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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-27

今日は後半、苑田視点があります。 ~~ から ~~ の間です。


「疲れたよー、ひろさん」

早々にパソコンへの打ち込みを切り上げて屋上へ避難。この時期、空気が冷たいから追いかけてくる物好きはいない。
それでも周囲を見回し確認したあと、スマホの中からひろさんの画像を呼び出し訴える。

俺だって絹里さんがあんな行動に出るなんて思ってなかった。

「中畝さんは素早く居なくなっちゃうし、俺は何にも対策考えてなかったから・・。
レポーターに囲まれる芸能人って、あんな感じ? 」
画像のひろさんは俺の方を見て笑ってるだけなんだけど、見てるだけで気持ちが落ち着いていく。
「しょうがないか。俺はもう絹里さんにどうこう言える立場じゃないんだ」
男らしく受け止めよう。

~~ 午後、チーム営業に出かける前、絹里さんがフロアに来た。俺が見た時、彼女は部屋を見回していて、中畝を見つけると目を合わせる。
アイコンタクトしたあと、まずは新井にチョコレートを。周囲の冷やかしに一礼してこっちへ歩いてくる。
「中畝さん、これ」
「ありがとう」
さり気なく指先を触れ合わせてチョコレートが手から手へ。
あたりが声を潜め、にこやかに帰る姿を見送り・・。

「苑田さん、行きましょう」
「逃げましょう、の間違いじゃないのか? 」
鞄を持ち、普段より速足の中畝に言い返せば舌を出して笑った。


「まさか、本当にやるとは思いませんでした」

あとから合流する北森と待ちあわせの場所で、言う。
「絹里さんが、さっきのこと、おまえに話していたのか? 」
「まあ。俺としては、それくらいはやってもいいんじゃない? って。冗談のつもりでいたんです」
「・・・彼女、行動力があるからな」
「はい」 ~~
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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-28


三角関係・確定。 しかも俺が不利な立場、らしい。
という噂(俺たちの中では事実)、あっという間に知れ渡り、顔を見知ってる人からは、
「頑張って」
だの、
「しっかり捕まえとけよ」
だの通りすがりに言われて。社食に行けば、ひそひそ話してるのが全部俺のことみたいな気になって外食が増え、財布が日に日に薄くなる。


「新井くん、大丈夫かい? 」
市島さんに誘われ、二人でカレー屋でランチをしてる時、聞かれた。
「えーっと、・・まあ」
「まさか君が中畝くんと・・、とは思ってもみなかった」
「俺だって思いませんでした。
ただ、前に聞いたことがあるんです。中畝さん、転勤族で、絹里さんとクラスメイトだったこともあるって」
「え? そうなのかい? 」
口に運ぼうとしていたスポーンが止まる。
「はい。再会は偶然だったけど、俺がいてもアタックする。そう言われました」
「・・絹里さんのことが好きだった・・・? 」
「みたいです。負けるもんかと頑張ったつもりなんですけどね」

範裕さんとぎくしゃくして、意地になってた。

「俺の‘好き’と、中畝さんの’好き‘は、違ってたようです」
「だからと言って譲るつもりじゃないだろう? 」
「市島さん、それ、違いますよ。
絹里さんが選ぶんです。俺たちはアピールするだけ」






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その166

今日は ひな祭り 女の子のお祭り・・ですね。

水辺で行う、無病息災を祈願する『巳の日祓い』 と 『ひいなあそび』がいつの間にか合体してできた日本の伝統行事。
お雛様も、立ち雛・座り雛、一対から15段飾り(!?)まで、と、多種多様。

私も小さい頃、絵に描いたことがあります、おひなさま。家にあったのは、ガラスケースに入った、お内裏様とお雛様・・、ではなく、ビーズ刺繍で額入りのもの。
団地住まいだったのでスペースも無かったんでしょう。   お友だちの家は8段飾りがあって、羨ましかったなあ。

でも、お人形さんたちは1年に1回しか出してもらえなくて。 年中飾ってもらえる他の人形たちを羨ましがっていたかもしれませんね。


そして、雛アラレに菱餅に白酒。
白酒、「飲む点滴」とも言われていつでも売ってるようになり、この頃では元となる「米麹」が不足しがちだとか。
日本人、ブームに弱いし、 体に良いもの には飛び付きます。。
私も、生姜/ココア、飲んでますし(苦笑)

驚いた記憶は、雛アラレと菱餅。
「あられ、って、お煎餅のアラレなの?! 」 と 「菱餅って、ホントのお餅!? 」  です。
小さい頃のそれは、お米が膨らんだ、白・ピンク・緑の、甘い炒り菓子と、雷おこしの菱餅でしたから。

あのカルチャーショックは大きかったなあ。

今年は暖かなひな祭りでした。  白酒は、フリーズドライで。  皆さまはどんな日でしたか?





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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』**バレンタインのチョコは?ー10

今日で智くんたちも終わりです。そしてR-18. なので、年齢に達しない方、苦手な方はご遠慮ください。 大丈夫な方、スクロールしてどうぞ。



























二人してテーブルに手をついていたから、近付けられるのは顔だけ。なのに、
「・・もっと、して? 」
ディープなキスを欲しがるから、
「ここで? 」
「ここで」
歯止めが効かなくなっても知らないよ、とは言わずに指の背で頬を撫で上げ、
「こっちにおいで」
と誘う。
こくんと頷き、僕の方に両腕を伸ばしてきた。 
あぁ、可愛い。小さな頃からこうやって、真っ直ぐに来てくれて。抱きしめられて嬉しかったのは今も変わらない。

少しだけ上を向かないといけないのは悔しいけどね。

後頭部に手を添え、片手を腰に回し、さっきより深いキス。
「・・ンッ」
智に膝が落ち、唇が離れ、唾液が細い糸になる。
「もう、ダウン? 」
「かず弘さんが」
「僕が? 」
「・・・キスが、上手い、から」
「智を気持ちよくさせてあげたいから、覚えた」
聞いて、さあっと赤くなる。
「ほら、座って」
テーブルに腰かけさせ、頬の内側も、舌の裏側も余すところなく堪能し、口の中に籠る息まで混ぜ合う。
「・・ぁん」
腰の手を滑らせて服の下へ入れ揉むと、甘やかな声が立った。
「そんな声を出さない。欲しくて堪らなくなるよ」
耳に吹き込み甘噛み。
「俺は・・。いつでも欲し・・っ」
僕の耳に届いたおねだりは、後孔に触れた指をグッと押し込ませる。それを感じてビクッと震える体。
「本当に? 」
「・・・・シて」
もちろん。

「っあ。・・も、ぃ、から・・っ。欲しいょっ」
「だめ。我慢して」
テーブルに手をつき、こちらに背中を見せて切な声を出す智。指を飲み込む窄まりはクチュクチュと音をたてて、だいぶ柔らかくなっていた。
「しばらくぶりだもの、痛くないようにしないと」
「んああっ! そ・こはっ」
「好きな所。内側が喜んできゅうっとなる」
「言わないで・・よぉ」
小さなしこりを攻められて腰が揺れ、智の雄から透明な蜜が溢れる。
その様子が見えたら、どくん、と心臓が跳ねた。
「入れるよ」
最後に指先を曲げてぐるりと回し、引き抜く。間髪を入れず硬く反り返った屹立を・・、
「ぁ・・、ぁあ、熱っ、い」
逃げようとする腰を両手で引き付け、奥まで埋め込んだ。

「さとる・・。智っ。」
そのままグラインドし、智の雄芯もストロークに合わせて扱く。一気に追い上げ、二人で駆け上った。



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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-29


市島さん、目を細めて、
「なんだか新井くんが大人に見える」
「オトナですよ」
「そういう意味じゃなくて」
俺も、意味はだいたい分かるけどわざとそう返したら、微妙な笑い方をされる。
「ともかく、落ち込んでいないようなら良かった」
「・・ありがとうございます」
気にかけてくれる人がいる。それだけでもほっとする。

バレンタインが終わると、受験、卒業、年度末など。さらには入学入社。人の移動で慌ただしくなる季節。

「そういや、俺もあの頃は風景がグレーだったな」
どこかの学校で受験だったのか制服の子とすれ違い、五年も経ってないのに、もう遠くの出来事になってるのに驚く。
(頑張れ)
と心に呟き、取引先へ向かった。

野々村運輸さんでは、今年創立四〇周年がある。元やさんのようなことをするかどうかはわからないけど、聞くだけでもと思い総務を訪ねる。

「こんにちは」
「やあ、新井さん」
主任の笹本さんは、今年に入ってから、創立四〇周年の準備に忙しい。
「うちでお手伝いできることがあったら、いつでも言ってください」
「ははっ、名賀都(商事)さんには色々してもらってるから。時期が来たらお願いするかも」
「はい、お待ちしてます」





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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-30

「えーっと。
封筒、クリアファイル、メモ帳、で良かったな」
注文著と実物を見比べながら宮本が言う。
「うん。間違いないよ」
それは、野々村運輸さんから受けたもの。あのあと、無事に注文が入ったのだ。
「で、これ、印刷所に持ってくって? 」
「(印刷まで)全部はこっちで取れなかったんだ。向こうにも事情はあるだろうし」
「まーな」
これから品物を笹本さんが指定した印刷所へ持っていく。初めての場所だし、早めに出発。

「あった。恵比寿印刷」
PCから出した地図と野々村運輸さんからもらった地図を頼りに印刷所へ着く。
「コバヤシ印刷さんとは違うなあ」
こっちは、外観からも印刷工場、って雰囲気がある。
駐車場に車を止め、受付を探してると、
「あの、名賀都商事の新井さんですか? 」
近付いてきた女の人が声をかけてくれた。
「はい、そうです」
「初めまして。総務の辻浦(つじがうら)です。事務所にご案内しますね。どうぞ」

案内されて、名刺を渡そうとしたら辻浦さん、済まなさそうに言う。
「すみません、担当者、インフルで休んでるんです。次回の打ち合わせには出てこられると思います」
「そうなんですか」
「滝沢って言うんです。友達とスノボしに行ってもらってきたみたい。・・あ、これ、内緒ですよ」
「わかりました」
では、名刺渡してください、と置いて印刷所を出る。

滝沢さん、は、いい人だった。ただ、その友達が、大問題だった。





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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-31


二日後、会社のPCにメールが来た。

「『恵比寿印刷の滝沢です。
先日はお会いできず申し訳ありませんでした。改めて打ち合わせをしたいので都合のいい日時をお知らせください』。  か」

「はい了解です。早い方がいいから、・・」
呟きながら自分のスケジュールを確認し返信する。翌日、恵比寿印刷へ向かった。

「こんにちは。名賀都商事の新井です。滝沢さんとお約束していたのですが」
「はい。滝沢です。新井さんですね」
近付いてきたのは、体育会系のがっちりした体つきの男性。
「どうぞこちらへ」

「初めまして。新井です。どうぞよろしくお願いします」
「滝沢です。こちらこそよろしく」
名刺を差し出され、俺も出そうとすると、
「いただいてますから結構です」
となぜか強い視線と口調で言われる。
「それより仕事の話をしましょう。
持ってきていただいた封筒、メモ帳の紙質から、インクはこれらの色の中から選べばいいと思いまして,試し刷りしてみました」
「はい、ありがとうございます」
バサッ、と少し乱暴に置かれた封筒には、数色の色のインクで社名が印刷されてる。よく見比べたいんだけど・・、
「どうかしましたか? 」
「いえ、ちょっと眩しくて」
そう、俺の座ってる席は傾いた陽の光がとても差し込む場所だった。
「これは失礼」
すぐに手を伸ばした滝沢さん、シャッとブラインドを動かして暗くしてくれたけど、今度は急な暗さに目が慣れない。
「・・野々村運輸さんとも相談したいので、これ、お借りしていいですか? 」
「構いませんよ」

車に乗って、肩をグルグル回す。
「なんだろ、威圧感があるっていうか・・。緊張したなあ」

睨まれてたような気もするけど、気のせいだよな。




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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-32


滝沢は、新井が帰ったあと給湯室でスマホを取り出す。アドレスからひとつの名前を呼び出し、
「誠治、本当にあいつなのか? やたらペコペコしたやつだったぞ? 
あんな奴に仕事取られるなんて・・。見てろ、おまえの仇、取ってやるからな」
指で撫でながら呟いた。

画面にあった名前は、石清水 誠治。

それから、しばらく恵比寿印刷へ通う日が続いた。
滝沢さんとはなかなか調整が上手くいかず、急な変更もあったが、打ち合わせは順調に進み、次回は印刷したものを受け取って納品、という段階。

仕上がったと連絡があり、受け取りに行ったのは印刷所の就業時間が終わる頃。

「こんにちは。名賀都商事の新井です」
「はい。出来上がってますよ」
滝沢さんが珍しく笑顔で迎えてくれる。
「こちらです」
「ありがとうございます」
テーブルの上に置かれた包み。上には間違えないように見本が張り付けてある。

「では、納品書にサインをお願いします」
「はい。あ、一応確認させてください」
「は? 」
「お気を悪くしないでください。どこでもやってる事なので」
封、切りますね、と自分の鞄から鋏を取り出し、包みの一部を切ろうとしたら、
「私の仕事が信じられないんですか? 」
怒声が浴びせられた。
「ちゃんとした仕事をしてるのに、疑うのか。それがあんたのやり方か。まさかミスしたのを俺に押し付ける気じゃないだろうな」
「違います」
一方的に言われ、ムッとしたけど、
「自分の仕事ですから、最後まで責任を持ちたいんです。
・・・恥ずかしい話ですが、前に一度ミスしたことがあって」
そう、チラシを作る時の紙、色を間違えたんだ。

だけど滝沢さんは、違う意味に取ったらしかった。






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その167

今月、の定期検診があって通っています。

私の歯、父親譲りらしく弱いんです。  歯磨きしても虫歯になる・・、歯。
私だけじゃなく、芸能人にとっても、アスリートにとっても大切なもの。

アスリートの皆さん、歯・自体もそうですが、噛み合わせも大事。  それは。

噛み合わせの正常化は身体が本来持っている力をより引き出しやすくする。そのため、スポーツ選手にとっては安全でクリーンな強化方法。 だからなんだそうです。
その為、大きな大会などに向けて噛み合わせを矯正する選手は結構多いのですって。

スポーツなどで歯を噛み締める時、奥歯には自分の体重以上の力が掛かっていると言われ、その為、重量挙げのように瞬間的に力をだす競技の選手は続ければ続けるほど奥歯がすり減ってしまっている! のだそうです。
つまり、歯が健康でないと噛み締める力に負けてしまい割れたり砕けたりしてしまう。 ・・・グググ―ッ!ゴキュッッ・バッキーン!!オソロシイ💦💦

そう言えば、パイロットや宇宙飛行士の方も虫歯は大敵らしいですよ。
気圧が低くなると歯の中に含まれている空気が膨張してしまい、最悪の場合、虫歯が急激に膨張して破裂してしまうことも稀ではありますが起こりえる。  って?!

飛行機に乗る際は、虫歯は必ず治療しておかないと!
そして入れ歯。 こちらは笑い話によく出てきますよね。( ´艸`)
歌ってる時に飛んだ、とか、スカイダイビング中に口を開けたら・・ビューーン。。とか。

なんにしても、食べられる楽しみは維持したいので、私は今日も歯を磨いて寝ます。 歯ブラシ、歯間ブラシ、糸ようじクン。
ヨ・ロ・シ・ク♪





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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出して-40

こちらも、バレンタインを挟んだので時系列が少ーし前後してます。  智くん、内海くんと喧嘩しました。そして和叔父さんに電話。


「服を作ってるとこ、見せてくれたんだ。その時の顔とか、カッコ良かった」
― 拓也が? 」
数叔父さんが驚いた声を出す。
「うん」
― あいつ、俺にもなかなか見せてくれなかったのに。 智の事、気に入ったんだな」
あれ? 和叔父さん、なんかちょっと悔しそう。
― 智、内海くんは? 」
「ん~~、和叔父さんがいいんなら、仲直り、しよっかな」
― それがいいよ。気が合っていたんだろ? 」
「・・まあ」
― 親しき中にも礼儀あり、だ。智も、内海くんの地雷を踏まないようにね」
「えー、あいつに地雷なんてあるのかな? 」
あはは、と電話の向こうで笑い声。
― そりゃあ内海くんにだってあるよ? 牡蠣は食べられたようだけど」
「なーる。そういう事か」

この時、和叔父さんはわざと俺の意識を別の方向へ逸らしていた。
俺が気付いてなかったから。
内海も、俺をそういう目で見ていたことに・・・。



翌朝、内海に謝ろうと早めに部屋を出た。
と、ポストに何か別の色が見えて立ち止まる。 俺の部屋番号のポストに、緑色の封筒?

あまり見かけない色の封筒を引っ張りだし裏返せば・・、
「優菜ちゃんからだ! 」
差出人の名前に、思わず声になった。
じゃあこれは、・・・もしかして?
内海のことなどきれいさっぱり忘れ、封筒を抱えて部屋に戻る。ドキドキしながら中身を取り出す、と。
「やっぱり・・! 」
板チョコサイズより一回り大きいそれは、チョコの上に、フルーツやナッツがちりばめられている。
「豪華だなあ・・」

食べるの、大変そうだけど。




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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-33


「はっ。その手は食わないぞ。おまえの成績を上げるために踏みつけられるつもりはないんだよ! 」
「滝沢さん?! 止めてください! 」
鋏を奪い取ろうとする滝沢さんに驚いて止めようとする。
「滝沢さん、どうした・・、きゃあ!」
大声で言いあってるのを聞きつけた辻浦さんが見に来て、悲鳴を上げる。
「どうした? 」
「辻浦さん? ・・わ! 」
辻浦さんの悲鳴を聞いて、さらに人が来て俺と滝沢さんを取り押さえた。

「どうしたんだ一体? 」
総務部長の澤部さんが問いただすと、
「こいつが! 仕上がった商品を切ろうとしたんです! 」
滝沢さんが噛みつくように言う。
「違います。商品の確認をしたいだけです! 」
「そうなのか? 辻浦さん」
「わ・・、私が見たのは、お二人が鋏を持って、取り合ってる時で・・」
「とにかく、確認させてください」
「部長! 俺たちの仕事、馬鹿にしてるんですよこいつ! 」
「滝沢くん、そんなに興奮するな」
「そうです滝沢さん。なにかあったんですか? 新井さんと」
澤部部長や他の人に言われ、言葉に詰まる滝沢さん。
「・・っ、俺は、そいつが信用できないだけです」
顔を背けて口にしたその言葉に憎しみが籠っていて、いきなり浴びせられた悪意がショックで、何も言えない。

「ともかく、確認したいんだね? 新井くん」
澤部部長の言葉に我に返る。
「はい、そうです」
「じゃあ、私がしよう」
貸してくれ、と手を出されたので鋏を渡す。






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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-34

それぞれの包みのテープが切られ、包装が一部分開かれる。

「どうかね? 」
「・・・大丈夫です。・・・これも」
「当たり前だろ」
「これ・・、? 」
なんだろう、違和感が。
メモ帳を見直し・・、
「あの、これ、字が足りません」
「字? 」
不思議そうに聞く澤部部長に、
「野村運輸、になってます」
「なんだって? 」
「馬鹿なこと言うなっ。俺はちゃんと確認したぞ、おまえに! 」
「あっ、滝沢さん! 」
興奮が治まってない滝沢さんが、押さえていた人の手を振り切って俺の手からメモ帳をひったくる。
「ちゃんと現場には野々村運輸って伝え・・・」
メモ帳を握った手が、止まる。
「なんで・・? 」
「どれ、見せてもらおうか」
澤部部長も手を伸ばし、
「確かに、野々村、では無いな」
「・・俺は、ちゃんと伝えました」
そしてハッとして、
「おまえがやったのか!? 」
また、怒り出す。
「おまえは、誠治の時みたいに俺も・・」
「滝沢くん、落ち着きたまえ。新井くんは社外の人だ。現場に指示できるはずがないだろう? 
それから、取引先を『おまえ』呼ばわりするのはどうかと思うよ」
冷静な声で、俺もカッとなりかけた頭が冷える。

それより、仕事が先だ。 と。

「澤部部長、これ、刷り直しできますか? 」
「すぐは、難しい。印刷所はもう停止している。データは残っていると思うが、次の印刷に変わっているはずだし」
「印刷機、動かせませんか? 」
「担当が・・、そうだ。滝沢くん、出来たね? 」
「え? 」





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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-35

「え? 」
滝沢さん、印刷の現場の人? 思わず、今までと違った目で見てしまう。
「三年も前です。それに、機械も変わってます」
「仕様書はあるだろう? それに、野々村運輸さんは、わざわざウチを指名してくれたんだ。応えないわけにはいかない」
「ですが・・、材料が」
「俺、持ってきます! 」
何とかなりそうな気配に、手を上げていた。

「滝沢さーん! 」
「こっちだ」
社に連絡を入れ、宮本に訳を話して物品を取りに行って来たら真っ暗。滝沢さんが事務所から出てきてすぐ印刷所へ案内してくれる。電気を付けながら
「そこ、段があるから」
「はい・・、わっ」
躓きかけ、踏みとどまる。
「気を付けろ」
「はい」
床には、所々コードやケーブルを束ねて這わせるためカバーがしてある。その一つに靴先を引っ掛けたんだ。
「それ、半分持つから」
貸せ、と手を出され、
「お願いします」
持っていた手提げを一つ渡す。滝沢さん、驚いた顔をして受け取り、黙って先を歩いてった。

「どうだ? 」
「はい、野々村運輸になってます」
「じゃ、全部入れて(刷ってしまおう)」
「分かりました」
印刷機の一つを動かし、試し刷り。二人でチェックしてから本印刷。
出来上がるまで、
「だいたい一時間くらい」
らしい。
滝沢さんは、さっきまでが嘘みたいに機械の様子を見守ってる。 俺は初めて見るものばかりでキョロキョロしていた。





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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-36

「・・悪かったな」
「・・いえ」
ちょっと出てくる、と滝沢さんが席を外し、戻って来た時には椅子と缶コーヒーを二つづつ持ってきてて。
「新井さん。

ちょっと、話して、いいか? 」
印刷機に向かって椅子を二つ並べ、片方に座って、前を向いたまま言う。
「どうぞ」
離れてると声が聞きとりにくいから、俺も隣に座って、差し出された缶を受け取った。

「俺には、幼馴染がいるんだ。と言ってもそんなに小さい時からじゃないけどな。
そいつと一緒に、色んなことをした。今でもその関係は続いてて、飲んで愚痴を言い合ったりもする」
「いいですね。俺にもいます」
滝沢さん、ため息をついて続ける。
「そいつはあん・・、新井さんと同じ業種で、、会ったこともある」
「本当ですか? 」
目が丸くなった。
「誰だろう? 滝沢さんの親友みたいな人なんですよね? 体格も良くて、仕事に誇りを持ってて・・」
「いや、俺より細くて男前だ」
他の会社で、滝沢さんがこんなに親身になる人。 思いつかない。

首をひねってる俺に、爆弾が落ちた。
「名前くらいは憶えてるだろ? 石清水。俺の幼馴染で親友みたいなやつは、石清水 誠治だ」

いわしみず せいじ・・?

浦野商事で水木さんに卑怯なことをしてた、あいつ?!





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その168

繰り返すこと。
同じようで違ってる・・こと。

例え時間がその時まで戻っても、決して同じにはならない。
何ででしょうね?

私の場合、ちょくちょくこんな言葉が付きます。 「凝りもせず」繰り返し ~~ する。  と。
本当に、懲りないんですよね。
しなければいけないことが目の前にあるのに、その横にあるものに関心と集中力が持っていかれてしまう。
ここで踏ん張って片付けておかないと明日が困る。  なんて事がもう・・・。

性格、変えたい!
思って、やってはみたんです、が。 英語と同様の結果に。 つまり、やってみたけど身に付かなかった。。_| ̄|○
必死にならなければいけない環境でもなく、自分を追い込む固い意志も・・・・なかった。
徹夜することも出来ないんですよ~。  何度試しても、ハッと気が付いたら寝落ちしてた! のはショックで。

何かご褒美があると出来るかと、やっては見たんですが結果はイマイチ。
だからでしょうか頑張ってる人は無条件に尊敬します。 も、ルール違反にならないなら、背中押してあげたい!

でも、好きなんですよ。 特に、本!
読書百篇 意おのずから通ず。 とはよく言ったものです。 同じ本なのに、読む返すたび止まる場所が違う。
面白いです。

ってことは、好きなんだ、繰り返すの。  ・・・なあんだ、そうか。





 



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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出してー47

封筒に入れなおして冷蔵庫にしまいかけ、
「手紙がある」

【智さん、無事届きましたか?
本当は手渡ししたかったんだけどなかなか行けなくて・・。 ごめんなさい】

優菜ちゃん。。
「無事、届いたよ。謝らなくてもいいんだってば、もう~。 そういうとこも可愛いんだけどさ」
心の中で優菜ちゃんを抱きしめながらメールしようとして、
「やっぱ一齧りしてからにしよ」
味見くらいはしないとね。


「内海! 」
「さ・・、能見」
俺の呼びかけに振り返った内海が、珍しく苗字で俺を呼ぶ。
「おまえの講義、今日は昼からじゃなかったのか? 」
「おまえは二コマ目からだったろ? 」
「・・俺に、会いに? 」
「そうだよ」
まじまじと俺を見る。
「どうして? 」
「仲直り」
「な・・かなおり? 」
ビックリ顔の内海。めったに見ることが出来ないな・・、と思いつつ、指を一本突きだす。
「そっ。 ただし条件が一つ。
数叔父さんや拓也店長さんのこと、変な目で見ないこと」
「・・それ、だけ? 」
「俺の大事な人たちなんだ。それを忘れるな」



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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-37


「知ってるんだな?
新井さん、あいつに何したか覚えてるか? 」
顔色が変わったのを見てさらに続ける滝沢さんに、思わず言っていた。
「あなたみたいな人が、どうして石清水と友達で親友なんですか? 」
「どういう意味だ? 」

もしかして・・、滝沢さん、知らない?

「滝沢さん。
俺の知ってる石清水とあなたの知ってる彼は、ずいぶん違うみたいです。教えてください、滝沢さんの知ってる事」
深呼吸して気持ちを落ち着け、椅子に座り直す。そんな俺をじっと見て、滝沢さんは話し出した。

「俺と誠治は、中学から一緒だった。あいつ、小学校の頃から女の子に人気があって、まあ・・、モテてた。
俺の方はこんなだからな、部活の方が楽しかったんだが、コンビニでちょくちょく顔を合わせるようになって、おんなじアイスが好きだって分かってから仲良くなった。
話してみると根は真面目で優しくて、『告白されたら断れない』って何人もと付き合うことになって、知らないやつは四股とか言ってたけど、ホントは、あいつの方が振られてばっかだったんだ」
「そう、ですか」
なんだか石清水に都合が良いような事ばかり聞かされてる気分だけど、滝沢さんは真剣だ。
喉が渇いたのか、コーヒーを飲んで、
「女の子と付き合う方法教えてくれたのもあいつで、そのおかげで俺は彼女も、結婚することも出来た。
あいつだって結婚する・・」
「結婚、て、奥さん、いるんですか?! 」

それなのに、あっちこっちで女の人口説いてた?

俺の剣幕に驚いて
「いや、婚約まで行ったんだが破棄になった。あいつそのことでずいぶん落ち込んで、自棄になってた時があってよく酒を飲みながらこぼしてた。
『俺は本気で付き合ってたのに、どうして振られるんだ? 』  ってな」

女の子、騙すみたいな付き合い方してたら当たり前しゃないか。






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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-38

「だから俺も、いつかちゃんとおまえの良さが分かってくれる人が現れるよ、って慰めてたんだ。
しばらくしてようやく立ち直ったと思ったら、いきなり、『俺、会社辞める』の連絡が来て、
飛んで行って話聞いたら、
『名賀都商事の新井って奴に取引先奪られて出禁にされた』。。
詳しくは話さなかったけどそれ、あん・・、新井さんだよな? 」

はああ?

俺の驚き呆れる顔をどうとったのかは判らないが、
「あいつ、文房具好きなんだよ。だから頑張ってそっち方面の会社に入ったのに・・。
必死で説得して、何とか思いとどまってくれたみたいだけどまだ悶々としてる。
だから、あ、ら井さんに会った時、腹が立ったんだ。
俺の親友を踏み台にして、と」
ああ、それで。と今までの小さなトラブルを思い出す。

「・・・けど、色々喋ってるとなんか違うし、今日も」
あっ、と声を上げ、俺の方に向き直り、
「今日は、済まなかった。
待ってる間担当してたのと連絡とってみたら、ちょうど機械が動いてて聞き間違えたらしい。
名前の変更は時々あるから、連中もそれほど気にしなかったようだ」
本当に、確認してもらってよかった。そう言ってもう一度頭を下げる滝沢さん。
「いえ、ここで分かって良かったのは俺も同じです。
さっきも言いましたけど、俺も、以前間違えたことがあったんです。その時は先方の厚意で助かりましたが、それ以来、何度も確認するようになりました。だから、気にしないでください」
お互い頭を下げ合って、可笑しくなって笑う。





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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-39

「俺の話はこれだけ。
新井さんの話、聞かせてください」
向かい合っていたのでは話しにくいだろう、と思ってくれたのか、立ち上がって印刷機の調子を見た後そのまま座る。

滝沢さんは石清水を信頼している。それは傷つけたくない。だけど、彼のしたことは許されることじゃないと思う。深呼吸して、何をどう話せばいいのか考えた。

「・・俺が、石清水、さんと初めて会ったのは、とある会社でした」
元やさんとのこと、浦野商事のこと。俺が知ってる事実だけ、話していく。
俺も前を見て話していたから滝沢さんの表情は見えない。代わりに、息を詰める音や、ギュッと拳を握るような気配は、伝わってくる。

話し終わって、一息入れて滝沢さんをそっと横目で見る。
両手を握りしめ、下を向いた姿に、声がかけられない。

ビーッ・ビーッ・・・。
重苦しい空気を破って、印刷が終了した、と機械が音を立てる。
「・・終わった」
「手伝います」
ひとまず石清水のことは置いて、二人でメモ帳を束にし梱包する。
「これで持っていけます。
滝沢さん、ありがとうございました」
いつの間にかかいてた汗をぬぐい、お先に失礼します、と一礼し持って出ようとした。

「本当なのか? 」

背中に、声がかけられる。半信半疑のその声は震えてるようで、滝沢さんの気持ちが伝わってくる。

「・・。滝沢さんが信じてるなら、信じてあげてください、石清水・さんのこと」
「そう・・か。そう・だな。あいつは俺の親友だ」
ありがとうな、と呟きが聞こえ、俺はもう一度頭を下げて外へ出た。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリその169

定休日

どこにでもあります。
美容・理容の業界は主に月曜日。 
これ、戦前から戦後にかけて実施された休電日の影響があったためだとか。
休電日・・。渇水や石炭不足で深刻な電力不足に陥った戦時下において定められた、電力供給をストップさせた日のこと。それが主に月曜だったため、理容業界でも店を閉めざるを得なかったというわけです。

銭湯も利用者が少ない月曜定休が多いそう。 
こちらは、。オイルショック以降、燃料が入手しづらい時期が続き、週1回の休みが義務づけられたようです。

どちらも不足すると営業できませんものね。

土・日が稼ぎ時の住宅メーカーや不動産業界では平日定休(水曜日)が多いとか。
週末を現地案内や契約に、月・火曜は契約書類の作成にあてるため と、 、“契約が水で流れる”から水曜定休、なんてゲン担ぎ説も。 分かる~~。 

それから、市場が休みという理由から、鮮魚店と青果店では水曜、生花店も同様の理由で月2回、木曜を定休にすることが多いらしいです。


困るのが、 「定休日と祝日が重なったら、その日はOPENして、次の日休みます」  というお店のルール。 あーんど不定休。
「せっかく来たのに、お休み?! 」
な経験、結構あるんです。 ホント、ショボーン(´・ω・`) です。


カレンダーは日曜や祝日。学生さんたちは、プラス春夏冬のお休み。
業種によっては様々ですが、お休みの無い仕事はほぼ無いですよね。    あるとしたら、、主婦(夫)業・・?

風邪や病気になっても、クタクタに疲れていても、定休日どころか不定休もままならない。
区切りも終わりも無い、生活に密着してる仕事。
毎回とは言いませんが、「いつもありがとう」 「今日は代わるから休んで」  が欲しい。。
どこかにそんな声をかけてくれるアプリでもないかな?




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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出して-41

今日は、内海クン視点があります。 ~~ から ~~ の間です。





「・・分かっ・た。もう、しない」
唾を飲み込んだあと、内海が答える。
「ん」
和叔父さんの電話と優菜ちゃんのチョコレート、内海の約束で気分は最高。
「じゃ、俺学食行くわ」
「能見。俺も行く」
「それもな」
「え? 」
「‘智’に戻せよ。おまえに能見、って呼ばれるの、なんか変」
「いいの、か? 」
「いいよ。 和叔父さんにも言われたから。ずっと一緒にいる友達なんだから、あんま喧嘩すんなって。・・そうだ」
「なに? 」
「今度、おまえの嫌いなものあったら教えろよ? 俺も地雷踏まないようにするからさ」
「・・・ああ」


~~ あんな剣幕で怒って俺に絶交を言い渡したのに。
(和叔父さんに言われた、か)
俺と智の間に立ちはだかる厄介な人物。
多分、俺が智に抱いてる気持ちにも気付いてる。けど、あの人も智に同じことしたいと思ってるのが理解る。
(俺のこと、敵認定してたっけ)
俺と初めて会った時、睨まれてるな、と思ったけど、しばらく前からはっきりわかる目つきになった。
けどそれは、俺だってそうだ。
(あんたは俺の知らない智を知ってるけど、俺だってあんたの知らない智を知ってるんだよ)
「負けるもんか」
「はん? 何か言った? 内海」
「いや、別に。 今日はカレーにすっかな、って」
「カレーかぁ。それもいいな」
「えー、別のにしろよ。んで、俺に分けてくれ」
「却下」
少しツンとした顔。あの人にも見せてるんだろうか?
そう思ったことが嫌で、頭を振ってその気持ちを追い出した。 ~~



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『プリズム』

『プリズム』30*大きな壁-40

「っわ、寒っ」
建物から出た途端吹き付けた風に震えあがる。
両手に荷物で襟元も押さえられず、くしゃみしながら車に乗り込む。
「雨が降ってないだけでもましかー」
車内もハンドルも冷たいから、一人喋りでもしてないと震えて歯がガチガチ言いそう。
「納品、明日にしておいてよかった」
でも商品持って直帰出来ないし、(会社に)戻らないとな。 と、着信音。

― どうだ、終わったか? 」
「あ、ひ、苑田さん。はい、これから社に戻るところです」
― 恵比寿印刷の・・、滝沢さん? 彼はもう帰ったのか? 」
「いえ、まだ」
― なら、あと・・五、いや、十分くらい待っててもらってくれ」
「は い」
なんだろ?


言ってた時間より早く、iタクシーで来た苑田さん。俺たちを見つけ、
「すみませんお待たせして。新井がご迷惑をおかけしたようで、申し訳ありませんでした」
と深く一礼する。
「いえ、お・・、私の方も思い違いがあったので、新井さんだけではないですから」
滝沢さんも慌てた様子で頭を下げる。

あ・・、苑田さんを俺の上司と間違えてるっぽい。

「ありがとうございます。
これ、少しですが。温かいうちに召し上がってください」
差し出されたのはコンビニのレジ袋。
「そんな。。受け取れません」
「私たちの分は別にありますから」
押し付けがましくないけど、強引。苑田さん、滝沢さんの手にレジ袋ごと乗せて、その温かさに思わず頬が弛んだのを見逃さず、
「では、私たちはこれで。
御社の皆さまにもよろしくお伝えください。 新井、行くぞ」
失礼致します。
もう一度頭を下げ、俺にも下げさせて車に乗り込む。
戻ると、小野山課長が待っていた。





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『プリズム』

『プリズム』31*出会った姉妹

「ただいま戻りました」
「ご苦労さま。(トラブルは)解決した? 」
「はい、何とか」
ざっと経緯を説明する。小野山課長、ほっとした顔になって、
「失敗も経験の一つ。特に人間関係は拗れると後を引くからちゃんとフォローするんだよ。
不良になった分の話し合いもしてからレポートを出して」
「分かりました」

物品を一時保管のコーナーへ。そして、今日の仕事、終了。
苑田さんは、駅で待っててくれた。


「人って、どこで繋がってるか分からないもんだな」
「うん。俺だってオドロキ桃ノ木だった」
ぶっとひろさんが笑う。

ここは、ひろさんの部屋。 部屋着になり、足を入れた炬燵の上にはコンビニおでんとおにぎり、焼きそばパン、サラダが並んでる。
「どこから引っ張ってくるんだ? そんな言い回し」
ホットビール* を飲みながら、デコピンされ、
「痛ったー、やめてよひろさん」
コップからビールをこぼしそうになって慌てる。
「ははっ、火傷するなよ」
「だったらしないで」

ひろさんが、
「風邪予防にもいいらしい」
と作ってくれた熱めのビールは、コーヒーカップに入っていると妙な感じ。
耐熱ガラスのコップでも買おうかなあ。






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『プリズム』

『プリズム』31*出会った姉妹-2

ゆっくり口に入れれば、温かさが腹の中からじんわり全身に広がっていく。
「は~~っ、しあわせ」
「ホットビールでか? 」
「それと、ひろさんの優しさ」
「・・クサい台詞。もう酔ったのか? 」
真面目に言ったのに軽く流されてしまう。ムッとしてひろさんを見ると・・、赤くなってる?
誤魔化すようにおでんに箸を伸ばし、煮卵を口に入れる。それがエロく見えるのは、ひろさんの言う通り、酔っぱらったからか。
「・・さっさと食べて寝る。明日、納品とかあるんだろ」
「うん・・」
そうだ、明日も仕事。駄目になった手帳の処分やなにかが待ってるんだ。 でも。

出した食器はビールを飲んだコップだけ。
ひろさんが俺の分も持って立ち上がる。つい、指先や腰を目で追って、疼いた。

「ひろさん」
「どうした? 」
洗ったコップを水切り籠に入れてるひろさんの背中に抱きつく。
「ありがと。電話の声聞いて、ビックリしてほっとした」
「おまえの一方的なミスじゃないだけでも良かったな」
「それに、滝沢さんのことまで」
「腹が減ってると、誰でも短気になるから」
ほら、終わった。寝るぞ、放せ。と言うのにかぶせて、
「好きだ」
耳元で言う。
ひろさんがビクリと震えた。
そのまま耳たぶを甘噛みし、舐めると、温かい。
「ひろさん、ここ、いつもよりあったかいよ」





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『プリズム』

『プリズム』31*出会った姉妹-3


「た・かし。酔っぱらってるな? やめろ」
「嫌(や)。明日のためのエネルギーちょうらい」
「ばっ・・、こんなとこで盛るなっ」
「え~、いいじゃん」
片手を胸に持っていってグルグル回す。焦って腕を解こうとするひろさんにぐにぐにと腰を押し付けていたが、
「『こんなとこ』じゃ無かったらいいんだ? 」
ふと気づいて突っ込む。
「当・たり前だ。ここは、俺の部屋なんだ。・・・思い出す、・・っ」
口を滑らせたと思ったのか、すぐ近くにあるひろさんの頬が染まった。
「そっかー。んじゃ、ベッド行こ」
ねー、あっちならいいんだろ、行こーよー、と体を左右に揺らしながら言い続ける。
「分かった。・・・分かったから、そんなに揺らすなっ。酔うだろ」
「わーい、やった。ベッド、ベッド」
「おいっ、まだ手を拭いてないっ」
ひろさんを背中から抱きしめたまま向きを変え、歩きだしたらひろさんに怒られた。

「ねー、前見えない」
「だから俺を放せ」
「やだー」
「崇」
「だって、ひろさんとくっ付いてるの気持ちいぃ」
先導されて歩きながら微かな匂いを嗅ぎ取る。ズク、と腰に届く、ヘアオイルの杏の匂いだ。
クンクンしながら歩いてたら、
「は な れ ろっ」
「ぅわあ・・っっ」
ぐるん! と体が回転してドッさー、とベッドに転がりこんでしまった。

「大丈夫か? 」
「・・じゃない」
覆いかぶさって聞くけど、声も顔も笑ってるよ、ひろさん!






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その170

思ってもいなかった、小さな幸運
定期健診があり、病院へ行く途中に、港のすぐ脇を通りました。
「あれっ、大っきい船がいるなー」
チラチラ見ながら走っていると、船名が。 ・・・ASUKA Ⅱ。  って、あの、豪華客船の!?
うわー! 側に行って見たい!

しかしこの時は病院に行く時。 そこで待ってる間に検索。 スマホ忘れてなくて良かった~。
すると、今日の夕方まで停泊するのが分かりまして、ヤッホー!\(^o^)/
帰りがけ、ワクワクしながら港に♬  ではどうぞ。  ・・あ、素人の撮った写真なので色々不出来です・・・。


みなとの会館のレストランから。


手前に海/上/保安/庁の船。奥の大きな船があ/す/かⅡ


あ/す/かの舳先と船名。 ・・を撮ったのですが、上手く見えてませんね💦


一番はっきりわかる、船名を書いたタラップ~。



船内見学NGと風の冷たさに音を上げて、写真を撮ったらそそくさと引き上げました。。
隣で見上げるとその大きいコト! 水面からの高さ45m! 約12~13階建てビルに相当するそうです。 はぁ(。-_-。) =3=3





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