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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-18

「圭一。何しに来た」
「んだよ、来ちゃ悪いのか? ・・・ん? 」
ずかずか入ってくると、カウンターの上にあるサンプルの名刺に視線を止める。
「へェ、名刺じゃないか。・・いいな、これ」
迷うことなく一つを手に取る。

「気に入りましたか? それ、この店の名刺なんです」
反応したのは苑田さんだ。
「ふぅん・・。こんな物も作るのか、あんたたち」
「ええ。もうひとつ、畑違いですが頼まれてる物もあるんです。ご覧になりますか? 」
言いながら出したのは、
「これ? 」
「苑田さんっ」
さすがに止めようとした俺を制して、
「つみれの生姜スープをテイクアウト出来ないか、というお話があって。その容れもののサンプルです」
と圭一さんに手渡す。くるっと回してみた彼はひと言、
「地味だな」
「あなたならどうします? 」
「そう、だな・・。デザインするなら」
呟く圭一さんに、苑田さん、すかさず紙とペンを差し出す。容器をカウンターに置き、椅子に座って眺めながら考え込むその人は、ずいぶん印象が変わってみえた。

俺たち四人が見守る中、圭一さんは三つほど柄のついた入れ物を描きあげる。その絵が、本格的デザイン画で・・、驚いた。

「こんなもんか、な」
ふうっと息を吐いてペンを置く。
「いいですね。 一つ、文字だけのものがありますが、これは? 」
「ああ、飾りのついたアルファベット。ローマ字で店の名前描いた。日本語よりいいかと思ってな」
「そういえば、たまに見かけますね、外国の方も」
「珍しがって来るんだろ」
「美味しいですからね、ここの焼き鳥は」
苑田さんがそう言った途端、今までおとなしかった圭一さんの態度が硬化した。
「ああ、味は謙治が仕込まれてっから旨いだろうさ。俺にゃ関係ねえ。・・・ふん、変なことしちまった。
親父、ちょっと(金)貸してくんねぇか? 」
「また? もう何度目なんだ、義兄さん」
「おまえに言ってねぇだろ。口出すな」
「・・・いくらだ」
「義父さん! 」
険悪になりかけていた場が、
「待ってください」
苑田さんのひと言で切り替わる。
「んだよ、他人ん家の事情に首突っ込むな」
「もちろん、そんなつもりはありません。ですが、それはデザイン料としての請求ですか? 」
「はあ? 」
毒気を抜かれた圭一さんが苑田さんをまじまじと見つめた。
「ですから、その金額を請求するのは、あなたの描いたデザインを謙治さんたちに売り込んで得た金額なんですね? 高階 圭一さん」
うっと詰まる圭一さん。
謙治さんも親父さんも、苑田さんの言葉にさっきのデザイン画を思い出したようだ。
「これ・・・、義父さん、これ、かっこいいんじゃないか? 」
覗きこんでいた謙治さんが指さしたのは、ローマ字読みで店の名前が書かれたデザイン画。
「・・・わしにはよく分からんが、いいんじゃねぇか」
「じゃあ、これ。・・これ、使って出来ますか? 苑田さん」
「ええ、出来ますよ。 そうですね? 圭一さん」
「・・っ、なんで俺が」
振られて圭一さんの顔が険を帯びる。
「デザインを起こし、製品にする。
それはあなたが得意にしていた事だと聞きました」
「・・・・・あんた」
「私たちは文具を扱うのが仕事で、そのほかは素人です。餅は餅屋。プロに任せるのが一番だと思うんです」
「俺を嵌めたのかッ! 」
「圭一っ」
「義兄さんっ、苑田さん達は今来たばっかりだ! 義兄さんだって呼んでないじゃないか! 」
掴みかかろうとする圭一さんを、謙治さんが止めようと前へ出る。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-19



「圭一さん、もう一度やり直してみませんか? 」

顔色も変えず静かに言う苑田さんに、なぜかどきどきした。言葉が続く。
「あなたの勤めていた会社が円相場からの連鎖倒産で潰れ、行き場が失くなったと聞きました。そんな自分に苛立ち酒に逃げるのはもう終わりにして、ここから一歩、歩き出すのもいいはずです」
「・・・俺が、この店から? 」
「そうです」
いつの間にか聞き入っていた圭一さんに、にこりと笑う。
「俺に『出来る』と思ってんのか・・、あんた」
「思ってますよ。あなたにしか出来ない事だ、と。やってください。お願いします」
頭を下げる苑田さん。 誰もが沈黙するなか・・・、舌打ちが聞こえた。

「・・ったく。分かったよ。あんたみたいな男に頭下げられちゃ、やらない訳にはいかないだろーが」
「・・・・義兄さん」
「期待するなよ、謙治。俺は落ちぶれサラリーマンだ」
肩を竦めて卑下してみせても、照れくさそうで・・、嬉しそうな顔をしている。

「それじゃ、私たちはこれで。名刺の件はあとで新井に見積もりなど届けさせます」
行こうか、と苑田さんに声をかけられ、
「「あ・・、ご注文、ありがとうございましたっ」
つい習慣で’見積もり‘に反応し勢いよくお辞儀をした俺に、呆気にとられてい高階さん親子が次の瞬間笑いだしその声に送られるようにして店を出た。


その夜、俺は苑田さんの部屋にいた。

「ひろさん、高階さんたち上手くいくといいね」
食後のお茶を飲みながら言うと、
「ああ。共通の目的が出来たから、多分まとまるだろう。おまえも早めに企画と見積もり出しとけよ」
「え? あれって本気の仕事? 」
「当たり前だ。ついでに商工会にでも売り込んで個人商店用の名刺作る仕事、取ってくるんだな」
「そんなあ~~」
「自分で初めて新規開拓したんだ。頑張れ」
「へーい」
笑いながら激励してくれる(?)ひろさんに口を尖らせたが、言われてみればその通りなので、仕方なく部屋の隅にあったノートPCを引っ張ってくる。

「えーっと・・、部長と行った新年会で高階さんと会った時、『名刺持ってないから』って言われて、『じゃあ、作りませんか』と提案したのが始まりで・・・」
「それなら、タイトルを 【個人商店と個人の名刺注文に関する企画】 とでもすればいい」
「あ、そっか」
「ターゲットは個人商店だけ、にしとかない方がいいんだろ? 」
「う・・ん・・」
「頼りないな。それで売りこみ出来るのか? 」
「やるよ。高階さんたちだって期待してくれてるんだから」
企画は、どうしても弱くなってしまったけど、見積もりはきっちり仕上げ、何とか形にした。

「・・・どう? 」
「出せる形にはなったな」
及第点をもらい、ホッとする。こんな時の苑田さんは、厳しくて容赦ない。
(でも、俺の腕の中だと・・・・)
「こら。何考えてるんだ」
「ってー。グーで叩かないでよ、ひろさん」
顔に締まりがないと、ゴンと頭をやられてしまった。
「ちゃんと確認して、プリントアウトするの忘れるな」
「うん、分かった」
企画書と見積もりの最終チェックをし、ファイルに綴じ込んで大きく伸びをする。ひろさんがビールを持って来てくれた。
「良く頑張ったな。ほら」
「ありがと」
プルタブを開けて飲みながら、
(でもこっちより・・。ひろさんのハグの方が嬉しいけど)
ちらりと見ると、ちょうど飲み干そうとしているひろさんの白い喉がこくり、と動くのが目に入り、色っぽくて欲しくなる。






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その68

車で出掛けている最中、街路樹の下で何かしている人がいました。 樹は、銀杏(いちょう)。  となれば目的は・・・、
ギンナンですネ。

お好きでしょうか? みなさま。
私は好きです。 茶碗蒸しに入っているのもいいですが、売っているものを買ってレンジでチン!もおいしい。


原産地は中国。 面白いコトに欧米には生えていないとか。あ、今は植樹とかしているかもしれません。
 日本・中国・台湾、が生息(?)地だそう。
恐竜のいる時代から生き続けてきた植物、だからでしょうか、雌雄別株(雌雄異株)。しかも雄の木には、なんと精子くんが!!
’イチョウの木が精子を持つ事が発見されたのは、約100年前のことである。’・・・そんな最近だったんですねー。

花は春、若葉が出る頃に同時に開花し、雄の木の花粉が風に乗って雌の木の花にくっつきます。ここまでは特に不思議ではないですが、花粉がくっついたイチョウの雌花はそのまま受粉(受精)はしません。なんと秋になってからくっついていた花粉の中から精子が出て、この時点で初めて雌花の中で受精するのです。

びっくり~~!
植物なのにそこだけは動物的なんだ。 だから植える時には雄と雌、分けるんでしょう。
そして食べられる種と、食べられない実。(これはあくまでも人間が、です)。 銀杏の実はかぶれるので必ずゴム手袋などをすること。 と調べるとたいがい書いてあります。  水に浸けて、が腐れば、種である実をとりだせるとか。


見かけたのも、縁。  今年は一度挑戦してみようかな?  匂いを我慢しながら・・・。


本文

『耳から始まる恋愛』*暖かくなったら

「智ー、お風呂どうするの~」
階下から母さんが呼んでハッとして見上げ、和叔父さんと目があった。
「呼ばれてるよ、智。もういいね? 」
「・・うん」
「さとるー」
「分かったよ! 今行く! 」
なかばやけくそに返事して、触れていた手を離す。
「僕もすぐ行くから、お雑煮でもお風呂でも先にしていていいよ」
和叔父さんは服に手を伸ばしながらそう言って、背中を向けた。

◇  ◇  ◇


「・・・和叔父さん、風邪引かなかったかなー」
「智、どうかしたのか? 」
「別に」

ぼんやり呟いた俺に反応したのは内海。二人して図書室で試験勉強真っ最中だ。
「いっそのこと全部レポートにしてくれっと楽なんだけど」
「馬鹿言うなよ、そんなになったら逆に大変だ」
内海のぼやきにそう返し、俺はまた本をめくる。

和叔父さん、家にいた三が日着物で通して四日目に帰った。俺としてはもっと話をした
かったのにゆっくりできる時間もなくて。
(話、したかったなぁ)


一月末は試験と補習で明け暮れ。俺は今回補習もなく無事だったけど、内海が一つ、涼
二が2つ補習を受けるらしい。
「終わったらみんなで飲もうよ」
学食で揃った時和泉が言って、俺の部屋に集合と決まった。


「ひゃー、寒いッ!」
「当たり前。雪降るって天気予報あったのに、何でマフラー忘れるかな」
「しかたないだろ。手袋の方が大事だったんだから」
「智のマフラーはきれいな色であったかそうだね」
構内から外へ出た途端内海が大げさに身震いするのに突っ込んだ俺へ目を向け、和泉が言う。




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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-20

新井くんが盛ってます。・・・ということは、今日はR(R-15?) なので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。























「さあて。今日は寝るか」

思ったより疲れた、とゆっくり立ち上がるひろさんを追いかけ、背中に張り付いた。
カン・コロコロッ・・・、と空き缶が流しの中で転がり、
「・・っ、崇、いきなりなんだ? 危ないじゃないか」
俺と流しの縁に挟まれ、焦ったひろさんが振り向く。その顎を捕え、
「ひろさん・・・、したい」
言ってキスする。
「んっ・・、っ、は・・。んぅ」
苦味の残るキスが興奮を誘い、角度を変えてひろさんの唇を挟みながら甘噛みすると、体がピクンと反応する。それを感じて、俺の体温が上昇した。
(俺のこと、欲しがってよ。 ひろさん)
そう思いながら舌を差し入れる。歯列をなぞり、空いた隙間から中へ入ってひろさんの舌へ絡ませると、喘ぐ息をこぼす。吸いつき、口腔を舐めまわして愛撫する。
「・・った・かし・・」
苦しくなるまでそうやって、唾液の糸を引きながらようやく離してできた空間に、ひろさんの濡れた声が俺の名前を呼んで脳みそを直撃された。
「しようよ、ひろさん」
形になりはじめた雄を押し付け強請るけど、答が無い。
覗きこめば困った瞳が揺れていて・・、迷ってる。
「最後まではやらない。仕事に響かないようにする。・・・・だめ? 」
今度は擦りつけて熱を伝えたら、ふっ・・、と笑って背中をポンポン叩かれ、
「分かった。 最後までしないって約束するなら」
頬にチュッとキスして、OKしてくれた。


ベッドに寝て、アルコールで薄く染まった躰を見上げる。

「今日は、俺がする」

ひろさんにそう言われ、いつもと逆の位置にいるから、不思議な感じがする。
(いつも、こんな風に俺を見てるんだ)
そう思っていると、ひろさんがゆっくり頭を下げてきた。天井の明りの小さな豆ランプが遮られ、表情はよく見えないけど、唇が啄むように重なる。耳元で、
「何もしなくていい。感じてろ」
囁いて耳たぶを舐め、優しい愛撫を始めた。
口付けが繰り返され、顎のラインを通って喉元まで降り、鎖骨を舌でなぞる。
「ひろさん、くすぐった・・・ん」
端まで行って軽く歯を立て、また舐める。
手足をついた四つ這いで俺の上にいるから体重は感じないけど、胸が触れ合ってて、そこにある小さな粒を感じて、どうしても意識してしまう。
わざとなのか違うのか判断できないでいる俺に、ひろさんは反対も同じようにし始めた。
「・・ぁ・っ」
なぜだ? 反応して声がでてしまう。
「崇、ここが感じるんだ」
ひろさんがクスッと笑って・・、そこを舌でつついたりペロペロ舐めたりして刺激する。
「や・・だ、って」
髪の中に手を入れ、引きはがそうとした、ら。
「んあっ」
急に下がって、乳首を舐められのけ反った。
「かわいいな、そんな声を出して。もっと聞きたくなる。・・・こっちは? 」
「ひろさ・・、そこで、喋ったら・・・っ」
びく、とした。言葉通り反対側も口に含まれ、歯を立てられたんだ。それは、腰にも甘だるい反応を伝え、完勃ちになった雄からとろ、と透明な蜜が零れ出るのが分かった。

それからも、ローションを使って胸から腹から撫で回したり、膝を立てさせて内腿に幾つもキスされたりしたけど、一番触って欲しい場所は放置されたきり。
「ひろ・・・、ひろさ・・んっ。も、だめだ、から・・・。達きた、んぁっ、触って、よ・・・」
熱い息を吐きながら頼むけど、
「俺に、させてくれるって約束だろ? 」
自分の雄に触ろうとした手を取りあげられ、足の間からまた顔の方に上がってきたひろさんにディープキスされ、口も舌も捏ね回された。
「ん・・ぁっ、ふ・ぅ・・っ、んぅっ」
追い上げられて、雄が痛いほど張り詰めている。
「・・っは。っ、もぅ・・やだ、ひろ、さん・・」
もう一度頼んだ時は、泣きべそかいていたかもしれない。
「分かった。達かせてやる。・・・ちょっとだけ待ってろ」
苦笑したのかひろさんがそう言って、頷く。起き上がったひろさん、サイドテーブルからスキンを取りだした。
「今日は、これで・・・、な? 」
焦らすように腰が揺れて硬い二つの熱棒がぬるぬる擦れ、一も二も無く、
「はっ、早く。それで・・、いい、か・・・」
夢中で答えていた。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-21

昨日の続き、となればRです(R-18)。年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。


















「OK」
ピッと袋を破る音がして、少しの刺激でもイってしまうギリギリの雄に、薄い膜が被せられていく。ひろさんも息を吐きながら自分のに装着し、俺のと二つ、握った。
「いくよ」
にや、と笑ってそう告げる顔が妖艶で弾けてしまいそうになる。でも、一緒にイきたいからひろさんに両手でしがみつき、必死で耐える。

「・・・っは、ぁ・・んっ、ひろさ・・ん、くっ」
「気持ちい・・か? 崇・・・」
「いィ・・ッ、ん、んぅっ」
リズムをつけて、強弱に力を加えるひろさんに翻弄され。時々聞こえるひろさんのちょっと意地悪な声や、俺に落ちてくる吐息がどうしようもなく昂ぶらされている。でも。
「ひ・・ひろ・さん・・。って、・・待って」
「待てな・・あと少・・あ」
体に力をいてるだけで達ってしまいそうだ。それをこらえながらひろさんの手を押さえた。
「待っ、て・・。」
「どう、した?  嫌、なのか? 」
違う、と首を横に振り、大きく呼吸しながら上半身を起こす。つられてひろさんも手を離し起き上がり、向かい合う姿勢になる。
「こ・・・やって、顔見て、して・・」
目を瞠ったひろさんが、クス、と笑う。
「いいよ」
そう言って俺に胡坐をかかせ、跨ぐように腰をおろす。もう一度二つの雄を手の中に入れ、空いた手で俺の肩を抱き寄せた。
「こうして、なら、いいんだろ? 」
目の前で、目元をほんのり染め、何度もキスして赤く濡れた唇が動く。わずかに治まっていた熱が、急上昇した。

「ひろさん」
「うん?・・・っ」
誘われて口を塞いだ、そのタイミングで雄を握られ、びくりとする。
「・・・っぁ。あ」
思わず放して声を出すと、
「邪魔はしない。 続けるよ」
囁かれ、背筋をゾクゾク走るものが。
「うん。。あのさ、俺もしたい。いい? 」
「ああ」
声と息が一緒になって耳に届く。雄が、グン、と反応した。
「体力、あり余ってるな」
俺に肩を抱かれ、股間の手に手を重ねられたひろさんが笑う。

ひろさんのリズムに合わせて手を上下させ、すぐそばで喘ぐ息を聞き合いながらする行為に持ちこたえられるはずもなく、いくらも経たないうちに、
「あ・・、く、イク――・・ッ」
「ンぁ・・、た、かし・・・っ」
俺が、そしてひろさんも達していた。


「あんな時に言うなんて、狡いぞ崇」
終わって、シャワーを浴びるほどではないからと、温かなタオルで体を拭きながら、対面でシた事を怒るひろさんが膨れる。
「ごめん・・。でも、ひろさんも『いいよ』って言ってくれたよ? 」
「俺が全部するはずだったんだ」
「だから・・、ごめんなさい」
謝りながらも頭の片隅で、膨れるひろさんもかわいい、と思ってしまう。

外へ出れば隙の無い営業マンで俺のずうっと前を歩いてるけど、プライベートではこうして俺だけに見せる表情がある。それがどれだけ俺を嬉しがらせてるか、って、ひろさんは知ってるんだろうか。

「ひろさん、一緒に寝よ」
二人で寝ようと誘ったけど、
「今日はい・や・だ」
つんとしたまま、ひろさんは自分のベッドへ行ってしまった。けど、
「おやすみ」
寝る前のキスを、唇にくれた。




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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-22

「小野山課長、少し、いいでしょうか? 」
翌日、午前中の休憩に、小野山課長へ企画書を出してみる。
「うん?これは? 」
初めて、俺が最初から立ちあげた企画だから、見てもらうだけでドキドキして落ち着かない。
小野山課長、全部に目を通してふうんと一言呟き、再読する。
(あ・・汗出てきた・・・)
じっと立っていられなくてそわそわしていると、
「しばらく預かっていいかな? 」
ちら、と時計を見た課長が言う。
「はっ、はい、分かりました。 あの、それで見積もりの方は・・」
「これは、進めていいから」
「はい、ありがとうございます」
一部でも認めてもらえて大きな返事をしてしまい、声が聞こえたのか、顔をあげてこちらを見た中島部長とつい目があって、赤くなった。

午後は、外回りだ。
野々村運輸では、折り込みチラシに使う用紙の相談があり、候補を出したが決まらず、一度持ち帰って検討する事に。
あずま商店さんからは、息子さんが結婚するとかで、引き出物に文具を使えるかどうかを聞かれる。
「ネットとか、宅配ってのに押されて、細々やってくしかないんだけどさ。『跡継いでやる』って言ってくれてね」
「そうなんですか。おめでとうございます」
嬉しさと不安が入り混じった顔で話してくれるご主人。
(俺も何か応援できるといいな)
そう思いながら、こちらでも色々探してみましょう、と約束してきた。

「あとは・・・っと。 廣済堂、寄れるかな? 」
前の二件で時間がかかったから顔出しだけになるかもしれないが、行くだけ行こう、と足を向けた。


「こんにちは。名賀都商事です・・・・あ、丸山くん」
「新井さん。久しぶりです」
去年の夏骨折し、復帰した丸山くんと受付で偶然出会う。
「ごめん。今日は遅いから顔見せだけにしようと思って」
「だめですよ。以前(まえ)にも言ったでしょ? 新井さんは総務で好かれてる、って。ここで逃がしたと知れたら俺が怒られるんです。  行きましょう」
「『逃がしたら』・・って」
がシッと腕を掴まれ、笑いながら言われて俺も笑う。
「・・・そうだ、高輪くんは? 」
連れて行かれながら聞けば、
「ああ。あいつ、苑田さんに言われてから明るくなって、知らない連中から、‘ヒトが変わった’なんて噂されてます」
訳は俺たちしか知らないですもんね。と、共犯者の笑みを浮かべる丸山くんも自分に自信が持ててるみたいだ。

「やあ、新井くん。・・・・いらっしゃい」
「こんにちは、梨田課長」
腕を引っ張られながら総務の部屋へ入った俺を見て、梨田課長、笑いながら挨拶してくれる。
「課長、新井さん、『顔見せだけ』・・なんて受付で帰ろうとしてたんで確保してきました。 倉庫で在庫確認、してきます」
「うん。あ、電気が切れそうになってるのがあったから、ついでに替えてきてくれ」
「分かりました」

倉庫で、蛍光管の取り替えを手伝ったり、備品チェックしながら丸山くんの話を聞く。社内のこと、お姉さんのこと。

「・・・で、今姉さん子供が出来てラブラブがすごいんです」
「はは、当てられてる? 」
「っていうか、『年の近いいとこが欲しいから、あんたも早く相手見つけて結婚しなさい』なんてせっつかれて」
仕事が面白いからそんな気になれないんですけど、とぼやく丸山くんに、
「仕事が面白い、なんて、丸山くんも変わったね。すっかり‘総務の人’になってる」
返すと、
「ほんとに、そう見えますか? 」
手を止めて、真剣な顔になる。
「見えるよ」
言い切ると嬉しそうな笑顔になった。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-23


「新井さんに言ってもらうと自信がつきます。新井さんと、・・・苑田さんのお陰ですから」
’苑田さん‘にピリリと来るものがあるけど、
「社に戻って会えたら、伝えておくよ、丸山くんのこと」
苑田さんも聞いたら喜んでくれると思って、丸山くんと約束した。

「俺とか、苑田さんのお陰・・、か。あんなこと言われると、照れるよな~・・」
廣済堂を出て帰る途中、電車の窓に映った自分に話しかける。日が暮れて暗くなっているから、はっきり見える顔はこそばゆい表情だ。
(俺も早く苑田さんに追いついて、営業の人になりたい)
また思った。

社へ戻るとしっかり残業時間だ。報告書を作って帰ろうとしたら、会社用の着信音がした。
― はい、新井です」
― 俺だ、中島だ。今どこにいる? 」
― あ、部長。社内です」
― しばらく居るか? 」
― 多分いると思いますが」
― あと一時間・・、二時間はかからないと思うがそれくらいで戻るから待ってろ」
― はい、分かりました」

(なんだろ? )
首をひねったけど答が出てくるはずも無く。
「あと二時間くらいか・・」
印刷所へ行って、個人で名刺を作る時には、最低枚数どれくらいなのか確認してこよう。あと、ついでに倉庫と明日のチェック。
リストアップして、始めた。

「お、居たな新井」
「お帰りなさい、部長」
中島部長が小野山課長と戻ってきたのは、あれから一時間をまわった頃。正月でもあるし、同僚もほとんど帰ってしまってる。
「会議室確保してあるから、そっちで話そう」
肉まんでいいな? と聞かれ、内密の話かと疑問が浮かぶ。俺、最近何かしでかしたっけ?

「面白いものを小野山課長に持ち込んだそうだな」
「え・・? あ」
三人で囲んだテーブルの上にぽん、と置かれたのは‘名刺’の企画書。
「本来の業務からはズレるが、やってみる価値はあると思って検討してみた」
ほら食え、と肉まんとお茶を渡される。
「だが、あの新年パーティでこうなるとはな。驚いた」
企画書を手に取りパラパラ眺めて、楽しそうに言う部長。課長も、
「私も驚きました。でも、良いチャンスを見つけたね、新井くん」
「小野山課長・・。はい。俺も偶然焼き鳥屋、じゃない、――高階さん―― に会わなかったら思いつかなかったです」
「誘った俺の運が良かったんだ。感謝しろよ? 」
「ええ? 」

俺の顔が可笑しいと向かい合ってる二人が笑う。

「まあともかくだ、あまり広げ過ぎるな。それと、収拾がつかなくなる前に俺でも小野山課長でも相談しろ」
「はい、分かりました。ありがとうございます」

やった。
初めて自分の企画が形になる。 嬉しくて、わくわくした。


それからは、仕事と自分の立てた企画に追われながら毎日が過ぎた。
商工会、という所へも初めて入り色々教えてもらう。商工会議所、というよく似た組織もあり、こんがらがったりもしたけど、取りあえずの知識にして、頭の隅に仕舞っとく。


「新井さん、忙しそうですね」
「あ、絹里さん」
外回りへ行く前、休憩コーナーでばったり出会った。しばらくぶりだ。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その69

約束を守るって難しい。そして大変。   特に自分との約束は。

どんなに普通の約束だって全部守るのは大変ですよね。
お天気が変わることも、自分が行けなくなったり、相手に用事が出来たり。

遅刻で、謝って許してもらえることもある分、許してもらえないことだってある。  でも、土地柄で「しょうがないなあ」 と言う場合が。
私が知っているのは沖縄のひとがよく言う’うちなーじかん’。 地元でない人が慣れるまでが大変と言うか、おおらかというか迷う所ですが。
もちろん世界にはほかの国でもあります。 南国に多いようですネ♪


なぜこんな事が出てきたかと言うと、今月は健康診断があるんです。
それまでに、もうちょっとお腹の回りとか、あのへんとかこのあたりとか、修正ペンで消せるならバシバシ消したいっ!!部分がたっくさんあって。

去年誓った、いえ、鏡に向かって約束した 「せめて現状維持!」 が守れなくて・・・・、だから。

自分と交わした約束を守れなかったのは、自分のせいなんですが、言い訳したい~~~っ!
去年の冬用を着るまでにはまだちょっとあるから、今度こそ(って何度めだろう。。100回は言ってるな。凹)、頑張らねば!

でも、鏡の中の自分と、指きりは出来ないんですよね。

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*暖かくなったら-2

「うん、和叔父さんにもらったんだ。
「ふぅん、センスいいんだね。似合ってる」
「へへ」
優奈ちゃんともお揃いなんだ、と密かに思う。
「おまえさ、マフラーなんかよりスーツ強請った方がよかったんじゃね?気前の良さそ
うな叔父さんだしさー」
「内海。そんな言い方するな」
「・・・・」
何故か突っかかる内海が、ぷい、と横を向く。
「まあまあ。やっと補習も終わったし、またしばらく講義が無いんだからさ。揉め事は
NGにしようぜ。
明日また智んとこで飲むんだ、家主を怒らせたら行けなくなるじゃん。な? 内海」
涼二が内海を宥めるように肩を抱いてポンポン叩き、それで内海も気が付いたらしい。
「・・・・悪かったな」
ぼそっと謝ってきた。
「別に、いいけど」


飲み会は、闇鍋をした。
とにかく肉か魚介、だけを決めて、一人二品くらいを持ち寄って鍋に入れる。それも見
えないように交替で。
鍋が煮あがってから蓋を開けるまで中身は何か分からない。でも、全部食べる。
ほかの連中がどんな事をしてるか知らないけど、俺たちはそうルールを決めて、たま
に「闇鍋会」をやっていた。

卓上コンロにかけた土鍋から、いい匂いがしてくる。
「まだか? 」
「ん~~、もう、いいかな」
「腹減ったーー」
鍋からは食欲をそそる湯気が立ち上ってる。
「うん、もう火を止めた方がいい。魚介だと火が通り過ぎると固くなる」
すぐ内海の手が伸びてコンロの火を止める。と同時に涼二が鍋の蓋を掴みかけ。
「熱ッ!あっち・・」
「ばか、すぐ手を出すなんて! 」
俺は急いで濡れた台拭きを掴んで涼二の手をそれごと握った。




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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-24

「うん、自分で仕事増やしたから。初めて企画とかしたんだけど、形になっていくのが面白くってもっとこうしたい、って欲が出てくるんだ。詰め込みすぎはよくないんだけどね。 
・・もしかして、チーム営業のことで来たの? 」
今日は俺出られないけど、と続けたら、
「そうなんですけど、今日は別のチームの皆さんと打ち合わせです。新井さんたちの方は、苑田さんが調整して連絡をくださるのでいつも助かってます」
にこっとして答えてくれる。
「そっか。 さすがだなぁ苑田さん。そんなことまでしてるんだ。
俺なんか教えてもらうばっかり。色んな事知ってるし。・・・・あのね、絹里さん。内緒なんだけど、」
「はい? 」
「苑田さん、おれの目標なんだ。 いつかあんな風に頼れる存在になりたいなあ、って思ってる」
「いいですね、そばに目標になる人がいて。私、職場ではなかなか見つけられなくて」
「え? そうなの? でも、絹里さん人気あるし、話してて飽きないよ」
「ありがとうございます」
じゃ、行きますね。
絹里さんはそう言って営業部の部屋へ。俺はエレベーターへ向かう。


「苑田さん、ちょっといいですか? 」
「中畝? どうかしたのか? 」
苑田の休憩を見計らっていたかのように声を掛けた中畝は、彼を休憩コーナーへ連れ出した。
「・・・・」
「仕事か? プライベートか? 」
なかなか口を開かず、自販機から取り出した缶を持ったままの中畝に切り出す苑田。
「・・両方です・・。
取引先なんですが、他社(よそ)でリベートが拗(こじ)れてうち(名賀都)に回ってきたものがあるんです。上手く継続できれば量的に大きくていい案件なんですが、向こうの担当者がクセの強い人で。
膠着してるんです。・・・それにさっき、絹里さんが新井くんと仲良く話してるの見ちゃって」
追い打ちかけられた気分なんです・・・。と眉を下げる。
「それで俺に泣きつくのか? お門違いだと思うな。そんな話なら・・・」
「いいえ。・・・・いえ、そうです。すみません、苑田さんが目に入ったら、つい・・。僕、知らずにブラック系の企業に居たんです。色々あって、一之瀬課長に助けてもらってここ(名賀都)に繰り事が出来た。だから、恩返ししたいんです。だのに。。」
缶のプルトップを開け、くっと呷る。

「苑田さん、‘おおしまビル’ って知ってますか?」
ため息をついて椅子に座った中畝が見あげて聞いた。
「・・! その、ビルが、どうかしたの、か? 」
いきなり出された‘大島ビル’の名前に体が強張った、が、中畝は気付いていない。
「担当者が、『ソコへ連れて行ったら考えてやる』とか言ってきて。競合している会社もあるし、早い者勝ちで取引するとまで言われて追い返されたんです」

「そこ・・、どんな所か、知ってるか・・? 」
「・・・聞かされました」
問いかけた苑田に中畝は苦い顔をする。
「信じられませんでした。そんな・・、性的サービスをするビルがあるなんて。しかも男まで、相手をする・・とか。鳥肌、立ちそうでした」
「・・そう、だな」
「赤谷さん、あ、その担当者ですが、『いっぺん男とヤッてみたいんだ』 なんて、ニヤつきながら言うんですよ? 信じられない」
身震いし、吐き捨てるように言う。
「でも、課長には話せないし、取引はできれば成功させたい・・・・。苑田さん? 」
顔色の変った苑田へ、驚いたように声を掛ける。
「すいません、嫌な話きかせちゃって。 大丈夫ですか? 」
「あ、ああ」
震える声と指先を誤魔化すように苑田は自販機へ向きを変え、硬貨を入れる。
「・・・それで、ほかに誰か話したのか? 」
「言えませんよ、こんなの。喋ったのは苑田さんが初めてです」
「また、行くんだろう? 次は、いつだ? 」
「三日後です。すこし頭冷やそうと思ってるんで」
怪訝そうに応える中畝。
「俺も行こう」
苑田の言葉に目を見開いた。
「二人で頼めば何とかなるかもしれない。 いいか? 」
「『いいか?』 だなんてとんでもない! 苑田さんが来てくれるなら大歓迎です。
ありがとうございます!」
相談してよかった、と肩の荷を下ろした様子の中畝に知られないよう、苑田は重い息を吐いた。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-25


二月に入りバレンタインのチョコが一気に目立つようになった。でも、こっちはそれより受験や来月の卒業、新年度の入学・就職に合わせた業務が目白押しだ。

このところ苑田さんとすれ違いが多くなっていた。今日も、
「苑田さん、時間、ありますか? 」
「悪い。今日は・・、これから中畝に付き合う事になってるんだ」
中畝さん? ・・・けど、
「今、組んでるのは北森じゃ・・」
「苑田さん、すみません待たせてしまって。あ・・、新井くん」
中畝さんが嬉しそうにやってくる。
「ごめん。チームとか個人とかでも苑田さんが忙しいの分かってるんだけど、今回、特別に頼んで同行してもらうんだ」
「中畝、行くぞ。 新井、用件だったらメールで入れておいてくれ」
「あ、はい。それじゃあ」
苑田さんは中畝さんを急きたてるように行ってしまった。

「なんだよ、もう・・・」
気が抜けた感じと苛立ちで呟き、仕方ないので席に戻る。本当は苑田さんと、高階さんのことを話したかった。
「メールじゃ駄目なんだ・・・」


~~ 大島ビルが絡む話は、新井に聞かせたくなかった。
あとは、多分、中畝の話していた事が引っかかっているんだろう。

『新井くんと絹里さんが仲良く話してるの見ちゃって・・・・』

二人の距離がどこまで近付いているのかは分からない。だが、聞いて穏やかにしていられなかったのも事実だ。
(こんな気持ちを知られたら、呆れられるだろうか)
きっぱり否定した崇に悪いと思って、まともに顔を合わせず中畝と出てきたことを少し後悔する。
「苑田さん、よかったんですか? 新井くんのこと」
「大丈夫だろう。あいつだって一人前の営業なんだ。・・ああ、おまえがそうじゃない、っていうんじゃないぞ」
「すいません」
「ともかく取引先・・、蒼元社と話をしないとな」
「はい」
努めて笑顔を作って中畝を励ました。 ~~

午前中に、とアポイントを取り出掛けた先で引き合わされて担当者を見た苑田は、これは、と思った。
(中畝が手古摺らされるワケだ)
どちらかといえば新井に似て真っ直ぐな中畝の苦手とする、言質を取らせない話し方、自分の要求は出せるだけ出して、こちらに妥協を要求する嵩にかかった態度の相手だ。
対する中畝は中途採用者であり、恩のある一之瀬とつながりのある相手先だけについ要求を受け入れてしまう。 不利であった。


蒼元社・総務の一角、パーテーションで仕切られた応接スペースで向かい合って座る。
「名賀都商事さん、しばらく間が開きましたねぇ」
「はい。すみませんでした。 色々調べていたものですから」
「鳥井ステーショナリーさんは日参でしたが、そちらは余裕があるんですなあ。大したものだ」
赤谷の言葉に中畝が詰まる。
「それに今日はお二人で」
「はじめまして。苑田と申します」
名刺を出す苑田を、赤谷が粘つく視線で眺める。
「中畝さんとご一緒ということは、うちを引き継がれるんですか? 」
「いいえ。今回はお話をよく伺いたいと思いまして同行しました。申し訳ありませんが、もう一度内容をお話しいただけませんか? 」
「それはそれは。ですが残念です。苑田さんが担当に変わるんだったら考え直す余地もあるんですけれども」
背中を反らし、見下すように二人を見る赤谷に中畝がぐっと拳を握った。

「赤谷さん、中畝から聞きましたが、取引枠がそうかするかもしれない、というのは本当でしょうか? 」
赤谷の視線がそこへ向かないよう苑田が話しかける。
「ええ、苑田さん。ですが、鳥井ステーショナリーさんの対応が早いので、どうしようかと迷っているんですよ」





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-26

「それはっ」
「おや、何か? 中畝さん。私は前にも言いましたよ? 取引しているのはお宅だけでは無い、と。それに早い者勝ちだとも。」
「では、鳥井ステーショナリーさんは、赤谷さんの出した条件をクリアしたんですか? 」
さすがに苑田が強い口調になったが、赤谷は、
「それはこちらから言う事ではないでしょう? ま、近い状態だと思ってください。あとはそちら次第ですね。もちろん無理にとは言いません。ただ、一之瀬さんは吉報を楽しみにしていらっしゃるでしょう、ね」
のらりと言い抜けし、プレッシャーをかけてくる。
「だからってあんな・・・」
「中畝」
大声を出しかけたのを苑田が窘(たしな)めた。

「苑田さんの方が話が通じるようですな。どうですか、場所を変えてもう一度話し合いませんか? 」
舌なめずりしそうな表情で身を乗り出してきた。
「それはお答えしかねます。私はオブザーバー(立ち合い)ですので」
「・・・そうですか。残念ですね。
中畝さん、こちらの条件を変えるつもりはありませんので、準備が出来たらまたいらしてください。では」
苑田の撥ねつけに白けた赤谷が態度を横柄なものにかえ、言い捨てて立ちあがる。
「一之瀬さんもあなたのような部下を持ってお気の毒に」
「赤谷さ・・・」
「赤谷さん、あなたにそのようなことを言われる筋合いはありません」
気色ばむ中畝より先に、苑田が切り返す。 赤谷の顔が歪んだ。
「ふ・ふん。君たちより進藤部長に来てもらった方がよっぽど良かったよ。彼ならすぐあのビル・・・・」
「分かりました。そこまで仰るなら結構です。この話、お断りさせていただきます」
苑田が立ちあがり、赤谷を見据えて言葉をつなぐ。
「我々は今まで御社といい関係を築いてきたと思っていました。ですが、仕事に色事を含ませろと強要されてまで取引を続けたいとは思いません。
増枠の件はどうぞ他社へお持ちください。 失礼します」
「・・・苑田さん」
「「き・・君! ・・い、いいんだな? 取引全部中止にするぞ! 一之瀬くんに恥をかかせることになるんだ! 」
「もちろんです。
行くぞ、中畝」
「はい。 失礼します。ありがとうございました」
一応は頭を下げ、挨拶した中畝だったが、苑田とともに振り返りもせず出ていく。
それとなく様子を窺っていた部屋の人間たちのなかで、一番年下の女子が、
「名賀都商事さん、かっこい~」
と呟いていた。


蒼元社を出、近くのコンビニに入るまで無言の苑田に、中畝も話しかけず付いていく。ドリップ式のコーヒーを買い、さらにしばらく歩いて小さな公園のような所で立ち止まった苑田が、空を見上げた。
「あ~~、やっちゃったなあ。。」
「・・ですね。
でも、久しぶりに見ました、先輩の‘爆発’」
笑いをこらえながら言う中畝に目をやり、苑田は苦笑する。そのまま、二人でコーヒーを飲みほした。
それから真面目な顔になった苑田が向き直る。
「済まなかった。
フォローするつもりで来たのに、進めるどころかブチ壊してしまって。おまえの努力、パアにしてしまったな」
「や・・やめてください苑田先輩。頭上げてくださいよ。 それに俺だってスカッとしたんですから」


一方、蒼元社では、課長の百地が爆発していた。苑田と中畝が立ち去ってすぐ、赤谷に詰め寄る。
「ちょっと・・・、赤谷さん、どういう事なの? 今の話。まさか、名賀都商事さんと揉めたんじゃないでしょうね?!
あそこは中堅どころだけど、業界で信頼されてる会社なのよ。取引中止なんかにしたらこっちが被害を受けるんだから! あなた、それ、知ってるんでしょうね! 」
「う・・。くそう、五月蠅いな、だから女の上司なんて嫌なんだ。向こうが俺の出した条件を呑んでさえいれば、こんな事にはならなかったんだぞ。悪いのはあいつらだ!」
「何で私に怒鳴るのよ! 私は上司よ! 」





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その70

今週末、というか来週というか、次の日曜日避難訓練があります。

町支給の避難リュック背負って第1次避難場所まで。
前回(去年)も同じことをして、ついでに「煙の中を逃げる」体験や消火器を使う訓練・・・練習?もして。

今回は黄色のタオルハンカチをもらい、「ウチは避難しました」という合図にするため、玄関に結んだりするそうです。
・・・訓練だからいいけど、「ウチ、いまだ―れも(誰も)いません」って宣言してるようなもんだよね、と思ったり~。

と。
もし、災害が起きたらどんな時が嫌かな、なんて思考が脱線(笑)。

まず、寝てる時かな。爆睡中だったら危険ですし、すぐ外へ出られない格好。助けを呼ぶにもちょっと・・。特に夏。
トイレとか、お風呂の最中も困るだろうなあ。  それに階段。  あ、洗面所にいる時も、です。

となると、鞄持って外出中が比較的安心・・?
でも、デパ地下の試食コーナーで、「お一つどうぞ」 「あ、どーも」 な時だったらかなり恥ずかしい、か。


閑話休題 (話を戻して。
一つ腑に落ちないのは、避難場所。
我が家の目の前、小学校。 第一次避難場所、用水に架かる橋を渡った向こう側。小学校と反対側。   あれぇ?
こんな時は遮二無二ルール守らなくても、いいよね?


でも、こんな風に考えがフラフラできるのも、、練習だから。



災害に遭われた皆さまが、1日でも早く安心して笑顔になれますように。心身の傷が少しでも癒されますように。
心からお祈りします。
募金箱に毎回ちゃんと、はしてないけど、ボランティアは出来ないけど、本当に僅かでも支えになれればと思います。

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*暖かくなったら-3

「さ・サンキュ、智」
「気をつけろよ。蓋を落としたりしたら大変なんだから」
「えー、俺の手より鍋の心配?? 」
「そんなことないって。おまえの手も、心配」
「『も』―? ひっどいなあ」
「涼二、いつまで握りながら話してんだ。さっさと水で冷やしてこいよ」
何故かほのぼの話していた俺と涼二に内海が冷たい言葉を投げる。
「そこで手を握りあってたら鍋が食べられない」
「あ、悪い」


「うまかったー」
「うん、誰かが海老入れてくれたもんな」
「貝だって蛤のでっかいの入ってたし」
「蛤? 俺食べてない~」
誰も自分が何を持ってきたのか言わないし聞かない。 そして、話はいつの間にか就活のことになった。

「内海はどうすんの? 」
缶ビールを飲みほした和泉が聞く。
「俺の所はこれから需要が増えそうだからまあ焦らないけど、智はどうなんだ? 」
「俺? ・・・うん、ちょっと焦ってる。でさ、一つ資格取ってみようと思ってるのがあるんだ」
「何? 今からでも間に合うの? 」
「うん・・。俺もこれから詳しく調べるんだけどさ。
今、森林セラピーってのがあるんだって」
「森林・・なに? 」
「森林セラピー。
俺もラジオで聞いただけだから良く分かってないけど、森を歩いて癒される、感じ?俺が取ってる講議に近いのがあると思って。それに、山とか森とか好きだしさ」
「ふーん」
「けどさ、森を歩くだけなんだろ? 面白いのか? 」
「面白いんじゃなくて、癒しなの」
「はいはい」
「おまえも彼女と行けば? 涼二」
「おっ、それ、いいかも」




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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-27


「何事かね?」
開いているドアから不快そうな顔をして入ってきたのは、
「狭山部長」
さっと立って行くのは藤山だ。
「外まで聞こえているぞ。一体なにがあったんだ? 」
「実は・・」
藤山が事の次第を話しかける。
「部長、赤谷さんが私を侮辱したんですっ」
「違います部長。それは名賀都商事の連中のせいです。俺、じゃない、私のせいではありません! 」

「とにかく順序立てて話してくれ」
口々に言い立てる三人に、今度は部長が声を張り上げた。



「「ただ今戻りました」」
「ああ、お帰り。
中畝くん、苑田くん。ちょっと」
外回りから戻ってきた二人を、一之瀬が呼んだ。
「はい」
「何でしょう? 」
机の前に立ったところへ、
「やってくれたそうだね」
苦笑交じりに見上げる。 中畝は棒立ちになり、苑田は唇を噛んだ後、
「・・申し訳ありませんでした」
頭を下げた。
「電話がかかってきたよ、蒼元社さんから。詳しく聞きたいんだけど、いいかな? 」
「はい」
それじゃ、会議室いこうか。と立ちあがる一之瀬。二人が続いた。


「・・・そうか。そんな事があったのか」
「はい、課長・・」
穏やかに経緯を聞いていた一之瀬が、話し終えた中畝に少し厳しい顔をする。
「だが中畝くん。私はそんなに信用がないかな? 」
「え? 」
「取引増枠の件はともかく、その、大島ビル? ・・の話くらいは私に相談、もしくは報告をして欲しかったよ」
ハッと気付いた中畝。
「す・すみませんっ」
「課長、悪いのは私です。中畝をサポートするつもりだったのにご破算にしてしまって。本当に申し訳ありませんでした」
今一度頭を下げ、中畝は大学の後輩だったから、と彼を庇う苑田には、
「うん・・。苑田くんのことも言っていた。えらい啖呵を切ったとか。
どうも、あちらの部長、狭山さんの耳にも届いてるらしい。それで、明日また来て欲しいそうだ。私も一緒に」
「蒼元社の部長にまで?! 」
中畝が驚く。
「そういうことだ。 明日、一番に行くから、二人ともそのつもりで出社してきて欲しい。 
話はこれで終わりだ。仕事に戻ってくれ」
「・・・わ・かりました」
「はい。明日ですね」

頷きを返して一之瀬が席を立った時、中畝が喉を詰まらせながら声を出す。
「課長・・・。俺を、馘首(クビ)にしてください」
「中畝くん」
「僕が、ちゃんとしていられなかったから、迷惑かけて。先輩だけじゃなく課長まで巻き込んで・・・。僕が」
「中畝くん。考えすぎない事だ。言われたのは『来てくれ』というだけなんだよ。君たちへ言及はしていない。
今日は気持ちを切り替えて、ミスをしないようにね」
「・・。は・い・・・」


中畝が動揺を隠しながら仕事を終え、退社した後。苑田は一之瀬がまだ残っているのを確認すると、事務処理を急いで片付けた。

「課長、少しお時間いただけますか? 」
「苑田くん? ・・ああ、構わないよ」





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-28


苑田が一之瀬を連れ出したのは一階下の休憩コーナー。
「聞かれたくない話? 」
尋ねられ、どう言えばいいか悩んだが、結局、
「聞きたい事があるんです。いいでしょうか? 」
簡潔に切り出した。
「そう来られると恐いね。・・・何だい? 」
口にするのは勇気が要る。一つ息を吸って、
「・・。『大島ビル』のことです。 
中畝の話を聞いた時、あなたはそれほど驚いていなかった。・・あいつは気付いてなかったですけど。ですが」
「うん。 あの話、耳にした事がある」
一之瀬は静かに答えた。

「課長も、ご存じだったんですか・・? 」
上ずるのを押さえようとした苑田の声が掠れる。
「進藤部長に一度、聞いたことがある。自分が出入りを許されているとあるビルは、丸ごと接待ビルなんだと、自慢げに。ついさっきまで思い出さなかったし、そのビルの名前も知らなかった」
目を伏せ、無言になる苑田へ続ける。
「君は・・・、危ないね」
「え・・? 」
「時々、女も・・、男も誘う色気を発散させてる。進藤部長が君を連れ出した時。今でも。 彼は、その理由(わけ)を知っていた? 」
「課長・・・」
顔を覗き込むようにしながら目を細める上司に、苑田は我知らず半歩、後ずさる。
「君と、‘大島ビル’。 二つ揃ったら大概の相手は落とせるだろう。・・・成る程、彼の成績はそうやって上がったのか」
「一之瀬・課長・・。俺は」
「噂は、事実だったのかい? 」
ビクリと体が竦み、悪寒が走る。一之瀬の視線が頭から足先まで一巡した。

「彼が京都へ行ったのはその所為か。君を使って仕事をしていれば、どんなに内密にしててもいつかは漏れる。上層部に知られて、飛ばされたんだな」

事実は、違う。だがそれは口が裂けても・・・言えない。

「君も、気をつけるといい。噂は、ことにあの手の噂は消せないからね」
「課長」
「大丈夫。私は男は駄目だ。口説くのも抱くのも、女性限定」
青ざめた苑田にくすくす笑うと断言して、
「話はそれだけかい? じゃ、戻ろうか。仕事が残っている」
妖しくなりかけた雰囲気を散らして背中を向けた。



翌日、朝のミーティングを済ませたその足で蒼元社へ向かう。来客用としてはグレード感のある応接室へ通された。

「どういう事なんでしょう? 」
目の下に隈は作ってないが、不安を拭えない顔で中畝が問いかける。 苑田がただ肩を竦め、一之瀬も首を傾げるだけだ。
「さあ? 向こうにしても色々都合があるんだろう」
お茶の一つも出されないまま、時間が過ぎていく。

「僕、総務の部屋へ行って来ます」
「やめとけ、中畝」
痺れを切らし立ちあがった中畝を、苑田が制した。
「焦って動くと相手の思う壺だ。・・・・いいから、座れ」
「苑田くんの言う通りだ。 中畝くん、外を見てごらん。飛行機雲がきれいに見える」
「課長・・・」
渋々座れば、確かに一之瀬が言うように窓の外には飛行機雲が一筋、伸びていってる。
ふーっと息を吐いた時、ドアが開けられた。

「お待たせしてしまって申し訳ありません。総務部課長、百地です」
入ってきた女性はそう名乗って頭を下げる。一之瀬、苑田、中畝も立ち上がった。
「こちらこそ朝早くからありがとうございます。名賀都商事営業二課課長、一之瀬です」





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-29

「今日来ていただいたのは昨日の件で・・」
座るなり話しだした百地は焦った気配をみせている。何に焦っているのか判れば、取引の糸口がつかめるかもしれないと苑田が情報を得ようとして、バタバタ近付く足音に気を散らされる。

「課長!あんた一体何してるんだ! 名賀都は切ると言ったはずだぞ! 」
ばん、とドアを乱暴に開け、乱入してきたのは担当の赤谷だった。
「赤谷さん、勝手に決めないでくださいね。決定権は私にあるんです。それに、いきなり割り込んで来ないでください」
少し後ろめたさもあったのだろうか、早口に言った百地はツンと横を向く。
「何だと?! この・・・」
「きゃああ! 」
「やめたまえ! 」
色をなした赤谷が百地の肩を掴む。 悲鳴をあげた彼女を助けようと一之瀬が動いたところへ、
「課長っ、赤た・・、赤谷さんっ、何してるんですかっ! 部長、赤谷さんが! 」
「は・・放せっ、くそっ! このひらめ・・・」
「百地くん、大丈夫か?! 」

「狭山部長、警察を呼びましょうか? 」
赤谷、藤山、狭山らの騒ぎに、苑田の静かな声が通り抜ける。
‘警察’の言葉に、赤谷が急に大人しくなった。
「じょ、冗談だろ・・・」
「その方がいいかもしれませんよ? どうします、百地課長、・・狭山部長? 」
体格のいい藤山が赤谷を後ろから羽交い締めにして、二人の上司を窺う。
「・・・騒ぎは困る」
狭山が渋い顔をした。百地の方は、
「もう十分騒ぎになってると思いますけど。・・総務の部屋にしなくて正解でしたわ。藤山さん、赤谷さんを連れてって。どこかで頭冷やしてもらってちょうだい」
窮地を脱し、ホッとして藤山に命じる。
「はい、分かりました。
ほら、赤谷さん、こっちですよ」
一任された藤山が喜びながら、抵抗しなくなった赤谷を放し、腕を掴み直して部屋を出る。どこか、会議室にでも行くのだろう。

「あー・・。どうも済まなかったな。まあ、座ってくれ」
ドアが閉まり二人が出ていってから、狭山が口火を切った。
改めて五人が座り、名刺交換のあとお茶が運ばれてくる。
「・・・今回は、どうなるんですか? 」
喉を潤したあと、一之瀬の問いかけに、対する二人は顔を見合わせ探るような視線を交わす。そして百地が、
「・・納入については、今まで通りです。増加分は・・・」
ちらりと狭山を見、頷きを確認して、
「名賀都商事さんに、七割をお任せしようと思ってます」
「七割、ですか」
百地の言葉を一之瀬が繰り返せば、
「一之瀬くん、だったね。それで、今回は収めてくれないか? 」
狭山が渋い顔でつけ加える。
「・・・。分かりました。中畝くん、苑田くん、いいね? 」
「はい」
「はい、ありがとうございます百地課長。狭山部長」
「では、書類などの手続きをしますので、総務まで来てください、中畝さん」
了承し、頭を下げた中畝と苑田に、百地があからさまにほっとした笑顔を見せ中畝を呼んで立ちあがった。


「終わりましたね」
「揉めずに済んでよかったな、中畝」
「結果オーライだったが、良しとしよう」
三者三様の感想を口にして蒼元社を出たときには、十一時近くになろうとしていた。
「戻る前に一休みして行こうか」
一之瀬が先にたち、駅前のホテルのラウンジでコーヒーを頼む。

「それにしても・・・」
一之瀬はカップ越しに部下たちを見やり、思い出し笑いをする。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-30


「君たち、あちらを相当脅したようだね」
「そんなことはありません」
「無理な要求を出されたのはこちらの方です」
「しかし、百地課長はずいぶん焦っていた。取引中止があの・・、赤谷さんという担当のせいだと業界に知れたら困った事になる、という様子が私にも見て取れたくらいだ。
私も気をつけないと。苑田くんに怒られたら大変なことが起きそうだ」
「課長、止めてください。俺はそんな」
「そうですよ課長。苑田さんが本気で怒るとすごくって。大学でも有名だったんですから」
「中畝」
睨まれて首を縮める中畝。それを見て一之瀬が笑いだす。
「十分気をつけよう。私も、中畝くんも」



ここで、少しだけ名賀都商事のことを。

戦後からの会社ですが、業界では、『あの名賀都商事が取引している会社なら、信用できる』と言われるくらい実績があり信頼されている会社です。一つの基準にもなってるくらい。
なので百地さん焦りました。自社の信用がガタ落ちになってしまう可能性があったからなんです。

中畝くん、その名賀都商事に入社出来て、一之瀬課長を恩人だと思ってます。



そして苑田の昔(大学時代)。
まだお兄さんもいて、中島(部長)さんとも仲良くつるんでいました。年下なのでやっぱり‘弟’位置。
モテていたようです3人とも。それぞれ女子のカラーは違ってましたねぇ。

範裕くんはモテ・プラス相談相手。
一度、知らないうちに二股かけられていた女子(相手は範裕くんたちではありません)から、『私のこと、別れるかどうか、彼がグループのみんなと賭けてるの・・・』なんて相談されて、怒って彼氏グループとケンカになった事があったんです。相談した女の子がそのどーしようもない二股男に尽くしてたの、知ってたから。
相手グループ、もちろんやられちゃいました・・・。それを見て彼女、熱が醒めたようです今は別の男と幸せに(笑)。
中畝くん、その時のことを言ってます。



朝早くから苑田さんが、中畝さん・一之瀬課長と出ていった。

― ・・・なぁ北森、苑田さん達何かあったのか? 」
出ていく時の様子が気になり、こっそり社内回線で二課の北森に探りを入れる。
― う~~ん、俺もよく知らないんだけどさ、中畝さんが今担当してる会社で揉め事があったらしい」
― おまえが付いていかないの? 」
― それがさ、苑田さん自分から言ったらしい。『一緒に行ってやる』みたいなこと。
中畝さん、苑田さんの後輩だし」
― ・・・・苑田さん、が・・・? 」
― 新井? 」
― あ、悪い、それならいいんだ。なんでもない。じゃあ」

何でも無くない。
苑田さんが、自分から『一緒に行ってやる』 と言いだした事に心がざわざわと波立ってくる。
(落ち着け、俺。苑田さん、きっと中畝さんに頼まれたんだ。でなきゃ自分からそんな風に言わない・・・はず)


苑田さん達が帰ってきたのは昼近く。三人とも明るい顔をしていたから上手くいったんだろうことは分かったけど、俺はもやもやしたままだ。昼休みも苑田さんの横に中畝さんが居て、話しかけられない。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その71

贅沢

それは、いつもよりお金とか時間をかけてするもの。
理由があったりなかったりしますが、今の私がしたい最高の贅沢は、’時間を気にしないで過ごす。’ ・・ということかな?

秋も深まって来ると、日の暮れるのが日に日に早くなって 「え? もう? 」 と時計を見直すくらい。

日中に済ませておけばよかった事があれもこれもあって。
そのくせ夜になったらしたい事もあって。
まるで’穴のあいたバケツを前に悩む’ような歌みたいです。


ご存知の方、いるでしょうか? 私の記憶では某国営番組の歌にありました。

♪ バケツに穴があいている 穴開きバケツじゃ水が汲めない
 それならバケツの穴を塞げばいいじゃないか♪

のような歌詞で始まる歌。  これ、結局穴が塞げず途方に暮れる・・な終わり方をします。
「ばっかねー」と思っても、実際は自分でもよくやってるような・・。。。



ああ、今日も終わってしまいす。 また心のホワイトボードに、 「明日こそは○○と▲▲を 絶対! 片付けるぞ―! 」と書きこむんだろうなあ。





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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*暖かくなったら-4

文中、 - のつく会話は電話でのやり取りです。



あれから本気になって調べてみたら、俺の勉強してる事に近くて早速PCで資料を眺める。
「フィールドワークがある。・・指定されてる森のレポートかぁ。 和叔父さんと行きたいなあ」
合格したら優奈ちゃんと歩こう。
そんな事を思いながら、メールする。

::和叔父さん、ちょっと相談に乗って欲しいんだ。急がないけど、後で都合のいい日教えて。

夜中だったし、本当に急いでなかったけど、五分もしないうちに電話が鳴る。
― もしもし」
― どうしたんだい? 智」
― うん、あのさ、和叔父さん、‘森林セラピー’ って知ってる? 」
― 『森林セラピー』? いいや、初めて聞く」
― 森林浴を科学的に利用するためのガイドみたいなもの、らしいんだけど」
― ・・ちょっと待って」
電話の向こう、キーボードを叩く音がした。
― ・・・ああ、これか。 よく知ってるね」
― 俺も偶然聞いたんだ。それで、面白そうだから資格取ってみようと思うんだけど」
― 良いんじゃないか。でも、面白半分で取るつもりならだめだよ」
― はーい」
― それで? 他に何かあるの? 」
― え? と、特に無い。 和叔父さんに聞きたかったんだ」
― そう」

あ、今なんか和叔父さん、電話の向こうで笑った気がする。

― それなら、車の免許も取っておいた方がいいと思う」
― 車の? 」
― 森に行くんだったら必要だよ? 着替えとか積んで行ける」
― あ・・、そっか」
そこまで考えてなかった。やっぱ和叔父さんに相談してよかった。
― 分かった。それも考えとく」
― 手伝える時は手を貸すからね」
― ありがと、和叔父さん。じゃあ、お休みなさい」
― うん、おやすみ」

・・運転免許、かあ。和泉はもう持ってたっけ。身分証明にいいんだって言ってた。
就活でも役に立つかな? 




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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-31

今日は最初の方、苑田視点が入ります。 ~~ から ~~ の間です。



~~ 「苑田さん、すみません、教えて欲しいことがあるんです」
「新井? ・・・後に出来ないか? 」
蒼元社の件が片付きホッとした午後、遅れがちだった自分の営業先を回ろうとしていた時、新井が俺を引きとめた。
「あとじゃ駄目か? 」
「すぐ済みます」
時計を見る間もなく腕を取られ、会議室へ押し込まれ、カチ、と鍵をかける音がして、
「新・・・っ」
向き直った新井にいきなり両肩を掴まれ、驚きにあげた声もすぐ塞がれて途切れる。
「ん・・んっ。・・・っは、む・・ぅ・んんっ」
抵抗しようとしたがさらに腕を回して抱き込まれ、身動き出来ない。そして口腔を貪るように舌で愛撫してきた。
「・・・っん、んん」
息が続かなくなり、苦しくて崇のスーツの背中を引っ張るとようやく気付いたらしい。
唇を離した。 ~~


午後、外回りに出ようとしている苑田さんをギリギリで捕まえられた。でも、自分の本来の仕事が押しているから、とすげなくされ、頭に血が上る。
強引に会議室に連れ込んだ。そして、、間近で顔を見て、気持ちが暴走し出だす。

ささくれた気持ちをぶつけるようなキスをしていて、スーツを引っ張られるまできがつかなかった。
慌てて口を離すと、苑田さんが何度も肩で息をする。
(どんだけがっついてたんだ・・・・)
急に熱が退いていきいき、自分のした事がきまり悪くなる。
「気が・・、済んだ、のか」
まだ呼吸を整えながら苑田さんが聞く。
「うん・・・。。」
まだ抱きしめているから、距離があるのは胸から上だけ。その位置でまともに見られて目を逸らした。
「会社で、まして就業時間中にすることじゃ、ない」
言葉は厳しかったが怒ってはいないと言いたげな声で咎められ、シュンとなってしまう。
「ごめん・・・。範裕さん」
我慢できなかった、のは言い訳にもならない。だから今度は‘ごめんなさい’と、出来るだけそっと、優しいキスをした。
「これきりにするなら、許す。だけど、俺も。・・・崇の補給」
言って、今度は範裕さんの方から唇を重ねてくれた。


「で、’教えて欲しいこと‘は? 」
落ち着いた俺を促して椅子に座りながら尋ねられる。
「あ。・・えっと、高階さん、圭一さんの方なんだけど、事務所みたいなの欲しい、って相談されて」
「事務所? 」
仕事モードに戻った苑田さんが三分だけだと腕時計を見て聞いてくる。
「それは俺たちの仕事じゃないだろ? 」
「そうなんだけど・・・」
ふう、と息を吐いて、
「親身になりたいのは分かるが、そこまで行くな。線引きはきちんとしとかないと逆に揉める」
「は・い・・」
「相談だけなら付き合ってやるから。夜、行くのか? 」
「多分」
「メール入れろ。俺も都合つけられるようにするから」
「分かった」

仕事が終わり、メールを入れる。苑田さんは外回り中だったらしく、
::直接行く
と返事が来る。了解し、俺も駅へ向かった。






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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-32

店に入るとすぐ、
「新井さん、あそこに居ます。・・・すいません、義兄さんが変なこと頼んで」
と謙治さんがカウンターから出てきて言う。
「そんなことないですよ。そもそもは新年会で俺が謙治さんに会ったからじゃないですか」
笑って答えるとほっとした顔になる。それじゃあ、と、ついでに三人分のビールをもらって苑田さんたちの席hへ。

「遅くなりました」
声に、睨みあうようにしていた二人が顔をあげ、俺を見て目を丸くした後、笑いだした。
「・・・崇、いつからこの店の店員になったんだ? 」
範裕さんがまだ可笑しそうに口元を緩めながら片手のジョッキ二つを取ってくれる。
「でも、似合いかもしれませんよ、新井さん」
圭一さんも、範裕さんからビールを受け取りながらそんなこと言う。
「・・・出来ませんよきっと。俺、今の仕事好きなんで」
会社には範裕さんだっている。目標で恋人のひろさんがいるから頑張れるんだ。
空いてる席に座りながら続きを心に呟いた。

「あの、それで、何話してたんですか? 」
俺の言葉に、思い出したように圭一さんの顔が苦くなった。
「苑田さんに撥ねつけられたところだよ」
「『撥ねつけ』・・・って? 」
「そうじゃない。俺たちに出来るのは相談に乗ることだけで、共同作業は無理だと説明していただけだ」
俺の方を向いて言い聞かせるように話す範裕さん。そして、
「さっきも言った事ですが、俺たちはあくまで文具会社に勤めている会社員です。事務所の図面を見せられてもアドバイスは出来ないんです」
圭一さんにはっきり告げた。
「・・・・ほらな。
さっきはもっとキツイ言い方されたんだぜ? 『こっちのせいにして、後から文句つけられたらたまらん』、みたいな」
顔を顰めながらジョッキを取り、ゴクゴクと半分も一気に飲んでしまう。
「俺一人じゃ頑張ったって限界があるっての、分かってくれねぇんだ、この人は! 」
タン! とテーブルに音を立ててジョッキを置き、ハァッ、と息を吐き出す。
(大丈夫だろうか? ・・・圭一さん、酔っぱらってる)

うっかり口を開けない、そんな雰囲気で圭一さん、ヒートアップする。
「あんたさ、俺のこと、そんな上から目線でみてて、楽しい? 上手いこと乗せられて踊ってる阿呆だと思ってんじゃねえの? ・・・なあ、答えろよ! 」
「圭一さん、・・! 」
酔って、目が据わった圭一さんが自分の言葉に興奮し、止めようとした俺の手を払って立ちあがり、苑田さんの胸倉を掴む。
「・・・・いい加減に、しろよ」
範裕さんの低い声に、ドキッとした。こんな声、初めて聞く。そして圭一さんも自分の手首を範裕さんに掴まれてぎょっとしたようだ。
「何で俺達がここに来てると思ってる? あんたを応援してやりたいからだ。
それなのにあんたはまだ他人を頼ろうとする。自分の足で立とうとしない奴にどうして手を貸せるんだ。 甘ったれんな!
俺は、あんたが本気を出すと思ってあの時頭を下げたんだぞ」
範裕さんの迫力に圭一さんの手から力が抜ける。それをゆっくり引き剥がした。
殴り合いになるかも、と心配した俺はほっと息をつく。同じような音が聞こえて店の中を見回せば、俺と目が合いそうになって慌てて向こうをむく人もいて、見られていたんだ・・、と顔が赤くなった。

一度深呼吸をした苑田さん、手を放して、
「俺は、あんたを見下したりしていない。だが、言い方が悪かったなら謝るよ。悪かった。
・・・崇も来た事だし、もう一度最初から話をしないか? 」
「・・・・ああ」
圭一さんも二・三回深呼吸し手気持ちを落ち着けたようだ。掴まれた手首をさすりながら椅子に座りなおす。
「崇、水をもらってきてくれ」
「わかった」
頷いてカウンターへ行き、水を頼む。おやじさん、水を汲みながら、
「悪いな、あいつ押しつけちまって。・・・・酒癖が悪いのは、俺に似てな・・・」
申し訳なさそうに小声で謝った。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-33

もう一度三人で座って、範裕さんが話しはじめる。
「それじゃあ、崇にも分かるように最初からな。

話していたのは圭一さんの仕事の事なんだ。
この店の名刺やカップを作っただろう? あれが評判良くて、圭一さんは仕事として色々引き受けるようになったそうだ。最初はその事や文具の話もしていた。けど、『もっとちゃんと仕事が出来るスペースが欲しい』って話になって、気持ちは分かるが、それは俺たちの関わる問題じゃない。 と話したんだがどうにも平行線で」

ああ、それで・・・。

納得した顔になる俺に、圭一さんがぼやく。
「・・・俺だって、少しは遠慮したんだ。けど、ほかに相談できる相手もねえし」
「出来るのは助言だけだ」
「だから! 」
「あの、圭一さん」
またケンカになりそうで口を出す。
「・・・・、何だ? 」
「揉めた原因、って何ですか? 」

「ああ・・。
新井さん、あんたも聞いてただろ?事務所が欲しいな、って事」
「はい」
「不動産屋行ったら、保証人が要るとか言われてな。それで・・・」
「俺達はそこまで出来ない、と断ったんだ」
圭一さん、肩を竦め、
「こう。ちょっと聞いてみただけなのに、けんもほろろ、さ」
「第一あんたは何も決めていないじゃないか」
「決めるって、何をだよ? 」
圭一さんの目が尖りだす。
「自分がどうしたいのか、譲れない物は何か、だ」
「どうしたいのかって・・、事務所は」
「事務所の中のレイアウトじゃない。立地のことを言ってる」
「立地い? 」
「そう、場所。ここから近い所とか何階にしたいとか、窓の有る無し。そういうもの」
聞かされて、圭一さんが黙りこむ。そこは考えてなかったようだ。
「まず入れ物からだろ? はじめに書き出してみろよ、欲しい物全部。そこから妥協できるもの、譲れない物を選んでいけばいい。それを決めてから場所探し。決まってから中のレイアウトだ。順番、間違えるな」
「・・・わかった。あんたの言う通りにやってみるよ、苑田さん」
圭一さんがそう言って、ぶつかり合うような会話がやっとひと段落。俺までホッとして、いつの間にか力の入っていた体を緩めて椅子の背もたれに寄りかかった。
 でも、範裕さんがこんなに熱くなるの、初めて見たかもしれない。

圭一さんは、というと、激論を交わしたせいだろうか範裕さんと仲良くなってしまった。


「範裕さん、今日、俺の所で泊まる? 」
あのあと、看板近くまで三人して結構飲み、酔った範裕さんが色っぽい。昼間のキスもあって一人寝するのが難しそうで、店を出て駅に向かう途中誘ってみた。答は。
「・・今日は無理だな」
「どうしても? 」
「だ・め・だ。・・・色々あって疲れてる。帰って寝たい」
「・・・うん」
だよね。朝は中畝さんに付き合って、昼は・・、俺と。最後に圭一さんとバトってたもんな。
「それに明日も平日だ。・・・仕事に支障が出たら困る」
向こうをむきながらの後半、頬が赤くなってる。断られて萎えた気持ちが急浮上。
「なら、あさって。金曜」
範裕さんがさらに赤くなったけど頷いてくれて、嬉しくて、
「やった! 」
「・・崇」
抱きついた俺を、人目があるだろう、と引きはがすひろさん。 いいじゃないか、酔っぱらった振りしておけば。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-34

今日は前半にRが来ました~(R-18?)。 オチがついてるのでガックリなさらないでくださいネ。 ですが、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールして、どうぞ。







































・・裸のひろさんがベッドに向かって立ち、体を折るようにして手をベッドの端に付いている。足は肩幅より広げられ、尻が俺の方に突き出されている格好だ。淡く色づき、平らに伸ばされた背中が時々震える。
「ひろさん・・」
背中に張り付くように上半身を重ねると、シャツ越しにひろさんのいつもより高めの体温が伝わってきて俺の雄も,興奮する。
「ぁ・・、たか・し」
弱い腰の部分に布が擦れ、その刺激にひろさんは濡れた声を零した。
「そ・こは・・、ゃだ・・っ」
「どうして? ココ、やじゃないよね? ・・・・イイところだよ」
「で・も・・、んっ」
「いい、って言って」
そう言いながら俺は片手を伸ばしてツンと尖った乳首を、別の手でひろさんの腰骨のポイントを、手の平と指を使って撫で回す。
「ハぁ・・、ンッ!・・っ、ぃ・・いい・・っ」
「じゃ、もっとしたげる」
「ィや、あ・・っ、崇、・・ぃ」
「気持ちいいんだから、触って欲しいよね」
胸を弄っていた手を下におろしひろさんの雄に触れると、ビクリと体が跳ねて、もう既に硬く反りかえっているそこから蜜が溢れ糸を引くのが伝わってくる。
「・・・。っはぁっ、だめ、触る・・ん、ぃ、あ、い・・、たか、しぃ」
腰が揺れ、背中が撓る。ごく、と唾を呑んだ。

「ひろさん」
止められない欲情で声が掠れる。 体をかがめ、浮き出ている肩甲骨に口をつけた。
「あぁっ・・、崇、い・や・・」
感じて、震えてる体に何度もキスしながら背骨を伝っていく。ひっきりなしに声が聞こえる。そして辿りついた腰骨に舌を這わせ・・・。

ピーッ・ピーッ・ピーッ・ピーッ・ピーッ・ピーッ・・・・。

「うわっっ」

いきなりの電子音で目が覚める。
「え・・? 今の、夢?  」
見回せばベッドは俺だけだ。さっきまでのひろさんはおろか、温もりさえない。代わりに、
「・・・・・まじ? 」
ぬるりとしたものが股間にある。 一人きりの部屋で赤くなった。


「ま・・間に合った・・」
タイムレコーダーは出社時間ぎりぎりで打刻され、遅刻を免れた俺は汗を拭った。久しぶりのダッシュに息切れしている。
(まさか、あれが夢で、目ざましに起こされてあんな事になってた、とか・・)
高校生じゃあるまいし、と自分に突っ込みを入れながらフロアへ急ぐ。あれからシャワーを浴びてきた、のが無駄になってるけど仕方ないか。

「おはようございま、すっ」
「・・お早う、新井くん。・・・大丈夫? 」
「はっ、はい。。」
「遅刻にはなっていないようだけど、何かあったのか? 」
「あ・・」
駆け込んできた俺に小野山課長が声をかけてくれたけど、言いづらい。
「・・あの、変な夢、見て」
「夢? 」
「はい。・・それで、シャワー浴びてきたんで遅くなりました。すいませんっ」
「まあ、怪我や事故じゃなくて良かった。仕事、ちゃんとやってくれ」
「はいっ」

席につき、ホッとする間もなく、
「新井、グループ営業の打ち合わせするぞ」
・・・苑田さんに、呼ばれた。
「・・いま行きます」
何もバレてない、のに、どきまぎする。 しっかりしろ、俺、






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その72

最近、写真を取らなくなったな―、と思ってます。・・・自分の

携帯でもスマホでも、端末にカメラ機能なんて普通すぎるせいか、鏡で見ている以上に写真ってショックを受ける出来になるから、でしょうか。

撮るにしたって必要にかられてがほとんどな年齢の私。証明写真がほとんどです。

でも、世の中の進歩は、凄いんですネ―。特に、プリクラ!プリントしない、つまりアプリをダウンロードすると写真が送られてくる、というシステムまであるんだそう。 目や肌を修正する、足を長く見せる、だけじゃないんだ! ってビックリしました。
ほかに、盛り過ぎ画像を’元に戻す’ とか、 盛るんじゃなくって’整える’機能もあるらしく・・・。

行ってみたいなとは思うんですが、まだ勇気がありません。あはは。

で、写真を取るといったら、こんなものが多いでしょうか。
DSCF0018.jpg

これは、去年のお正月飾りの講習会で作ったもの。  お正月飾りです。  そして、

DSCF0135.jpg

これは去年のバレンタインで買ったチョコの一部。。
同じモノを同じ人にあげないよう、覚えに撮ったもの、でしたーー。





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