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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー41

「あーああ。妬けちゃうな~」
俺たちのやり取りを聞いてた小鍛冶さんがそう言って、ご飯をばくっと食べる。
「美登利? 」
「私より苑田くんの言葉の方が、効果あるんだもん」
「そりゃあ、‘先輩のお言葉’だからな」
小鍛冶さんがぷうっと膨れたのへ、くっ、と笑う苑田さん。
「美人のお姉さんの忠告が負ける訳? 」
「はは。三木元さんに口撃された直後だし、仕方ないさ。
ところで、もう時間になるよ? 」
「え? わ、本分忘れてるっ。苑田くん、お願い! 途中まで一緒に来て」
「最初からそのつもり」
「助かる~」

食後、小鍛冶さん・苑田さんと別れ、予定を確認。決心が鈍らないうちにと社へ戻る。

「三木元さん、いらっしゃいますか? 」
「ま、新井さんっ? ちょ、ちょっと待ってね。
三木元さーん! 」
はーい、奥の方から返事があって、大きい足音が近づいてくる。
「どなたのご用・・、新井さん?!
まあまあまあ、わざわざ来ていただけるなんて! どーぞどーぞ」
満面の笑みで迎えてくれた。

三木元さんにいそいそと案内されたのは、‘インタビュー室’とも呼ばれてる小部屋。
広報部は総務と隣り合わせでそちら側からも見える。社内外に発表するまでは秘密にしたい事などのため、こんなものを作ったそうだ。 三木元さんの発案で。
反対もあったけど、今ではちょっとした打ち合わせに使われたりして、重宝してるんだとか。
つくづくパワフルな人だ。

向かい合って座り、スマホを取り出した。
「最初にお断りしておきます。今日は時間があったので伺いました。でも、予定もあるので一〇分だけです。
それから、俺の話を最後までちゃんと聞いて欲しいんです」
「・・・わかりました」





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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー41

タイマーをセットし、切り出した。
「話したい事は、二つあります。。
俺には好きな人がいること」
「だからそれは絹里さんでしょ? 」
さっそく口が入る。じーっと三木元さんを見てたら思い出したらしく、言葉を飲み込んで、赤い唇が閉じていく。

そうか、三木元さんが苦手なの、この唇の色もあるのかもしれない。もうちょっと色が薄いと話しやすいのにな。

「俺が本当に好きで一生側に居たいのは、」
一度言葉を切って目を閉じ、さっきの苑田さ・・、ひろさんの顔を思いうかべる。
やるべきことをしっかりやれ。と言った、厳しくて優しい表情を。
目を開け、
「絹里さんじゃありません。もっと前から付き合ってた人がいます」
はっきり、言った。

三木元さんが銅像みたいに動かなくなった。




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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー42


「そしてもう一つ。
今の俺は、絹里さんより仕事を優先させるくらい全力投球してます。だから、結婚なんて遠い夢で実感も無かった」
半分は嘘だ。でも、本当のことは言えない。

「俺と絹里さんは、好きの温度が違ってたんです」
「そ、それはどこにでもある話よ? おたがお気持ちがあれば」
「好き、と、愛してる、の差は大きいです」
大真面目に言う。
「わ」
話を切られたら大変だ。 続けないと。
「三木元さん、俺と絹里さんはもう見てる方向が違ってるんです。だからもう少し静か見見守っててくれませんか? 」
三木元さん、の鼻が大きく膨らんだ、と思ったら、
「私の勘違いだった、って言うんですかっ! 」
「違います」
「私の、」
「俺がちゃんと言わなかったのが悪いんです。済みませんでした」
立ち上がって、頭を下げる。
「絹里さんは本当にいい人です。彼女が傷つかないように三木元さんも守ってあげてください」
「それは・・、もちろにょんよ。あの子は幸せになるべきなんだから」
「意見が合って嬉しいです」
と、タイマーがピピピp・・。  グッドタイミング!
「じゃあ、俺はこれで失礼します。話を聞いていただけてありがとうございました」
顔が引きつらないよう気を付けて笑顔を作り、ドアを開けた。




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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー43


午後の外回りのため外に出る。コンビニに入って休憩コーナーでホットのコーヒーを飲み、ほっと息を吐いたら、肩が急に軽くなった。
ものすごく緊張してたんだ、俺。
「・・そう言えば、三木元さん、変な事言ってたな。
『おたがおの気持ち』 とか 『もちろにょんよ』 とか。意味は通じたけど。
ともかく、社内報に誤報が出ることは無くなった。うん」
これからは後ろめたく思わずにいられる。

社内報が出た日、隅から隅まで読んだけど、俺と絹里さんの話は無くてひと安心する。ただ、代わりに小さなコラムが載っていた。

タイトルは、赤い向日葵と沙羅。

みなさん、‘沙羅’と言う気をご存知ですか?
平家物語にも出てくる、白い花の咲く木。庭に植えている人もいるでしょう。花は椿に似ていますが、白く可憐。
そして最近見かける赤い向日葵。ブラドレッド、とも言うそうです。
一輪でも目を引く濃いオレンジの花。

どちらが好みかは人それぞれですが、団体でいるのを見た時、やはりホッとするのは沙羅ではないでしょうか。(三木元)

・・唸ってしまった。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その140

・・・すみません。 大遅刻しました。
想定していない想定外、が起きて。   は言い訳ですね。 (。-_-。)

暑さにやや押され気味なこの頃、みなさま、水分が体を通り抜けている気がしませんか?
昔のおもちゃに、’ミルク飲み人形’と言うのがありました。
飲んだら、出る(笑)。
お茶も、牛乳も、ドリンクも・・、アルコールも。
体の構造は本当に不思議。何色の水分でも、ほぼ無害なものにして排出してしまう。


そう言えばこんな話もありました。
とある壁際。人目に付かないので、緊急の用足しに使われる場所があったそうな。
ある時、赤ちゃんがそこでポットン。 匂いを嗅ぎつけて野良犬が来てパクッ。
またある時、大人がそこでムリムリ~。やって来た野良犬、臭いをかいで鼻を顰めて通り過ぎた。
 犬でも違いが判るのねー。 と妙に感心して、覚えていたものです。

あー、イヌ科の動物は、食糞は野生化では正常な行動だそうです。
動物は、いかに栄養素を摂取するかで、進化の過程が分かれているとか。 肉食獣は丸ごと動物を食べ、草食獣は胃内発酵することによって栄養素を摂取する。
犬は他の動物の糞を食すことにより、少しこなれたた状態で摂取する方法に気づきました(無論それだけではないのですが)。
頭を使ったんですね。

と。
戻りましょう。
水分・塩分・ミネラル。しっかり摂って脱水や熱中症から身を守り、夏を乗り越えましょう!
ただ、溶けだしてほしいもの(脂肪)は体にしがみついて離れてくれない。 日向のバターは溶けるんですけどね・・・・。






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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー44


苑田・・ひろさんは赤い向日葵。絹里さんが沙羅、か。俺は知らなかったので’沙羅‘と検索する。
なるほど絹里さんに似合う花だ。
でもひろさんは夏だけで終わる向日葵じゃない。すっと一緒にいるんだ。

「おい」
「わっっ! 」
「何、花の写真なんかみてぼーっとしてるんだ? 新井」
「中島部長!? 」
「忘年会疲れにはまだ早いぞ。 ん? 沙羅じゃないか。
・・ああ、社内報か」
「部長、知ってるんですか? 」
「家に植わってるからな」
詩織が好きで、他にも植えてる。照れくさそうに言って腕時計を見て、
「おっと、急がないと」
と行ってしまった。なんだったんだろう?

翌週になって、分かった。朝礼で、
「今年もチーム営業をすることになった」
と発表があったからだ。
昨年のチーム営業、好評で問い合わせもあったらしい。
(となると、またひ・・、苑田さんと一緒に仕事できる? )
わくわくしてたけど現実は甘くない。 俺は選ばれなかった。
「確かに、違う人間を選んだ方が良いんだろうけどさー」
「ぼやくなぼやくな」
俺を慰めるのは選ばれた北森。しかも中畝さん、苑田さんと同じチーム。

あー、もやもやしてる。







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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー45

「新井くん」
「はい、小野山課長」
呼ばれて行くと、なんだか・・、‘にやにや’な顔をしている。
「変わったことしてるんだね」
「変わったこと、ですか? 」
「うん。報告書を見てて、あれ、と思ったんだ。部長にも聞いてみた。こういうものを扱うの、誰から教わったの? 」
パサ、と机に置かれたのは俺のレポートの何枚か。
「見ても、良いですか? 」
頷かれたのを見て、手に取る。

「名賀都(うち)は玩具を扱ってるんじゃないんだよ。君の売り込みは余計なことをしているように見えるんだけど」
「そんなことないと思います。
確かにこれは」
課長に、理由を言おうとしたら、
「私にも仕事があるから、今君の言い訳を聞く時間は無い。ともかく、よく考えてくれ」
話は終わりだと合わせていた目を外された。






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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー46


釈然としない思いのままレポートを持って席に戻る。
「どうしたんだよ、新井。小野山部長にあんなこと言われるなんて」
横の高塚が小声で聞いてくる。が、
「俺の方が知りたいよ」
戻ってきたレポートのコピーを睨む。それはあずま商店さんの引き出物に使った卓上・クリーナーから始まって、最近のメタル・メジャーや立つペン・スタンドまで、俺がどう使ったのか報告した時のものだ。
「おまえ、それ、おもしろ文具? 」
「うん、まあ」
「微妙にイロモノだな」
イロモノ? 小野山課長、それを言いたかったのかな。
「けど俺は間違ってないと思う」
「そっか。頑張れよ」
ばん、と肩を叩いて高塚も仕事に戻った。

ようし、俺は間違ってないと課長に話し・・、ではなくレポート書こう。
「ま、仕事が先だけど」


三日後

「課長、時間のある時でいいです、これ、お願いします」
「ああ、そこに置いておいて」
俺の意気込みはあっさりスルーされ、書類は‘未処理’の箱の中。けど、顔もあげず’置いといて‘と言った課長は、笑いをかみ殺していた、そうだ。

「部長や苑田くんの言う通り、持ってきましたよ」
「だろう? 放っとくと、また持ってくるぞ」
「その時は、企画書になってるかもしれませんよ、小野山課長」
「そしたら、彼をチームリーダーにしましょうか? 」
苑田の言葉を受け、小野山が中島部長に振ると、
「まだ無理だと思います。経験値が低すぎますから」
「厳しいなあ、苑田。いっそトレーニングするか? おまえが」
苑田さん、にやっと笑って答えを出さなかった。 とは後から聞いた話。

「案外、サドッ気があるのかもな、苑田には」
このやり取りを教えてくれた中島部長、意外そうだった。 ええ、そうです。苑田さんは俺をよく苛めてます。

俺だって、啼かせてるけど、さ。






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その他

頑張りましたー!(雑談のビックリ箱その141

暦の上の秋、立秋の前後から、風が爽やかに感じられるようになって・・しまっています。
本来ならこれから夏!! なのに。。
と言うことで、先週お休みさせていただいたときの写真を幾つか。
おにぎりは予約が入って30升を手分けしてニギニギ。 花火大会の会場ではかき氷もやりましたー。(こちらは忙しくて写真撮れませんでした。はは)
そして花火。 スマホのカメラではなかなかタイミングが合わず、素人丸出しの写真ですが、雰囲気だけでも・・・。

2016準備

2016準備2



2016花火2

2016はなび3

2016花火


あーんど、平和な猫、です(笑)。
2016平和

2016平和2


そして来週は旧盆。  またもお休みに・・・。
14日(日) ~ 17日(水)までお盆休み。 です。主婦としての仕事に精を出してきます。
とびとびですが、ご了承くださいませ。 

そう言えば彼らは?





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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出してー23

実際、見せてもらうとその差は一目瞭然。
体に合わない服を着ると、和叔父さんでさえ野暮ったく見えるんだ。
「服ってすげぇ。な? 智」
「うん。。和叔父さんがいっつも服に気を遣ってるの、分かる」
「だろ? それにカズはほとんど体形が変わらないから、作る方としちゃ嬉しいというか残念と言うか」
喋り疲れたのか、コーヒーを飲む。その仕草がカッコよくって、つい見てたら、
「こらこら、俺に見とれてちゃ危ないよ? カズが側に居るのに」

え?

「俺、ゲイでタチだから」
意味がよく分からないながらも、ウインクされてドキッ。
「ゲ・・」
内海が、体ごと引いてる。俺よりよく分かってそうだ。その行動にニヤッと笑みを浮かべた宮竹店長さん、意味ありげに頷き、
「君は知ってるんだ? ・・なるほど。でも安心して。俺の好みは君じゃない。どっちかって言うと」
内海から俺に視線を移す。ガタッ!! と立ち上がる内海。そして、
「拓也。智は駄目だ。僕の一番大切な子なんだから」
和叔父さんが静かに言う。
大きく目を見開いた宮竹店長さん、

「・・それじゃ、吹っ切れた、のか? 」
ゆっくり聞いた。

「吹っ切れた、訳じゃないけど、気が付いてしまったんだ」
「そ・・か。そうか。ひとまずはおめでとう」
「ありがと」
差し出された握り拳に同じ拳を合わせて返す和叔父さん。二人で分かっている空気が漂い、なぜかムカッとしてしまう。
「何? 和叔父さん。何の話? 」
「オトナの話。智くんにはまだ早いかな~」
「俺、もう二十歳(はたち)すぎました」
吹き出した宮竹さん、和叔父さんに
「はははっ、カズ、先は長そうだよ」
「うん、前途多難なのは覚悟してる」




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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー47

1週間ぶり? の新井くん、です。 前回、思わぬ方法でハッパをかけられ、燃えて提出したレポート、どうなってるでしょうね。




小野山課長に出したレポートの主旨はこうだ。
おもしろ文具や賞を取った文具は役に立つ。

確かに、仕事には使えないものがあるおもしろ文具は、正規の文具には無い‘あそび’がある。
持っていると話題になるけど、それだけ。
そう考えてる人もいるけど、製作した会社は、それ以外の物も作っている。おもしろ文具を入り口にその会社にも関心を持って、物品も使ってくれる可能性がある。少なくとも名前を憶えてもらえる。

個人で会社用の備品を買うような時代になってきて、取引先の一つも、新しいカタログにおもしろ文具や、大賞文具のコーナーを作ろうとしている。
だから、それらの文具は売り込みしなくてもそれぞれの会社の広告になる。

俺たちが積極的にそれらの文具を扱うことは、名賀都にとっても有利なはず。新しい取引も出来る可能性大だ。
お互いに情報を共有・公開できれば戦力になる。役に立つ。


俺なりに調べて、これなら名賀都でも扱える、と思った商品もリストアップして添付した。


「新井くん、ちょっと」
小野山課長に肩を叩かれたのはレポートを出した翌週。街はクリスマスソングがBGMになっている。
「はい」
付いていくと小会議室には中島部長と・・絹里さん?!
驚いて、棒立ちになってる俺に、
「さっさと鍵をかけて座れ」

絹里さんが同席したのは、去年の苑田さんから提案された件があるからだ。
「おまえがグループ営業の時に提案した件、覚えてるな? 」
「俺じゃなくて苑田さんです」
「原案はおまえだろ? 」
絹里さんが手がけて上層部に提案したのは、中島部長の耳にも入っていたそうだ。そして、
「おまえのレポートと絹里さんが手がけていた件、重なることが多かったから今回は二人でやってみろ」
そんな・・!
「困ります」
「仕事に私情を挟んでしまうから、か? 」
「そうです! 」

あ・・。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その141

効果はあった。 のですが。

久し振りにお腹が緩くなりました。
寝る間際にアイスを食べて、ガーゼのケットを寝てる最中蹴とばしていたようです・・。(T_T)
冷房は喉が空からになったりするので、寝る前にOFF。  でも、明け方、暑かったのか目が覚めて扇風機かけて2度寝。(←おバカ

結果、見事にお腹がぐるぐるに。。

汗をかいても冷たいものは我慢。上着は半袖でしたが、下は、スカートなど生足が出るものは止めてデニム。生姜や酸味のある物などを食べて内側から温まる。 お腹を温める(温湿布しました)。
・・以上でトイレに駆け込む事態は避けられました~。 良かったよかった。
で。
何が一番効いたのかが判りません。 まァ、手順(?)としては少ない方なのでこれくらいなら、と思いますが。


とある薄毛で悩む有名人が、増毛(育毛?)のためにやっていた手順は、すごかったです。
髪に良いとされるマッサージ、食品、洗髪など、10種類以上! 努力の甲斐があってみごとにフサフサになったそうですが、
「頭にかける時間が長いので短縮したいけど、どれが効いてるのかわからないので、結局全部やってる」
と悩んでるそう。

検証できないけど、確かに効果がある。
そういうものって他人から見ても自分でも、 「なんか変」 と感じてもやめられないですよね――。

無くて七癖、とはまた違うけど、いつの間にかやってること。 何かありますか?
最近の私は、「今日の予定じゃないけど、ちょっとだけ」 とやっていたらお客さんが来た。 なんてことがちょいちょいあります。
・・・なんでやろ?





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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出してー24


「内海、美味しくないのか? 」
「・・・んなことない」
「ならもっと‘美味しいっ!’って顔しろよ」

俺たちは拓也店長の店を出て、和叔父さんがよく行くという鍋料理の店に居た。
ちゃんこも、パエリアもすき焼きまでメニューにあるけど、その日に仕入れた材料で何料理になるのか決まる。
そんなギャンブルみたいな料理屋。だから和叔父さん、
「今日は牡蠣鍋か。アレルギーとか大丈夫かい? 内海くん」
「当たったことはありません」
「そう」
店先で引き返す人の横で、内海に確認した。

「済みません、予約していた能見です」
「はい。承っています。こちらへどうぞ」
「コースの変更は、できますか? 」
「私では分かりません。厨房に聞いてみますか? 」
「お願いします」
席に案内されてから、係の人が来る。
「注文の変更をご希望されたと伺いました」
「ああ、普通コースを大盛りに変更したいのだけど」
言われて、注文を取るための機械を操作していた係の人、
「はい、大丈夫です」
「ではそれでお願いします」

「和叔父さん、いいの? 大盛りコースなんて」
「ははっ、男が三人もいたら多めのコースにしないと足りなくなるだろう? それとも智は我慢するかい? 」
「しないよ! 」

運ばれてきたのは、牡蠣山盛りと仕切りのついた鍋。
「こんなに牡蠣が積んであるの、初めて見た」
「大盛りコースなんだろ? こんなもんじゃないか」
興奮する俺と違って、冷めてる内海・・だと思ったけど、
「智、これ、すっげ面白っ! 」
店員さんに教えてもらいながら殻から身を取り出す作業、に、すっかり嵌ってる。
「大盛りコースは、こういうことも出来るんだ。いつの間にか競争になって、食べる方が疎かになることもあるらしい。だから、彼女がタイムキーパーとして居てくれるんだよ」
和叔父さんが笑いかけるのは、ストップウォッチを持った女性の店員さんだ。
彼女も笑い返し、なぜか俺はムカッとした。



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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー48


クックと笑う声が三つ。 絹里さんにまで笑われてる。
「それじゃあ、誰となら出来そうだ? 」
「一人では駄目ですか? 」
中島部長の問いかけにそう答えると、
「考えが偏る」
「新井くん、女性は居たほうがいいと思う。着眼点も思考も違うから」
「私は構いません。新井さんがやりにくいのでしたら、サポートに回ります」
三連続攻撃が来て、あえなく撃沈。

「誰と組みたいか、なんて、考えたこと無かったです」
正直に言えば、
「それなら、こっちで選んでもいいのか? 」
「・・はい」
「分かった。決まり次第絹里さんと始めてくれ」
「あ・・」
「決定権は俺に丸投げしたよな、今。じゃ、仕事、頑張れよ」
部長、してやったり顔で笑い、足取りも軽く出て行く。
「さて、私も人選を手伝わないと」
小野山課長まで口元に笑いを残しながら続き、俺たちは置いてけぼりにされた。

「場所、替えますか? 」
「そうだね・・。聞かれて困る話じゃない。 って、笑わないでよ、絹里さん」
「新井さんの百面相、面白いんですもの」
絹里さんと一緒に部屋を出たところでばったり会ったのは、驚いた顔の
「苑田さん」
と、
「絹里さん? 」
複雑な顔をして俺を見た後、絹里さんへ優しい笑顔をする中畝さん。そこへ、
「すいません待たせて。 と、新井。なんだよ仲良く」
「違う。部長命令で仕事だ」
北森が混ざったのでこれだけは言う。
「ぶ長? 」
「おもしろ文具のリサーチ」
「ああ、あれ」
「おまえは? 」
「俺? 作戦会議」
「新井、ここはもういいのか? 」
「あ、はい、苑田さん。空いてます」






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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー49


翌日、社内メールがあった。

== 初めまして。一課の守谷です。
おもしろ文具の話を聞きました。楽しそうですね。一度話をしたいので連絡をお願いします。
今日は社食で、窓側の、このあたりにいます。==

このあたり、というのを図示してある。
分かりやすい内容に好感を持った。


「失礼します。守谷さんですか? 」
「はいそうです。新井さんですね。どうぞ」
「ありがとうございます」
同じ課に居るし挨拶をする程度の人だけど、どこでおもしろ文具の話を聞いたんだろう? 小野山課長が話したんだろうか。そう思いながら座った前に居るのは、眼鏡をかけた、年上の男性。
しかし。

「今日は、特Aランチじゃないんだね」
と言われ仰天っ。、
「し・知ってるんですかっ?! 」
「うん。あの時、横のテーブルで食べていたんだ。写真でしか見たことの無いランチ、拝ませてもらった」
ニコニコ笑いながら守谷さんは食事を続ける。悪気は無いんだろう。けど、特Aランチで覚えられてたなんて・・。凹むなあ。
「も・・守谷さんは、麺類が好きなんですか? 」
「まあね。社食の麺は制覇した。今日の気分はこれ」
野菜たっぷりの塩ラーメン。
「午後からはデスクワークだから、つゆが飛んでも大丈夫な日なんだ」




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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー50


守谷さん、お子さんが二人いるんだそう。
「一男一女で、上の子が今中学生。来年受験に入るから家族サービスも控えないといけなくて」
入りたい高校があるから頑張るんだそうだ。
「偉いなぁ。俺なんか、入れる学校で受験しましたよ」
「そうでもないよ。先輩のあと追いかけて受験するんだから」
思い出したのか、クスッと笑い、
「という訳だから、新井くんの‘おもしろ文具’企画に乗ることにした。息子の気晴らしになればいいと思ってね。
それに、妻や子供たちの意見も聞ける。親として、子供と話が出来る話題があるのは嬉しいことなんだ」
あ! と気付いた。そうか、家族がいるってことは、いろんな方向から見ることが出来るんだ。
「守谷さんには、メリット大なんですね」
「うん。一石三鳥・・五鳥、かな? チャンスの女神に感謝しないと」
「『チャンスの女神』? 」
守谷さん、首を竦めて、
「この話、私の方から喰いついたんだ」
悪戯がバレたような笑い方をした。
「小野山課長が守谷さんに言ったんじゃないんですか? 」
「実は、報告することがあって課長の所へ行ったとき、偶然君のレポートに目を通してて、つい見てしまって」
是非、組ませてほしいと立候補した。
「課長に、家族がいるから分かることもあるんです、ってごり押ししてOKもらったんだ」

目が丸くなる。
「あの、、守谷さん、そんなに好きだったんですか? 」
「鉛筆の先にキャラクターが付いた、変わり種の鉛筆なら、三〇本くらい持ってる」
ちょっとだけ鼻が高くなってる。 もしかして、‘どや顔’・・?






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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー51


話が弾んで、食べ終わる頃には次に会う日時まで決めていた。守谷さんの話題は俺の知らないことが多くて、メモを取りたいくらい。食事の最中じゃなく、ちゃんと聞きたかった。

「ところで、企画書は出したの? 」
「いえ。出したのはレポートです」
途端に真顔になる守谷さん。
「なあなあで動き出すのはよくないよ。遊びじゃないんだから」
「っはい、すみません」
頭を下げると苦笑して、
「・・まあ、私も自分から首を突っ込んだんだから大きな顔して言えないけど」
「そんなことないです。すぐ書いて出しますから、守谷さん一緒にやってください」
「はは、こちらこそよろしくお願いするよ」
本当に忘れてしまいそうなことを教えてくれた感謝を込めてもう一度頭を下げ、仕事に戻った。

「・・と、これで良(い)っかなあ」
企画書のコピーを取って書き込み、誤字のチェックをしてると、
「何やってんの? それ・・、企画書? 」
「わっ、見るなよ高塚」
「珍し。おまえが企画立てるなんて、明日は雪か? 」
「ふん。俺だって企画ぐらい立てるさ」
高塚のやつ、ニヤニヤして、
「ポシャらないことを祈ってやる」
「んな事になんかならない」
「おお、強気だねぇ。ぞれじゃ通ったら奢ってやるよ」
「その言葉、忘れるな」
憎まれ口を叩きあい、その勢いで小野山課長の所へ。
「課長、企画書持ってきました」
「うん? ・・ああ、これか。改めて持ってきた、ということはやるんだね? 」
「守谷さんに会って、企画書出してないの? って聞かれました。俺が出したのはレポートだったし、ちゃんとやってみたいんで、企画立てました。
見てください」
課長、笑って、
「そう言えば私も言わなかったね。見せてもらうよ」




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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その142

ヨーグルト。

最近、「ちょっとお腹が空いたなー」と思った時、ヨーグルト『も』食べるようになりました。
ええ、果物も、アイスも、お菓子も、炭酸飲料も飲食してますが。

’小腹を/黙らせ~~’などと言うキャッチフレーズと、タイムサービスに引かれ、購入。ギリシャ・ヨーグルトタイプで苺ソースなどが入ってました。
結論。 確かに効果あり。噛んで食べてる気がして、お腹にもたまる感じです。冬は冷たいかもしれないけど、夏場はいいかも!


ところで、人類はいつごろから食べ始めたの? と気になってポチポチ。

はっきりしないけど、紀元前3000年くらい前から。 **古代エジプトの時代だー。日本は縄文時代(後期あたり)。古いっ!
ブルガリアあたりで。 **おお! やはりブルガリアか! (← 
ヤギの皮の袋に入れて持ち歩いていた生乳が自然に発生したバクテリアの力でヨーグルトのような形になっていた。  **自然の偶然って・・美味しいものが出来るのね!
そして、日本に入って来たのは7世紀。飛鳥時代で、聖徳太子が居た頃。’酪(らく)’と呼ばれていたそうです。ちなみに、’蘇(そ)’というものもあって、こちらはチーズに近いものだとか。奈良で売ってるそうですよ~。(とあるブログ?に載っていました。あ、ラクテンでも買えるそうです)

昔は、お茶と同じくお薬扱いでした。
今は手軽に、一般人の私たちでもいろんな種類を食べられる。  これも一つの幸せなんでしょうね。

私は牛乳・ヨーグルト・チーズとなんでもOK。ダンナ様は、牛乳がNG。でも、インフルエンザ予防になるなら、と、去年から某飲むヨーグルトを続けています。
含まれている乳酸菌の種類で効能も違うヨーグルト。改めて表示を読み直して食べたくなりました。

そう言えば、甘めのプチトマトにヨーグルトソースをかけた前菜をいただいたことがあります。 あれも美味しかったな。。

『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出してー22


土手鍋と昆布だしの二種類で食べる牡蠣は美味しくて、剥いては食べ、剥いては食べ、としてるうち、
「智、味噌の方に入れた牡蠣がもう食べごろだよ」
「内海くん、昆布だしの方、煮詰まってきてないかい? 少し野菜を足そうか」
って、和叔父さんが言ってるのが聞こえてくる。
「和叔父さん、鍋奉行? 」
「まさか。ほら、油断すると牡蠣が逃げるよ」
「あっ、それ」
和叔父さんが教えてくれた牡蠣は内海の箸に攫われていく。
「内海っ」
「うん、美味い」
「俺のだろ」
「ほらこれ、うまいぞ」
替わりに俺の取り皿に入れられたのは、
「椎茸~~っ?! 」
プンスカしてたら、
「すぐ次が出来るんだから、そんな顔しない」
和叔父さんの笑い声とともに牡蠣が二つぽろぽろと入ってくる。あと、白菜も。
「わぁ」
「野菜も食べなさい」
「はーい」


満腹になって店を出る。外はまだ雪が降ってて寒いけど、ちょっぴりお酒も飲んで体は温かい。

「まずは内海くんを送ろうか」
「駅まででいいです」
「おまえまたそんなこと言う。家まで送ってもらえばいいじゃないか。せっかく一緒に
買ったスーツ、濡らすのか? 」
ピクリと内海の肩が動いたような気がした。
「・・・・お願いします」
「うん。そしたら、どこかでちょっと止まるから助手席に移動してくれないか。場所を教えてほしい」
「・・わかりました」

コンビニに入り、コーヒーを飲んだあと和叔父さんと内海が並んで座り、出発。




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お知らせ

お知らせ。 キリ番が近付いてきています。

拍手をしてくださるみなさまへ。

コメント、現在、11000台。
以前、「拍手ポチ、11111 になったら、リクエストしてもいいですか? 」と聞かれたことがありました。

はい。 キリ番踏んだ方からリクエストがあれば、可能な限りお応えさせていただきます。
・・・できれば、3つ以下で、お願いします。 m(__)m

『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー52


目の前で結果が出るのを待つのは、緊張する。まして今回は企画が走り出してからの企画書。事後承諾みたいな形になってる。
(ダメ出しされたら、新井さんに謝って、個人的にやろう)
諦める選択は無いのが我ながら不思議だったけど、それだけやりたいと思ってること。

「やり直し」
「え」
「プロセスが不十分。もう一回書いてきなさい」
「・・はい」

やり直し。不採用じゃないだけでも良かった。
「でも、どこが不十分なんだ? 」
俺一人じゃわからない。かと言って、
「苑田さんには相談しづらいし・・」
チーム営業をしてる苑田さん。その横には中畝さんがいる。見たくないし聞かれたくない。
絹里さんはなおさら。

となると・・。

「よお、俺に相談したい事がある、って? 」
「久しぶりです、圭一さん」
企画書やり直しの日から四日。俺は焼き鳥屋・・ではなく、駅を挟んだ反対の居酒屋に居た。
「どうしてここなんだ? 」
「親父さんの店は飲みに行くとこなんで、仕事の話はしたくないんです」
「へえ? 」
からかうような目と声は、名刺の件とか圭一さんが仕事で悩んでる時のことを思い出してるからだ。
けどこれは、完全に俺の仕事の話。

「企画書なぁ・・。確かに、オヤジや謙治に聞かせても困るだろうな」
「まあ、そうです」
「けど、俺に聞かれても困るぜ」
「でも、圭一さん会社員だった、って」
「デザインと営業は違うぜ」

そんなあ。。






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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー53


「会社にいないのか? 相談相手。あの、苑田さんとか」
向かいに座ってる圭一さんが俺を覗き込む。
「今、仕事が手一杯なんです、苑田さん。迷惑かけたくないし、俺が立ち上げた企画だから、・・・・何です? 」
「・・っいや」
照れくさそうな表情を見せる圭一さん。ぐいっとビールを飲み、
「要は、あんたがどこに売り込みたいか、だろ? それを基準に考えりゃいいんじゃないか? 」
「・・俺が基準で、いいんですか? 」
「おまえの企画なんだ。自分を主張しないでどうする。それとも、誰かのネタをもらったのか? 」
「全部俺のですっ」
「だったらグイグイ行けよ。‘俺はこうしたいんだ’ ‘俺はこれで売りたいんだ’と訴えればいい。上司が必ずチェック入れてくれんだ、どーんとぶつかってみろって」

そうか。

「ですよね。課長に見てもらうんだから大丈夫だ。俺、何やってたんだろ。
圭一さん、ありがとうございました。 俺、やってみます」
「その意気だ・・・ッく」
ジョッキを飲み干した圭一さんにばんばん肩を叩かれビールをこぼしそうになる。
相変わらず豪快な人だ。


翌日、
「小野山課長、お願いします」
二度目の企画書。
「うん。本来の仕事もわすれないように」
「はい」

今度は、立って待っていなくても良かったけど、だから余計気になる。


「新井くん、これ、返しておくよ」
企画書が戻って来たのは、翌週。
「守谷くんと話はしてる? 」
「はい、課長。おれ・・、じゃない、私は独身なので、守谷さんの話すことはとても参考になります」
「それなら三人でやれるね」




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『プリズム』

『プリズム』28*繋ぐ手・離す手ー54


「それなら、展示会に行くんですか? 」
「展示会じゃなくても、大手の文具店に行けばだいたい実物を見られると思う。やっぱり触っておいた方が説明しやすいし」
「解ります。実感を伝えられるから説得力も増す」
「日時は? 早い方が良いですね」

昼休み、俺は守谷さん、絹里さんとファミレスに居た。社内メールで連絡し、初会合をしたのだ。社食でも良かったんだけど、
「初めてチームを作るんだし、社内だと周りが煩そうでこっちにしました」
と言ったら、二人が頷く。
「社内ではこれからいくらでも打ち合わせ出来るんだし、良いんじゃないか」
「初めて、って特別感がありますよね」
気持ちが伝わって嬉しくなる。


三人の都合がついてとある店の前に揃ったのはそれから五日後。
「なんだかワクワクします」
「私もだ」
「俺もです」

店内に入った途端、文房具特有の匂いと雰囲気を感じて、
(ああ、俺も文房具好きなんだなあ)
と改めて思う。
「では、まず一巡りしましょう」
守谷さんの声に、
「「はい」」
絹里さんと二人、返事した。




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