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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-45

電話から二日後、俺は小鍛冶さんを訪ねることに。
「えーと、この角を曲って・・・、あった。‘ONE・ストリーム’」

「こんにちは」
「いらっしゃいませ。 ようこそ、新井さん」
「こちらこそ、いきなりすみません」
雑居ビルの三階にある、個人経営の会社。小鍛冶さんはここにご主人と一緒に勤めてるのだそうだ。

入ってすぐ、普通の会社には無い匂いや音に気付く。
「分かります? ここは、職人さんも居るので、試作品がすぐ作れるんですよ」
「いいですね、それ」
パーテイションで仕切られた応接コーナーで改めて説明する。
「今回お願いしたいのは、3Dペンの収納ケースなんです」
「こういう物の注文はこちらも初めてです」
実物を持ってはこられなかったから、どうしても正確な話は出来ない。けど、
「面白そうですね。こういうものをこちらから提案するのも良いかもしれません。新井さん、ウチに話を持って来ていただいて、ありがとうございます」
プリントアウトした見本を眺め、小鍛冶さんはとても関心を示してくれた。
「そう言っていただけると助かります」
持ち手の付いたバッグとクラッチバッグの二種類で試作をしてくれると言う。
ひとまずここまでを小谷社長に伝えようとメールを打った。

「仕事の話はここまでですね? このあと、予定はありますか? 」
小鍛冶さんの問いに、
「いいえ、今日は何もありません」
「じゃ、コーヒーでも」
私も休憩したいので、と誘われ、まあいいか、と応じた。


ビルの一階がベーカリーで、奥にイートインできる場所がある。小鍛冶さんはそこに俺を案内してくれた。





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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-46

「名刺って、配ってみるものだわ。こんな風に、しかも苑田くんの知り合いに会うなんて思わなかった」


プライベートの口調はざっくばらん。仕草とか服は女性なのに男っぽい雰囲気があって話しやすい。
(絹里さんとは違うような・・。湯島さんに似てそう)
今まで知り合いになった女の人を思い浮かべる。

「ところで苑田くんだけど、もう結婚したの? 」
「は?! 」
コーヒーを飲みながら聞いてきた小鍛冶さん。何も口に入って無くて良かったと心底思う。
「文具展で会った時、雰囲気が柔らかで落ち着いてたから。ああいうのって結婚すると出る雰囲気なのよ。あとは、リア充してる人とか。
新井さん、仲良くしてそうだから知ってるかなあ、って」
「あ~・・、リア充は、してると思います、けど」
口が滑りそうで、急いで買ったパンを頬ばる。  あ、うまい。
「そっかー。あのね、これ、オフレコなんだけど、私、昔彼の事好きだったの」
ちょっと身を乗り出す。
(はいぃ?)
口の中で、パンがむぎゅっと潰れる。
「お兄さんと年子で、同じ学年。違う意味で目立つ兄弟だったわ。苑田くんはやんちゃで、部活も運動系。お兄さんは知的文系。仲が良くてケンカしてるのは見たこと無かった。
私を含めて彼らを好きな子も多くてね。誰が彼女になれるか競争だったのよ」
「・・・初めて聞きました」

苑田さん、運動系の部活だったんだ。


小鍛冶さんに色々教えてもらって、帰る。
苑田さんのお兄さんの事、今まで思ったことも無かった。苑田さんは話してくれないし。
・・・中島部長は、知ってる。
「けど、聞けないよ」
仏壇の中の写真は笑顔だった・・。




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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-47

社に戻って確認すると、もうPCに小谷社長と小鍛冶さんからメールが来ていた。
「小谷社長は・・、このまま進めて構わない。と。小鍛冶さんのは・・」
添付されているファイルを開け、
「早っ。もう出来てる」
後は寸法をとればいいだけのデザイン画が彩色までされて載っていた。
「かっこいいなあ」
女の人が持つことを想定して、隅に切り込みや模様の入った持ち手付きのバック。これは、ショルダーバックにもなるようだ。
クラッチバックの方は、大きな房が付いている(新井くんは知りませんが、タッセルと言います)。
そして、
“あくまで参考なので、色や形はオーダー可能です” って但し書きまでしてあった。

さすが、苑田さんの知り合い。

アポを取って、小鍛冶さんと一緒に元やへ。
「こんな会社の人からのオファーだったの? 」
ビルを見上げて立ち止まる。
「はいそうです。社長の奥さんの雅子さんがスタイリッシュな物が欲しいって」
「嘘ォ・・。聞いてないわよ、それ」
分かってたらもうちょっと決めてきたのに。焦っているような小鍛冶さんへ、
「大丈夫ですよ。小鍛冶さん、かっこいいから」
と口にする。
「なに? 誉めてるの? 」
「誉めてます」
真面目な顔をして言う俺をじっと見つめて。
「よし、信用する。
じゃ、行きましょう」
カッ、とヒールを鳴らした。


「では、試作の実物ができましたら、一度お持ちします」
「楽しみにしてますわ」
商談は無事成功し、満足げな雅子さんの声に送られて部屋を出る。
エレベータに乗ったところで、
「はーっ、緊張した~」
と、小鍛冶さんが肩を大きく上下させた。




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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-48

「そんな風には見えませんでした」
背筋を伸ばして説明をしていた姿も、耳に聞こえのいいトーンの声も仕事に誇りを持ってるのが伝わってきた。
雅子さんは、小鍛冶さん本人も気に入ったみたいだ。
「おだてたって何も出ないわよ」
クスッと笑ったあと、
「紹介してくれてありがとう。
新井くんにも苑田くんにも恥ずかしくない仕事をするわ」
きりっとした顔で言って、背中を向けた。

うん、俺も頑張ろう。


それからひと月ほど経って無事に納品完了。
作成されたバックを見た小谷社長からもオーダーが出て、小鍛冶さん、嬉しそうだ。


七夕の日、絹里さんと中畝さんを誘った。

「いらっさいませ! 」
と、相変わらずな日本語の店員さんがいる‘石元’。特に隠す必要も無いので、大勢の人がいるホールでテーブルに着く。
「絹里さん、この間はありがとう。お陰で助かった」
「いいえ」
「3Dペンですね? あれはどちらかと言うと文具よりホビーのカテゴリーなんじゃないですか? 」
とは中畝さん。
「うん、でも仕事としては面白かったよ」
自分で買っても使い道が無いから、とは思ったけど、ペン、とついてるから話を持ってくる人もいるって小谷社長夫人・雅子さんに教わったんだと伝えると、
「ああ、そう言うのはアリですね」
二人で頷いてくれる。




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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その121

出来たての匂い には魔力がある! ・・と思います。

例え「満腹で今日はもう食べ物要らないー! 」と言う時でも、出来たてのパンの香ばしい匂いやご飯のフワフワした匂い。油の中から出てきたばかりのコロッケなどなど、これでもか、って刺激で「あーーっ、もう! 何でこんな時にっ」 と叫びたくなるんです(苦笑)。
お腹がすいていればなおのこと。

うなぎ屋さんは、焼いてる匂いで客さんを集めていたとか。 そりゃ、寄っていきます。出来るまで、運ばれてくるまで口の中唾で一杯にしながら待ちますよ。


私が経験した、一番の衝撃的な匂いは、「バクン」です。
こちらでは、爆弾(バクン)菓子とか、ポン菓子とも言い、炒り米とも呼ばれてる、お米をポップコーンのように膨らませたお菓子。
独特の機械で圧力をかけ、時間が来たらその圧を一気に抜いて作るんです。その、圧を抜く時の音が「ドカンッッ!!」プシュ―~~。最初聞いた時は本当に何が爆発したんだと思いました。
(機械の写真でも・・、と思ったのですがコピペ不可。よかったら、www006.upp.so-net.ne.jp/pongashi/ や、 www.tachibanakikou.com/ のサイトでごらんになってくださいませ)

以前は業者さんが年2回ほど来てその度に告知。見てると面白かったなー。 約10倍に膨らむので、お米1合が1升分♪
温かな出来たてを大きなビニール袋に入れてもらい、家では(きれいに洗った)手で鷲掴みにしてバクバク。。
湿気を吸いやすいのでチャック付きの袋に入れたりして、でも早々に無くなりましたーー。


変わった出来たて、は、アスファルト。
たまに、道路出来たて、な道を通ります。そしてたまたま、匂いがするのを感じます。
何とも言い難い匂いなのですが、時間がある時道路に触れてみたら、柔らかい感触と温もりがありました。 真夏の熱い時とは違う、
’出来たて’の触り心地・・。不思議でした。


出来たての地球に、もし触った生き物がいるとしたら、どんな感じと、どんな匂いがしたのか、聞いてみたいですね~。





『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出して-2 (番外・和弘の一夜)**6

もう少しの所まで来ました、R-18。年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。































肌が密着し、さらに押し込んだ拍子に汗がぽたりと内腿に落ちた。
「・・・んぁっ、あ」
些細なことにもにヒクッと反応するトモミ。
「・・・っ。挿ったよ。どう? 」
「・・苦し・・っ。お腹が、へん・・・」
「そう」
体も、慣れていない事を示すように、入り込んだ僕にみっちり張り付いている。
「動かなく、て、いいの・・? 」
「馴染むまで、少し、このままいるからね」
恐るおそる聞いてきて、返答にほっと肩の力を抜く。
(いったい、どんな抱かれ方をしたんだ? )
繊細な場所を蹂躙する男だったのだろうか。 不安に揺れる瞳に笑いかけ、腰を揺らした。
「ん、んっ。ゃ・・っ」
「まだ、きついだろう? トモミが慣れたら始める」
そうなの? と言いたげな顔。上体を倒し、話そうと開いた唇に僕のを重ね舌を割り込ませた。
この体勢で、どう応えればいいのか分からないらしく動かない彼へ、頬の内側や舌を撫で大丈夫だと伝える。

「ミカ、さん。俺、もういい、よ・・」
息継ぎに離した空間に声が入った。確かに、動かせる。 では、とゆっくり引いて、ずい、と挿す。
「んあ・・」
「すぐ、よくなる」
内側にも遊びの空間ができてきた。楽になるようにと体を起こし両足を肩にあげ、双丘を両手と足で支える。
くっ、くっと前後左右に擦り、らせん状に回しながら抜いていく。
「あ、ぁ、ああ」
確かこの辺り、と張り出した場所で引き摺れば、
「嫌ッ! そ・・お、かしくなっ、あぁん、っん! 」
甘さを含んだ一段高い声で啼き、びく、びくと背中を撓らせ菊座を締め、快感を伝えてきた。
締められた苦痛をやり過ごし、
「いいんだろう? そう言わないと」
「・・言わなきゃ・・だめ? 」
目元を染めた顔で聞くトモミに、
「言ってくれると嬉しくて、張り切るんだよ」
ココが、と僕の楔を引いて、押し込んだ。




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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-49

「あれ? 絹里さん、指どうしたの? 」
料理を取る指先に絆創膏が巻いてあって、気になった。
「あ。 目立ちますか? 」
「うん・・、ひとつなら目立たないと思うけど。何をしたの? 」
右手に二つ、左手は三つもある。
「・・スポーツです」
首を竦め、悪戯を見つけられたような顔をする。
「スポーツ? 」
バレーボールで突き指とか?

「絹里さん、意外に負けず嫌いなんで僕も頑張ってしまって」
「違います。中畝さんが丁寧に教えてくれたのに、私が意地を張ってしまったから」
「・・あの、二人でスポーツしてたんですか? 」
言い合いになった二人に、訳の分からない俺が割って入る。
「新井さん、‘ボルダリング’って知ってますか? 」
「ボルダ・・、岩みたいなのを掴んで壁を登る、あれですか? 」
最近、’知ってますか? ‘が多いなぁと思いながら聞き返す。
「はい。僕の知人にやってるのがいて、誘われたんです。面白かったので絹里さんも誘いました。
どうしても指先を使うので皮膚が荒れるんです」
それで。中畝さんの説明に納得がいく。
「本当に面白かったんです。今度新井さんも行きませんか? 」
絹里さんに誘われ、
「あ、いや、俺は山登りしてたから壁までは」
「山登り? 」
「大学で登山部だったから」
「そうなんですか」
「G・Wに、久し振りに行ってきて、先輩に会って驚いたんだ・・、です」
へえ、と言う顔で見られ、なんとなくそわそわしてしまう。追及されたら苑田さんと一緒だったこともばれる。それは困るな。。





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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-50

「はー、満腹」
店を出て、ベルトの穴一つ分緩めた腹を叩いて撫でる。
「新井さん、おじさんみたいですよ」
絹里さんに見られていたようでくすくす笑われる。中畝さんにまで、
「新井くん、そういうのはこっそりした方が良いと思うよ」
なんて言われてしまう。
「けど、苑田さんもしますよ? 」
「苑田さんが? 」
「・・腹を叩いたりは、しませんけど」
「だろうね」
「苑田さんがそんなことするなんて、想像できません」
二人とも口を揃えて同じことを言うなぁ。
でも、俺は知ってるんだ。

俺と絹里さんは別々の路線。中畝さんは絹里さんと一緒。聞けば途中まで同じなんだそう。
改札を抜けて掲示板を見上げ、
「あ、もうすぐ来そうだ。急ごう絹里さん」
「それじゃ、おやすみなさい。ごちそうさまでした」
「お休みなさい。気を付けて」
中畝さんが絹里さんを気遣いながらホームへ行くのを見送り、俺は別の階段を上った。


二人でボルダリングか。
俺が一緒だった時は映画とか、ありきたりの場所しか行かなかったから、きっと楽しかったはず。
「意地になって壁登りしてる絹里さん、見たかったな」
電車の窓に映る自分に、笑いながら呟いた。



翌日。中畝さんが囲まれたそうだ。




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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-51


翌日。中畝さんが囲まれたそうだ。

石元で食事中、
「すつれいしまっす! お次おもちしまった~」
見事? な日本語で料理を持ってきた体格のいい東洋系の青年。声もそうだが歩き方も勢いがあって、絹里さんの前にお皿がガチャンと置かれ、麻婆豆腐が少しテーブルに跳ねた。
「危な・・っ」
咄嗟に中畝さんがナプキンを出して服にかかるのを防いだ、それがたまたま食事に来ていた会社の女子たちに見られたらしい。


「中畝さん、どういう事なんですか? 」
「絹里さんの事本気なんですか? 」
四・五人が口々に言うのをかわしきれなくなったのか、ついに、
「僕は本気で絹里さんが好きなんです」
と言ってしまった、そうだ。

この顛末を教えてくれたのは偶然通りかかった宮本だ。
「おい、新井」
「宮本? 」
ちょっと付き合え。と首をホールドされ、堪らず「行く行く」と俺の首を絞める腕を叩いた。

連れて行かれたのは社食の隅。
「なんだよ一体」
「おまえ、絹里さんとのデートに、男まで誘ったのか? 」
「おと・・、ああ、中畝さん」
うん、三人で食べた。と答えると、
「馬鹿か? あいつ堂々と絹里さんを狙ってる、って言ってるやつなんだぞ。そんなに悠長に構えてていいのか? 」
「狙ってる、じゃない。好きなんだって」
「はあぁ?! おまえがいるのにか? ってか、何でおまえが知ってるんだ? 」
「直接聞いた」
「あいつが言ってきたのか? 」
「そう。だから誘ったんだ。お互いオープンな方がいいだろ? 」
「『いいだろ? 』って・・・」
変な物でも飲みこんだような顔で俺を見る。
「何だ? 」
「お人好しもたいがいにしろよ? 横から攫われるぞ」

攫う相手が中畝さんなら俺はオッケーなんだ。

とは言えないから、
「うん、忠告、ありがとな」
だけ言葉にした。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その122

家の中のデンジャラスゾーン。
冷蔵庫、箪笥の上、物置き、押入れ、下駄箱(あ、今は靴箱とか、シューズボックスとか言うんでしょうか)。

自分で片付けているから、何が入っているのか知ってるハズ、覚えてるはずなんですけどねェ。
たくさん入る場所ほどいつの間にかミステリーの世界になり、やがてアブナイ世界へじわじわスライディング。。 キャア~~。


衣類などはまだ良いのです。 化繊100%が苦手な私なので綿・麺混・・じゃない、綿混のものが多く、最終手段として雑巾にする、事も出来るので。
押入れや物置きは、時に宝探しになります。 「えーっ、ここにあったの?! 」 と発見、いえ、再会があるから。

オソロシイのは、、そう、冷蔵庫です!

私より背の高い冷蔵庫。収納力も抜群。 ・・・だから。
買い物して入れてると、前にあったものが次第に奥へ。透明な板で仕切ってあるので、見上げれば何があるのか分かるうちは大丈夫。 ただ、見えなくなって、忘れてしまうと~~。
「あれ? 物が入れにくいな」 と思って、椅子を持ってきてやっこらせー。覗いて見・る・・・。
で・で・デンデローがーっ。カチカチに干からびた物体がーっ。   見なかったことにしたかった。。

可哀そうに、ゴミ袋に直行。  買った時は食べる気満々だった食品が。  つい、南無南無・・、と呟くのでした。


皆さまもどうかデンジャラスにはご注意を。






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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出して-2 (番外・和弘の一夜)**7

一晩のはずが。。長く、長~~くなってます(汗)。 今日もR―18なので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。































「あ・・っ、ミカさっ、ゃ・・、い」
「言って、トモミ」
口を覆ってしまった感じる若い身体に腰を打ちつけ、揺さぶる。
「言わないと、音を聞かせるよ? 」
わざと大きく動かし、接合部からぐちゅくちゅと粘りのある水音を立てて、促す。
「っはぅ・・っ。やめ、って、んあぁッ」
「ん~? 聞こえない」
肌を打つ音も加える。僕に合わせて上下に揺れながら、トモミは短く喘いだ。
「やっ、ぁ、い。・・っ、こ」
「ここ? 」
斜めに角度をつけ、狙って腰を入れれば、喉を晒し両手でシーツをきつく握って、
「ひぁ・あっ、・・カ、さんっ。やめ」
頭を横に振り、汗を散らす。
動きを止め、たらたらと水飴のような液体に濡れる色白な雄を扱きながら繰り返した。
「『イイから、もっとシて』。だよ」
唇を噛む。が、それもすぐ放棄し、目を閉じ、
「・・シて。・・っ、も、っと。お願・・、ぃ、から」
まだ半分だけど素直になったので、唇に’了解‘のキスをする。

「・・ど、して・・? 俺っ、言った・・、のに」
焦らされ続けてトモミが涙声で訴えてきた。
僕が、奥まで突かずに入口から半分くらいの中だけを擦っているからだ。じりじりと燻る快感があるだろう。自分から腰を揺らして奥へ入れようとする気配を察しては引き、少し入れては止める。
「ひどい・・。嫌いだ、ミカさんなんて」
身体を捩じって逃げかけるのを引き戻し、奥へ。
「あ・ぁあっ」
連打し、根元まで押し込んでそこでグリグリ捏ねた。
「っひ、ぃいっ。ゃ、そ、当て・・、深っ」
一気に引いてまた、突き込む。
「は、ぃっ。い・ィっ、・・だめ・ぇ。も」
「止め、るっ? 」
スパートをかけてからわざと聞けば、
「止めな・・っ、や、っ、欲しぃっ、・・っと、イカせ」
「も、ちろん・・っ」
与えられる熱に浮かされて、二人で昇り詰めていく。

「・・る、もぅ、出ちゃ・・」
「いいよ、、イきなさ・・、いっ」
「・・~~っく、い・・、あァッ」

抱きしめた僕の背中に細い傷を付けながら、トモミはひと声あげ、意識を飛ばした。






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バレンタインSS

チョコレート。 ちょこっと。

最近は、バレンタインチョコ売り場にも男性がカゴを持って買い物する姿がありますね。微笑ましい思いで見る私は、母の気持ちなのでしょうか(苦笑)。
では、彼らは・・?


男性の衣類を売っている店の隅にガラスケースがある。
普段は小物が並べられているが。2月に入って、そのケースの中身がチョコレートになった。

カカオ70%越えの苦みのあるものや、外国産の見慣れないパッケージのものなど少々拘った品物が並んでいる。


ドアを開けて入って来たのはリーマンの二人組。

「苑田さん、チョコがある」
「・・買うのか? 」
目ざとく見つけた年下らしい方が相手に話しかけるのを見て、店主が声をかけた。

「いらっしゃいませ。お気に召したものがありましたか? 」
「・・いえ、まだ」
「では、決まりましたら声をおかけください」


「すみません」
「はい、ただいま」
レジの前で男性が店主を呼ぶ。
「失礼します」

「これ、お願いします」
「かしこまりました。包みは、どうされますか? 」
通常のものと、期間限定のもの。そう言って差し出す包装紙。その男性は期間限定の4色のうちの一つを選ぶ。
「ありがとうございました」

バレンタイン当日が過ぎても、その店にはチョコが置かれている。
「まだ置いてあるのかい? 」
そう聞く客に、店主はそのたび、
「ええ、どうせなら旧暦のバレンタインまでと思いまして」
と穏やかな笑みで答えていた。  (今年だと、3/22.。ホワイトデーも過ぎちゃいます)




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バレンタインSS

チョコレート。 ちょこっと。Ⅱ

すみません~、バレンタインの続きが思ったより長くなったので、『プリズム』は明日からにさせていただきます

今回は、それぞれのカプの周囲にいる人たちが出ています。 エチは無しです。 そして、それぞれのカプの時間より先(未来)のバレンタインです。
パラレ・、と言った方が早かったですね・・・。




「なぁ内海、ちょっと試食してくれないか? 」
「おまえの手作りか? だったら胃薬買ってくる」
「違うよ。チョコレート」
「へー、外国の? ・・・って、固いな」
俺が出したチャック付きビニール袋の中身を、内海はひと欠けらづつ食べていく。
「うん、昔ながらの作り方らしいんだ。ど? 」
「あんまり甘くないけど。俺はこれが良い」
「そっか、サンキュ。じゃあこれ、おまえにやる」
「はあ? 」
「姉貴、買い過ぎたんだって。荷物持ちした俺に残ったの全部くれたから」
「あ・・っそ」
じゃ、遠慮なく。と差し出されたチョコを取ってデイバッグに入れ、今日はもう講義の無い内海は帰っていった。

たとえ智が買ったものじゃないにしろ、バレンタインデーにもらった、チョコだ。
内海は胸の内で呟き、駅の階段を駆け上がる。 いつか智と・・、と続けた先は、アナウの音にかき消された。


「あ、ちょうど良かった。新井さん、これ」
エレベータを降りたところで、俺は声をかけられた。相手は、
「絹里さん」
にこにこと差し出されたのは、市販のチョコレート。
「疲れた時にどうぞ」
「あ、りがと」
前もらった時は手作りだった、よな。 ま、いいか。中畝さんと婚約もしたんだし。

「おまえももらったのか」
「あ、苑田さん」
外回りに出るらしい苑田さんが、手に持ったままのチョコを見つける。
「俺もだ」
そう言って見せてくれたのは俺と同じメーカー。
「どうした? 」
「・・去年は手作りもらった」
呟き、アッと思ったけどもう遅い。苑田さんはしっかり聞いたようだった。
「ふーん。手作りが欲しかったのか」
「そ、そんなんじゃないよ」
「(去年渡した)俺のは市販のものだったしな。 そうか、手作りが良かったのか」
「違うって! 」
必死になったけど、ひろさんはそのままエレベータに乗って行ってしまった。。

どうしよう・・。


「翔一。舞斗。 今晩、暇? 」
学校からの帰り道、隣の家の公義(きみよし)がいきなり聞いてきた。
「俺は塾がある」
「俺、ちょっと見たいDVDがあるんだ」
「夜だよ」
「夜? 」
「そ。母さんがチョコレートケーキ作ったんだ」
「なんだー、おまえ、女子から貰えなかったのか? 」
翔一が突っ込む。
「ちがーう! 遥妃(はるひ)が彼氏にあげるのに、母さんと一緒に作ったんだ。2個出来たから俺たちにくれるんだって」
「ああ、遥妃ちゃん」
公義の妹は、ライバルに差をつけようと頑張ったらしい。
「それならもらいに行こうかな」
「ついでに、俺ん家でゲームの続きやろうぜ」
「ん。家に帰ったら母さんにそう言っておく」
公義からの誘いに、二人は頷いた。


「どうぞ」
「・・酒も出さず、つまみを先に出すのか? 」
怪訝そうに聞き返す香川に、子湖塚はほんのり笑う。
「今日はバレンタインなので、ウイスキーボンボンやお酒を詰めたチョコをお出ししてるんです」
「ほう」
ガラスの器に盛られたのは、さまざまな形のチョコレート。
試しに一つ取り、口に入れれば、
「・・ワインだな」
「はい。日本酒もあります。飲み比べるのも面白いですよ」
「食べ比べ、じゃないのか? 」
「それはご自由に」
飽きたら仰ってください。マスター然とした顔なのに蟲惑な頬笑みをする子湖塚。
(相変わらずだ。あの時の、負けたような顔も良かったんだがな)
「何か? 」
「いや」
怖いこわいと肩を竦め、もう一つ、口に放り込んだ。


「この店? 」
「うん、一回入ってみたかったんだ」
智実(トモミ)が店の入り口を開けようとすると、相手は一歩足を引く。
「映児(えいじ)? 」
「俺は興味ない。おまえ、一人で行ってこいよ」
瞬きしたあと、智実は眉を下げたが、
「・・うん」
待っててね、と言って店に入った。

「で? どんなの買ったんだ? 」
食後に、映児が聞いた。
「持ってくる」
どうせ服かベルトだろうと思っていたが、智実が向かったのは冷蔵庫。
「はい」
開けてみて、と言われ、疑問に思いつつ開ければ。
「・・・これ、チョコレート? 」
「オーガニックのハーブとか花びらが入ってるんだって」
ひっくり返せば花の形になっている。凝ったつくりだと思い、店から出てくるまで
時間がかかったのはこんな物を選んでいたからかと納得する。
「映児? 」
「みんな違う種類なんだ。半分ずつ食べようぜ」




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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-52

今日から通常に戻ります。 新井くん、思わぬ方面から「ちょっと来い」が。


社内の噂はまたたくまに形を変えた。


「新井、社内の噂、知ってるか? 」
「中島部長? 」

たまには付き合え、と言われ一緒に社外でランチを食べることになって、その最中。
部長はハンバーグを切り分けながら
「小野山(課長)さんが社内の噂を気にして俺に相談してきた。
『新井くん、いつになったら仲人の相談に来てくれるんでしょう? 』  ってな。
実際、絹里さんとはどうなってるんだ? 」
俺の顔を見ずに聞く。
「・・・終わりました。振られたって言うか振ったって言うか。
部長、ほかの人に話さないでくれますか? 」
シメジとベーコンのパスタ・トマトクリーム和え、がフォークの先でぐるぐる回り、一口では食べ切れない大きさになってから答える。
「守秘義務は守る。必要に応じてな」
話せ、と目を合わせてくれたので、話せる部分だけ全部話した。

「成る程。
流されかけたけど、元鞘に納まったという訳だ」
「まあ・・」
「だがいいのか? 」
「はい。俺、もうあの人にあんな顔して欲しくないし、不安になって欲しくも無いんです。
結婚とか、子供とかよりあの人の方が大事だから」

ふう、と一つ大きな息を吐き出して、中島部長は食事の手を止め椅子に凭れた。
「噂の半分くらいは本当だった、ってことか。
今俺の耳に届いてるのは、
‘絹里さんが『両手に花』状態だ’ から、
‘おまえ(新井)がぐずぐずしてるから絹里さんを中畝に奪られそうになってる。’
になった。
小野山さんも心配してた。  だがまあ、そういう事情があるなら仕方が無いな」
「すみません」





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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-53

就業時間が終わり、小野山課長が帰りがけ俺の方へ来て、
「何だか色々あったんだそうだね。君の人生だから口を挟む気はないが、相談ならいつでもして」
小声で言って、すっと帰った。
(心配してもらってたんだ)
今さらながら、周囲に見守られていたんだと思う。


「崇、噂が変わってきたな」

焼き鳥屋で、あのつみれ汁を食べながら範裕さんが言った。
石元で食事してからこっち、俺にはいろんな言葉がかけられている。絹里さんの方はどうか心配したけど、中島部長に聞いた通りなら少しは安心だ。

「うん。これで絹里さんが責められる事が減るといいんだけど。だって本当に彼女は悪くないんだから」
俺はそう返事しながら串を並べた皿からネギマを取り、口に入れる。
中畝さんのことは全く気にしてなかった。男だし自分でどうにかできるだろう。
「何? 範裕さん」
「まるで身内を心配してるみたいだ」
「そりゃあね。今じゃ気分は応援団だから」
クスッと笑った範裕さんに返事し、ビールを飲んだ。


8月になって、旧盆の休みのスケジュールが組まれていく。
地方に実家がある人はこの時期の休みの調整が大変そうだ。なので独身組の希望は最後の方になる。
そんな時、母さんからメールが来た。

::崇、お盆はどうするの? 
::帰るけど。まだ予定が立ってない
::十七日、用事があるから、その日は確保しておいて

「『確保して』って言われても・・」
スマホの画面を見ながら、努力はする、と答え、予定が貼りだされている場所へ向かう。
幸か不幸か、日頃の行いか、その日は休みを取る人が少なかった。
「しょーがないか。入れさせていただきまーす」
名前を書いた付箋を貼る。




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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-54

― あら、日帰りなの? 」
「そーだよ。母さんのメール呼んでからすぐ会社の休暇予定表見に行ったけど続けては取れなかったんだ」
夜、家に電話して報告する。
「だから今回の休みは飛びとびになってる。あとの休みは帰らないかもしれないよ」
― 仕方ないわねー。・・その方が良いかもしれないか」
ため息つきながら言うから気になる。


「ただーいま」
「お帰りなさい」
仕事を終えた十六日の晩、実家に帰りきょろっと家の中を見回す。特に変化はないからリフォームとかじゃないんだな、と思って、麦茶を出してくれた母さんに聞く。
「何の用なの?日にち指定なんて」
「それがねー」
珍しく母さんが言葉に迷う。またため息をついて話しだそうとした。
「あのね」
「おー、ここにいたか。おかえり」
「とうさん」
やけに明るい父さんが台所に入ってくると、俺を上から下まで見て、
「うーんん」
と腕組みして唸る。
「なっ、何? 」
「こう、もうちょっとイイ男にならんかなぁ。元はいいんだけどなぁ。 母さんもそう思うだろ? 」
「崇はもとからいい子ですよ。グレて金髪になったこともないし、ケンカして怪我をさせたことだってないし」
「おいおい、それは言い過ぎだ」
「と―さんも母さんも。一体何?! 」
「母さんから聞いてないのか? 写真だよ、見合い写真」
「見合い~~? 」
どこをどう押せばそんな事になるんだ?
「お父さん、家族写真でしょ? 」
「ついでに撮っておけばいいじゃないか」




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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その123

定位置。 ありますよね。
世界基準のものから個人的なものまで。

椅子の座り方から買い物の仕方、飲食店で何を食べるか。
いつ自分で決めたのか判らないけどそこにないと落ち着かない、いつの間にか出来あがってる、自分だけの環境。
適当にものがある方が落ち付ける私は・・、キチンときれい、には縁が薄いのかもしれません(笑)。

たまに模様替えもします。
感覚が馴染むまでしばらくかかるけど、なんだか居心地が悪くなって元の配置の戻してしまう事もあり。
あれ~~? です。

どうしても変えられない時は自分をすり合わせていくしかないんですが、それでも無理な場合はあとで癒しを求めてしまう。。
猫をワシャワシャしてやったり(猫、いい迷惑)、窓を閉めて歌を歌ったり甘いものに走ったり。


定位置にあって落ち着くのは体もそうです。  特に、骨。
具合が悪くなると元に戻りたがるのか、体をひねるようにすると背骨が鳴ります。 コ・コ・ココッ・・。なんて。
不思議に体が軽くなったような気が。

そして鞄の中。
こんなに小さな空間なのに定位置に無いと大騒ぎ。 レジや家の前で探す探す。  全部に紐をつけたくなるのはそんな時です。
鈴は、付けてあります。








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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出して-3

智くんの話に戻ります。   優奈ちゃんの高校の文化祭から帰って来たところ、からです。

==前回の終わりの方。
「ヤなやつが居たんだ。優奈ちゃんの先輩・・、あ、俺の後輩になるんだろうけど、その彼が優奈ちゃんの事、好きみた・・・」

「智。
本当に好きなら相手が傷ついても、自分がその傷を癒してやる。泣かなくなるまで抱きしめてやる。
僕はそう思うけど、智は? 」

そんな・・こと、俺が?   ==ここまで。



「和叔父さんは・・、経験、した? 」

「・・・・・あったよ。
だけどそれが出来たのは、僕じゃなかった。僕は、ただ、見守ることしか、出来なく」
言葉が消えたのは、和叔父さんが自分の口を握った手で押さえたから。

その時の事を思い出したんだろうか?
見てる俺の方が胸が痛くなる表情で目を逸らす。

知らないうちに和叔父さんの頭を、胸に抱きしめていた。
「和叔父さん・・、泣かないで」

「泣いてない。・・・泣いて、なんか」
そう言いながら動かない和叔父さんの息が俺の胸にかかり、強がりが聞こえる。
しばらくして、俺の背中に和叔父さんの手が触れるのが分かった。じんわりと温もりが伝わってくる。

「ありがとう。もう、いいから」
すん、と鼻をすする音がして和叔父さんの手が離れる。背中のその部分が急に寒くなった。
「ごめんね、智。僕が慰めてあげなきゃいけなかったのに」
「いいって。俺と優奈ちゃんはラブラブなんだから」
気恥ずかしそうな和叔父さんは、かわいい。こんな顔、俺しか知らないんだろうな。



今年の文化祭はツイてなかった。
「和叔父さんは仕事。 優奈ちゃんは『どうしても外せない模試があって』・・、か」
見に来て欲しい人が、両方とも来られない。
俺にすれば学園行事に力を入れられる最後なのに。




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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-55


翌日、渋る俺を連れて親子で写真館に向かう事になる。
「いい加減、諦めなさい」
不貞腐れ歩きをしていた俺に、母さんの日傘の先がツンツンされる。
「だってさー」
母さんは知ってるじゃないか、と本当に言いたい事は言えないから代わりにジロリと睨む。

「そもそも、家族写真って何? いままでそんなことしてなかったじゃないか」
「それはそうなんだが」
「しかも今って夏だよ? 写真撮るの、時期的に良くなくない? 」
「・・。母さん~」
父さん、俺に負けそうになって助けを求める。
「実はね、崇。(この写真撮影の話を)持ってきたのは坂井さんなの」
「・・従兄弟の浩ちゃんの? 」
「そう。坂井さんのお家は、今年結婚三十周年になるらしいの。それで、記念写真を撮るから一緒にどう? って連絡が来たの。せっかくだしね」
バーターしたのか。
「母さんもしばらく会ってないから『行く』って言ったのよ」
「・・・分かった」

こんな会話をしての今日で、父さん、’見合い‘の言葉は言ってないけど、その気満々なのは見て取れる。


「あ、来た」
「来ったー」
こっちー、と語尾を伸ばしながら手を振るのは浩ちゃんの娘の葵(あおい)ちゃんだ。お父さん(浩ちゃん)に肩車されてにこにこしてる。
「久しぶり」
「ほんと」
「あおい、ドレスきりゅ(着る)の」
「もう、この子の方が張り切ってるのよ」
主役の、坂井のおじさんとおばさんが挨拶しながら目を細める。

坂井のおじさん達、浩ちゃん家族と六人で家族写真を撮ったあと、いろんな組み合わせで何枚も写真を撮る。
父さんがそれを羨ましそうに見てたからちょっとだけ心が痛んだ。




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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-56

「やっぱりちゃんとした所で撮る写真は違うわねぇ」
「貸衣装まであるんだから驚いちゃうわ」
俺たち家族も無事写真を撮ったあと、おばさんと母さんがまだ興奮しながら話してる。自前の服も持っていったのに、写真館の貸衣装を見たら目の色が変わったんだもんな。
「さあさあ、母さんたち、お待ちかねの食事にしよう」
「そうだよ母さん、せっかく予約してあるんだから」
おじさんと浩ちゃんが言って、やっとおばさんの意識が移動する。
「そうそう、そうだったわ。今評判の美味しいお店予約したのよ、佐奈恵さん」
「ま、楽しみ」


来たのは、一見普通のレストラン。

「いらっしゃいませ」
「予約していた坂井です」
「それと、新井です」
「はい、承っております。どうぞこちらへ」
なんか変だなと思ったけど、係の人が普通に案内してくれたから付いていくと、
「新井 崇さまは? 」
「はい、俺です」
俺だけ呼ばれて別の人が案内について、レストランを通り抜け。
「あのー」
「新井様のお席はこちらにお取りしてございます」
渡り廊下を通り別のドアを開け・ると。。

(・・・やられた)

集団見合いの会場だった・・!


TVで見たことのある、男女が輪になって時間ごとにくるくる変わって話しする、あれ。
五十人もいる訳じゃないけど二十人近くいる。
俺のあとから二・三人来て、
「それでは皆様。 本日は当レストラン主催の‘ハッピーフレンチ’へようこそお越しくださいました。今回はお喋りタイムのあと、ビュッフェスタイルでの食事となります。

どうぞお楽しみくださいませ」




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その他

おまけ。

昨日は「猫の日」でしたねー。
 ということで。  初公開。(〃▽〃)  我が家の兄弟です。  2/23 とかけて 猫の兄弟(にゃー、にいさん)。 お粗末
(写真慣れして無いので挙動不審~~)







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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-57

「会費以上の豪華な物を用意させていただいております」
出会いより食事の方もお出でですから、と言って隣の人へ移ったが、俺は食事も出会いも要らなかった。
それでも、いきなり席を立つのは良くないかもしれないと少しの躊躇いがある。
タイミングを探してる間に席に座らせられ、お喋りタイム‘が始まってしまった。
司会の挨拶があって番号札が配られる。
「キャンセルは出来ますか? 」
「・・可能ではありますが、お食事代も込みなので、よろしければ召し上がるだけでもなさってください」
俺の番になった時こっそり聞くと、スタッフは困った顔で俺に答え、目で食事の置いてあるコーナーを示す。

「はじめまして」
「あ、どうも」
出会いを求めていそうな女性が前に座った。家族構成から趣味から血液型まで聞かれ、げんなりする。
次の女性はもう五回目なんだと言っていた。
その次は、
「退屈そうですね」
可笑しそうな顔で話しかけてくる。
「はい。早くここから出たいです」
「私も」
え? と思ったら、
「雰囲気が似てるなぁ、って思ったんです。あなたと私」
言いくるめられて来たんですか? と聞かれそんなもんですと答えると、ころころ笑った。
運よく時間が来て、その人と一緒にビュッフェコーナーへ。

「じゃあ、俺、ここで消えます」
「あら、食べないんですか? 」
「父さ、いえ、親父に文句言わないと」
「食べてからの方がいいですよ」
「会費がもったいないからですか? 」
「気持ちが棘とげしなくて済むから」
ぐっ、と詰まった。 確かに、ケンカになるかもしれない。
坂井のおじさんとおばさんが気を悪くしたら、それは良くないな・・。
「食べます」
「よかった。付き合ってくれる人がいないとまた誰か隣に来るから」
面倒なの、と舌を出した。

この人、なんか、ひろさんに似てる。






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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-58

係の人が言った通り、食事は美味しかった。皿に色々盛って、一緒に立食用のテーブルへ行く。

「私はね、姉が心配して申し込んだらしいの。あなたは? 」
「おや・・、父に嵌められたんです」
俺の憮然とした顔にクスッと笑う。
「お父さん、早く孫の顔が見たいんでしょうね」
「俺には好きな人がいるんですけど」
素早く周囲に目を走らせたそのひとは、低い声で、確信を持って尋ねた。
「あなたの好きな人、同性? 」
「・・・はい」
「私もよ」
お互い堂どうと言えない相手ね、と続けられ目を見張る。まさか、俺みたいに同性と恋愛してる人がいると思わなかったから、
「こんな所に来て、いいんですか? 」
「一回くらい来ておかないと姉が煩いのよ。あのひとはノーマルだから」
当たり前のように言う。
そうか、兄弟や姉妹がいるとそこからも攻められるんだ。
「でも、変えられないものってある。選べと言われたら、私は家族より彼女を選ぶわ」
その人は、まるで普通の会話のようにさらりと続けた。

頭を殴られた気がした。
俺は、まだ、そこまで覚悟ができてない。

「・・・あの。名前を教えてもらって、いいですか? 」
「名前? 」
「はい」
真面目な俺の顔を見て、食事の手を止め、
「なおみ」
教えてくれた。
「俺は、崇です。
なおみさん、、頑張ってください。俺、応援してますから」

「ありがとう。あなたもこれから色々あると思うけど、挫けないでね、たかしさん」

にっこり笑った。






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その124

 以前、「あなたはあなたの好きなもので出来ている」 みたいなフレーズのCMがありましたね。
でも、好きなもの・だけ、だったら自分の事は大好きだ と思うんですけど・・。

体のパーツでも、内面的なものでも、嫌いなところ、あります。 もっと○○だったら良かったのに、なんて数えたらきりが無い。
偶然見たメディアで、「あの人、私と同い年?! 」ってショックを受けたり、受けなかったり(笑)。
鏡を見たって自分の「そっくりさん」を見てる訳で、本物じゃない。

そうかと言って嫌いな部分は振り払えないですから。
見ない振りするか、我慢して死ぬまで付き合うか、短所も長所、と開き直るか。
「それ(短所)も魅力だよ」って言ってくれる人がいれば(ついでに優し~く笑って)嫌いな部分もそれなりに好きになれる・・、と思うのですが。

自分は、「自分の好きなもの」で出来あがってるのではなく、自分が選んだもので出来あがって来た、んだろうと思うんです。
これからもずっと。
それに、自分が好きなところだってたくさんある。

やり直したい人生の分岐点は山のようにありますが、似たような道を通って今と同じ場所にいるかもしれない。
できればもうちょっと人間として「出来た人」になってて欲しい。 と、もしかしたら・・、の自分に望みます。


明日はもう少し、かっこいい自分になりたいなーー。






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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出して-4

「あーああ。記念写真くらい撮りたかったな―」
「どうした? 智」
そろそろ終了の時間になり、片付けに戻ってきて喋ってる連中から少し離れ、両腕を上げて伸びをしながらぼやく俺に内海が話しかける。
「別に」
「おーい、写真、撮ろうぜ」
誰かの呼びかけに、
「ほら、行こう」
今年は洋服の内海が、着物を着てる俺の袖を掴んだ。

片付けでざわつく教室に、足早に近づく足音がする。
「あの、もう終りましたけど」
「ちょっとだけでも、見る、ことは、出来ません、か? 」
(和叔父さん? )
息をつきながら言う声がそうみたいで顔を覗かせれば、
「やっぱり和叔父さん! 」
「間に、あったみたい、だね・・」
走って来たのか、髪型の乱れた和叔父さんが笑う。
「『構内は走らないでください』って、注意されて、もう居、なくなってしまったか、と」
「いいよそれくらい。あ、ほら早く。 内海、それ剥がすのちょっと待って」
「はあ? ・・あ」
俺のストップに手を止め振り返る内海。 一瞬、険しい顔になったけどすぐ見えなくなって、
「ああ、いーよ」
貼り直してくれた。

「じゃ、行くよ」
「えー、もう? 」
「外回りの途中なんだ。あとでゆっくり話を聞かせて」
二枚ほど撮ったあと、着物、似合ってるね。そう言って和叔父さんは帰って行った。


文化祭の打ち上げはカラオケBOX。なぜか最後に時代劇の主題歌を歌ってお開きになる。
「な~~、智ぅ、また泊めてー」
「どーしてだよ。おまえの駅の方がこっから近いだろ? 」
「明日の目覚まししてー」
そんなに飲んでないはずの内海が、俺に凭れかかってくる。


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『プリズム』

『プリズム』27*知られても-59


結局最後まで居たお見合いパーティが終わり、会場を出る。帰り際渡された紙袋には、この店で結婚式も出来る、という内容のパンフレットと、お菓子が入っていた。

「お、来た来た」
レストランに戻ると、機嫌の良い父さんが手を上げる。横では母さんが困ったような顔で笑ってる。
(平和だなあ)
なおみさんと会話する前とはだいぶ違う心境でそれに応えて、さあどうしようと考えた。


「それで、いい子はいたのか? 」
車に乗り込むと、待ちきれない様子の父さんが聞いてくる。
坂井ファミリーは既に帰ったあとで、食事の最中、初めて俺のお見合いの話を聞かされた母さんは複雑な顔をしてたそうだ。

母さん、知ってるもんな。

「いい子というか・・、話が合う人は、いたよ」
「そうか。そりゃあ良かった」
完全に意味を取り違えてる父さん、一人でうんうん頷いてる。しばらくして、
「崇が会社の女の子の話をしなくなったから、心配だったんだ。話が合うひとがいたならいい」
ぽつっとこぼした。
(心配か・・)
「大丈夫ですよおとうさん。崇だって、話す時が来たらちゃんと話してくれます。ね? 崇」
母さんが助手席で父さんに請け合う。
「うん・・」
話せる時が、来るんだろうか。
「何だい母さん、何か知ってるのか? 」
「さあ? 」
「ずるいぞ、わしだけ除け者にして」
「あら、わたしだって詳しい事は知りませんよ」
バックミラー越しに俺を見て上手にはぐらかすかあさんは、やっぱりすごい。


翌日は仕事だからと駅の近くで冷やし中華を食べ、また聞かれたけど、携番の交換もしなかったと言ったら、
「情けないな―。我が家の息子は、いつの間に草食系になったんだ」
と嘆かれた。

違うけど、さ。




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