに、嫌? じゃあ、指でないのあげる。」
なかで指を広げてぐるっと回し、引き抜く。その動きに体を固くしたひろさんが喘ぎながら息をつく。
肩が上下するのを見ながらファスナーを開け、自分の下着の中で張り詰めた雄を取りだした。
滴をこぼし、肉幹を濡らしているソレを一度扱き、両手で薄く色づいた腰を押さえ、今までで一番きついとば口に力づくで打ちこんだ。

「・・・っん、・・んぅっ、・・・、ッはぅ・・っ、ぁ・んん・・っ」

服を着たままの背中が波打つ。
俺が動くたび苦しげに声を上げ、逃げるのをやめたひろさんに、
「俺のだ・・・。ひろさんは・・・、俺の。・・誰っにも、渡さない・・っ。逃げた、て、捕まえる・・・からっ」
に抜き差ししながら、言葉でも杭を打ち込んでいく。







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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-8

今日もRが続いて、終わります。しっかりR―18なので年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。ダイジョウブな方、スクロールして、どうぞ。
それから、苑田視点もあります。 ~~ から ~~の間です。






















そうだよ、ひろさん。 俺はひろさんだけだ。
もう決まってる。
誰にでも、言うことだって出来る。だからひろさん・・・、俺にもう嘘つかないで。

「・・っぅ、ん・・っ。ゃ・・・、も、やめっ・・・ぁ」
ひろさんの声が変わる。限界が近付いてるんだ。 イッたあとだから二度めの絶頂は早い。
片手を、腰から前に滑らせ、指で輪を作ると揺れている屹立の根元を締めた。
ああっ・・・、と切羽詰まった声を出し頭を横に振り、
「たかし・・っ。やめて・・・。外して、くれ」
哀願する。
「・・俺より先にイクから・・、だめ」
わざと浅い位置までモノを引き、弄り回したあの場所を何度もカリで擦る。
「や! ぁ・・ゃあっ、嫌・だっ・・・、んっ、はぁ・・っ、や・・、もぅ」
びく、びくと体が跳ね、ひろさんが床を這うように手を伸ばして俺の手に重ね、何とか緩めようとした。
その動きが俺のどこかを強く刺激し、劣情と雄の容積を膨らませる。
直後、抽送のスピードが上がり、奥へ腰を入れていた。
「な・・、あ、ぅっ。 ぁぁ・・っ、は、んぅっ、たか・・っ、いや・・ぁ、やめ」
背中を撓らせ、揺さぶられながらひろさんの声が高くなる。
俺も限界が来た。

堰きとめた輪を緩めず深く腰を沈め精を解き放つ。
「あ・・、くうぅ・・・っ」
同じくらいで達したようなひろさんは、吐き出しきれない絶頂に言葉も呑み込み、床に爪を立ててもがいている。
噎せるほどの色香が立ち昇り、吐精したばかりなのにまた気が昂ぶった。
暴走する気持ちを抑えられないまま、力を取り戻しはじめた雄で締めつけを弛めた内側を擦りだす。
「ぁ・・・。た・・し・・。もぅ・・・許し・・」
動きに気付いたひろさん、やっと横顔を向けて涙の痕を見せながら切れ切れに言う。
「今度は、イカせてあげる」
そう答えて、・・・抱いた。


二度めは掠れた声しか出なくて、それでも最後は俺の名前を呼んで、気を失ってしまう。


意識の無い体からずるりと雄を引き出すと放った白い体液が伝い落ち、膝下にからまってるスラックスに染みを作る。


「・・・・・帰ろう」
激情が去って気が抜けた俺は、ぶるっと身震いしてトイレに入り、始末すると部屋を出た。
ひろさんを見ずに。



~~ 崇が、出ていった。
手足に力が入らず、床に転がって身動き出来ずに出ていく音を聞いていた。

そう、彼女とのことは’接待‘と言い切れるものでは無かった。けれど、ほかにどう言えばよかったのか。
助けたくて抱いた、などと崇には話せないし、言う気もない。
まさか、TVに映っていたとは――――。

「自業自得、なのか?」
自嘲して、鈍い痛みに顔を顰める。

「シャワー、浴びないと・・・」
騙しだまし体を動かし、やっとシャワーを浴びる。
服は・・・、クリーニングにも出せない状態になっていた。
「処分するしかない、か」
それらを手に持つだけで体のあちこちが痛むのをこらえ、足を引きずるようにして壁を伝い歩きし、ゴミ入れに入れようとして。
手が、止まった。
丸められた赤と緑の包み紙。
バサッ・・、と服が落ちる。

震える指を伸ばし、触れた包みの中の固い感触に、嗚咽が漏れた。 立っていられなくてその場に膝をつき座りこむ。
どれくらい泣いたろう。

「・・・オーダーしてもらったんだけど・・、な」
そっとゴミ入れから取り出した小さなグレーの布張りの小箱には、タイピンが入っている。
崇と俺の誕生石をつけてもらった物だ。
両手で握って、
「たかし・・・・」
名前を呼んだ。 ~~








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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-9


ひろさんを犯すように抱いて帰って来てから、ポケットの中の包みに気付いた。
渡そうと思っていたプレゼント。

こんなもの、と思っても捨てられす、机の引き出しに投げ入れる。
ため息をついて冷蔵庫を開けるとほぼ空で、またため息が出た。
ひろさんと出掛けて、食事する予定だったから買い込んでいないんだっけ。

「何か買ってこよう」
体を動かしていた方がいい。そう思って外へ出た。

街中はクリスマスイブで、幸せそうなカップルや楽しそうな家族連れが目に付き、必要なものだけ買って、見ないように俯きながら帰る。
味気ない食事を済ませ、ベッドに潜り込んだ。


多分、一生で一番最低なクリスマス。
胸につかえたものを重く感じながら出社する。

「お早うございます、新井さん」
「あ・・、ああ、お早う、絹里さん」
タイムカードを押している時声をかけられる。
「・・・大丈夫ですか? 元気ないみたいですけど」
「そう?」
「苑田さん、X‘マスプレゼント喜んでくれましたか?」
ギクッとする。
「ま・まだ、渡してないん、だ。今日、渡そうかと、思って・・・」
「そうなんですか?」
「あ、お早う、真希」
重ねて聞かれる前に彼女の同僚が声をかけ、女同士で話しながら先に行ってしまう。

よかった。答えられなかったから。

昼休み、社食で、
「お、いたいた。 なぁ新井、今夜暇だろ? 」
「・・・暇だけど」
「なんだよ、クサった顔して。さては告って振られたな? 」
「そー言う時は騒ぐにかぎる。 来いよ」
声を掛け、誘ってきたのは土岐野と北森だ。この二人が揃うといつもお祭りになる。
「・・・・・そうだな・・」
「よっしゃ、これで人数オッケ。会費、三千円な。」
かいひ?
「別名、シングルコンパ。女子も来るから、頑張ろうぜ」
ぱん、と手荒に肩を叩き、会費をもぎ取ると行ってしまっ・・・、
「あ、場所とか後でメールするし」
振り返って手をあげた。

仕事上がり、待ち合わせ場所に行くと確かに女子も何人かいる。
(さすが’お祭りコンビ‘。やるなあ)
そう思いながら、見知った顔をみつけ、驚く。

絹里さん・・・。

説明できない複雑な気分になった。


正しくはプロジェクションマッピング・Xmasツアー(屋内)。ホテル主催のパーティで、土岐野はちゃっかりここに団体申し込みをしていたらしい。
「だってさ、ほかの会社の子とも知り合えるし、俺、去年ここでやってたパーティで、中学の頃の同級生にばったり再会したんだぜ。すげー偶然っ」
男だったけどな、と、あっけらかんと笑うあいつに苦笑して、この際だから場の雰囲気と酒に酔うことにする。

「新井さん」
会場の、ビュッフェコーナーで、人の中から絹里さんが俺を見つける。
「やあ、絹里さん。 楽しんでる? 」
「新井さん・・・。酔ってます?」
「新井くん? 顔が赤いようだけど、大丈夫?」
「いち島・・さん? あれ、いつ来たんですか? ・・って、いましたっけ? 会社出る時」
絹里さんに並んで居たのは市島さんだ。

「苑田くんは? 一緒じゃないのかい? 」
聞きたくない名前が出て、酔いが醒めた気になる。
「今日は、ずーーと別でしたよ」
「そうか。 いや、会社で見かけたんだけど具合が悪そうだったから、『帰ったほうがいい』、と言ったんだ。でも、君を探していたようだった」

え?  ・・・関係ない。と開き直る。

「俺もばたばたしてたから、会いませんでした。きっと帰ったんじゃないですか」
うん、・・・そうだね。仲良くしている君に言わなかったんだから、そうひどくなかったのかもしれない」
僕は、取引先の人から誘われて来たんだ。初めてこんな催しに来たし、君たちを見つけてビックリしたけど、意外に楽しいね。
市島さんは、はにかむように笑って、向こうにいるから、と離れていく。

俺は、パーティが終わるまでグズグズと居て、けど二次会は断って時おりふらつきながら、部屋へ帰る。



市島さんの言葉が気になった。
苑田・・・範裕さんの具合が悪そう、なのは多分・・・、俺のせいだ。







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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その60

コーヒー? 紅茶?

時々聞かれますね。私はどちらも好きなので、気分しだいで選びます。 ・・・・今回は、コーヒーを。

お茶もそうですが、コーヒーも最初は飲み物としてより、’飲む薬’的な考えかた、捉え方が多かったようです。
香で気分が爽快になったり、眠気を追い払ったりする、効果。

飲み物としてのコーヒーはそれから広がったようです。


そうそう、日本人がコーヒー界で世界初!をしていたことが、あるんです。
1つ目は、インスタント。
加藤博士、と言う人が、液体コーヒーを乾燥させて粉末にする事に成功ー! 日本では売れずにアメリカへ渡ったものの、特許申請をしていなかったばかりに、アメリカの人に先を越され、幻の発明者に・・・。あーああ。

2つ目は、なんとアイスコーヒー!
明治時代に、ビン詰めしたコーヒーを井戸水に浸け冷やして出していたんだそうです。 夏は冷たい方が美味しいですもんね♪

そして、ミルク入り缶コーヒーも。。  日本人、意外にやるもんです。



あ、ドリップ式もインスタントもよく飲んでます。
でも香りを楽しむなら本格的に淹れてくれるお店が1番。 ついでにイイ男が2人並んで、良い雰囲気だったら、、
言うこと無い、かも。

カップの色は、アイボリーがコーヒーを引きたてる最適の色なんですって。
たまには優雅に飲んでみたい・・・。







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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*頼みごとー21

ゆうべ、ちゃんと朝ご飯食べないと着物はだめだ、って言われたから。
「じゃあ、始めようか」
ぽん、と頭に軽く手を置いて、和叔父さんは支度を始める。
「僕と一緒にすればいいから。」
先ず肌着。 と、肌襦袢、って言うんだっけ。パンツ以外は全部脱いで白いものを着る。
「こんな感じ?」
「もうちょっと・・、体に沿わせて。」
言いながら和叔父さん、俺と同じ格好で着かたを確認するように触ってくる。
脇腹とか、撫でるようにされて、ドキッとした。
「うん、大丈夫そう。それから、足袋を履いて」
「あ、そっか」
着物を着てからだと動きづらいし、着くずれっぽくなるんだった。

「・・・っち。めんどくさー・・・」
足袋の留め金具って四つもあるからもう面倒で。それに、ちょっと油断すると
「も~~・・・。またやった」
「どうした? 智」
「また入れるとこ間違えたんだ。足袋って、なんでこんなめんどくさいのかなぁ」
片膝立てて、輪になってるところへ入れ込んでるけど、二つ並んでるからずれたりする
訳で。
「足首に合わせるから多少違ってても大丈夫だけど。どれ」
あ。
和叔父さん、俺の前に両膝をついて覗きこむ。
髪が流れて傾げた上の方、耳元まで露わになる。和叔父さんの、普段見る事のない場所
に、目が吸い寄せられた。
「足首を直角になるようにしてはめてごらん。小鉤(こはぜ)と掛糸を引っかけるよう
にすると上手くいくよ」
「もう何度もやって・・、疲れた」
二股の靴下にしちゃおうかな。和叔父さんにして欲しくてそう呟くと、
「だめだよ。他に何もないんならいざ知らず。それに、バランスが悪くなる。
智だってきちんとした服を来た時、サンダル履いたりしないだろ?それと同じ」
キツメの顔で見上げてそう言われた。

「うん・・・」
「分かったならいい。
じゃ、そこの椅子に座って。してあげる」

いそいそ丸椅子に座ると和叔父さん、もう一度俺の前に膝をついて、片足を腿の上に乗せ
る。
(うわっ)
なんだか靴下履かせてもらう子供みたいだ。
「・・足首締まってるんだね、智。大学で運動してるの?」
「してないけど、フィールドワークで色んなとこ行ってるから」
「そうか。はい、反対」
和叔父さんの指が、するすると小鉤をはめていく。
(あ、俺今、小鉤って思った。)

いつもは使わない日本語を和叔父さんにたくさん教えてもらってる。それが擽ったくて
嬉しい


「はい、出来あがり。長襦袢、着ようか」





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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-10


ごろ、とベッドに寝転がり、携帯を眺める。欲しい人からのメールも着信も・・無い。
(ひろさん・・・なんでだ)
俺のしたことに怒ってないのか?それとも、一過性の事だから落ち着いてから、と思ってるのか?
俺からの連絡を待ってるんだろうか・・。
飲み過ぎてぐるぐるする頭では考えもこんがらがる。

ひろさんを泣かせた。
それを思うと胸がキリキリ痛んだ。


朝、二日酔いで痛い頭を抱えながら、コンビニでウコン飲料と朝食を買って出社。デスクワークしてると、昼近くにポンポンと肩を叩く人が。
「・・・一之瀬課長」
「ちょっと、いいかい? 」

「苑田くんの事なんだけど、何か聞いてる?」
どうせだからと昼食を誘われ、仕切りのある和食屋に入って食事が出たところで聞かれた。
「いえ、・・・俺は、何も」
「そうか」
箸を取り、食べはじめた課長に俺も真似る。
「今日、X‘マスプレゼントのリサーチとかしてたんだけど、苑田くんの手配が良かったらしくて問い合わせが多くてね。ただ、本人が休んでて」
「え?」
箸が、止まる。
「チームを組んでる市島くんにも聞いたが、『顔色が良くない。体調が悪いらしい』というくらいで原因は知らない。
君なら知ってると思ったんだ」
休暇届けも無し。苑田くんにはあり得ない事だ。
最後はひとり言のようだったけど、俺は、答えようがない。
「・・・聞いて、ないです」
「そう・・、わかった。ありがとう。済まないね、本当は私の方から君に伝えないといけないのに。
君と苑田くんは仲がいから、つい」
「いえ・・・」

美味しいはずの料理が味気なくなっていた。

仕事でミスをしないように。午後はそれだけを気を付けながら過ごす。
終業時間ちかく、今度は中島部長にまで苑田さんの事を聞かれ、苛々する。・・・いや、苛々じゃなく、もやもや、だ。
「おまえも知らないのか?」なんて言われてしまっては、職場で俺と苑田さんがどう見られているのか一目瞭然だ。

「俺、そんなにくッついてますか? 苑田さんに」
「うーん・・。よく一緒にいる、というのもあるが、苑田のガードがおまえと居る時だけ緩いというか低いと言うか。 俺にはそう見えたんだ」
「はぁ・・・」


翌日も、苑田さんは休んだらしい。 中島部長と一之瀬課長が話しているのが視界の隅に入ったが、年末にかけて社内外で忙しい時期だからすぐに忘れ。

「おーい、新井」
「はい」
中島部長に呼ばれて行くと、隅へ引っ張られる。
「おまえ後で苑田の家に行ってこい」
「俺が・・・ですか? 」
「苑田の家、知ってるんだろ? 」
「まあ、そうですけど」
「あいつ昨日から連絡取れないんだ。倒れてたらコトだ。様子見て来い」

どきっとした。 倒れてるかもしれない、って・・・・。

「前に話したことあったと思うが、苑田はたまに体力使い果たす時がある。あと二日で仕事納めだ。仕事を持ちこしたくないだろうし、せめて状況が知りたい。来られるようなら連れて来い。いいな」
ニヤッと笑って‘命令だ’からと肩を叩いて、中島部長は仕事に戻っていった。



行き難い時には同行者が欲しくなるらしい。

「ごめんね絹里さん、付き合わせて」
「いいえ。もし何かあったら女手があった方がいいかもしれませんし。それに・・・、嬉しかったですから」
ちょっと赤くなって目を逸らした彼女に、俺もなぜか頬が熱くなる。






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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-11


昼過ぎ、取引先回りを一部変更し、苑田さんの部屋を途中に組みこむ。
中島部長が言ってた‘倒れてるかもしれない’の言葉もあって、何か持っていこうと思ったけど、ポカリ系とか、おにぎりくらいしか思い浮かばない。
 偶然、チーム営業の事で苑田さんを探していた絹里さんに相談し、一緒に来てもらうことになったんだ。


「ここ、ですか?」
「そう。ここの六階。」
マンションを見上げながら聞く絹里さんの手には、飲み物、レトルト食品などが入ってるレジ袋。 プリンとかもあって不思議に思ったら、
「疲れてる時は甘いものがいいんですよ」
と教えてくれる。

ドアチャイムを二回ほど。もう一度長押ししたけど返事が無かった。ドアノブを回してみる。
抵抗もなく完全に回り、驚いた。
「鍵・・・、掛かって無いんですか?!」
絹里さんも驚く。
「とにかく、入ってみよう」
「はい」
中へ入り、玄関で声をかける。

「苑田さん・・・いますか?」
「苑田さん」
二人で声を出すと、

「はい・・・」
掠れた声で返事があり、出てくる気配。
倒れたりしているのではなさそうでホッとしたものの、壁に手をつきながら出てきた苑田さんをみて、言葉に詰まった。

今まで寝ていたのが分かる、寝癖のついた髪とうっすらした無精ひげ。下はスェットだったけど上はYシャツで、もしかして着替えてない?
そして、やつれてるようだった。
二十五日は会社に来ていたはずだけど、何をしたらこんなになるんだろう?

俺を見て、蕩けるような笑顔をして見せた苑田さんが、
「絹里さん・・」
俺の後ろの姿を見て名前が口から出た途端、営業スマイルになる。
「君も、来てくれた、の?」
「あ、はい。 新井さんに頼まれて。女手があった方がいいかと思って。あの、大丈夫ですか?」
彼女の答に一瞬険しい顔をしたが、
「ありがとう。ちょっと・・・・体調を崩してね。もう良くなったし、明日には行けると思うから。
あ、休暇届け、出してなかったかもしれないな。それも明日でいい?この時期一日休んでしまったら後が大変だからね」

いちにち?

これだけでも疲れたのか、壁に凭(もた)れて話を続ける。
「あの、苑田さん。今日は二十七日、ですけど」
「にじゅうななにち・・・?」
絹里さんの言った日付を鸚鵡返しして戸惑ったように俺を見た。
「そうです。今日は二十七日です。苑田さんが休んだの、二日目になるんです」
頷く俺に目を見張る。
「うそ・・・だよな?」
「一之瀬課長も中島部長も連絡つかないって心配してて。 倒れてるんじゃないか?見て来い、って言われて。
電話とかメール、入って無かったですか?」
「連絡があったのか?」
スマホを探そうとする苑田さんに、絹里さんが、
「苑田さん、探す前に何か食べた方がいいと思います。顔色、良くないですよ?
あの、お台所貸していただけたら、暖かいものすぐ出来ます。・・・いいですか?」
遠慮がちに聞く。
「あ・・。構わない、けど・・・。
たか・・、新井。もし鍋とか使うんだったら、場所、教えてあげてくれ」
「わかった。絹里さん、こっち」
「・・お邪魔します」
二人して靴を脱いで部屋へ上がる。
苑・・範裕さんが危なっかしくて肩を貸し、一度寝室へ戻ってもらってから台所で絹里さんを手伝い、雑炊なんかが出来あがってから呼びに行った。

「出来たよ。動くの辛いならそこ(寝室)で食べる?」
「いや。大丈夫だし、行く」

出てきた範裕さん、絹里さんが色々並べてくれたテーブルを見て、ふっと笑う。
「美味しそうだ・・・」







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『プリズム』

『プリズム』21**贈りもの-12



席に着き、息をかけて冷ましながら湯気の立った雑炊を少し食べ、俺たちを見上げる。
「ありがとう。もういいから仕事に戻れ、新井。絹里さんも。
俺はもう大丈夫だから。後で会社に行って・・・」
「だめだ!・・・です、苑田さん」
言いかけたのを遮っていた。
「会社に行くのは、明日にしてください」
「そうです、苑田さん。せめて今日までは休んでください」
絹里さんも口を添える。苑田さん、俺たちの顔を眺めて、ふぅ、と息を吐いた。
「・・分かったよ。仕事は、明日からにする。
だから、と言ってはなんだけど、今日はもう帰ってくれないか?着替えもしたいし、見られながら食べるのはちょっと・・・」
はた、と気付いた。
二人で、立ったまま苑田さんが食べるのを見ていたんだ。
「す・すいません・・。あの、じゃ、帰ります。
あ、ちゃんと食べてくださいね。 行こう、絹里さん」
「はい。・・・すみませんでした、苑田さん。気がつかなくて」
あたふたと支度し、靴を履く。

「来てくれて、ありがとう。助かったよ」
見送りに来た苑田さんは、最後まで営業笑いを崩さなかった。


玄関を出てすぐ目の前で、カチャンと鍵が掛けられる。
ショックだった。
今まで一度もなかったから。

「新井さん・・、行きませんか?」
「そ・うだね。ひ・・、苑田、さんの邪魔しちゃいけないもんな」
ドアの前で突っ立っていたら絹里さんに促され、仕方なく一歩踏み出す。妙に・・辛かった。

マンションを出たところで、言い忘れたことがあるのを思い出す。
「絹里さん、俺、苑田さんにまだ用事があるんだ。先に戻ってくれる?」
「分かりました。私、苑田さんの休暇届け、手配しておきます」
「そっか。そうだね、よろしくお願いします」
「それじゃ」


~~鍵を掛けた玄関の内側で座りこみそうになるのを、気力で踏みとどまる。
崇が、絹里さんを連れてきた。
さっきまでの、楽しそうな二人の様子が目から離れない。

「なんで・・・」

思わず漏れた言葉と、崇の顔を見られて喜んだ自分に、自嘲の笑いが浮かぶ。
あんなに怒った崇が、たとえ中島さんに言われたとはいえ、一人で来るはずが無かった。
ため息をついて部屋へ戻る。
テーブルの上の、食べかけの雑炊を見て、また気が滅入る。食欲もなく、そのままベッドに戻ろうとして。

鍵の開く音に、まさか、と思う。

「苑田さん、言い忘れたことが」
普通に入ってくる崇。その呼びかけにぶるっと震え、続いて入ってくるだろう絹里さんを見たくなくて背中を向けたまま、待った。

「携帯・・・、じゃない、ひろさんスマホだったっけ。・・・ひろさん?」

『ひろさん』・・。まだ、そう呼んでくれるのか? ~~


携帯、ひろさんはスマホ、だけど、どうなってるのか聞こうと思い、戻って鍵を開け、部屋へ入る。
ひろさんは、テーブルの前で向こうを向き、俯いて立っていた。
『携帯・・・、じゃない、ひろさんスマホだったっけ。・・・ひろさん?』
呼びかけてもこっちを見ない。 まだ具合が悪いんだろうか。

「ひろさん」
二人だけの時の名前を呼ぶと、びく、としてからゆっくりこっちを向く。
「スマホ、どうなってる?連絡とかする時困るから、確認したいんだけど」
「あ、それは」
手が、テーブルを滑り、雑炊の入った椀に当たって。
「(熱)っ・・!」
「ひろさん!」
ひっくり返ったお椀はそのまま、急いでその手を掴み、流しへ行き水を出す。
「大丈夫?」
問いかけに、無言で手を抜き、俺から離れようとする。
「ひろさん、手、冷やさないと。火傷してたら・・・」
「何で、戻ってくるんだ」
「え? 」
「せっかく絹里さんと帰ったのに、何で戻ってくるんだ? 俺を構ったってしょうがないだろ」
細い声でも、俺につっかかってくるから、つい、
「何だよ。連絡取れないとこっちが困るから確認に来たんだ。スマホ、ちゃんと動くのか?
・・・それに雑炊だって食べてない。
残したら、せっかく作ってくれた絹里さんに悪いだろ」
ぶっきらぼうに返した。






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その61

  夏が来ましたねー。
夏の風物詩、といえば、花火があげられます。
今では冬でも行われていたりしますが、やっぱり夏に見上げるのが1番ではないでしょうか。

発祥は中国。
その後日本には鉄砲の伝来とともに伝わったようです。今私たちがみるような花火は、江戸時代に出来あがったとか。
有名な掛け声、’玉やーー’ ’鍵や~~’ も江戸時代。

そう言えば、日本の花火って、きれいなんですって。
まあるい花火玉が、ヒュルルル~~・・・、と上がって、ド――ンッ! パアァ~~!! と円形に広がる 、は、外国にはあまり無いらしい(私は見たこと無いので受け売りです。ハハハ)。


色々齧ったところ、
外国では「花火を上げる日」というのがある。 とか。
日本ではこの時期、毎日のように花火「大会」があって、お金と体力があれば花火追っかけが出来るくらい。
しかも何万発!も上がる大会だって。。


少人数でやる、ロケット花火や閃光(?)花火も好きです。
せんこう花火、豪華なのは桐箱に入っているのもあるんですよ~~。一番高い蝋燭つきの40本セットは価格がなんと税込み10500円。
・・・やってみたいけど、高いな!(笑)








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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*頼みごとー22


「うん」
足を下ろして立ち上がる。そして、何枚かあるタオルを指さす。
「和叔父さん、このタオル、いつ使うの?」
「ああ、一度着てから。帯が決まれば必要ないし、巻きすぎると逆にバランス悪くなる」
「ふうん」

着せかけてもらって背中の縫い目を合わせ、
「衿(えり)を首筋にピッタリさせると着くずれしにくくなるんだ」
背中に回った和叔父さんが、言いながら長襦袢の襟を首筋に押し当てる。耳のそばで言
われる声と首を伝う指に、ぞくっと背筋を這い上るものが。

ん・・っ、と変な声が出そうになり、慌てて唇を噛んだ。

腰ひもを結び、すぐ帯を当てる。
「うーん、細めのスポーツタオルで、大丈夫かな?」
和叔父さん、腰ひもを解いて俺に長襦袢を開かせ、タオルを腰に巻いて行く。
どうしてだろう。
内海や涼二なんかにふざけて抱き付かれたこともあるのに、全然、違う。

和叔父さんの顎が俺の肩先に当たり、肩が触れ合い、息遣いが聞こえる。
「ごめん。寒いと思うけど、もうちょっと我慢して」
声が耳元で聞こえて心臓が跳ねた。
「だ・・大丈夫」
「そう?・・・はい、これでいい。長襦袢、もう一度合わせよう」
「・・・う・ん」
しゅっ、と衣擦れの音がして和叔父さんが襟元を調節したり、全身のバランスを見るた
めに少し離れて俺の全身を眺めたりすることに、体に少しづつ熱が溜まっていく。

着物を着せてもらうって、こんなにどきどきするもの?それとも、和叔父さんだから?

「やっぱり智も兄さんと同じ色が似合う。ふふ」
「・・父さんと俺は、別だよ」
すぐ父さんを引き合いに出す和叔父さんがなんだか嫌で、ぼそっと言ったら、
「あ・・。ごめん、そんなつもりじゃなかったんだ。
怒ったのかい?」
眉を下げて俺に謝る。
「そんなことないけど・・、俺の事見てよ」

父さんと比べるんじゃなくて、俺の事を。

「・・・。そうだね、ごめん」
和叔父さん、もう一度謝ってから・・・、俺に手を伸ばし確かめるように、抱きしめて
きた。




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『プリズム』

『プリズム』21**贈りものー13

 まだ、喧嘩の途中。でも、仲直り出来そうな・・・・。




「うるさい!」

怒鳴ったひろさんは、泣きそうだった。
「俺が何を食べようとかってだろう?
絹里さんが作ってくれたって食べたくなかったらいらないものだ」
「ひろさん! そんな言い方ってないだろ!」

絹里さんに悪いと思わないのか?!

思わず怒鳴り返した俺に、
「おまえが!」
ひろさんがまた投げつけてくる。
「・・・おまえのは、何も、ないのか・・・」

お・れ?

「ひろ・さん? 」
「おまえの、買ってきてくれたものなら・・、食べる」
また声が細くなり、きつい涙目で睨んできたけど、俺も、ほとんど初めての喧嘩に逆上していた。
「買ってくるよ!買ってくればいいんだな!
絶対、食べろよ! 」

話そうと思っていたのも忘れて、足音も荒く外へ出た。
むかむかした気分で近くのコンビニに入る。

(『おまえのは何も
(『おまえの買ってきたものなら

泣いた目で、でも、縋るようにして。なのに睨んできた。
俺が一体何をしたんだ。
悪いのはひろさんの方だ。

そんな思いのまま目についたのは、・・・キムチとコーラ。

部屋へ戻って、ドン、とテーブルに置く。
「これで、いいんだろ?」
ほとんど動いていないような姿勢のひろさんがレジ袋を広げ、中を見て、俺を見る。
ちょっとだけ身構えたが、
「ありがとう」
本当に嬉しそうに笑って食器を取りに行った。そして。
『いただきます』と食べ始める。


「・・・おいしい・・」

普通は、「辛い」と文句言いそうなのに。コーラだってキムチに合うとは思えないのに。


はっ、と気付いた。
ひろさんはまだ調子が悪いんだ。
「もういい」
食べ続ける手を押さえる。
「やめときなよ。刺激強すぎるだろ」
「そんなこと・・・。おいしいよ、崇が買って来てくれたんだから」
俺を見上げて。子供みたいに笑う。

ああ、もう・・・。
そんな笑顔見せられたら、降参するしかない。

「ひろさん。・・・わかったから、キムチより雑炊の方食べて。その方が体に良いから」
「・・・おまえが、そう言うなら・・・」
まだ食べたそうにしてたけど、コーラはともかくキムチはダメだと冷蔵庫に片付ける。
食事を終え、少し休んだひろさんにシャワーを浴びてもらい、寝室の空気を入れ替える。ついでに、とベッドのシーツを剥がしてその拍子に転がり落ちた物に、目が釘付けになった。

ゴミ入れに投げ捨てたはずの、布張りの小さな箱。


「崇、ちゃんと休むから・・・」
ひろさんが戻ってきて、俺が見ている物を見て、息を呑む。
お互い急いで手を伸ばして取り合いになり、体力の落ちているひろさんの息が切れて、俺は小箱を握りしめた。






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本文

『プリズム』21**贈りものー14

「返してくれ」
捨てたものなんだ、要らないだろう?
そう言いたげに手を出す。
「俺に、くれたものなんだろ?」
「・・・・・」
「ひろさん?」
唇を噛んで目を逸らすひろさん。
「最初に・・・デートしたのは、おまえじゃないか・・・」
「え?」
そっぽむいたまま、
「・・絹里さんと、コーヒーまで・・・。俺に、内緒で」
「ひ・ろ・さん。俺、父さんにも言ったけど、彼女は仕事仲間だとしか思ってない。それに、俺はひろさんに愛の告白してるんだぜ。 それを疑う?」
「それ、は・・・」
パジャマ代わりのスエットを着て黙りこむひろさんに近付き、俺より背の高い体を腕の中に収める。
まだ怒った顔をしていたけど、腕に力を込めると、ぽす、と肩口に頭をもたせかけた。

「欲しいんだ、これ。いいよね?」
小箱を持った手を振る。背中でそれを感じたひろさん、
「・・・・好きにしろ」
まだぶっきらぼうに答える。
「うん、そうする」
ひろさんの顔見て、開けたかったんだ。そう囁いて、頬を染めたひろさんを見ながら蓋を開け、良く見えるように顔のそばへ持って来る。

石がふたつ嵌め込まれた、タイピン。

「・・・俺、こんなのもらうの、初めてだ。すっごく嬉しい。
大事にする」
もう一度、ぎゅう、と抱きしめた。
「ありがとう。それと・・・ごめん」
俺の言葉に、ひろさんが首を横に振る。

「でも。許せないから。あんな事もう二度としないで」
びく、と竦んで、そのあと、
「・・・悪かった」
小さく返事がある。
耳元で、息と一緒に届いた声と、髪油の杏の匂いに感じてしまって、
「ひろさん、こっち向いて」
空いてる手を回してひろさんの顎をとり、唇を重ね。

「ん・・・」
互いの唇を挟むようにそっと力を入れ、角度を変えて同じことを繰り返す。何度目かにひろさんが誘うように舌で舐めてきたから、俺も舌を伸ばしてひろさんの口の中へ。
「ぁ・・・っふ、・・ん・んっ」
舌下の筋や頬の内側、上顎と歯の境と弱い所を舐め回す。
鼻に抜ける声が甘くなってくる。もっと、と続けようとしたのに、内ポケットで携帯が鳴った。
「・・・なんだよ~・・」
渋々体を離し、取り出せば小野山課長からだった。

「あーあ、いいところだったのに」
「仕事中に変な気を起こすおまえが悪い」
「そんなこと言うと押し倒すよ?」
電話を切ったあと、普通に話が出来るようになってて、それがうれしい。
「まだ就業時間なんだ、仕事してこい」
「はーい。 終わったら・・、ここへ来て良い?ひろさん」
「・・・ああ」
やった、とまだ少し赤い頬にちゅっと音を立ててキスすると、
「ば・・馬鹿!さっさと行け!」
「へへ、行って来ますっ。
ちゃんと寝ててね、ひろさん」
来た時とは全然違う気持ちで、足まで軽くなって靴を履いた。


会社に戻ると、
「おー、新井。連絡あったぞ。ご苦労さん」
「新井くん、悪かったね。苑田くんから連絡があった」
中島部長、一之瀬課長から声を掛けられる。
「いえ、俺の方こそ、ありがとうございました」
仲直りも出来たし、と、それは言葉にせず頭を下げ、仕事に戻った。






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『プリズム』

『プリズム』21**贈りものー15


夜。いそいそとひろさんのマンションへ帰る。
「来たよ」
「おかえり」
「これ。あの焼き鳥屋さんにお願いして作ってもらったつくね団子のスープ。生姜入れてあるから体にいいって」
「そうか。後でお礼にいかないとな」
「調子、どう?」
「だいぶいい」
そう答えるひろさんは顔色もよくなっていてホッとする。
ソファーに座り、ノートPC、スマホを使って出来る仕事を片付けていたらしい。
俺の手土産に目を細め嬉しそうに笑って、ぽん、と頭を叩く。

休養をとった翌日、出社した苑田さんは、分刻みで動いている。
その姿に昨夜の面影は微塵もない。

昨夜は・・・、ひろさんの横で寝た。
寝つくまでは体の一部が触れ合うたび体を強張らせていた、けど、夜中過ぎふ・・・っと目を覚ますと、ひろさんが俺の方に体を寄せている。
そう、と向かい合わせになって片手をひろさんの肩に乗せると
「・・・ん・・」
目を覚まさないまま小さく息を吐き、俺にすり寄って顔を綻ばせた。

ひろさん・・・、範裕さん。もっと、俺を欲しがってくれ。
寝顔に、おまじないのように、聞こえないように呟いた。


あしたは大晦日。

― ごめん母さん。今年は・・範裕さんとお正月するから」
慌ただしく部屋を掃除しながら電話する。
― 範裕さんと? 」
― うん。あ、でも、帰るよ、ちゃんと」
電話の向こうで笑う声。
― わかったわ。元日から喧嘩しないのよ。でないと一年中ケンカする事になるからね」
― ほんと?! じゃ、仲良くしてる」
心臓が、どき、と大きく鳴った。気付かれていないはずなのに時々母さんは鋭い。
電話を切って部屋を見回し、
「まあオッケーかな」
ひろさんは今日も会社で仕事だから、今から行けば部屋で待てる。

::ひろさん、部屋に行って掃除してる

そうメールを入れると電話が鳴る。
― 何? ひろさん」
― 掃除もいいが、ひとつ、作りたいものがあるんだ。買い物、頼んでいいか?」


「ひろさんがこれを毎年作ってるなんて思わなかったな」
頼まれたのは、黒豆。
夜までには帰るからそのまま置いといていい、と言われ、ほかの食材も買ってきて、冷蔵庫や戸棚にしまう。
「さあて、ちゃっちゃとやろう」
気合を入れて掃除を始めたけど・・・。


「俺の部屋より片付いてて、掃除のし甲斐がなかった」
「大掃除の時しか掃除しない場所がそんあにあったのか?」
「違うよ、思い切って処分した物が多かったんだ」

テレビの前のテーブルは炬燵にもなると聞いてセッティングし、温まりながら帰って来たひろさんに愚痴った俺に、可笑しそうに笑うひろさん。
目線が俺からテーブルに移る。
「・・玄関から匂いで分かった。キムチ、鍋にしたんだな」
「そ。まだ残ってたから、ほかに色々足して」

差し向かいで食べた後、匂い消しも兼ねて、檸檬サワーを開ける。
「ひろさん、横に行っていい?」
「好きにしろ」
あの人同じセリフを、今度は優しく言ってくれた。
横に座って肩に頭を乗せ、
「来年も一緒にいようね」
「いて、くれるんだろう?」

すぐ近くの顔が柔らかな微笑みを浮かべて俺を見ている。込みあげるものに突き動かされて、キス。






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『プリズム』

『プリズム』21**贈りものー16


誘うように拓かれた隙間に舌を差し込み、口の中をなぞってひろさんの舌に絡める。
「・・・んっ」
零れた声に煽られて体を捕まえ、もっと欲しいと深く唇を重ねた。
「・・・ふっ、ぁ・・・、ん・ぅ・・・」
角度を変えるたびにできる隙間から聞こえる喘ぎに熱がこもっていく。
「ひろさん・・」
「・・最後までは、だめだ・・。明日まだする事が、ぁ・・・」
横から抱きしめた俺を牽制する、ひろさんの耳たぶをはくっと軽く噛んで、
「うん、しない。ここじゃ出来ないし」
耳に吹き込む。
擽ったそうに身を縮めるひろさんが可愛く見えてあっというまに沸点を越えてしまう。
「ここまでなら、いい? 」
「っ、崇」
「足りない? 」
「・・そんなこ・・・・ん・んっ」
弄られて、力が抜けて倒れそうになったひろさんを支えながら体を重ねた。
あとは寝るだけたから、スエットの上下を着ている。すぐに手を入れられる裾から潜り込ませた指で、探りさぐりして小さな粒をつまんだら、
「ぁ・・んっ。は・・っ、そ・・な、崇」」
ひろさんの手が俺の背中をぎゅっと握り、喉を晒して艶声をあげる。そこへ音を立てて吸いついた。
「ゃ・・。くぅ・・ん、・・っ、・・・」
首を振ることが出来ないから小刻みに震えて髪が揺れ、杏の匂いがかすかに漂う。

止められなくなる。

一度手を引き、トレーナーと下の服をぐいと掴みあげ温度差に少し粟立つ肌をすうっと撫でた。
「た・・かぁ・・っ、んうッ」
弄られて立ちあがってる胸の突起を含み、く、と甘噛みしたら、ビク、と背中を撓らせ声を放つ。 舌で舐め上げ、押し潰し、転がす。
その度ひろさんの体のあちこちが跳ね俺の背中にある指先に力が入り。
いくつもの刺激に、体の隙間で育っていたひろさんの雄が、つんと俺に触れた。

「ひろさん」
「・・っ、ばか。おまえの・・せい、だからな」
嬉しそうな俺に、声まで赤くなったひろさんが怒る。
「でも、‘最後までは、無し’なんだよね?」
「あたりまえだ・・・・・っ」
そう言いながらも、ひろさんの昂ぶりに服の上から手を被せると、内腿に力が入ったのは分かる。
「挿rない、から、触らせて」
答を聞く前に手を差し込んだ。
ああッ、と声を上げてぶるりと震える全身から、いつも俺を駆り立てる色香が溢れてくる。
そこはもう熱く濡れていて、硬くて、俺の手の中でびくびく反応した。
「ひろさんの、こんなになってる」
「い・・ちいち、言うな・・・。」

言わずにいられない。俺でこんなになってるんだ、と自慢したくなるんだ、ひろさん。
それに、

「俺もそう。・・・・・・ほら」
ごそごそ動いて自分のモノを解放し、ひろさんの雄と擦り合わせる。
「ぁ・・っ」
腰を浮かせて感じてくれるのが嬉しい。
もっと感じて欲しいから、二つを一緒に握った。そのまま上下に扱く。
「やっ・・あ。・・ぁあっ、崇。・・・んぅっ・・、はぁっ、たか・・し」
急速に張り詰めていくひろさんの雄に合わせるように、俺のも容積を増していった。
俺を見上げていた目が潤んで閉じられ、いつの間にか滑り落ちた手が、こたつ布団を何度も握りなおす。

もう少し、になって、ひろさん、急に体を捻って、
「ここじゃ、や・・。汚れ・・るっ」
イってしまいそうなのをこらえようとする。けど、俺も限界ぎりぎり。 無理だ。
(汚さないように、拭くもの、かなにか・・)
懸命に俺の手をどかそうとするのを、雄どうしを握った手をぎゅっとして拒み、視線を飛ばすとテーブルの、上に。
「ひろさん・・・、冷たい、けど」
咄嗟に濡れタオルを取ってあてがう。

「ひッ・・・、ああっッ!」
その刺激にひろさんが、わずかに遅れて俺も、
「く・・っんんッ!」
白濁を放出した。






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