FC2ブログ

お知らせ

あけまして おめでとうございます。

ココは、今日からお正月明け。 平常運転に戻ります。
今年も1年 よろしくお願いいたします。 

はやいですねー。 もう1月5日。世の中がほぼ日常。
年賀状を描くのも出すのもそろそろ恥ずかしい気分になってきます。少し前なら 「松の内までは大丈夫」 なーんて
思っていたんですけど。


私の今年の目標は、時間励行と文字間違いを減らすこと・・、です(守れるのか?)。
3日坊主にならないよう、頑張りますっ。

・・・ところで。
たくさんの方が 「お正月○○」 をしていらっしゃいますね。
なんだか私もしてみようかなー、と無謀な思いがムクムク湧いてき・・・・い・いやいや。何も思い付いてないのに
宣言しては自分の首をしめる事になってしまう。。
でも。

中途半端になってしまいそう、ですが。
やってみて、いいですかー?


スポンサーサイト



お正月SS 

むら様と一澄

こんばんは。
しばらく、むら・さんと一澄のお話になります。 彼らは『プリズム』のなかにちょっと出ていた、京都在住の二人です。
そしてR(R-15?)。年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。 大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。






















「ぁ・・っ、も・う、許して、ください・・」
畳の部屋、ひと目で上質な物と分かる寝具の上に横たわる体は、寝間着にしている浴衣を大きくはだけ手も足も広げている。
「何故だい? おまえが言ったんだよ? 『自分は、若いですから』 と。だからまだ大丈夫だろう? 」
横には、背筋を伸ばして端座(正座)した彼がいて、からかうような口ぶりで許しを乞う男を見おろす。
「言・・言いません。もう、二度と言いませんからっ。お願い、です、許して・・ッ」
涙で潤んだ目を必死で彼に合わせ訴えたが、言葉が途切れびくん、と身を竦ませる。
既に二度、精を吐き出した雄に彼の指が触れたのだ。
ああっと喘ぎながら声をあげ、男は首を横に振る。鍛えているのか引き締まった腹が波打ち、萎えた雄が再び力を取り戻しはじめ。

「ほら。元気になってきた」
笑いを含んだ声で言われ、にちゃ・・、と粘つく音が自分の呼吸の合間に耳に届き、男はぎゅっと目を閉じた。
「・・むら・さま・・。お願いです」
「うん? 」
「くだ、さい・・。むらさまの・・、んぅっ」
先端を摘ままれ、その刺激に腰が浮く。
「待てないのかい? 行儀の悪いことだ」
はっ、はあっ、と喘ぐ呼吸は色づき、薄く汗をかいた皮膚はしっとりして枕もとの灯りに映える。





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ





お正月SS 

むら様と一澄**2

事の発端は、むらが‘影’だけを連れて墓参りに行った帰り道だった。


「むら様、足元にお気を付けください」
「ああ、分かっている。だが、急がないとやらなければいけない事が目白押・・・っ」
「むら様っ! 」
雨の中、傘をさして石段を下っているむらがずるっと足を滑らせ倒れかかるのを、’影‘が咄嗟に背後から抱き支える。 が、どちらも不安定な姿勢になり、’影‘はむらを抱き込んだまま、したたかに石段にぶつかった。

「・・・くぅ」
「’一澄(かずみ)‘っ!? 」
咄嗟に、外では口にする事の無い‘影’の名前を呼び、むらは体を起して下敷きにした男を見おろす。
「だい、丈夫か? 」
「・・は、い。・・むら様の方こそ、お怪我は? 」
「無い。おまえのお陰だ、‘影’。」
「そうです、か。・・・よかった」
自身の体より主人を気遣う男に、むらは、目を細め優しい笑顔を作る。
(茜川も見る目があった、ということだな)
今、自分に仕える’影‘に、以前の、女を喰いものにしながら生きていたジゴロの姿はどこにもない。

溺愛していた姪の繭子をその毒牙に掛け、二度も流産させた男は、むらの屋敷の中で生まれ変わったようだった。

「むら様? 」
「・・今度は、皮靴ではなく、滑らない靴を履く事にしよう。おまえは? 歩けるか? 」
「はい、これくらいは。 若いですから」
実際は打撲などで歩くのも痛むだろうに、強がってみせる’影’。
その強がりに、ふと悪戯心が湧いた。


一澄の、斜めに角度をとる雄から指を離し、むらの体が動く。
浴衣をしっかり守っているしごきの結び目をほどき、しゅっと小気味いい音を立てて抜いた。
押し広げ、全身を晒す。そして。
「自分から誘ってごらん」
一澄の顔を上から覗きこんで言う。
「むら様・・」
「浴衣を脱いで、私を誘ってごらん。 出来ないならこれで終わりだ」
ゆっくり頬を撫でながら、むらは繰り返した。





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ




お正月SS 

むら様と一澄**3

急に始めてしまったSS。説明不足がたくさんあるみたいです。。 なのでちょっと状況を。
そしてR? っぽくなってきたので少し下げます。大丈夫な方のみどうぞ。












布団の上、袖を通しただけの浴衣の上に寝ている一澄の唇が戦慄く。

主人であるむらが足を滑らせた墓参りは一昨日。体には痣がいくつか残っているが、その時自分が言った言葉などとうに忘れていたのに。

むらの指が一澄の唇に触れ、問いかける。
「この唇は誰のモノ? 」
「むら様の、もの・・です」
指を乗せたまま言葉を作り出すそれに、むらが満足げに頷きそのままつい、と中へ滑り込ませた。
素直に受け入れ、舌を絡ませる一澄。出し入れされる指は時おり動き回り、口の中を擽るように愛撫して快感を引き出す。
「あ・ぅ・・。はっぁ、ん・・っ。ふぁ、んんっ」
体のあちこちをびくびくと跳ねさせ応えるのへ笑みを作って、
「私はまだ何も聞いていないよ? ほら、口を開けなさい」
唾液でたっぷり濡れた指を抜く。
「・・おまえの雄とおんなじだね」
じっと眺めたあと濡れ濡れとした指を見えるようにかざし、ぺろりと舐め上げた。
「あ・・」
一澄の顔が赤く染まる。くくっと笑ってその指で胸の小さな粒を両方撫で回し、むらは座りなおす。
「さあ」


室内は、近付けば表情が判る程度の明るさ。そのなかで荒い呼吸が聞こえる。
ごく、と喉が鳴る音も。 もちろんむらでは無い。
もぞりと体を動かし、ようやく両手をついて起き上がった一澄は、一度唇を噛んでから決心したようにうつ伏せて四つ這いになり、尻を突き出すようにして足を広げた。

「むら様・・。俺を、俺の中を、貫いてください・・・」
恥ずかしさに声が震える。だが、
「もう少し高く上げなさい」
むらの言葉に息を呑んだ。





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ




お正月SS 

むら様と一澄**4

今日はしっかりRです(R-18)。 なので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。 大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。

























促しに躊躇ったのは僅かの間。肘をつき、胸を布団に押しつける形になれば、硬く張り詰めた屹立から溢れた雫が糸を引いて落ちていく。

「いやらしい」
むらにも見えたのだろう、そんなつぶやきが聞こえ、一澄は知らず腰を揺らす。
(見られている・・。むら様に、俺の)
視線に灼かれ秘菊が収縮する。はあ、と熱い息が顔を埋めている布団にこぼれた。

「・・いい形だ」
むらの声に欲情が滲む。衣擦れがして脚の内側にむらの着物が触れるのが判り、双丘に手が置かれ二つの親指がひたりと押し当てられた。
.「・・ぁ」
中心から外へ、伸ばし広げるように滑らかに動く指。
「あ・あっ。むらさ・・、陽彦(はるひこ)様っ・・」
床入りの時だけ許された下の名前を呼べば、拒むようにきつく閉じる菊座。
「嫌か」
「違います・・っ」
拒む理由など無い。急いで息を吐いて体の力みを逃がす。こんな時のむらは気が変わりやすい。置き去りにされた事も何度もあった。
「やめないで、ください・・」
縋るような声になる。
だが返事は無く指が、体が離れていく気配。
「は・陽彦さま・・っ」
「じっとしていなさい」
「っ。・・はぃ」
顔をあげて振り向くことも許されず、一澄はその姿勢のまま、待つ。
興奮に熱くなっていた全身も雄も、続けてもらえないのかと不安になって冷えていく。

「・・! 」
不意に、温かな物が尻に垂らされた。ビクッと撥ねた背中に伝わるトロリとした感触。仄かに香りが広がる。
「オイルだよ。少々贅沢だけれど」
むらの楽しげな声がした。
戻って来てくれたのだ、と歓びが満ちてくる。 と。
「んあ・・っ」
綻んだ窄まりにオイルを纏った指が侵入した。
ぐるっと襞のすぐ内側を回った指にすぐ二本目が添えられ押し入ってくる。小さなしこりのある場所まで届かない長さは、親指。残りの指は張りのある肉を弱く強く掴みあげる。
たちまち一澄は翻弄された。
「あっ、あぁっ。陽彦、さま・・っ、そ・・あぅっ」
背を丸め、撓らせ、内壁から伝わる動きに反応する。『それは嫌だ』とは言えなかった。
本当に止めてしまわれそうで。
くちゅくちゅと音を立てていた場所から指が抜かれ、別の指が入り込む。
「ぃああっ」
待ち望んでいた小さなしこりへ強い力が加えられ、顎が上がる。
「・・ぁあ、あっ、はる・・陽彦さまっ。・・っ、あ、あ・・っ」
引っかくようにされ、二本の指で挟まれ、ばらばらと掻き回され続けざまに声を放つ。
一気に射精感がこみ上げてきた、その時。

「達ったら、駄目だ。私が欲しいのだろう? 」

絶妙のタイミングで陽彦が言葉の枷をかけた。
一澄が四肢を震わせ息を詰めて堪える。 しかし、
「あ・あ・あ・・ッ。も、もぅ・・、るひこ、さま・・ぁ」
指の動きで追い詰められ、もう止めようがない。ああ、と切なく啼いて白濁を飛ばそうとして。
「い・・く、ふぁあ! 」
どこから取り出したのか、細い紐で棒のように硬い雄の根元を戒めたむら。
寸前で堰きとめられ、一澄は身悶えた。
行き場の無い快楽に全力疾走したかのごとく荒い呼吸を繰り返す。だから、気付かなかった。
むらが狩る者の目で腰を押さえ、猛った怒張を打ち込もうとしているのを。






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ




お正月SS 

むら様と一澄**5

さあ、今日で終われるでしょうか・・。R(R-18)なのは間違いないので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。























ようやく気を散らし、息を吐いた瞬間を狙って、ぐん、と楔が挿れられた。
「ひぅッ」
一澄の手が今まで下敷きにしていた浴衣を鷲掴む。
前触れも無く押し入ってきたそれは、迷うことなく一点を擦りあげる。
「ん・は・・っ、あ!ぁあ、あ、・・っは、陽ひ、・・こ、さ・・、んぅっ」
奥まで拓かれ、すぐに退かれ、またしこりを擦られる。その急激な律動に目眩した。
「はぁう、・・っふ、んっく、・・るひ、こさ・ま・・。い・・」
ぱた、と動きが止まる。
ぜいぜい喉を鳴らして空気を取り込む一澄。ただ受け入れてる場所だけが飢えて、足りない、と吸いついている。
「・・は、陽彦さ・・」
どうか続きを、と願う前に手が回され、むらの掌にふぐり*が双つ包まれた。やわやわと揉みしだかれ、声が高くなる。
腰が揺れてねだるしぐさになるのを見たむらが、
「なかなかの誘いだね」
上体を傾け、耳に息を吹き込みながら囁く。一澄の頬が染まり、呼応してきゅう、と後孔が窄まる。
「陽彦さま・・。動いて、ください、どうか・・」
くすくすと笑う声。
「素直だね。いいだろう」
ぐっと腰を入れ短く刻み、腰を回す。
「あ・・・あ」
引き、抉るように打ち込んだ。さらにカリが引っかかるまで退いてまた深く入れる。
「うあ、あっ。・・くぅ・・、っん、ぁあ、はる、彦さま・・っ!」
がくがく揺さぶられ、声も掠れる。だが、まだ達ききれない。
(陽彦さま・・っ。もっと・・、もっと奥へ、くださいっ)

「ひ・あっ!」
雄の根元の紐が引かれたのだ。ほどけた紐の代わりに指が絡む。輪を作る指とサオを撫でる指。
前後の快感に息つく間もなく責め立てられ首を振るだけの一澄。
「・・っ、・・、ふ、ぁああっ」
項に歯が立てられた。
それが止めとなって一澄の雄が弾ける。
「・・・・ずみ・・っ」
絞るような収縮に、肌と下ばえが密着する根元まで着きいれられたむらの雄も、一澄の中を熱く濡らし、果てた。



「・・起きなさい、一澄」
翌朝、軽く頬を叩かれ’影‘は重い瞼を押しあける。
「ん・・」
「もう九時になる。朝食をココで食べるかい? 」

え?

がばっと半身を起して見回せば、
「は・・、むら様?! 」
「遅い目覚めだ。若いくせに」
くく、と笑ってむらが立ち上がる。
寝室の窓は大きく、その前には朝食の支度が整えられたテーブルがある。
「むら様・・。それはもう言いません」
片膝をついて立ち上がりながら、痛みが走って、止まる。
「うん? どうした? 」
「・・・なんでも、ありません」
体の痛みは甘さを伴って、一澄を苦笑いさせる。


これからも、付いていきます。 むら様。
心に呟いて主人と同じテーブルに着くために踏み出した。







にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ






『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-66

プリズム、再開です。
周防に会社の駐車場でクスリを飲まされた苑田、発情して、新井くんそのエロさに盛ってしまって・・ます。 つまりRの真ん中(R-18)。 なので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。 大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。


























「ぁあ・・っ、あっ。・・し、たか・・しっ、め・・だ・め、もぅ」
「ん・・、俺、も。・・好き、だよ、ひろさっ・・ん、んっ」
繋がっている場所からは、出し入れするたび濁音付きの水音が聞こえ、突き上げられるひろさんの雄は薄暗がりの中でも分かるほど吐き出した蜜で濡れている。
「・・っひ、あ。や・・っん、・・こ、ば・・っか、ぁ、い・・イイ」
弱い場所を狙って何度も擦り意識を蕩けさせ、聞いた。
「ひろさん・・、おれのこと、・・好き? 」
「好き・・っ。ぁ・や・・、擦って・・だ、めっ・・」
「どこへも、・・行ったら、嫌? 」
「やだ・・っ、行く、な、ぁ」
「そばに、居て・・、欲しい? 」
「いて、ここに・・っ、は、、あァァッ、崇―――っ」
最後の言葉に力が入る。いつもよりもっと奥を拓いて、届いた場所から熱い塊りを飛ばし二人で息を吐きながら達っした。

体の力が抜けたひろさんの両手足が俺の脇に落ちて広がる。ずい分体力を消耗したらしいひろさんを思うならもう止めた方が良いんだろうけど、俺は、足らない。
「ねぇ、ひろさん」
「ぁ・・、たかし、な・・に? 」
体を起こし名前を呼んで密着させたままの腰を動かせば、気付いたらしく、こえが上ずる。
「分かる? 俺が足りてないの。だって、半月くらいこうしてない。まだ補給終わって無いんだけど」
「崇・・・、んむっ」
俺の名前を呼ぶ声も掠れてる。これ以上シたら、明日絶対ひろさん仕事に響く。
判ってて止められない。何か言われる前に唇を塞ぎ、片手で胸をまさぐった。
「ん・・、んんっ、・・・っ、」
言葉を作ろうと舌が動くのを絡めとり形をなぞるようにぐるりと舐め回したら、そうっと手が俺の背中に。
「・・ひろさん・・。長くしないから、も一回ひろさん、感じさせて? 」
耳元に囁くと
「やくそく・・だぞ」
許してくれる。啄むようにキスして答え、
「ぁ・ん・・」
「さっきは、ゆっくりしてなかったから」
そう、ひろさんのフェロモンが凄くて俺も我慢できなかったし。だから今度は順番に。

頭を横に振ると浮かぶ首の筋を伝い、喉元に痕をつけないよう唇を押しあてる。胸の、二つの柔らかな粒に舌と指で刺激を与えて、尖らせていく。
「はっ・・、あ、たっ、たか・・っ、い・痛」
歯で軽く噛むと声を出す。
「痛くないよ、ね? 」
べろっと、舌全体で舐め上げひろさんの顎が上がるのを見る。
「や・・っ、たか、し・・ぃ」
(白くて、エロいんだよな・・。喉仏が動くのも)
「いい? 」
「・・・・い・・イィ・・・」
「もっと、言って? 」
本気で強請って、シャツに隠れる場所へ痣を散らす。
ひろさんは掠れた声で何度も‘イイ’ と言ってくれた。






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ






『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-67

ふと目が覚めて横を向いた。
最後に俺がゴムの膜越しに放出した時、ひろさんは疲れ切って目もろくに開けていられず、シャワーなんて到底無理でされるまま体を拭かれ、後始末も俺の仕事。
じっと見ていると目の下が少し窪んでクマになっているみたいだ。無理をさせたのは自覚してる。明日は怒られるだろうな、と思いながらも寝顔は苦しくなさそうで、熟睡してて安心する。
そろ、と手を伸ばして寝がえりを打ったひろさんの髪を撫でた。
「ひろさん? 」
もちろん答えは無い。
「ひーろさん。・・まだ起きないでね」
背中を向けているひろさんの後頭部へキスを落とし、
「大好きだよ。これからもずっと一緒に居よう。・・・・愛してる」
聞こえてないけど俺の気持ちを伝えて瞼を閉じた。



~~ 眠っていたのに、何かで意識が揺り起こされる。けれど眠くて目を開けられない。そのままにしていたら崇の声が聞こえてきた。
『・・・・起きないでね』
そして唇の触れる感触と、

『大好きだよ。これからもずっと一緒に居よう。・・・・愛してる』

疲れきって体が動かないのに感謝した。でなければ・・・。
崇の寝息が聞こえるまで身動きもせず待って、大きく息を吐く。涙が、こぼれた。

のろのろと両手で顔を覆い、呻く。
「絹里さんと付き合ってみろ、なんて言っておきながら・・。
別れられないのは、俺の、方だ。・・・・・崇」
クスリのせいもあったが、助けを求めて縋り、強請っていた。自分から体を拓き欲しがった。
崇の家を、俺達のようにしたくなかったのに、俺が寝ていると思って言ってくれた言葉に心を奪われてる。
体をよじり、背中に沿うように寝ている崇の方を向き唇にそっと触れるキスをして呟いた。
「たかし。・・俺も、愛して・・る」 ~~



翌朝は、気持ちにけりがついた俺が先に目覚めた。
時計を見るとまだ早い時間。眠っているひろさんを起こさないようベッドを抜け出す。
(たまには朝食作ってあげよう)
馴染んだキッチンへ行き冷蔵庫を開ける。
「えーっと。俺に出来そうなもの、あるかな? 」
卵、ハム、レタス、プチトマト・・、があって。
「パンが無い」
目玉焼きにサラダぐらいは出来そうだけど、ご飯・・、も無い。
「そう言えば」
冷凍庫を開けたら、パンもご飯もラッピングしたり容器に入っていたりで、きちんと並んでる。ひろさんが、残ったものはよく冷凍しておくんだ。って言ってたの思い出せてよかった。

「「いただきます」」
朝食は、固くなった目玉焼きとお皿からはみでそうなサラダもどきと、焦げたパン。ひろさん、楽しそうに食べている。
「おまえの作った朝食なんてめったに食べられないから」
「・・文句言っていいよ。ほんとはもうちょっと上手にできるはずだったんだ」
「これでも十分うまい」
そうかなあ、とため息が出そうになるけど、空腹だからか不味くは無い。
「次は、まともな料理するからね」
「期待して待ってる」
笑いを含んだ声で言って、時計を見た。





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ



『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-68


昼休み、早めに社食へ行って絹里さんを探す。 昨日の事を謝るのと、話をする・ために。
(苑田さんに「付き合え」なんて言われて怒っていたからって、絹里さんにわるいことしちゃった・・。
俺、やっぱり苑田さんが好きだ。これ以上気持ちを誤魔化して付き合うのは、やっちゃいけない)
楽しかったけど、絹里さんに本気になれないなら交際してもしかたない。ちゃんと話して断ろうと思っていた。

あ、来た。
「絹里・・さん? 」
呼ぼうとした声が尻すぼみになる。絹里さんはいつものようにほかの女子たちと一緒だったけどその横に中畝さんがいて、楽しそうに話しているのが見えたからだ。
チク、と胸に棘が刺さる。
声をかけづらく、出入り口で立ちんぼうもしていられず、背中を向けて中へ入りトレイを持つ。
(なんで中畝さんが? 絹里さんも楽しそうに話してて・・)

「新井さん」

「はい?!」
もやもやしながら食事を乗せたトレイを持って席に着こうとしてた俺に声をかけたのは絹里さんで、今日の彼女はお弁当らしい。
「昨日は・・すみません」
「いえ、こっちこそ・・・。ごめんね、絹里さん」
「あの・・」
「新井くん」
向かいに座った絹里さんが話そうとした言葉は、横から割り込んだ声にストップする。
それは、
「中畝さん。・・何か? 」
「中畝さん」
「ひとこと言っておきたいだけだから、絹里さん」
困った顔で止めようとする絹里さんに笑顔で笑いかけ、俺には鋭い目をする。
「新井くん、絹里さんは映画が始まるギリギリまできみを待っていた。何があったかは知らないが、待ちぼうけさせたあと、連絡無し。は良くないと思う」
「だから今話をしようとしてるんです」
中畝さんの話し方にカチンときて強気な言い方で返せば、
「それならいいんだ。
絹里さん、邪魔してごめん。それじゃあ」
俺の事はスル―したくせに絹里さんへはにっこり笑って謝り、別のテーブルへ行ってしまった。

「絹里さん」
「ごめんなさい、新井さん」
「謝らなくていいよ、俺も悪かったんだし。けど、説明してくれる? 」
口調が強くなったのは・・、しかたない。
「ゆうべ、新井さんに電話している時、映画館から出てきた中畝さんと偶然会って・・。私が一人でいるのを気にしてくれて、同じ映画だったのに一緒に見てくれたんです」
「・・・そう」
複雑な気持ちになった。
俺の方から絹里さんに謝ろうと思っていたのに、絹里さんと中畝さんが仲良くしているのを見ると、胸にチクチク刺さるものがある。
「・・・ごめんなさい」
「あ・・、違うよ、怒ってるとかそんなんじゃないから。ほんと」
黙っていたのを別の意味に取られ、身を縮めるように謝る絹里さんに慌てて言う。自分の気持ちが判らないけど今は置いといて。
「先に食べよう? 時間無くなる」
「はい」
会話が続かなく、黙々とたべ、結局肝心な話が出来なかった。





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ




雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その81

服に体を合わせるべきか。 着られる服を選ぶか。
洋服ダンスを開けて悩んでます。

今度の日曜、とある新年パーティーの ’受け付け’ を頼まれました。
多分平服では無理なのでせめてアンサンブル・・と思ったのですが。
体型が問題。


普段ズボンで過ごしているため、肌の露出が少ない。 つまり人から見られる部分が少ない、ということ。
イコール、体が怠けちゃって。
げいのー人でも常に見かける方々はそうでもないですが、’あの人は今’ になると「えええーっ!?」な方もいて、
「見られてる」威力のスゴさを思い知ります。

新しい服を買ってもいいのです。ただ、サイズが大問題。  そう、来年着られるか!? です。。。

去年、洋服のリサイクルを目的とした「不要な服引き取ります」があって少し出したのでスペースがあると言えばあるのですよ。
2・3回くらいしか着てない服も・・、あるんですよ~~。


タンスの肥やしと化したきれーな外出着。 今の私に合わせて伸び縮みしてくれないかなあーー ・・・(ため息)。





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ



『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*カラコンと名前

久し振りの智くん、です。 ホテルで別れて?以来。




もやもやが消えない。気が付くと和叔父さんのこと、思い出してる。

「・・違うし」
「あ? 何か言った? 」
「べーつに」
「でもさ、エントリーシートとか出すともう止められない」
「就活? 」
「そ。やんなきゃ始まんないぞ、とか親父は言うけどさ」
「だよな」
とか言いながら、俺は内海と同じテーブルでせっせと’見本‘を見ながらエントリーシートを書き込んでいる。
「でも、どんな会社・・、企業が俺達の学部の事分かるだろ? 」
「・・・俺はココ選んで失敗したと思ってない」
「内海? 」
思いがけない。言い切った内海に目がまたたく。
「おまえは後悔してるのか? 智」
「・・いや」
「なら自信持てばいいんじゃね? 」
「・・うん」
「俺達見て、‘いい学部出たんだね’って言わせてやろうじゃないか」
「そうだな」
ニヤッと笑いあって軽く拳を合わせる。

「でさ、連休は? 」
「へへ、デート」
「どっちと? 女の子? 叔父さん? 」
「・・・何で、和叔父さんが出てくるんだよ? 」
「違うのか? 」
「・・・・・」
「あれ? ケンカでもした? 」
「・・なんで楽しそうに言うかな? そうだよ、ケンカしたの」
内海、面白くなさそうな俺ににこにこ顔してる。






↓ランキングに参加しています。ポチッとしていただけると励みになります♪
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-69

少しですが、苑田視点があります。 ~~ から ~~の間です。



午後あずま商店へ出掛け、例の消しゴムのかす取りクリーナーの話をする。
「へ? こんな玩具みたいなもんがあるんだ・・。今どきって、わかんねえなぁ」
言いながら村田さんは、見本の、ミニカーみたいなクリーナーを机の上で動かしている。
「ははっ。面白いな、これ」
「いいでしょう? それにこれ、印刷も出来るんです」
「印刷? 」
はい。あずま商店さんの名前も入れられると思います」
村田さん、あ、と言う顔になる。
「そ・・か、そういう手も会ったんだ。
ありがとう、新井さん」
早速息子にも相談して連絡入れるよ、と弾んだ声に送られて店を出る。
確かな達成感を覚えて通作ガッツポーズした。


~~ 気持ちがすっきりしない。
原因は分かっている。崇と絹里さんだ。
昨夜、彼女より俺を選んでくれたこと、嬉しくない訳じゃなかった。けれど、崇の父親の言葉と隆裕の事がまだ俺の心を止めている。進みたいのに進めない。
「和美さんに聞いてもらおうかな・・・」
仕事の相手先と電話したあと、スマホを見ながら呟いた。 ~~



仕事で、ポカをやらかしてしまった。
野々村運輸さんで決まったチラシのための用紙を、間違えて持って行ってしまったんだ。
しかも、
「あれ? 新井さん、これ違うよ? 」
と担当の古町さんに言われるまで全く気付かなくて。
「そんなはず・・・・あああ?!」
薄いピンクの用紙に決定してたのに、薄緑の紙を持って来てしまったんだ。
「す・・すいません! すぐ、取り替えてきます! 」
「でも、包装開けちゃってるけど」
「それは、何とかします。あの、引き取ってもいいですか? 」
「いいけど・・、量、多いよ? 」
「大丈夫で・・・・!? 」
一包み持った上に口の開いた用紙の包みを重ねたせいでザザーッと音を立てて用紙が床になだれ落ちる。
「・・新井さん、落ち着いて。ともかく日にちも無いから上の人に聞いてみる。こんな量だろ? 取り替えるのだって大変だ。上手く行ったら交換しなくても済むからね」
片付けて、座ってなよ。そう言われて、凹みながら落ちた用紙を拾い集め、隅にあるパイプ椅子に座って待った。

(何でこんなドジ・・。出かける前にちゃんとチャックした・・あ! )
思い出した。
倉庫へ取りに行った時、横並びにピンクと薄緑の紙が並んでいた。俺は自分で
「これ、紛らわしいな。あとで印つけて分かるようにしておかないと」
って言ってたんだ。あの時すぐにしておけばこんな事にならなかったのに。
自分の不注意に自分で腹が立つ。
できるなら時間を巻き戻して何もしなかった自分を張り倒したい。





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ




『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-70


「新井さん」
ふる町さんに呼ばれて俯いていた顔をあげた。
「何とかなったよ」
ニッと笑って親指を突き出されて口が開く。
「ふる町さん・・・」
「今までの付き合いもあるし、試しにプリントアウトしたら案外良かった。それに新井くんよくやってるから、しょうがない。 ってさ」
「あ・・ありがとうございます!」
跳ね立ちして頭を下げる。
「まあまあ。けど、今回だけにしてくれよ? 」
「はい! 」
はははっ、元気が良いな。と笑われ、まあ、赤い色とかじゃなくて助かった、とぼやかれて冷や汗が出る。
「・・すいませんでした」
「仕事にミスは付きもんだ。次は間違えないでくれればいいから」
「はい・・」
ばしっと肩を叩かれ、その痛みを忘れないでおこうと思った。

野々村運輸で冷や汗かいてからはずっと社内でデスクワークだ。
小野山課長にはもちろん怒られ、倉庫にも行って紙の色を明記したし、物品を管理している管理部にも行った。

「あれ? 新井? 」
「うわ、宮本。久しぶり」
「どうだ営業? おまえの噂、なかなか聞こえないからさァ。たまにはこうやって顔見せろよ」
「んー、来られそうな時があったらな。やっぱ営業ってハードだ」
そんな挨拶を交わしたあと、色間違いの用紙の件を話す。宮本は吹き出して笑い、
「くっ・・、ははは・・。おまえらしいよ。ここにいる時も似たような事やってたじゃないか」
「似たような・・? あ! お・思い出すなそんな事!* 」
「やーだね。 ・・・けど、用紙の件は分かった。こっちでも確認して不足分追加しておく」
「頼むな」
「あ、そうそう、帰るんならついでにこれ、総務に持ってってくれ」
「いいけど、なんで? 」
「彼女に会わせてあげようって元職場仲間の優しーい心遣い」
「あっそ」
ニヤニヤしながらファイルを差し出す宮本がなぜか腹立たしくて雑に受け取る。
「照れるな照れるな。告白されてんだろ? おまえ。でもさ、気をつけろ? 絹里さんのことまだ狙ってるやつ、多いんだから」
「狙ってる??」
「婚約したらほぼ決定だからその前に、って。ちゃんと捕まえておかないと取られるぞ」

取られる・・・って。

「絹里さん、そんなに狙われてるのか? 」
「・・・知らないってのは幸せだな。正月に出た社内報見てがっくりきた男がどれだけいたか。 そのおかげで妙に社内恋愛が流行って、結婚したやつだっているのに」
「・・初めて聞いた」
宮本は、ハァ~~ッとため息をついて、
「おまえなあ・・・。社内一の嫁さん候補かっさらったんだぞ? 自覚しろ」
「・・・うん」
そうかー、絹里さんもててたんだ。それを聞いて、彼女との交際を止めようとしている気持ちが揺らいでくる。
「と・とにかく、これは追って行ってやる」
おお、持って行け。宮本はひらひら手を振った。




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ




『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-71

「すいません、これ、管理部から預かってきたんですが」
「あ、はい。・・ちょっと待ってて」
総務部へ書類を届けに行って、宮本の言葉を目の当たりにする。
絹里さんは仕事中ちょくちょく話しかけられていたけど、それがほぼ男性だったんだ。
「お待ちどう、新井さん。じゃあ確かにもらいました」
受け取った人は言いながら、俺の視線の先を見て笑い、
「呼びますか? 絹里さん」
「え? いいえ、いいです。仕事中ですから」
手まで降って断り、慌てて部屋を出た。
(絹里さんがあんなに人気があったなんて)
営業部の部屋へ戻りながら思い返す。
そう・・だな。明るくて、でも押しつけがましくないし。気の遣い方が上手で。聞きやすくてはきはきした声。話す相手をちゃんと見て、時には意見も言ってくれて。

「あれ? 」
今考えて思い出したこと、聞いたような気がする。
「誰だったろう・・? 」
「誰が、どうしたんだって? 」
「えー・・、あっ、課長。あの、管理部行って来ました」
「用が済んだら始末書書いて、仕事の続き」
「はい」

仕事がひと段落するたびふっと浮かんでくる絹里さんの事を頭の隅に押しやる。自分の気持ちがヤジロベエみたいにゆらゆらしている。このままじゃ苑田さんともまともに話せなくなりそうだ。
(かと言って他人に相談できることじゃないしなァ・・・)
PCの画面から目を放してぐるっと部屋を見回したら、北森と、中畝さんが部屋へ入ってくるのが見えた。
(そうか! 中畝さんだ)
絹里さんへの誉め言葉、全部中畝さんが言っていたんだ。
思い出せたのはいいが、今度は中畝さんが気になる。よく見ている、と言えばそれまでなんだけど、どうも・・・。

(ダメだ。一人で考えてるとこんがらがる。誰か・・)
頭を抱えた、時。
(そうだ、マスターの子湖塚さんなら)
カウンターの向こう側でグラスを磨いている姿が浮かんだ。



「こんばんは」
「いらっしゃい。・・今夜は、お一人ですか? 」
ドアを開けたなり店内を見回し、主任も苑田さんもいないのにほっとして足早にカウンターに座った俺へ、可笑しそうな顔で声をかけてくれたマスターに、
「あの、マスター。ちょっと・・聞いて欲しいことがあるんですが」
何故か小さくなる声で聞いてみる。
「いいですよ? まずは、何にしましょう? 」
「あ、う、じゃ、ビールで」
「はい。かしこまりました」





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ




『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-72

今日は、一部絹里さん視点の部分があります。 ** から ** の間です。



**
総務部はたいがい定時で仕事が終わる。

「あれ? 真希、どうしたの? 」
「あ。恵理。・・・新井さん、見かけなかった? 」
「えー、私は見てないけど。タイムカード探せば? 打刻してあれば帰ったんだし」
「そこまでしなくても、いいんだけど」
「なあに? けんかしたの? 」
「ううん、話がしたかっただけ」
絹里が友達の女子と話している後ろを通り過ぎようとした男性が立ち止り。
「絹里さん、新井くんと話、できなかったの? 」
「・・中畝さん」
「もしかして僕のせい? 」
「違います。私の説明不足で。もう一度ちゃんと話そうと思ったんですけど・・」
「タイムカードは? 見てないなら・・・・・ああ、これだ。まだ、退社はしていない。けど、直帰かもしれない。確認する? 」
横の恵理が絹里より先に返事する。
「はい。お願いします」
「恵理・・・」
「誤解があったんなら早いうちに解いておいた方がいいのよ、真希」
恵理の言葉に、中畝がぎゅっと拳を作る。が、
「そうだね。僕もそう思う。(営業の)部屋のボードを見てくる。ここにいてくれるかい? 」
口調は変わらない。絹里の事を気にかけているようだった。
**


◇  ◇  ◇


「・・・でね、マスター、俺、迷ってるみたいなんだ」
俺は、ビール二杯のあと、覚え出した水割りをゆっくり飲みながらマスターに話を聞いてもらっていた。
「付き合ってる人がいるけど、告白されたらその人も気になる。・・ですか。両手に花で羨ましいですね」
「嗤わないでくださいよ、マスター。俺、真剣なんで・・」
「何が気になるんですか? 新井さん」
「え・・? 」
「おひとりに決めて入るけど揺れている。 そう聞こえたもので。
新井さんが気にしているのは何なのか。
その答えが見つかれば、選ぶ人は決まってくると思いますよ」
笑顔だけどはっきり言われて、今まで見えなかった縺れていたものが見えてくる。
「俺が、何を気にしてるのか。それが問題なんだ」
「ええ。そこから先は、私は入れませんから、看板まででもいいですし、ゆっくり考えてみてください」
マスターは言い残して、ちょうどやって来たお客さんの方へと移動していった。


◇  ◇  ◇


**
「絹里さん。・・直帰、に、なっていた・・よ」
急いで営業のフロアまで戻り、確認してきた中畝が戻って来て息を切らせながら言う。
「済まなかった。・・僕が、あの時、話しかけなければ」
「いいえ。本当に違いますから。あの・・、わざわざありがとうございました」
絹里が頭を下げれば、横にいた浅野 恵理も、
「中畝さん、ありがとうございました」
ぴょこんとお辞儀する。
「あんまり、役に立てなくて・・」
苦笑いする中畝に、
「そんなこと。私では一人で行けませんし」
「でも、よく来てるよ? 仕事で、だけど」
中畝の、茶目っ気のある突っ込みに、二人が思わず笑い出す。その笑顔に、ようやく表情を緩めた中畝だった。
**

雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その82

庭。庭園。 人間が自分の好きなように作る模擬自然。

実際の地面を使ってつくったり、人工物でつくったり、絵画にしたり。
私たちはいろんな形の’庭’に接していますね。

西洋の庭は、出来上がった形、を愛でることが多いような気がします。
日本の庭は、未完成でも良しとする、感じ。
どこで見聞きした話だったかは忘れましたが、100年後の樹木の生長(植物はこちらを使うほうがよさそうなので)を想像して配置を決める・・ということがあるんだそうです。

気が遠くなる話です。
でも、「いつかはこうなる」 って未来予想図を描きながら庭を造るのも楽しいかもしれませんねえ。

庭のある家に共通する悩み事は、雑草、ではないかしら?
昭和天皇は、「雑草と言う草はない。みなそれぞれに名前がある草なのだ」 と仰っていらしたそうですが、それはそれ。
春から夏にかけて、放っておくと’猫じゃらし(狗尾草・えのころぐさ)’でも、1m以上の高さに成長・・あ、生長しちゃうんです!
ほんとーに生命力溢れる雑草の皆さん。。

除草剤にも耐え、半年もすれば’復活~~’ とばかりに出てくる。 真夏の暑い日は、その元気が欲しくもなります。


でも、庭には不協和音。  美しさって日々の努力なのねー。
皆さんが好きなお庭、どんな庭ですか?

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*カラコンと名前-2

今日は場面転換。智くん、デートです。




「智さん」
「優奈ちゃん、待った? 」
連休の真ん中あたり、地元で待ち合わせ。
「いいえ」
今日はあいにくの雨だったけど映画を見るにはいい天気なのかもしれない。
「まだ時間もあるし、何か買って入ろう」
「はい」
見上げる目がキラキラしてる、ような気がする。


「面白かったね」
「あんなどんでん返しがあるなんて思い・・思わなかったです」
言い直したのは、俺が、『敬語は止めてほしい』って言ったから。だって付き合ってるんだから、俺たち。
ちょっと目を伏せてジュースを飲み、また見上げてくる。

「・・優奈ちゃん」
「はい? 」
「目・・、よく見せて? 」
じっと目線を合わせる。優奈ちゃんの目って、こんなだったっけ?
と、急に視線を逸らされた。
「変ですか? 」
「そんな事無い。いつもと違う感じで、よく見たいんだ。キレイだから」
そのままを伝えたら、優奈ちゃん、ポッと赤くなった。
「え? あ、俺変なこと言った? 」
「・・いいえ」
頭を横に振ると、下ろした髪がフワッと揺れる。
「じゃあ、見せて? 」
返事の代わりに、目が・・。
上目使いに見上げられて、どき・・っとした。
吸いこまれそうな、黒い瞳。

その目が、カラーコンタクトで作った’目‘だったのを知ったのは、しばらく経ってからだった。



↓ランキングに参加しています。ポチッとしていただけると励みになります♪
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-73

マスターに言われてから考えた。
俺はなぜ苑田さんじゃないと駄目なんだろう。

仕事ではずっと先を行く先輩で、厳しい。けど、笑うと明るくて悪戯だって好きで、母さんとも父さんとも仲が良い。そして夜は・・・。

ぶるぶるっと頭を振ってその後を追い出す。問題はそこじゃないんだ。

範裕さんは、時々、守らないといけないくらい震えてる時がある。そんな時は抱きしめて、守ってあげたい。せめて支えになりたい。  そう思う。


じゃあ、絹里さんは?
中畝さんに聞かされた事ばかり浮かぶのは癪さけど、いつも笑顔でさり気なくフォローしてくれて。
聞きやすい声で、こっちの話もきちんと聞いてくれる。近寄りがたいほど美人、ではないのも親しみがあるし、でもちゃんと‘自分’を持っていて。結婚しても変わらないだろうな・・・。

結婚、か。

母さんは、『あんまり早く孫が出来たら六十才まえにお祖母ちゃんになっちゃうから、それは嫌だわ』 とか言ってたことがある。
相手が絹里さんだったら文句言わないか? 

デパ地下で仲良く喋っていたのを思い出し、くすくす笑う。
父さんだってきっと絹里さんを好きになる。親戚の誰かが来ても嫌いになる人はいないはずだ。


絹里さんとの未来を想像したら、首を傾げてしまった。
どこか薄っぺらいんだ。まるで・・・、ドラマを見ている感覚になってしまう。


ひろさんだと?
一緒にいる時間が長いせいだろうか、簡単に思い浮かぶ。ご飯食べて、買い物して、映画とか見たり。
年とったらもっと二人の時間が増えるから、のんびりできるかな。  あ、その前に山へ行かないと。
「・・・あれ? 」

ひろさんだと具体的で実感がわく。楽しくなる。

「なんだ、最初から分かってたんだ、俺。じゃあ・・」
絹里さんに心が揺れるのは、結婚・できるから? ・・・いや、絹里さんが本気だ、って事と周りがウルサイのと、多分。
「中畝さんだ」




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ





『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-74

ひろ・・、苑田さんに聞いたことがある。
中畝さんはお父さんが転勤族で、学校も何回か変わり、その中の一つに絹里さんのいた高校もあった。彼女は覚えていなかったけど、中畝さんはしっかり覚えてたんだ・・ってこと。
だから今回も絹里さんの味方になったんだろうな。俺が、彼女にちゃんとフォローしなかったから。
うん、俺は絹里さんよりひろさんを取った。けど、中畝さんの態度だっておかしくないか? 
あの昼食の時は、まるで保護者みたいに、・・いや、それ以上に俺を非難していた気がする。
「嫉妬とかじゃなさそうだし・・・」
首をひねったが答えは出ない。

「解決しましたか? 」
「あ・・、マスター」
すい、と目の前にグラスを出されて目を上げたら、ふふっと笑う。
「だいぶ減ったみたいですね、悩み事。どうぞ」
「いただきます。・・・はい、減ることは減ったんですが。そしたら別の悩みが」
「おやおや」
「もう一回、聞いてもらっていいですか? 」
「いいですよ」
楽しそうに頷く。
「・・気になってる人の事を、気にしてる人がいて」
マスター、ぷっと吹き出した。
「~~・・笑わなくたっていいじゃないですか」
こっちは真剣なのに。
「は・・、そ、ですね。っくく・・っ」
口を尖らせ、新しいグラスを取って一口飲む。 美味しい。

「新井さん、ライバルが出てきて焦ったんですか? 」
笑いを収めたマスターが、カウンターに身を乗り出すようにして顔を近づけ、
「『ライバルが出てきて、焦る』? 」
「なるほど、それは悩みますよね? しかも新井さんは想われてる。その想い人がライバルの方を向いたら・・、と思ったんですか? 」
謎めいた微笑みを浮かべながら真っ直ぐ俺の目を覗きこむ。
・・・何か言い返したかったけど、できなかった。


「ごちそうさま・・でした」
「はい。またどうぞ」
いつもの穏やかな声に送られて店を出る。
あのあとマスターは主任や苑田さんには絶対言わないから、と、とうとう名前以外のいきさつ、ほとんどを俺から聞きだしてしまった。
(・・主任より上手いんだもんな・・・・)
会いの手の入れ方が絶妙と言うか、俺が嘘が下手なのか(きっと両方だ)。さらには’結果‘を聞かせてくださいなんて約束させられてしまう。

けど、気持ちが軽くなったのは確かだ。


「人に聞いてもらうって、心の整理が出来るんだな」
帰ってシャワーを浴びたあと、鏡の中の自分に向けて言いながら頬をパチンと叩く。
「一番で、大切なのは、ひろさん。それだけは忘れるな、俺」


翌日、絹里さんにお詫び、も兼ねて食事に誘いたかったけどなかなか会えなくて。

::絹里さん、食事に行こうと思うんだけど、どこがいい?
::はい、和食が食べたいです。
::分かった。探しておくね。

なんてメールのやり取りだけで一日が終わってしまう。
(タイミング悪いな・・)
メールの文字を読みながら、勢いを削がれ凹んだ。




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ




『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-75

今日は苑田視点から。 ~~ から ~~ の間です。




~~ 周防さんの件から三日ほど過ぎ、新井が絹里さんとどんな話をしたか気になっていた頃。

「苑田さん、ちょっといいですか? 」
「・・どうかした? 打ち合わせの変更? 」
午後、外回りから戻ってデータの打ち込みをしていたら、絹里さんが来た。
チーム営業は三月いっぱいで終了するから、打ち合わせに関してもこのところ回数が増えている。
「いえ・・、新井さんのことで」
小声になっている。驚いて、
「た・・、新井が、どうか? 」
「教えて欲しいことが、あるんです。苑田さんは、新井さんの事よく知ってる、って聞きました」
「・・・いいよ。絹里さんの都合に合わせるから、今わかる範囲で教えてくれない? 」
目を丸くした絹里さん、
「新井さんと同じ言い方、なんですね、苑田さんって。やっぱりずっと一緒にいるとそんな風に似てくるんですか? 」
「さあ? 意識して聞いたことはないから判らないけど」
「あ、済みません変なこと言って。私の予定・・、ちょっと待ってください。え・・っと、木曜の夜以外なら大丈夫です」
「ランチが良い? お茶とかの方がいいのかな? 」
「でしたら・・、お茶で」
「じゃあ、あとで連絡入れるから」
「はい」
嬉しそうに帰っていく後ろ姿を見ながら呟く。

「新井の、知りたい事、か・・・」

新井は絹里さんと‘別れる’と言っていたけれど、彼女の方にそんな気はなさそうだ。
新井の気持ちがどこにあるのか分からないのだろうか、不安を見せて、俺に、相談に来た。
(確かに新井のことはよく知っている、が)
付き合っている事はもちろん公に出来ない。

心配と嫉妬で複雑な心境になる。


「すみません苑田さん、遅くなって」
「いや、それほど待った訳じゃないから」
俺と絹里さんが待ち合わせたのは相談を受けた二日後。どうせなら、と流行りのパンケーキ屋を選んだ。

「どれも美味しそうで、迷っちゃいます」
「時間はあるから、ゆっくり選んで」
仕事ではよく接していたから、と思っていたのに、プライベートでは全然違う。特に表情がくるくる変わって、見飽きない。
(崇とも、こうやって話していたんだろうか・・・)
胸に刺さるものがある。

こんな女性と家庭を築くことが出来る男は幸せだろう。その未来を、俺は崇から取りあげてしまう。また後悔がよぎるけど、もう自分から手を離せない。

「あの、苑田さんはもう決めたんですか? 」
「俺? ああ。食事に出来るメニューもあったから。・・この、’豆腐とサーモン&アボカドの和風カプ‘で頼もうと思う」
メニューをめくり、指さすと、
「こんな風にも出来るんですね・・。今度作ってみようかな」
ほかのメニューにも目を通しながら呟く。それが好ましく見えため息が出そうになる。
「あ・・、ごめんなさい、まだ決めてないのに。 えっと、あ、これにします」
「じゃ、注文するよ」

二人で食べながらこの店のパンケーキのこと、文房具の話をする。
感性が重なる部分もあり、それも崇が惹かれるだろうと思ってしまう。





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ



『プリズム』

『プリズム』23**チョコの行方-76

昨日の続きの苑田と絹里さん。 ドキドキな会話が。



「それで、知りたい事って? 」
食後のコーヒーが来て、本題に入る。
「あの」
躊躇い、それでも真っ直ぐ俺を見て、
「新井さんは・・・、誰か、好きな人がいるんでしょうか? 」
直球を投げてきた。

崇の好きな人は、いる。

俺の反応を見逃すまいとする彼女へどう答えればいいのか。

「・・どうして、そんなことを? 」
「それは・・、なんとなく、です」
「た・・、新井は、絹里さん以外と付き合っていないと思うけど」
嘘では無い。女性とは絹里さんだけだ。
「そうでしょうか」
「崇が、何か言ってた? 」
「いいえ。新井さんは、
『女の人とちゃんと付き合うの初めてだから、何でも話して欲しい』 
と言ってました。・・・・苑田さん? 」
「なに? 」
「新井さんのこと、名前で呼んでるんですか? 」

失敗(しまっ)た。

「・・・ああ、時々。プライベートで会うこともあるから。そんな時は仕事の話もしないし」
動揺を押し隠したから、言い訳めいた話し方になる。
「いいですね。私はまだ・・。あ、でも、新井さんのお母さんにはお会いしました」
「新井、の? 」
いつ、どこで? 崇はもう絹里さんを家に連れていったのか? 

「はい。バレンタイン前に、デパ地下で」
「そ、う・・」
「楽しい方でした」
それから、彼女と崇のお母さんの出会いを聞き、心が波立つ。


「苑田さん、今日は、ありがとうございました。新井さんのこと、たくさん教えてもらって、嬉しかったです。
私、不安な気持ちがまだあるんですけど、頑張ります。 それじゃあ」
「ああ。・・・気をつけて」


仕事を残しておいてよかった。 今は何も考えたくなくて、会社に戻り、没頭した。 ~~


絹里さんが苑田さんと会っていたなんて知らない俺は、’その日‘の翌々日、どうにか都合をつけて、初めて一緒に、期間限定のテーマパークへ行く。





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ




雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その82

アニバーサリー。 記念日という意味。

初めて聞いたのはいつだったでしょう? そして、コラボとか、コンセプトとか。
「日本語で言ってよーー!(ガオ―ッ)」
と一人で吠えていたこともありましたっけ。 笑。

でも、日本語では伝わらない雰囲気も、あるんですよね。

日本人って、取り込んで楽しむの大得意。 バレンタイン・クリスマス・ハロウィンまで。 本場の人が見たらビックリするような変わり方でしょうけど(クスクス)。


さて、今回のアニバーサリー。  あ、ちょっと違うかな?
このブログを始めて、そろそろ3年になります。 いろんな方とお友だちになって。拍手も4ケタに!
ん? 拍手? ・・・余所さまのブログでは’キリ番○○’とかやってましたよ? 

これは・・、やってみてもいいのデハ? 
どこまで応えられるか分かりませんが、やってみよう!と思い立ったので無謀だ!と自分で引っ込めないうちに公開する事にしちゃいました(汗~~!)


そこでお願いです。
「こんな数字だったよ」 など、教えてください。 なかなか拍手の数を数えないので。
リクエストもうけつけ・・ます。
考えがまとまったらでいいですからね~~♪

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*カラコンと名前-3

帰って来て、鏡の前で唇を触りながら思い出す。
(優奈ちゃんの唇、柔らかかったなー。甘い味もして)

映画を見た帰り道、とうとう‘初キス’をしたんだ。
気付いてから、あの‘目’に見あげられるたび気持ちが膨らんで。

あそこに公園があってよかった・・・。

『あ? 』
『どうかしましたか? 智さん』
『うん、あのアジサイだけ、色が違うね』
『ああ。あの場所、木を燃やしたことがあったんだそうです。そのせいじゃないかって
言われてます』
『ふーん』
青いアジサイの中でそこだけピンクっぽくなってて、目立つ。
『そばで見ますか? 』
『うん』

『へえ、本当にこれだけなんだ』
『可愛いでしょう? 』
『・・優奈ちゃんの方が可愛いよ』

並んで見ながら話ていて、ぽっと赤くなった優奈ちゃんに、我慢できなくなった。

『・・あ・・っ』

『優奈ちゃん・・? 怒った? 』
『・・いいえ』


「今日は顔洗わないでおこうっと」
どうしてもにやけてくる顔を映す鏡を指で弾いて歯を磨いた。


連休最終日は六日。
朝、カーテンを開けて、
「やった! 天気予報ばっちり」
優奈ちゃんも好きだけど、五月は一回も行けなかったからなんとなくうずうずしてる。
準備は万端、だ。




↓ランキングに参加しています。ポチッとしていただけると励みになります♪
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


プロフィール

ますみ

Author:ますみ
FC2ブログへようこそ!
BLと、雑談をしています。週末オープン。

最新トラックバック
フリーエリア
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
ようこそいらっしゃいました!
よろしければポチっとしてください(ペコ)。

Page Top