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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-49

「苑田さん、今日嫌な日だったのかなあ・・」
愚痴りながら何となくポケットに手を入れ、硬い感触に思い出す。絹里さんのチョコレートだ。
これだけだと口の中が甘くなるな、と、缶のブラックを買い、席に戻る。腕時計で時間を確認すればあと五分くらいで終業時間。
(この時計、ひろさんと色違いだったっけ)
その事に気分が浮上した。

仕事に区切りがついて伸びをする。
「さーて、一休みするか」
書類を片付け、チョコの箱を取り出す。包みを開けると箱の上にカードが乗っていた。
“好きです”
手描きのひと言に手が止まる。

俺はまだちゃんと返事してない・・・・。

「明日、必ず返事するから」
カードに返事してそっと取り、蓋を開けて中を見る。・・よく分からないけど、売ってるものじゃないみたいな。

「新井、今日の資料・・、」
「あ、苑田さん」
苑田さんが、ファイルを手に声をかけてくる。机上のチョコを見て、
「・・それ、絹里さんのか? 」
「そうです」
「手作りをもらうなんて、おまえもやるじゃないか。
ここに置くぞ」
苑田さんにしては皮肉な口調でやや乱暴にファイルが置かれ、その手がチョコの箱を引っかけた。
「え・・」
「 ?! 」
箱が横滑りしてくず入れに。
「うわ! 」
慌てて拾い上げる。
「・・よかったー。無事。まだ一個も食べてなかったし」
本当に、それだけで言った言葉。
「・・・・わざとじゃないぞ」
「分かってます。でもよかった無事で。感想言えなくなるところだった」
箱の中身を見ながら続けた俺に、小さな声が。

「そんな・・・言い方・・・」

「そのださん? 」
見上げたら、傷ついた顔で唇を噛んでいる。目が合った途端、
「ちゃんと食べて返事しろ。彼女も待ってる」
捨て台詞のように言い残して、くるっと背中を向けてしまった。


俺、マズった? 
社内であんな素の顔見せた事なんて無かったのに。
(一体、何が気に障ったんだろう? )
訳が分からないまま一粒口に入れる。
「・・おいしい」
口の中で溶けるチョコの中に何かカリッとする物が入っていて、それがいいアクセントのなっている。
「これは色が違うけど、中身も違うのかな? 」
食べると今度はとろりと柔らかく、無くなっていく。 ・・すごい。
パクパク食べてあっという間に食べ切った。コーヒーを飲むのがもったいないくらいだったけど、切りかえないと。
(なんだか絹里さんみたいなチョコだったな・・・)





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-50

甘いものが入ったからなのか思ったより早く仕事が終わり、資料を苑田さんに返しに行く。
「苑田さん、これ、ありがとうございました」
「ああ、そこへ置いといてくれ」
仕事が忙しいのか目を合わせてくれない。非難したつもりじゃなかったんだけど、怒ってる・・?
「まだ、用があるのか? 」
立ったままの俺に、ふと目をあげてこっちを見る。
「いえ、ないです・・」
「そうだ。俺はまだかかる」
気を付けて帰れ、と、スラックスのポケットのあたりを叩いて、また書類に向き直った。
「・・・お先、です」
うん、と頷き、それだけ。 ため息が出そうになった。

「あーああ」
更衣室でぼやきが出る。苑田さんに誤解されたまんまだった。
俺は、貰った物だから粗末にしちゃいけない、って思っただけなんだ。そう言ったら分かってくれたんだろうか。
気落ちしながらコートを着て、
「あれ? 」
変な感触がある。カサカサした・・、
「こ・・れ? 」
さっき、苑田さんが叩いたスラックスのポケットにハート形のチョコレートが入っていた。付箋も付いていて、
‘崇、ごめん’

ひろさん・・!

駈け戻って、抱きつきたくなった。



~~ 昨夜の通夜を引き摺りながら出社した。
仕事には響かせないようにしていたが、移動中はどうしても無口になってしまう。崇にまで勘付かれてしまう。
気分が変わったのは和美さんのお陰だった。さらに、貰った袋の中には驚きが。
『崇さんにあげなさい。どうせ買ってないんでしょ? 』
そんなメモとともにハート形のチョコレートが入っていたんだ。思わず笑みがこぼれる。
「ありがとう、和美さん」
呟きながら、いつ、渡そう。 そう思ってやっと気分を上向きにできたのに。
お昼、絹里さんに会って、朝より苛々する羽目になってしまった。


手作りチョコの話は聞いていた。 彼女から相談されたのだ。
「苑田さん、ちょっといいですか? 」
何日か前、休憩コーナーに居る時、そう声をかけられた。
「絹里さん? いいけど。打ち合わせの変更? 」
「いいえ。・・あの、新井さん・・、手作りのチョコなんて、迷惑に思うでしょうか・・」
「・・。そんな事は、無いと思うよ。よろこぶんじゃ、ないか、な」
「そうですか」
俺の答えに、不安そうだった顔がぱあっと明るくなる。その笑顔が眩しく、胸が痛くなった。

絹里さんが崇に渡すためにチョコを手作りする。それを聞いただけでも苦い痛みがあったのに、さらに目撃する事になるなんて。
俺の分まで用意していた彼女に、嫌な気持ちが起きるはずもなく。 堂々と渡す事ができるのが羨ましかった。

残業時、崇があの、チョコの箱を開けていた。瞬間、体の奥がカッとなる。俺の、目の前で食べるのかと。
手が当たったのは本当に偶然だった。非難めいた視線を向けられるほどでは、無い。けれど、やはり俺も悪かったのかもしれない。
足早に席に戻り、机の上、書類を乗せて隠してあるチョコレートを透かし見て息を吐く。
(渡せないかな・・)
男同士だし、明日でもいいかと思う。付箋に走り書きしてそれに貼り、仕事を続けた。~~





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-51

苑田視線がちょっぴりあります。



~~ 崇が帰りがけ、資料を返しに来る。その時、我ながら驚く早さで崇のポケットにチョコを入れていた。 ~~


「こんばんはー」
「らっしゃい。お、新井さん」
真っ直ぐ帰れなくて焼き鳥屋さんの暖簾をくぐる。
ビールと盛り合わせをもらい、カウンターで今日を思い出しながらちょっとぼんやりしていた。
(絹里さんと、そ・・、ひろさん、か)
ひろさんは、好きだ。きっとずっと変わらない。
絹里さんは・・、話しやすいし、かわいいと思う。仕事だってちゃんと出来る女性だ。
「なんで俺なんか気に入るのかなぁ・・」
「そりゃあ、あんたを嫌う人間は少ないと思うぞ。俺だって」
「は? 」
呟いた独り言に合いの手を入れ、ばん、と手荒に肩を叩いて隣に座ったのは、
「圭一さん」
「どうした? ぼけっとして。苑田さんに叱られでもしたのか? 」
あの人はコワイからな、と笑いながら自分の前に置かれたビールを飲む。以前の、棘とげした雰囲気はどこにもなく、充実している様子が見ていて分かった。
「圭一さんは、仕事、順調そうですね」
「ま、な。一人だから欲張らないようにコツコツやってるよ」
それより、と体をこちらに向け、
「嫌な奴にでも気に入られたのか? 」
聞くものだから、
「そうじゃなくて。。告白されたんです。 でも、俺付き合ってる人がいて」
「なんだ、告白した子にちゃんと断ってないのか? 」
「好き嫌いで分けるなら好きだ、とは言ったんです」
「それじゃ相手は期待するぞ。本気じゃないならさっさとすることだ」
「でも、今一緒に仕事してて・・・」

「だったらなおさらだ」

それまで酒の勢いも手伝った軽い口調で話していたのに、圭一さんの口調が急に真面目になった。
「中途半端に期待させる方が可哀そうだぞ。その娘(こ)だって気持ちが決められない。
そういやバレンタインだったな。おまえ、チョコもらったりした? 」
「・・・はい。手作り? みたいな」
だーっ、と声をあげて圭一さんは自分の額を叩いた。
「ちょっと、こっち来い」
「え? あの」
俺の腕を引っ張って立たせる。
「義兄さん」
カウンターの向こうから謙治さんが呼びかけた。
「あぁ、心配すんな。教えてやるだけさ。ほら、こいつ持て」
ビールと焼き鳥の皿を持たされ、ちょうど空いたテーブルへ移動させられる。


「あのな。最初に聞くぞ。おまえ、誰かと付き合ってんだろ? 」
皿もビールも脇に置き、身を乗り出して聞く圭一さん。
「そうです」
「即答か・・・。その相手、抱いてるな? 」
「それは」
はい。とは言えず、でも顔が赤くなる。
「あー、分かった分かった。言わなくていい。で、その相手、チョコくれたのか? 」
「もらいました」
「嬉しそうな顔しやがって。 ・・手作りチョコの子は? 」
「二人でいる時、目の前でもらって・・」
「はあ? 」
「せっかくくれたのだし、捨てられないから食べました(あとでだけど)」

「・・・・・・おまえな」
頭痛が痛い、みたいな表情をして、
「それでよく喧嘩にならなかったな・・」
「なんでですか? 」
「あほ。
おまえの恋人、出来た人だ。俺なら我慢できない」
ぐいーっとビールを飲み干し、締めくくるように言った。
「とにかく、告白した子のこと、早々に断れ。今なら傷も浅くて済む。長引かせると恋人が不安がるぞ」
「・・・脅かさないでください」
それでなくたってひろさんは、俺より年上だってことでさえ気にするんだ。でも、圭一さんと話して、少し見えた気がする。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-52

途中、サプライズなRがあります。 と言っても緩いのですが。ソレ自体は出てこないのですけど、少し下げました。












「圭一さん、ありがとうございました。俺、今から行って話してきます」
「・・っく。 どこ行く気だ? 」
ビールでげっぷが出た圭一さんに答える。
「その・・、恋人の、所、です」
恋人、と口にするのが恥ずかしくて口ごもる。顔、赤くなってるかもしれない。
「こんな時間にか? 」
「合鍵、もらってます」
「・・さっさと行け」
「はい」


何から話そう。
あれもこれもと思っていたら、結論が出る前にマンションへ着いてしまった。見あげると部屋は暗い。ひろさん、寝てしまっただろうか? それともまだ帰って来ていない?
「・・迷っててもしょうがないし、行こう」
エレベータで上がり、鍵を開けた。玄関に靴がある。  帰ってるんだ。
眠っていたら、と思い、そっと鍵をかける。コートを脱いで寝室へ行こうとして、
「・・・・・し」
声が聞こえた。
「ひろさん? 起きて・・」
「・・・行くな・・・・」
今来たばっかり、なんだけど。気付かれるような音は立ててないつもりだったけど。
それとも、居ると思ってないのか。
わからないけど静かに、閉め切られてない寝室へのドアを開く。

「・・ぁ・・っ、崇。・・行くな。俺を・・んっ、置いて」
ドキリ、とした。言葉もそうだけど、そんな、胸が痛くなるような声で言わないでくれよ。
じっとしていると暗さに目が慣れてきたんだろう、ひろさんがベッドの上に横になっているのが見えた。そして、俺の雄を刺激するフェロモンと、キシ・・ッと微かに軋む音も。
(まさか・・・、ひろさん、自分で? )
口の中に唾が湧いてくる。
「っ、は・・ッ、行かないで・くれ・・、たかし ――・・・」
びくん、と体が大きく跳ねて、荒い息遣いと、匂いが。。

ひろさんの影がゆっくり起き上がるのが見える。シャワーを浴びに行くんだろうか。
俺に気付かないまま何かを手に持ち、ベッドから片足を降ろして、初めて人影があるのに気付き動きが止まり、
「誰・だ・・・」
「ひろさん」
狼狽えた声に俺が答える。’誰‘と言ったって、こんな時間に部屋にいるのって俺くらいなのに。
「俺はずっとひろさんの側に居る。どこにも行かない」
「何でここ・・? 絹里さんと・・・」
「チョコはもらったけど、何の約束もしてない。それに、話があるんだ」
言いながら近付く。
「話・・? 」
「そう」
ベッドの端に座りこんだ前まで行って口を開く。

「俺、明日絹里さんにちゃんと断るから」
「た・・かし」
「好きな人がいるから。付き合ってるから、って、断る」
ひろさんの息を飲む音が聞こえた。
「・・・・めだ・・。だめだ、そんな事を言ったら」
震えてる声なのに、俺の両腕を掴んで意外なことを言いだす。
「ちゃんと断らない方が、・・・おまえにだって、いいんだ」
「どうして? ひろさんとはこんな事までしてるのに? 」
前かがみになり、ぎゅっと抱きしめながら言い返し、キスしようとした。  ところが。
ひろさんは顔をそむけ、拒否してきたんだ。
(ひろさん? )
もう一度、今度は後頭部を押さえてしようとしたら、
「嫌だ」
言葉でも拒む。 そこからは意地になって唇を合わせようとしたけど抵抗されて揉み合いになり、とうとうベッドに倒れ込んでしまった。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その77

少し前、TVで新しいタイプの跳び箱を見ました。
ええーっ、と2度見。

青くて、柔らかそうな・・。ウレタン製、なのだそうです。ぶつかってもそれほど痛くない(かな?)。
こちらで見つけました。
吉田体機工業株式会社・さん。   ごめんなさい、上手くリンクできなくて・・。
www.yoshida-taiki.co.jp/ のアドレスでした。 興味のある方はどうぞ~。『商品一覧』→『跳び箱』 の、下の方です。

何だか、 「ここまでやるもの? 」 って思ってしまったのは、学校とは縁遠くなってしまったからなんでしょうねェ、きっと。
日本にはスゥェーデン製のものが来たようです(ドイツ製のものは、長方形だったとか)。

私が飛んでいたのは木の、台形の枠があって、一番上は固いマットレス風になっていて、ぶつかったり上手く飛べなくてお尻を擦って痛かったり・・・なんて思い出があるんですが。
跳び箱、飛べて「やった!」 飛べなくて「口惜しい!」 自分より高い段を飛んだ人って「すごーい」「かっこいい!」、と思ったものです。



最高の高さは今、25段ですって。飛んだ人は日本人男性。ギネスブックにも登録済みだそうで。
25段・・。高さは3m近く。幅になると2m近くの代物。間近で見たら迫力だわ。





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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*暖かくなったら-10

「あ、上着は脱いで。その方がやりやすい」
「うん」
ジャケットを脱いで和叔父さんに差し出す。すると、目を細めて言う。
「・・そんなシャツも着るようになったんだ」
やっと気付いてくれた。 今来てるのはワイシャツ。もちろん白じゃないけど、 『着慣れるために何枚かあった方がいいよ』、って和泉が教えてくれて、
「これならデートでも着られるしこっちのは目立つから待ち合わせでもすぐ見つけられる」
ってなかの一つ。
薄いピンク地に、濃い緑の縁取りをしてあるシャツは、自分でも気に入ってる。
「似合うね」
「へへ、ありがと」
たちまち気分が良くなる。
「早くやっちゃお」

車椅子をベッドの足元の方に平行に止めて、和叔父さんが前に立つ。
「今度の人は右側が不自由になった人なんだ。だから、智も出来るだけ右側を動かさないでいて欲しい」
「右側だけ? うん、分かった」
交通事故とかかな? 俺の周りにそんな人はいなかったからどんな感じか判らないけ
ど、右利きだったらすごく困るだろうって言うのは理解できる。
「じゃ、支えるから、僕に体を預けるようにして立って」
手はこう、足はここで、と位置を教えてもらい・・、和叔父さんの体が俺を抱く。両腕が腰に回され、
「いいかい、合図したら一緒に立つんだよ。・・一、二の」
‘さん’と立ち上がる。
(う・わ)

和叔父さんが、抱きつくような形で寄りかかる俺にも揺らぐこと無く、しっかり俺を支えてくれる。
安心できる。頼っていいんだ、って思わせてくれる。

(これ、いい。・・・ずっとこうしていたい)




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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-53

今日からRがしばらく続きそうです。 今日は・・R-15? くらい(のはず)です。年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。


























「・・・、どう、して・・? 」
ひろさんに圧し掛かっていた体を離し、脇に両手をついて息を切らしながら聞く。
「・・・。食べたん、だろ」
ひろさんも息継ぎしながら、まだ横を向いたまま返事する。
「『食べた』 って、何、を? 」
「っ。・・チョコレート。・・絹里さんの」
「それは・・、食べたけど」
「だから・・・嫌だ」
訳が分からなくてまじまじとひろさんを見れば、暗いけどどうも赤くなっているらしい。
(絹里さんのチョコレートを食べたから、キスは嫌? ・・・あ、もしかして)
「ひろさん? ・・まさか、絹里さんのを食べた後だから、嫌なの? 」
投げかけたら、びくっと体が反応した。

大当たり、だ。

そう思うと同時に、またひろさんが可愛く見えて頬が緩む。クスッと笑ったのが聞こえたのか、
「どうせ笑うような事だな、おまえにすれば。けど俺は、嫌なんだ」
拗ねたような、怒ったような声で言ってくる。
「違うよひろさん、それで笑ったんじゃなくて・・・。でも俺、あのあと焼き鳥食べたよ? 」
返事がない。
どうしようかと考えていたら、思い出した。ポケットに手を入れて確かめる。それからこう切り出した。
「ねぇひろさん。俺、今日、今までで一番嬉しいバレンタインチョコ、もらったんだ」
何も言わないひろさんの目の前に、あのハート形のチョコを取り出して見せる。
「これ。いつの間にかポケット入ってた」
「・・・俺が買ったんじゃない」
「くれたのはひろさんだ。ありがとう。あのメモごと取っておきたかったけど」
包装をピリリと破いて一口齧る。
「・・ほら。これならもう大丈夫だから。ね? 」
口の中にチョコを残したまま、キスをする。今度は顔が動かずちゃんと当たり、唇の端に、ちゅ、と音を立てて離してから指で顎を持って顔をこちらへ向かせ、もう一度重ねる。
舌を出してひろさんの唇を舐めながらなぞると、そっと開けてくれた。

「・・ん・・。 ? ぁ」
「・・・ひろさんのくれたチョコ。美味しいだろ? 」
口移し口の中に入れ、ニヤッと笑う。
「おまえは・・・」
照れた声でそう言って、両腕を伸ばし俺の首に巻きつけて引き寄せてくれるから、俺も顔の横に肘をついて舌を絡ませ合うくちづけに突入した。
「ぁ・・ん・んっ、・・・っ、はァッ・・」
これだけで息が上がってくるひろさん。そんなひろさんを前に大人しくなんてしていられない。

「欲しいよ、ひろさん。今すぐ」
片手を伸ばし、まだしまわれていない柔らかな雄に触れると、自分の格好を思い出したようにハッと息を呑んだ。
「崇・・放せ」
「やだ」
握ると、さっきの名残りで手が滑らかに動き、粘りのある音が小さく聞こえる。
「ほら、ココは欲しいって」
「そっ・・な、の、・・おまえま・・だ、スーツ・・。ネクタイしたま・・・ァッ」
あ・・、忘れてた。
ひろさんの独り言(?)が聞こえてきてそのままだっけ。
(でも、手・・・。ま、いっか。ひろさんのだし)
「・・たかし! 」
「え? どーかした? 」
服を脱ぐために、ひろさんの雄を握っていた手の滑りを舐めた俺にひろさんが驚いた声を上げて体を起こし、慌てて傍のタオルを差し出す。
「これで拭け」
「サンキュ」





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-54

今日もR。R―18なので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。


















全裸になって布団の中に入るひろさんの横へ潜りこむ。肌が触れると、ビクッとされて、
「ひろさん・・、嫌? 」
「違う。おまえ、ちょっと冷たい。外、雨でも降っていたか? 」
苦笑いして肌を寄せてきたひろさんが耳元で言う。
「うん。傘さすほどでもなかったけど。・・・あ」
髪に、ひろさんの手が触れる感触。頭を撫でられて不思議に安心する。横向きになり、足を絡ませながら向かい合って抱き寄せた。
「好きだよ」
「・・俺も。 っ、あ」
動くのに誘われて何度もキスをして、ぷっくりした唇をひとつずつ挟みこみ、舌で舐める。
「ん・・。・・・、かし・・」
角度を変えようと少し離れた隙間にひろさんの声が零れて、俺の雄が、ぐん、と反応し、気付いたひろさんが身じろいで腰を引く。だからわざと、
「これで、擦ってあげる。たくさん」
言ったら、
「・・・・・・・」
よく聞こえない事を呟いて、頭を胸に押し付けられた。何だか今日のひろさんは、すごくかわいい。
髪のあたるくすぐったい感触に、お返しとばかりに背中を撫でおろし、弱い所を弄ったら、
「ぁん・・っ、ぁ・・っ、あっぁ」
声を上げながら息を乱す。本気で襲いたくなった。
「た・崇っ。・・・・な」
ぐい、とひろさんに圧し掛かり体を下に敷く。そして胸の粒を歯でこりこり押し潰すように愛撫する。

「ゃっ。んっ・・、いっ・・だ」
その刺激に背中が反って胸を俺に密着させた。さらに、言葉と裏腹に声は色っぽく濡れて‘もっと’と俺を誘うから、
「ひろさん・・。俺のこと、煽ってる? 」
体重をかけないように支えながら、口と手で両方の乳首へ刺激を与える。
「んぁ・・っ、あ・煽って・な・・かっ、はぅっ。や・・だっ」
「『イイ』だってば。・・ちゃんと、言って? 」
「あっ、崇・・、そこは・・っ、ふぁっ、ぁあっ」
「ほら・・、ひろさん」
舌先で捏ね回せばひろさんの両手が俺の背中に伸びてきて、しがみつく。
「ん・・、ィ・・・。 ぃ・い・・っ」
「ここも、だよね? 」
「いっ・・あ! そ、ゃっ・・。んぅっ、指・・だ・め」
「だけどここ、ローション塗ったみたいだよ? 」
実際、腰を上げて作った隙間に入れた指先は、アンダーヘアが肌に張り付くほど溢れた鞭で濡れていた。
「違・・、それ・・・はっ」
認めたくないひろさんが否定する前に鈴口を親指で擦る。
「・・あくぅ・・っ」
脇腹近くを、キリッと痛みが通り抜けた。喉を反らして声をあげたひろさんが感じて、体を震わせながら爪を立てたんだ。嬉しい痛み。

胸元から、赤い痕を付けながら臍の脇を通りヘアの生え際まで下りていくと、ひろさんはもう蕩けている。
ビクリ、と跳ねるたび、ひろさんの雄が俺に擦れてくるからどんな状態かは気付いていたけど、既に臨界に達していた。
「ぁ・・も。た・かし・・、早く・・っ」
欲しがる場所をわざと避けて、大きく開かせた内腿を吸い上げると腰が上がる。
「・・・欲しい? 」
体を引き上げ顔を合わせて聞けば、閉じていた目を開け、感じすぎたのか潤んだ瞳から泪をこぼして、
「欲し・・・っからっ、崇っ・・、もぅ、待てない、んぁっ」
俺の首に手を巻きつけて頼んできた。
そのだだ漏れのフェロモンにごくっと喉が鳴る。蕾へ指を当てれば十分なほど滑っているそこは難なく呑み込んだ。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-55

R、今日で終わります。が、R-18なので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。































「ひろさん、今日はどうしたの? ・・・すごく積極的」
「あ、ぁ・・んっ、知らな・・っ」
そのまま中で回してしこりを擦ったら俺の腹の下の屹立から滴が玉になって滑り落ち、肌で感じた俺も興奮して、
「ごめんっ、ひろさん・・っ」
「ひっ・・・、ひいっ・・・ぁあっ」
指を引き抜き、肉棒を打ち込んでいた。

急な結合にひろさんの手が滑り落ちる。
一度達しているからなのか、内側は熱くて興奮度が増し、そのまま揺さぶりたくなるのをやっと堪えて、でも、腰を揺らすのは我慢できなかった。
「・・っ。は・・っあぁ・・っ、かし・・」
「・・んっ、ひろ・さ・・、そんな、締め・・くっ」
最短で爆発しそうで唇を噛んで耐える。息を吐いて少し解れた中を感じ、
「動くよ」
腰を抱え抜き差しを始めた。
「ぁ・あ、・・んあっ。そこ・・は、っ」
イイところを狙って何度も雄を擦りつければ、シーツを鷲掴み、背中を、喉を反らして頭を振り、声を放つ。
「たか・・しッ、ゃ・・やあ、そ・・ば、っり」
「奥の、方が、・・好き? 」
肌を打つ音をさせて突くと体が強ばり、内壁がギュウ、と狭くなる。力技で振り切り、ひいて、捩じ込む。
「はンッ・・、ぁ、深・・っ、お・くに、っ、当たっ・・・ああ! 」
「・・う・・っ――・・ッッ」
先に越えたひろさんが白濁を迸らせ、絞りあげるような中と、飛び散らせた熱い飛沫が腹にかかる刺激に、俺も、最奥めがけて精を飛ばしていた。


~~ たかしに一人でシているのが見つかり、愛し合ったあと、夢を見た。

 「んっ、んっあ・・。も、たかし・・、もぅ」
「イク・・? いいよ・・っ、ほらっ、俺も・・ッ」

一度果てた後、片足を高く持ち上げられぐちゅぐちゅと音が立つのを聞かされながら、もう一度達し。
「ひろさん・・。好きだ」
くたくたになり、崇に支えられながらシャワーを浴び、合い間に’好きだよ‘と言葉のキスを耳に吹き込まれながら一気に眠りに落ちる。


夢の中で俺が見ているのは、隆裕と言い合いをしている場面。

「・・・何でだ、たか!何で男なんかと付き合うんだ!? しかも相手は家族がいるじゃないか! 」
「だから! しょうがないんだって言ったろ! 気が付いたら・・好きになってたんだ!」

(・・ああ、兄さんがあの人と恋愛している時、だ・・)
今、こうして崇と居る事を思うと、あの時、なんて酷い事を言ったのだろうと胸が痛む。理解しようとさえしていなかった、自分。
そしてその場面がぼやけていき、次に見えたのは、土下座して謝っている両親。

「済みません、済みません・・っ」
「申し訳ありませんでした・・・」
二人めがけて投げつけられる、本のような物。
(あれは、たかの・・。兄さんの相手の家族から、知らされた時の・・・)
日記を投げつけた、死んだ相手の妻の嫌悪と憎しみに染まった目が俺にも向けられ。


ハッと目が覚めた。
体中、汗をかいている。

―― 久しぶりに見た、夢、だった。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-56

昨日に引き続き、前半、苑田視点があります。 ~~ から、 ~~ の間です。



~~ ショックが抜けきれず震える指をぎゅっと握り、ゆっくり床へ足をつける。崇の寝息を窺い、部屋を横切り、音を立てないように着替えを取りだした。

「・・・・なんで今になって、あの夢を・・」
洗面所で体を拭きながら鏡の中の自分に問いかける。明かりの中で、顔が白っぽくなっているのが判る。タオルでごしごし擦り、泣きそうになるのを誤魔化した。
台所で水を飲みながら、同じ言葉を繰り返す。

どうしてあの夢を、と。

進藤に強要され、体の接待をしていた最初の頃は見る事も多かった。
西園寺 佳奈子に彼が連れ去られた後も、見た。
「ここしばらくは、見なかったのに・・・」
なぜだろう、とぼんやり考え、今夜崇が来た時の自分を思い出す。

(・・そうだ。崇が告白されて、手作りのチョコレートまでもらって。
でも、俺からもらったものが一番嬉しいと言って、絹里さんは断ると・・・)
彼女の申し出を断らない方がいいのでは、と、思いながら自分から離れていってほしくなくて。
いましがたの行為もいつもより求めていたような気がする。
思い当たったのは。

『それって、罪悪感じゃないですか?』
カウンターの向こうから子湖塚に言われた言葉。

(罪悪感か・・)

絹里さんにも、崇にも悪いと思っているのは、否定できない。
愛していると崇に告げられ、受け入れたあとも、無意識に別れが来るかもしれないと思っていた。

男同士の恋愛が家族にどんな影響を与えるか、ひとつの例を、自分たちはよく知っているのに。

「知っていて、手を放せない俺は・・・・」
どちらを向けばいいのか分からない。目隠しで綱渡りをしているようだ。
答えを出せないまま寒さに震えて寝床に戻り、しかし、眠るのが怖くてうとうとしては目覚めた。 ~~


翌朝。
俺は絹里さんのこともひろさんのことも決まって、すっきりした朝だった。が、ひろさんは悩み事があったみたいだ。
食事の箸も進んでいない。

「ひろさん、何か心配事・・・」
俺の言葉を遮るようにひろさんが話しだす。
「崇、絹里さんと」
「だから俺は」
「彼女と・・付き合ってみないか? 」
「・・ひろさん」
声が、尖る。
「おまえは、まだ本気で女性と付き合った事が無いんだろう? 一度くらい・・・」
ひろさんは俺の目を見ず、食べながら続ける。

パシッと音を立てて箸を置いた。
「ひろさん。本気でそれ言ってる? 」
「・・ああ」
「俺を見て、言ってよ」
ひろさんが手を止め、茶碗と箸を置き、ゆっくり、俺を見た。目の色が深くて、表情が作り物めいて感情が読めない。
(ひろさん・・? )

「崇、断る前に絹里さんと付き合って、・・みろ」

「わかった。 ひろさんがそこまで言うなら交際する」
食事をそのまま席を立ち、コートと鞄を取り、
「ひろさんが言ったんだからな」
言い捨てて、部屋を出た。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その78

今日はぞろ目の日です。 1212。 昭和の人は思い出すんじゃないでしょうか~。
♪じーんせいは(人生は)ワンツ(1・2)ーパンチ・・・・ ♪

色々な記念日でもありますが、日本語だなぁ、と思ったのは、 「1(いい)2(じ)1(いち)2(じ)」=「いい字1字」の語呂合わせ
 ということで、日本漢字能力検定協会が1995(平成7)年に制定した漢字の日


 この日には、全国から募集した、この年の世相を象徴する 「今年の漢字」 も発表されるそう。 ・・・最近はあまりいい印象の文字が無いような気もしますが。

ところで、一つの漢字でいろんな読み方があるのは、ご存知ですよね? 一番多い読み方を持っているのは、「生」の字。
判っているだけで47通り!

「生」 の漢字


生(せい)、生(い)きる、生粋(きっすい)、などわりと見る読み方だけでなく、 「生」の人名 「ふゆ」 という読み方まであるんですって。 麻生、羽生も人名でしたね。

ちなみに一番たくさん画数があるのは、84画の「たいと」。  雲の漢字3つ、龍の漢字3つを重ねた字。
旧漢字のある字も結構たくさん。 そうそう、「さいとう」さんはたくさん漢字があるんでした。確か4通り。ハンコ屋さんも気を使うことでしょう。


綺麗に書くことができれば、上出来・・・?

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*暖かくなったら-11


でも、俺のそんな気持ち、和叔父さんは気付かないから、
「体を回すからね。・・そう、上手だよ、智」
耳元で囁きながらやるべき事を進めていく。 
「支えてるからゆっくり座って・・。  はい、終わり。どうかな? 自分で横にな・・・、っと」
靴は脱がないと。しゃがみながら呟く声にはっとした。
「い・いいよ。自分でする」
「出来るかい? 左手しか使えないよ? 」
そうだった。
「・・やってみる」
それなら。と和叔父さんが立ちあがる。だって、今日一日履いてた靴和叔父さんに脱がされるなんて。

ベッドに寝転がって、
「あれ? 」
どっちをどう動かせばいいんだっけ?
「えーっと・・・」
「迷うようならやめておこう。問題は車椅子の動かし方なんだから」
今度は反対だよ。そう言う和叔父さんに、悪戯心がわいた。

両腕を伸ばして
「起こしてよ、和叔父さん」
パチクリと瞬きした和叔父さんだったけど、ふっと笑って、
「はいはい、王子さま」
わざとらしくお辞儀をして、笑いながら体を折る。上体が近付き・・・、
「さとっ・・! 」
俺の腕が和叔父さんの首に巻きつく。引き寄せられた和叔父さんの顔が急に近付き、
「・・・へへっ」
咄嗟に手を付いて体が俺の上に乗るのをなんとか防いだ和叔父さんに、チュッと唇をつけた



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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-57

(何だよ!ゆうべは『行くな。置いて行かないでくれ』って言ってたのに)
態度が急変した訳は知らないけど、俺の気持ちはどうするんだ!

と怒りを抱えながら歩いていく。
(いつもそうだ。ひろさんは一人で抱え込んで、耐えて。俺に少しぐらい背負わせてくれたっていいじゃないか)

駅へ着くとちょうど電車が来て、会社へ。気持ちの整理が付かないまま、社員通用口で絹里さんを見つけてしまう。
「絹里さん」
「新井さん・・。おはようございます」
呼びかけに俺を見て、笑顔になる絹里さん。側へ行き、
「昨日はチョコレート、ありがとう。美味しかった。あとで話したいんだけど、いい? 」
口にすると、ぱあっと笑顔が輝いて嬉しそうに、
「はい。・・・あの、私今日は定時で終わると思うんですけど」
「じゃあ、後で連絡するよ」
「分かりました」
見あげて答えれくれた。その仕草が少女のようで可愛らしくてこっちも明るくなる。
ただ、

「きゃあ、真希、やったわね! 」
「おめでとう! 」
「あ、わたしいいお店知ってるから! 」

すぐに彼女を囲んではしゃぎ出す女子たちの事は・・、失念していた。


(やっぱりあれはマズかったかなあ・・・)
午前中はデスクワークに時間が取られ、社食で昼飯にするとまた俺の周囲がざわつく。今日、市島さんは外出しているようで安全地帯もなく、かと言って誰かが寄ってくることも無いけど落ち着けない。
(絹里さんと話すの、もう少し人の居ない場所にすればよかった・・)
ひろさんとの売り言葉に買い言葉でああなったから仕方ないとはいえ、もうちょっと周囲を見ろ、と心の中で自分の迂闊さを叱る。
ともかく食事を終え、営業回りにでると外の空気にほっとした。 つい両手を上げ、深呼吸して、
「あーっ、肩が軽くなるっ」
声が出る。実際体もよく動くみたいだ。
「今は、仕事しよ」


この日から俺と絹里さんは付き合い始めた。

「絹里さん。俺、女の人と付き合うのってほとんど初めてなんだ。だから、なんでも話して欲しい。でないと俺、分からなくなるし」

そう、ひろさんは話してくれないことがある。
――― 自分で考えろ ―――
と、突き放されて。最後には手を伸ばしてくれるけど・・・。

「新井さん? 」
「っあ、ごめん。 話したくないことはいいけど」
急に黙った俺に、絹里さんは首をかしげて名前を呼ぶ。ハッとひろさんのことを振り払った。
「はい、分かりました。私も新井さんとたくさん話がしたいです。これからよろしくお願いします」
「こっちこそ」

夜、明るい雰囲気のカフェに入って、コーヒーを飲みながらそんな話をして、お互いの好みなんかを教えあい。
「え・・? 絹里さんも、蛸、嫌いなの? たこ焼きとかも? 」
「ええ。生きて動いてるのは見るだけでも駄目なんです。あ、たこ焼きは好きです。お刺身も食べられます」
「『食べるのは平気』・・・。苑田さんみたいだ」
「苑田さん、ですか? 」
「うん、そう。あんなふにゃふにゃしたものが海の中を泳いでるなんて・・、って言ってた」
「私もです。食べると美味しいんですけど」
クスッと笑って絹里さんも同意している。




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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-58

 こうして俺と絹里さんの交際は始まった。
食事したり、映画見たり、ショッピング。 共通の話題も多くて話しやすい彼女との距離はどんどん縮んでいく。 そして、
「新井さん、本当に苑田さんのことが好きなんですね」
よく言われるようになった。
「そう? 」
「ええ、そうですよ。どんな話題でも必ず、『苑田さんは』って。気付いてないんですか? 」
「う・・ん。知らなかった」
当の本人、仕事のときは変わらず接してくれるけど距離を置かれてる。あの朝からずっと。


バレンタイン後の外回りはしばらくの間、自分で考えて用意した、‘チョコのお返し’の評価にそわそわする。

「えー、わざわざ用意してくれなくてもよかったのに」
とか、
「わ、かわいい。この中から選んでいいの? 」
「来年もするの? こういうこと。大変よ~」
とか、反応はさまざま。でもだいたい好意的で、それが励みにもなっていく。
こんど、この相手先にはこんなファイルを持っていけば喜んでくれるんじゃないか。ここにはメモ帳のこんなサイズもいいんじゃないか、って提案してみよう。なんて自分で考えたり。

あとで思い返せばこの時の俺は、苑田さんと空いてしまった距離を忘れようと無意識に仕事を増やしていたような日々だった。


「新井くん。この頃頑張っているようだね? 」
君の担当の取引先から、’彼(新井くん)、最近よくやってくれてますよ。‘と聞かされれて私も嬉しかったよ。 と小野山部長に小声で誉められる。
書類に判子をもらいに行ってそう聞かされて、
「ありがとうございます」
思わず笑顔になった。
苑田さんに教えてもらいながらやっていた今までの事が、実を結んだんだ。

この日の仕事は足取りも軽くなり、内容的にも捗(はかど)った。
(苑田さんに、言っていい、よな? )
よくやったな。 そういってもらいたい。
仕事の合間に苑田さんを探したけど、すれ違っているのか会えない。予定を思い出しホワイトボードを見に行って、市島さんと組んで外回りに行く日だと気付いた。
「帰ってくるの、遅くなるかな・・・」
呟いて、レポートやスケジュールの組み立てをしながら時間を気にする。

残業時間になり、一休みと自販機まで行ったら、市島さんが慌てた様子で走って来て俺を見るなり、
「新井くん・・! よかった。ちょっと来てくれ」
腕を掴んで引き返そうとする。引き摺られ、連れて行かれながら、
「ちょ・・、ちょっと待ってください。いったい・・」
「苑田くんが変な奴に捕まった」
俺の問いかけに驚く言葉が耳に入ってきた。
「苑田さんが? 」
「そうだ」
エレベータが来るのを苛々待ちながら市島さんが続ける。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-59

「外回りを終えて戻ってきた時、まるで私たちを待っていたみたいに一台の車が近付いてきたんだ。いきなりライトを上向きにされて」
そこまで言って、扉が開いた中へ乗り込む。幸い二人だけの箱の中で、
「眩しくて文句を言おうとしたら、『やっぱりここにいたのか』と声がして男性が降りてきた。苑田くんの腕を掴んで連れて行こうとして」
続ける市島さん。
「ええっ」
「さすがに苑田くんも抵抗していたんだけど、通用口付近だったから人目を気にしたようで、その人と車を地下駐車場に案内していったんだ。私は何だか嫌な気がして誰かいないかと戻って来て・・・」
「俺がいたんですね? ・・行きましょう」
そんな事を聞いたら矢も楯もたまらなくなる。ドアが開ききるまで待てずに駆け出し、駐車場へ出た。
ぐるっと見回すが。いない。
あとから追いついた市島さんへ、
「市島さん、見当たりません」
「居るはずだ。確かにここ(駐車場)へ入って行ったんだ、車ごと」
「車ごと? 」
「ああ。外車・・だったと思う」
二人で忙しなく見て回っていると、奥の方から何か言い争うような声がした。
「苑田さんっ?!」
俺の声にピタリと静かになる。
「ど・・どうしよう新井くん。もし、あれが・・」
揉め事になっていたら。市島さんの動揺する声に、
(考えろ・・、考えるんだ。・・優先順位・・、苑田さんの無事が一番で、殴り合いとかになっていたら・・・・)

「新井くん・・・」
「さっきの声、角の奥でしたよね? 俺が、見てきます。市島さんは守衛さんを連れてきてください」
「わ・・分かった。   無茶は、しないでくれ?」
「はい」


あの後、市島さんに、
「駐車場にいる時の君は怖い顔をしていた」
と言われた。確かに、苑田さんの事が気になって余裕がなかったんだけど。。

二手に分かれ、一歩踏み出したらすぐ走りだしていた。ここの駐車場は一角が折れ曲がるような造りになっている。そこは音がしない限り何かあっても簡単には気付かれない。
「苑田さ・・・!」


角を曲がって、目に飛び込んできたのは。

スーツのジャケットを上から剥くようにして、釦をはめたまま半分ほど脱がせ、両腕の自由を奪った苑田さんの上半身を車のボンネットに押し付け、今まさにスラックスを脱がせようとしている男の姿だった。
足音を聞き、俺を見て粘つく笑みで嗤った男に怒りが沸き立ち、黙ったまま近付くと苑田さんから引き剥がす。
そいつが引き剥がされた勢いで二・三歩よろめいて出来た空間に入り込み、苑田さんを背中に庇った。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-60

「何をしてるんですか? 」
我ながら低い声が出る。
「ふっ。見れば分かるだろ。客に挨拶の仕方を忘れたこいつに、礼儀を思い出させてやってる」
相手は嫌な台詞を吐き出し俺を睨(ね)めつけたが、ふと気付いたようにじろじろ眺め、
「おまえ・・・。正月、神社でこいつと一緒に居たな? 」
言われて俺も思い出した。あの時も無理やり連れて行こうとしたのを。
確か苑田さんは・・、周防、と呼んでいた。

周防は口を歪め、上から口調で言いだす。
「ちょうどいいから教えといてやる。こいつはな、俺のふた親に足を開いて仕事貰ってたんだよ。俺にも当然挨拶に来ると思ってたら顔も見せやしない。だからわざわざ探して来てやったんだ。
なのに返事を渋り、挙句に断ろうとした。枕営業のクセに、この俺をだぞ? 」
「それがなんです? 苑田さんはあなたのモノでも、なんでもない。ましてこんなこと」
「はっ、判ってないのはおまえだ。 こいつはな、男相手でも喜んで尻振って・・・」
我慢できなかった。それ以上言わせる前に、殴りつけていた。
「・・・・・。やったな」
ぐっ、と呻いて体を折り曲げ、痛みに耐えた周防が殴られた口元を手の甲で拭う。俺を見る目の中に、暴力をふるうことが出来る悦びが昏い色で浮かんでいる。
(この人は・・・)
力で相手を押し潰し、それを喜ぶ人だ。そしてその為に平気で何でもするつもりだろう。
「俺に手をあげた事を後悔させてやる」
なにか武術でも習っているような姿勢になり、深く息をして、苑田さんの前から動かない俺に飛びかかろうと・・・、

「ちょっと! 何してるんですかあなた! 」
「新井くん! 大丈夫か?! 」
急に佐藤さんと市島さんの大声が聞こえた。
ぎょっとして周防がそちらを見、警察と間違えたのか守衛の佐藤さんの姿に怯む。

「な・なんだお前ら! 俺は」
「部外者が、ここで、何してるか、聞いてるんです」
佐藤さんの言葉に、周防が逆ギレする。
「部外者だと?! 俺は客だ! 」
「・・でしたら、守衛室まで来て、訪問者名簿に記帳、してください。 出来るでしょう? 」
「う・・・」
息を切らしながらもそばまで来て、いきり立つ周防に冷静な対応をする佐藤さん。
周防の、さっきまでの居丈高な様子が消え、そわそわしだした。不審者か、不法侵入者になりかねない自分に気付いたようだ。
「・・くそっ。出ていけばいいんだろう! ・・そこをどけッ! 」
喚いて、手を乱暴に振り回してきたので、相手になるのは損、と、車のそばに座りこんだ苑田さんを抱きかかえるようにして佐藤さん達と一緒に離れる。

騒々しい音を出して車が出ていき、ほっと三人で顔を見合わせた。
「・・・何があったか知らないが、苑田さん、大丈夫かい? 」
佐藤さんが気遣わしげに苑田さんを見る。
「・・すみま、せん、佐藤さ・・・」
服を直しながらお礼を言いかけた苑田さんが咳きこむ。周防に、ハンカチを口の中に押し込まれていたせいで、上手く話せないらしい。
「苑田くん・・。
今日はもう、帰った方がいいんじゃないか? 」
「うん、その方がいい。顔が白くなってるよ苑田さん」
市島さんと佐藤さんが心配そうに言う。
「・・ですけど、仕事が」
「私ができる事はやっておくから。そうして休んだ方がいい。
新井くんもそう思うだろう? 」
「はい。俺も帰った方がいいと思います、苑田さん。 ・・・・? 」
ふら、とよろめいたのを支えようとした俺に、びくん、と反応する苑田さん。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その79

最近、叫びたくなるセリフ。  「リアルなんか、やだー!」  ・・・小学生並みの現実逃避。
仕事や課題、やらないといけない事がドサッと横に山積みされると思うんですよね~。

現実がしっかりあるから空想でも何でも出来る。衣食住が足りてるから言える不満。
順に片付けて行けば済むことなんです、が。

だから今一番欲しいものは、時間!
どら猫さんのポケットから・・、とか、ハリポタの中で使っていた時間を戻す砂時計・・、とか、切実に欲しいと思ったり。
自分の計画性の無さや、実行しなければ・・という意志の弱さを見ない振りして(← コラー!)時計を見ては焦り。。

それでも、冬の方が時間が短い(足りない?)と思うんです。 
まず服の量。雪なんか降る頃になると夏の倍以上の枚数を着て。さらに厚みも違い、手袋にマフラーに耳あて―― 今はなんて呼んでいるのかな? ―― まで。
それに従い時間も取られる~。
次に夜が長い。 だから昼間出来ることが減る。 ほかには・・・、行事がたくさん!忘年会にクリスマス。お歳暮に年賀状に大掃除。。お節料理を作る人も。

ああ、時間が欲しい・・・。
アンチエイジングもやってみたいよ~~~(ァオ―ン~~)!



『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*暖かくなったら-12

和叔父さんの頬は滑らかでほんの少し塩気があった。『智』と言おうとして、『と』 で停止した唇がそのままだったからそっちは舌を出してぺろっとひと舐め。
「お返しだよ~」
驚かせることができた満足感に、にやっと笑う。
「・・さとる」
怒ったような困ったような顔で眉を寄せ、和叔父さんは動かない。

「和おじさん・・? 」
「キスは、こう、するんだ」
「和お・・」
和叔父さんの目の色が変わって、両手が俺の顔と頭を固定して唇が塞がれる。
「んん・・っ」
閉じていない唇に押しあてられた和叔父さんの唇が、熱い。すぐに離れ、また違う角度で重ねられる。そして舌が歯をなぞる。初めての感覚に背筋がぞわぞわしたけど気持ち悪くない。
だけど舌が俺の口の中に入り込んで上顎の裏側をざらりと擦った時。

電気が走ったように全身が跳ねた。

(な・・何っ、これ)
訳が判らない。
息も苦しくなってきて止めて欲しくてもがいたけど、和叔父さんに体重をかけてのしかかられて逃げられない。

そして。
俺の舌に舌が絡められ強く吸われ、どくん、と腰に衝撃が来た。
(和叔父さん・・・っ)
口の中に二人分の唾液が溢れ口の端から伝い落ちる。

怖い。これ以上されたら俺、どうかしちゃう。
そう思ったら体が動いた。


◇  ◇  ◇


ショックだった・・・。


叔父さんの手伝い、という名目で車椅子に乗った病人役をして、和叔父さんに抱き支えられたりベッドへ移動させられたりしたあと、キスしてしまった。
驚いて突き放し逃げてしまい、・・・それきり会ってない。




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本文

『プリズム』23**チョコの行方-61

「あ、ごめ・・」
様子が変だ。

「帰りなさい、苑田くん。二課の課長に話して、タイムカードとかもしてもらう」
市島さんが強く言った。普段からは想像できない態度に、本当に苑田さんを心配しているのが伝わってくる。
「俺、苑田さん送っていきます、市島さん」
「・・そうだね。君は苑田くんの家を知っていたっけ。お願いするよ。いいね?苑田くん」
「・・・は・い」
苑田さんも市島さんに気圧されたらしく、素直に答え俯く。
「じゃあ俺、片づけものして、すぐ来ます。佐藤さんそれまで苑田さんのこと頼んでいいですか? 」
「おお、構わんよ。守衛室に一緒にいる」
「ありがとうございます」
深くお辞儀をした。

市島さんと営業フロアにあがって一之瀬課長にこっそり事情を話す。同意をもらって、急ぐ仕事だけ片付け、守衛室に駆け込む。
「佐藤さんっ」
「おう。・・・気をつけて帰れよ」
「はい。ありがとうございました。・・苑田さん、行きましょう」
「あ。 わ・かった・・。
佐藤、さん。ありがとう・ございまし、た・・」
「あぁ、頭なんか下げないでください、苑田さん。自分達はこれが仕事なんですから。
そうそう、タクシーがそこの角に来てるはずです。使ってください」
あの男に気付かれないように。と、その思い遣りに頭が下がる。
「(タクシーまで・・。)使わせていただきます、佐藤さん。ほんとうに、ありがとう」
目を潤ませて苑田さんが言い、佐藤さんは赤くなってまた、気をつけて、と俺たちを送り出してくれた。


タクシーに乗り込み行き先を告げて、動き出したら、すぐだった。
苑田さんが、自分を両手で抱きしめ、ブルッと体を震わせる。
「苑田さん? 」
「・・・・・。何でも、ない」
周防に襲われたショックがまだ残っているんだろうか。 そう思って、あまり話しかけずにじっとしていた。
変だ、と感じたのは、車が道路のでこぼこでバウンドした時だ。
「・・っっ」
全身を竦ませ、息を止める。
「ひろさん? どうかした? 」
「・・べ・つに。 大丈・ぶ・・」
大きく、まるで深呼吸するように息をしたから気になって、体ごと苑田さんの方を向くと、頬が赤みを帯びている。
「お客さん、大丈夫ですか? 」
バックミラーで、ちらちら見ていた運転手さんも気付いたみたいで、心配そうに声をかけてきた。
「え・え。済みません・・」
「いや、そういう訳じゃ・・。もう少しで着きますから」
苑田さんの、ミラー越しの返事に、なぜか運転手さんも赤くなる。そして今までより静かな運転になり、苑田さんの部屋のあるマンションに止まった。

「ありがとうございました」
「・・済みません、ここまで来てもらって。 ありがと・・うございます」
代金を払い、降りると、
「お客さん、気をつけて。具合悪いみたいだし、寝たほうが良いですよ」
窓から顔を出し、苑田さんを気遣って帰って行く。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-62

「行こう、苑田さん」
真っ直ぐ歩くのが大変そうで手を貸そうとしたら、また、びくん、と体が強張る。
「・・・。一人で、行ける、から」
「そうは見えないよ、ひろさん。俺に捕まってよ」
「さわる・・・ッ」
強引に腕を掴んで、振り払おうとするひろさんがよろけたのを支える。
「帰・・る。は・なせ・・」
「・・ひろさん? 」
「お・まえも、かえれ」
なおも一人で行こうとするひろさんだったけど、心配で。
「一緒に行く。ひろさんに触らないから。それならいいだろ? 」
喰いさがった。
「・・・・勝手に、しろ」
部屋へ行く事が先だと決めたらしい。ひとこと言って、歩き出した。

(ほんとに、どうしたんだ? )
酔ってもめったにふらつかないひろさんが、まるで酔っ払いの千鳥足状態で歩いている。
気が気でなくて手を出そうとするんだけど、そのたび゜触るな‘と言われ。
やっと部屋まで辿りついて、今度は鍵を差し込めない。とうとう、
「貸して。俺がする」
鍵を取る。指先が触れ合い、ひろさんは、また反応した。

部屋へ入って、堪え切れなくなったのかテーブルに手をつき肩で息をする。
「ひろさんっ」
「・・だ、い丈夫・だ。・・一人でい・・・」
「全然大丈夫に見えないって! 」
両腕を掴み俺の方を向けさせれば・・、目が、潤んでいる? 
「た・・かし。頼む・・放して」
吐く息も熱っぽくて、まるで・・・それは、まるで。
閃光のように記憶の中からある出来事が浮かび上がった。
(大島ビルで・・見た・・)
「・・ひろさん、なんか、飲まされた? 」
ひろさんの目が大きく見開かれ、すぐ伏せられる。

やっぱり。

「あの男が何か飲ませたんだね? それで変なんだ? 体」
「ちが、う。・・一人、で、平気だ・・っ。おま・え、帰れ・・・、ん・ぁ」
また一人で耐えようとするひろさんが痛々しくて、抱きこんでいた。

腕の中でもがき、俺をおしのけかけ、二人の間で鳴った着信音にぎくりとする。
「あ。。」
俺の携帯。
「出ろ。 相手を、待たせる、な」
「でも」
「新井」
ひろさんに強く言われ、仕方なく片手を放して携帯を取り出す。表示された相手は、
(絹里さん? )

― もしもし」
― 絹里です。新井さん、いま、大丈夫ですか? 」
― うん、平気。どうしたの? 」
― あの、待ち合わせの時間・・」

待ち合わせ?  ・・・あーーっ。

― ごっ、ごめんっ! 急用が出来て・・・。あ、今からじゃ間に合わない、ね」
  ごめん、また今度で、いい? 」
― ・・・、はい。まだチケット買ってませんし。
  わかりました。それじゃ」




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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-63

うう~~ん。R付くかつかないかが微妙なんです。 なのでちょっとだけ下げました。。




「行けよ」
「ひろさん? 」
通話を切ってすぐ、ひろさんが冷たいくらい冷静な声で言う。携帯からもれる声に、話し相手が絹里さんだと気付いたんだ。
「俺なんかより、絹里さんを優せ・・っ」
全部言う前に唇を塞いだ。
隙間に舌を入れ、縮こまるひろさんのそれを絡め取りきつく吸う。
「んっ、ん・ぅ・・っ、・・・ぁ、はっ」
角度を変えるたびに出来る隙間から、湿った水音と声が・・聞こえる。
「・・っは。 ひろさん、教えて?  あいつ、何したの? 」
息が続かなくなって唇を離し、訊ねる。 返事が返って来ないってことは、そうなんだ。分かっていたらもう一発殴ってやったのに。

「たかし・・、痛い」
ハッとして力を緩める。ほーっと息をしたひろさん、俯き、
「周防さんに・・、鼻を摘ままれて、息が苦しくて口を開けたら錠剤のようなモノを入れられて。吐き出そうとしたけどハンカチを詰めこ・・・」
「いい。もういいよ。ごめんね、ひろさん。それ以上言わなくていいから」
口に手を当てて止めさせ、謝る。
「だ・から、おまえ、・・帰れ。俺は、自分で・・・なんとかする」
「ひろさん」
まだ何か言いそうだったけど名前で切り取り、顎を捕えて顔をこっちへ向けさせる。ひろさんは目を泳がせて俺を見ないけど、
「絹里さんよりひろさんの方がずっと大事だ。こんな状態で一人になんか出来ない」
もう一度キスした。
「・・・・」
そうっと舌を動かしひろさんの唇を舐めていたら、中へ入れてくれる。歯列の裏側も、上顎も穂の内側も愛撫して放せば、ひろさんの躰から力が抜けて俺にもたれかかってきた。
「たかし・・・」
囁く声がぞくぞくするほど濡れている。
「ひろさん、手伝ってあげる。ベッドまで・・歩けそう? 」

縺れ合うようにして、ベッドに二人で転がる。服越しでも分かる、ひろさんの体の熱さがあの男を思い出させ、市島さんが一緒にいてくれた事に感謝する。
もしひろさんが一人だったら・・、あの男、周防にいいようにされていたら、俺は気付けなかったことを一生悔やんでいたと思う。

「ひろさん、服、脱ごうね」
体を離し、自分から服を脱ぐ。そして抗う事のなくなった体から、できるだけ優しく服を脱がせた。
「ぁ・・」
ベルトを外すと声が出る。今までの行為で、スラックスの前は当然カタチを成しているからだ。
「だめ。俺がするんだから。・・それに、何度も見てるよ? ひろさんの」
「・・恥ずかしいものは、恥ずかしいんだっ。自分です・・・ッ」
ひろさんが手を伸ばそうとする先に、昂ぶりをくっと掴んだ。
「ゃっ。 崇、やめろ・・・。手、放し」
腰を跳ねさせて喘ぐ、ひろさんの切れぎれの言葉が俺を煽る。
「ダメだって言ったよ? 俺がするの。それともこのまま・・する? 」
四つ這いになってひろさんを跨ぎ、耳元に耳元に顔を寄せて聞けば、顔を赤くしてむこうを向く。

(可愛いったら)




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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その80

感謝とお知らせ。

前回の、こっそり‘誕生日だったんです’に、みなさまお祝いをたくさんありがとうございましたー!

祝ってもらえるの、くすぐったくて嬉しいものです。あ、でも、年齢は聞かないでくださいね。
誕生日は、今日まで生きてきた事を喜ぶ日でもあり、感謝する日でもあるそうです。
私も、皆さまと知り合えた事を喜び、ブログを続けられる事を感謝したいと思います。



どこか遠いところからここを選んで
送りだされる生命(いのち)たち

たとえ知ることの無い相手がいても
遠く細くつながる縁(えにし)

私たちにとっては薄絹のように
地球と名付けられた球体にとっては 手毬の糸のように重ねられていく
記憶と言う糸で彩られたそれらを纏い
一度きりの舞を笑顔で舞う

私はわたし 貴方はあなた

会いに来てくれて そこにいてくれてありがとう
心からの感謝を




そしてお知らせ。
年末年始、お休みさせていただきます(ぺこ)。 12月31日 ~ 1月4日までです。
ご了承くださいませ。。

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*暖かくなったら-13

今日、Rが入ります。(R-18?)。なので年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。
























ホテルの部屋から飛び出した背中に、
「さとる!」
と呼んだ和叔父さんの声が耳にこびりついている。


部屋まで走って辿りつき、ぜいぜいしながらリビングに寝転がって思ったのは・・・嫌
じゃなかった、ってこと。
叔父さんの唇は、柔らかかった。
キスしたあと、離れた隙間で俺の名前を囁いた声が甘くて、ゾクリと背中に快感が走っ
たのも、思い出す。
「・・なんだよ・・・。何で、和叔父さん、あんなこと・・・・」
頬が熱くなるのがわかり、両手で顔を覆う。目の前が暗くなり、逆に鮮明にキスシーン
が瞼の裏に蘇って来る。
じん、と腰が疼いた。
「和叔父さん・・・、和弘、おじさん・・・。」
名前を呼ぶたび、下半身に血が集まっていく。止めようがなくて、張り詰めていく前に
手をやり、釦とファスナーを開けて下着の中へ潜らせる。

直に触れた途端、刺激に体が跳ねた。
「んぅっ」
そこが一気に硬くなり滴が溢れてくる。片手で衣類をずり下げ手を上下させ、滑りでな
めらかになる動きと湿った音がさらに自分を煽って、瞬く間に駈け上っていく。
「・・っか、和弘・・さ・・・ッ」
ぐっと扱き上げ、和叔父さんの名前を呼んで、精を吐き出した。

荒い息を吐いて空しい気持ちになる。のろのろ体を起こし自分の白濁で汚れた服を見て
自己嫌悪に落ちる。
「何で・・。俺、優奈ちゃんが好きなのに」




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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-64

きょうもRです。もう本格的にR(R-18)。 なので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。



























そんな反応をするから苛めたくなってしまう。
「ひろさん。中、どんな具合? もう触ったら熱あつな感じ? それともぬるぬるして、手が滑・・・」
ひろさんが俺の首に腕を回しキスしてきて、続きが言えなくなる。
「っ、、は・・っ、ひろさ、んぅ・・」
「・・っふ、ぁ・・ッ、ん・ん・・っ」
互いの口の中を舐め合い、唾液ごと舌を絡ませ、聞こえてくる粘り気を帯びた水音に興奮度が上がっていく。
「ひろさん・・」
腰が揺れて、硬くなっている雄同士が擦れた感覚に思わず喉を反らせたひろさんと唇が離れた。
唾液が糸を引く。
「下も、全部脱ご? もうキツイよ、ね? 」
目を閉じ、頷くひろさん。

危ないクスリを飲まされ、身体がずっと燻っていたらしいひろさんは、どこもかしこも敏感になっていていつも以上に反応する。 こんなひろさんは誰にも見せたくないと思い、今更ながらあの周防という男に腹が立った。

「ぁ・・あっ、そ・・っこ」
「こんなとこもイイの? ひろさん。今日はすごいね」
「いっ、やぁ・・、んッ。・・ひうっ」
手の指を舐めたら反応したから一本ずつ咥えて舌を上下させると背中を撓らせる。手の平、手首、順番に唇を押しあてれば身悶えて、嬌声が途切れながら続いていく。
「や・・。そんっ、なっ、やめ・・っ」
二の腕の内側、柔らかい所へ歯を立てたら、びくびくして、腹に当たるひろさんの雄が硬さを増した。
「ィきそう? ひろさん」
その方が楽かもしれない、と
手を伸ばしたけど、
「いや・・だ。いきたくな・・」
首を横に振る。
「だって・・、辛そうだよ? 」
ここ、と触ると、体と剛直がビクンと跳ねる。

ほとんど弾けそうなのに、ひろさんはまだ、『イクのは嫌だ』と言う。
「どうして? ひろさん」

「あ・・っ、触・るな、崇。・・んんっ」
指先で先端を撫でるとプツリと白い滴が湧き出て雄を濡らしていく。
「ぁぁあっ。・・・っ、やだ、いっちゃ・・・」
(あれ? )
ひろさんの ‘いっちゃ’ イントネーションが微妙に違う?

「イきたく、ないの? 」
全身に薄く汗を浮かべ、我慢に我慢を重ねているひろさんにわざと聞く。
「いかな・・、いったら、や・・」
シーツを掴んでいた手で俺の腕を握る。
「でも、出そうだけど」
言い方を変えてそう言ったら、
「ん・・。出した・・もぅ」
「イく? 」
「い、いかな・・、いか・ないで・・」
小さく頭を横に振って、涙がこぼれた。 ふりさん、言葉と意味を混乱させてる。
イきたい、じゃなくて行かない。・・行かないで。





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『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-65

まだ続いてます、R。もちろんR―18なので年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。




























クスリのせいでもいい。俺に行くなと言ってくれたんだ。
喜びで大声が出るところをやっと自制し、その分ひろさんをぎゅう、と抱きしめたら、
「あっっ、出る・・っ」
俺に抱きついて、二人の隙間に熱い白濁を迸らせた。

熱を解放して肩で息をするひろさんに、
「ひろさん・・、俺、まだ終わってないよ? 俺もひろさんの中に、出したい」
耳元で言って唇で甘噛みすると、そっぽを向くひろさんの顔がぼっと赤くなる。
「す・・・好きに、しろ」
「うん」
ついでにぴちゃりと音を立てて舐め回したら、ああっ、と甘い吐息をこぼす。
もっと、もっと乱れてホントの気持ちを聞かせて欲しい。そう思って、ひろさんの白蜜を指で掬って蕾に塗りつけた。
「ん、ぁ・・。っひ」
つん、とつつくとそこはすぐに解れて、待ちかねていたように受け入れていく。いつもより熱いんじゃないかと感じる内側に指を潜り込ませ、覚えた場所に指先を押しあてる。
「んああ・・っ」
俺を跳ねのける勢いで体を反らせるひろさん。なぜだろう、気持ちが。
「まだ、指一本入れただけだよ? 動かしてもいない」
そして体を起こし、ひろさんの膝を持って立てさせ広げ、
「自分で膝持って? ひろさん」
普段なら言わない言葉が出る。
「・・っ。崇・・」
「ね? 」
戸惑い、瞳を揺らしながら見あげるのへ口角を上げる。

答の代わりに、ひろさんの手がおずおずと伸びて・・、自分の膝を、掴む。

「ぁ・・ぁ、っ、んんっ。ゃ、あ・・」
「ひろさん・・、エロ」
恥ずかしい、と目を閉じて膝を抱え。感じ、喘ぐたびに両足が空中に揺れる。俺の指三本呑み込んだ後ろと、その刺激で勃ち上がってきたひろさんの雄を弄るたびに、くちゅ、くちゅ・・、と湿った水音が聞こえ。
俺の中芯も待ちきれないと、透明な滴を滴らせてる。
「あっぁ、た・かし・・っ。や・・、もぅ、入れ・て・・・」
「欲しい? 」
「欲し・・っ。欲しい・・からっ。も、待てな」
「じゃ、ひろさんの中でイっていい? 」
「や・・だ。い、かないで・・」
「中を擦って、出したい。 それならいい? 」
言い方を間違えた、と言葉を変える。今、’イク‘のはだめなんだ。そしたら、
「ん・・。崇、・・早く」
足をさらに広げ、閉じていた目を開け潤んだ瞳で誘うから、理性が飛んだ。
指を引き抜き、両手で腰を抱えぐっと押し込むと、熱くなっている俺の剛直よりひろさんの中の方が熱くて。その熱い内壁が迎え入れるように埋めたモノへ密着してくる。

「あんっ・・、ンアァッ、・・っはくぅ・・っ」
「ひろ・・さんっ。・・ひろさん」
どう動いても敏感に反応する体が俺の下で淫らなくねり方をして昇り詰めたがる。それに押された俺の動きが早くなり、肌を打ち合わせる音の感覚が短くなっていった。





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