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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー10

ひと仕事終わらせてコーヒー休み。
「あんな噂になってるなんてなー・・・」
(社内報を)見てないから反論できない。でも、いまさら見に帰るなんて無理だし。
気持ちを切り替えて手帳を開く。
「次は・・、(げっ)浦野商事」
行きたくないよ、ひろさん。。

「こんにちは~~・・」
「あ、見ましたよ新井さん!! 」
うわっちゃ、水木さんだ!
そろーっと総務のドアを開けたけど、大声を出されて、だだだーっ、と突進される。
「ね、どうして絹里さん、振っちゃったんですか? あんなカワイイ女性なのに~! 
しかも、横取りされちゃうなんてっっ! 」
「ど・どっ・・、どうして知ってるんですか?! 」
「見ましたもん、社内報」

えええーっ!

「あ、コピーですけど」
「水木さん。仕事」
湯島副部長の冷静な声が勢いに負けそうな俺も正気に戻す。
「はー・・、はい」
相変わらずスゴイ。 水木さん、さっさと俺から離れて仕事に戻ってく。
「新井さん、備品チェックのあと、時間とってほしいんですけど」
「あ、はい。大丈夫です」

湯島さんに促されて、水木さんと会議室へ。
「ごめんなさいね。水木さんには他の会社のことあんまり言わないの、って口止めしておいたんだけど」
ほら、あなたも謝りなさい。と言われて、
「ごめんなさ・い」
と頭を下げる水木さん。
「あ、いや、いいんですけど。 
ただ、俺、まだ見てないんで返事のしようが・・」
「え? 見てないんですか? もったいな・・」
「水木さん」
湯島さん、ため息ついたけど、
「新井さん、もし良かったら、見ていく? 水木さんまだ保存してるみたいだから」
「えーと、、はい」


『今年初めてのお祝い。
先ずは、婚約発表された方々。』
水木さんのタブレットに出てきたのは、ほんとにウチ(名賀都商事)の社内報。
いったい誰だ、こんなの流すヤツ。

『・・・次に、昨年から話題になっていた絹里さん、新井さんですが。
中畝さんと婚約の運びになりました』

うん、それは事実。






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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー11

『不思議で不可解な結果に、社内報担当者がインタヴューをして参りました。
以下、纏めてあります。

* 絹里さん、ご婚約おめでとうございます。
** ありがとうございます。
* ところでお相手は? 告白された方でしょうか?
** いいえ。違う方から指輪を受け取りました。

微笑む絹里さんに、インタヴュアー、大ショック!

* そ・それは・・。理由をお聞きしてもよろしいですか?
** ・・はい。
偶然から始まったお付き合いは、やはり無理があったんです。
* 無理、ですか?
私には仲違い(仲が悪くなる)したようには見えませんでしたが
** ええ、喧嘩することはほとんどありませんでした。 ただ・・
*『ただ』?
** 新井さんには、忘れられない人がいたんです。


「・・絹里さん~~・・・」
ここまで読んで、頭を抱えた。 これ、俺があの部屋に入るまでの会話、だよな。
「新井さん、そんな人がいたんですねー。
教えてくださいよっ。絶っ対しゃべりませんからっ! 」
好奇心満々で聞く水木さん。いや、アナタに言ったらSNS並みに拡散されます。


*** 僕も聞いたことあります。年上のひ・・・・

ここで、噂の当人、新井さん登場。
早速質問です。

* 新井さん、絹里さんと婚約はしなかったんですか?
**** はい。絹里さんは、俺にはもったいない人でした。
* ですけど、告白されたんでしょう?
**** あ~・・、はい。 
俺がちゃんと断れなかったせいで、迷惑かけました。

め・・。 インタヴュアー、絶句です。
そこへ絹里さん、

** そうですよ。私、一生懸命追いかけたのに、捕まってくれなかったんですから。
*** そのおかげで僕はま、絹里さんを振り向かせられました。
** 私も、好きになった人に守られるより、一緒に歩いて行こうと手を取ってくれた人を選ぶことができました。
**** うん、俺もホッとしてます。絹里さん、良かったね!
** ありがとう、新井さん。
結婚式に呼んだら、来てくれますか?
**** うーん。中畝さんがOKしてくれたら、かな。
*** 僕なら構いません。それにある意味、新井さんはキューピッドですからね。

インタヴュアー、もはや何も言えませんでした。
以上、絹里さん、中畝さん
の婚約発表とインタヴューでした。



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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー12

「面白い人ね、インタヴュアーさん。それに慣れてるみたい」
読み終わって、湯島さんが言う。
「はい、社内ではみ・・、担当者は、仲人みたいな存在です」
「わー、いいなあ。私も紹介してもらおうかなぁ」
水木さん・・。

「あの、これどうやって入手したんですか? 」
気を取り直して聞くと、
「LINEの友達が、『すっごい記事があるけど、見る?』 って。面白そうだし、『見る見る♡』ってしたら、メール来て。
はじめは分からなかったんですけど、新井さんの名前があったからもしかして・・、だったんです」
「じゃ、読んだの、この記事だけなの? 水木さん」
湯島さんが質問する。
「そうでぇす。これしか送られてきませんでしたっ」
「誰かに話ししたり、見せたりした? 」
「いーえ。 ・・・あの、いけなかったんですか? 」
湯島さんの様子にびくつく水木さん。
「他所の会社の個人的な話よ? あんまり言い触らすものではないと思うの。
今回は当事者が来たから仕方ないけど、違う人が来たら大変なことになるかもしれないわ。

水木さんだってほかの会社の人に、
『水木さん、彼氏に振られたんだって? 社内報見たよ』
なんて言われたら嫌でしょう? 」
「当然です! 犯人探しちゃいますっ。 ・・・あ」
そこで初めて気が付いたみたい。
「そっかー、大声で聞いちゃいけなかったんですね。次はコッソリ聞きます」

すごく違うんだけど。。

「そうね。でもその前に、私にも教えて? 聞いてもいいかどうか決めてあげるから」
「はい! 湯島副部長、よろしくお願いしまーす」

俺からは何も言うことありません。


結論。
湯島さ・・、湯島副部長がいれば、大丈夫だ。
でも、一体だれが水木さんに流したんだろう? 水木さんの性格、分かっててしたのかなあ。





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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その183 とお知らせ


夏になるとよく見かける昆虫の一つに、トンボがいますね。

トンボ、恐竜が生きていた頃より前からいた生物。最大級だと70cm以上! だったとか。
こちらに向かって飛んで来たら、ゴキ/ブリより怖いかもーー。
彼ら、飛びながら獲物を捕まえ、食べたりもするのだそう。 (行儀悪いなあ

翅は同じくらいの長さの2対。これをそれぞれ交互にはばたかせて飛行。 ・・・へー、別々に動かせるんだ。それはほかの昆虫にはあまり見られない特徴。
そして甲虫(カブトムシたち)みたいに折りたためない。泊まってる時は閉じたり、広げたりしてる。 うん、よく見るわ。

飛び方は、前進のみ。ホバリングや急旋回は出来ても、後退は出来ない。人間にとっての害虫(蚊など)を食べてくれたりする、ので、一種の縁起物として特に武士に喜ばれたことも。
兜の飾りに使われたりもしてましたね。

獲物の捕らえ方は、6本の足でグワッ! と鷲掴み。足の形が籠のようになるんですって。U/F/Oキャッチャーみたいー。

オニヤンマとか、クロイトトンボ、より、一番に思い出すのは 赤とんぼ。
正しくは アキアカネ と言うのです。 でもねぇ、呼びなれない名前。  「あっ、アキアカネ! 」 ・・・。 違和感ある。。
昔はたーくさん飛んでましたが、農薬などによって激減した種類もいるそうな。

人間て、楽な方に流れるの、大好きですもんね。(大声で言えないけど。


そうそう、トンボの目の前で指を回して捕ろうとしたこと、ありません?
あれ、ほとんど効果ないんですって。 もっと早く知ってれば・・・。

今年見たトンボ、クロイトトンボ。赤くなる前(?)の赤とんぼ、ぽいやつ(笑)。  オニヤンマとかは見てないなー。




明日についてお知らせです。
明日8月5日 ―― 8月第1土曜日 ―― は、地元のお祭りがあり(虫送りと盆踊りと花火大会)、色々手伝いに行ってきます。
なので申し訳ありませんが、『耳から始まる恋愛』はお休みさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m





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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー13

今日は、苑田視点です。 ~~ から ~~までです。


~~ 社内報が出た。
市島さんの婚約発表も驚いたが、
「インタヴューまでされていたのか」
崇の方が気になってしまう。つい読み進め、

** ええ、喧嘩することはほとんどありませんでした。 ただ・・
*『ただ』?
** 新井さんには、忘れられない人がいたんです。

のくだりに手が止まる。そこへ背後から、
「なんだ、おまえも気になるのか? 」
ポン、と背後に立った人から肩を叩かれ、
「実は俺も聞いたんだが、白状しないんだ、新井。
『年上で、仕事が出来る』人だ、というのは聞き出せたんだがなー。 おまえ、知らないか? 」
と耳元で囁く中島部長。
「新井が言わないのに俺が言える訳無いじゃないですか」
「・・ってことは、おまえも知ってるのか」

しまった、迂闊に答えてしまった。

「・・はい。でも、あったことは無いですよ? 」
鏡以外で自分で自分に会えたら、お化けだ。
「そうかー。まあいい。何か情報誌入れたら教えてくれ」
答えは聞かずに行ってしまう。

新井の相手のこと、中島さんは、よく、知ってますよ。 後ろ姿を見送り、心の中でだけ、呟いた。 ~~




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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー14

六月最後の週末、市島さんが結婚した。
花嫁さん、ジューンブライドが憧れだったそうで、それを叶えてあげるためいつもの倍も忙しそうだった市島さんは、
「もう尻に敷かれてる」
なんて陰で言われてるけど、幸せそう。


「俺まで呼んでもらえるなんて、思ってもなかった」
式の帰り、引き出物の入った手提げ袋を揺らしながら話しかけると、
「俺だってそうだ。
チーム営業の時はあんな笑顔なんて見なかった」
横でひろさんが苦笑する。

そうだね、市島さん、ひろさんのこと目の仇にしてた。

「でもさー、市島さんをゲットした女の人、あ、奥さんか。は、先見の明がある人だよね? あんなに真面目な人、そう居ないよ」
「そう言えば、 『彼が思い出してくれるから』 と言っていたな」
「うん。 『安心して忘れ物が出来る』 みたいな事言って笑ってた」
以前、記憶力がすごすぎて嫌味を言われ、トラウマになってた市島さん。でも、結婚した女性は、そこも好きだと言ってくれたんだとか。

「お似合いの二人だったね、ひろさん」
「そうだな」


七月、お中元の時期。
紙や印刷物がよく出る時期だけに、印刷所は毎日残業してる。
暑さがこたえる時期になってきてて、吉田さんは大変そうだった。






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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー15

「だから、吉田さん。こっちは良いですから汗、拭いてください」
「あ、ああ、すまんな」

吉田さんに相談しようと印刷所の中を探していたら、機械の向こう側でとげとげした会話が。
「機会も紙も汗が落ちたら大変なんですから、気を付けてくださいね」
「分かったよ。気を付ける」

聞こえてしまった俺まで嫌な気分になる。面と向かって言われた吉田さん、へこんでないだろうか?

「吉田さーん、どこですか? 」
わざと呼ぶと、
「おう、こっちだ。
じゃあ、行ってくる」
「はいどうぞ」
いない方が余計な心配しなくて済む、って、ひとり言にしては音量が大きめだ。

「よう、新井さん。 どうした? 」
俺を見つけて声をかけてくれる吉田さんは、いつもの通り。
「お中元の礼状頼まれまして」
「それなら向こうで話そう」
「はい」

印刷機の音が入らない、二重ドアの部屋で麦茶を貰う。
「・・おいしいですねー」
「親戚が送ってくれるんだ。やっぱり炒った方がうまいな。で、礼状、どうしたいんだ?」
「先方から、宛名と住所は手書きするから、そのほかは『やって! 』。 だそうなので」
聞いた吉田さん、声を上げて笑う。
「新井さんのセンスの見せ所だ。頑張れよ」
「そんなこと言わないで助けてくださいよ。お願いします」




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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー16

テンプレートを参考に、見本を二つ作って持っていく。結果、薄く絵柄を入れた礼状が採用になり、もう一度印刷所へ。

「すみません、これ、印刷お願いしたいんですけど」
「分かりました。ああ、その用紙に記入して、見本、その箱に置いてってください」
受付に声をかけると、男性がタブレットらしきものを弄りながら目もあげずに言う。
「あの、見なくて大丈夫で・・・」
「置いといてくれればやっときますよ」
強い口調が返って来て、その口調にはっとする。
(吉田さんと言い合いしてたひと、だ)
強気な、押し付けるような言い方に腹が立ったけど、これ以上言うのも大人げないかと思って、
「じゃあ、お願いします」
箱に見本を入れ背を向けた。そしたら、
「なんだよ。分かったって言ってんのに」
受付に人を置いとくなんて効率悪ィ。と、また、聞こえるように・・、ひとり言。

あいつ、受付の仕事、何だと思ってるんだ。

吉田さんがやってる時は、
「この色はそろそろ廃番になるから、次があるなら別の色にした方がいいよ」
「この字、かっこいいフォントだな。チェック入れとくよ」
とか、見本を見ながら色々喋ってくれてた。こっちも参考になるし、教えてもらって助かってたんだよな。
「ちゃんとやってくれるかな」
あのままにしてきてよかったのか、心配になってきた。






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お知らせ

お休みのお知らせ。

・・うっかりしておりました。

我が家は祝日も仕事、な職業。 なので、ブログする予定だったんです。 それに、お盆休みのこともあるので。
祝日だったなんて、頭からスッポリ抜け落ちてましたー!

気付いたのは、近くの家の玄関に日の丸が飾ってあったから。見た瞬間、 ウソ・・(;゜0゜)


遅ればせながら 💦
13日の日曜 ~ 16日の水曜まで、お盆休みをいただきます。主腐から主婦になり、冠婚、は無いでしょうが、葬祭、の色々をやってきます。  

お墓参りの前に、掃除しとかないとな・・・。

その他

おまけ

しばらくお休みになるので、以前書き散らしたものを少し。 Rはないですが、言葉が少し・・なので、下げます。

















監禁されていた地下室の隅に隠れていた孝昭を見つけ出す潤也。


「孝昭・・・・、そんなとこで」
何してるんだ、と声をかけ、肩に触れようとした時、
「触るな・・・」
震える声で拒否された。手が止まる。
「まだ、怒ってんのか・・・?」
自分の胸の痛みをこらえて聞くと、首を横に振った。
「触らないで・・・。俺、汚い」
え?と見返す潤也に、
「俺、あいつらに・・・。だ・・から、潤也さんに・・、触ってもらえない」
自分の体を自分で抱くように支え、泣きながら言って離れようとする。
「孝昭・・、」
「きっと、ばちが当たったんだ・・・・。おれ、潤也さんの、こと、・・・『遊んだ』から」
「それは」
「組にも・・・・、潤也さんにも迷惑かけて。俺、潤也さんのこと、守るって言ったのに・・・・、」
涙をためた目で潤也を見てしゃくりあげる。たまらなくなって抱き寄せた。
「だっ・だめだよ。・・・潤也さん、汚れる」
体をよじって離れようとするのに、
「馬鹿言うな。おまえは傷ついただけだ。汚くなんかない。」
耳元に囁く。
「でも」
「探したんだぞ。美耶子さんに五日も帰らないって聞かされて。久竜の孝司さんもおまえのこと聞いてくれて、この辺(あた)りしらみ潰しに。」

会えないかと思った。あんな別れ方でおしまいになってたら、一生後悔してた。

「潤也さん・・・」
言葉にしない想いが伝わったのか、孝昭が潤也に縋って、
「怖かった・・・・、怖かったんだ。目隠しされて、縛られて。あいつら・・・・・・、何度も俺を」
思い出したのだろう、体を震わせる。潤也が、ギリッと歯を鳴らした。
「もう大丈夫だ。とにかく、病院、行こう。・・・・階段、上がれるか?」
労わりながら歩き出した。






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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出して-57

役者くんのことが、頭から離れない。どうしてだろ、って考えて考えて、思い当たったことが。いつだったか、ココで劇団員の、俺と年が近そうな人と会った。
それできっと、勝手に親近感を覚えちゃったんだ。

知ってる人が、仲間を助けるために自分から酷い目に遭いに行った。
そんな風に受け止めてるのかもしれない。


講義とか、内海たちと居る時は無いけど、一人で、気が抜けた時とか、フッと思い出して・・、中芯がズキズキ。
マズイ、振り切らなきゃ、と思って今まで記録したのを適当に引っ張り出して聞いたりしたけど、効果なし。
こんなの、和叔父さんのを聞いた時以外に・・、無い。
「和叔父さんの、は・・、思い出さないようにしてたから」

和叔父さんと、あの子の記録は、別にして、ロックをかけてある。 聞きたくないから。
だけど、意識すればすぐに記憶が蘇ってくる。
「あーーっ、止めやめ! 思い出したくないんだからっ」
もう寝よう!


和叔父さんから電話があったのは、モヤモヤしながら過ごして半月くらい経った頃。

― 智、次の日曜、空いてるかい? 」
「う。ちょっと待って」
記憶がうろ覚え。急いでスケジュールを確かめ、
「時間によっては無理そう。何時? 」
― 智の都合は? 」
「え、と、・・午前中なら」
― じゃあ、午前中。手伝って欲しいんだ。いいかい? 」
「うんっ。どこで、何するの? 」
― メールするよ。おやすみ」
「おやすみなさい」

わー、久しぶりに和叔父さんに会える!
嬉しくて、役者くんのこと、忘れた。



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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー17

印刷所からの帰りがけ、市島さんに会う。
「新井くん、印刷所から(の帰り)? 」
「そうです」
「聞いてもいいかな? 」
「あ、はい」


「お中元の礼状のことなんだ」
「『中元の礼状』? ・・市島さんの(仕事の)、ですか? 」
回転すしに誘われ聞いたのは、印刷の話。

「うん。個人的な方。
今までは全部手書きで済んでたけど、今年はさすがに数が多くなって印刷を頼もうと思ってる。どうせなら自分のところでしてもらおうかと」
「良いんじゃないですか? 吉田さん、喜んでしてくれるはずです」
軍艦巻きを頬張りながら言う俺に、
「うん、それは私も分かる。ただ、この頃印刷所はぎくしゃくしてるから・・・」
「あ、市じ・・・っっ」
わさびがツーンときて顔中皺だらけになり、ジタバタ。お茶を飲んで、
「はーー・・っ。効いた~。
市島さんも、そう思います? 」
「新しく入った成木くん、今どきの人だから周囲とは上手くいってないようなんだ。最新の機械には強いけど、人間関係はちょっと、ね」
「俺も、目撃・・、耳撃? しちゃって」
「『耳撃』? ああ、聞こえちゃったのか」
「です。でも、まだ吉田さんが居るし、大丈夫なんじゃないですか? 」
「・・・そうだね」

・・・俺の安請け合いが、とんでもない結果になるなんて、この時は予想もしなかった。






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その184

「こんなトマトの食べ方もあるのよ~」
と教わって来たのが、 トマトの酢蜜漬け。

準備するもの
① ミニトマト 適量。  器と食べたい量によるので本当に適当です。
② お酢と蜂蜜 こちらも適量。 お酢・蜂蜜ともに、どんな種類でもOK・・らしいですが、ラッキョウ酢・すし酢など、調味料てきなお    酢の方がいいらしいです(私はまだ試してません・・)

作り方
トマトを湯剥きし、ヘタ(芯?)を取る。
器に開ける。
お酢:1 に対し 蜂蜜:2の割合で、トマトがひたひたになるまで入れる。     以上
様子見ながら(味見しながら)美味しく食べます。 ( ´艸`)

全て適当、目分量。 簡単ですが、これが お い し い !!!  冷蔵庫には30個くらいミニトマトが漬かってます。 わーい!

トマト、凄すぎ。。🍅
原産地は南アメリカのアンデス山脈高原地帯で、日本では「赤茄子」という和名が有名です。
スペインがヨーロッパに持ち込み、最初は毒がある、と言われてたよう。 でも、今ではイタリアなんかどれ位消費してるの?! と言うくらい馴染んでますよねー。
某料理サイトでも20000種類以上のレシピがあるトマト。
昔は種類も少なく、独特の匂いがあったんですけど、今じゃフルーツみたいな甘~いものも。
大きさだって、私の知ってる限り一番小さいのは、イクラ並みの大きさ! (小ささ?)
大きいと野球ボールくらいあります。

万能食品みたいに、心身に効果があるトマト。 リンゴや柿のように、「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われて。
ちなみに日本での旬は、春。 夏ならば北海道産がGOODだとか。 ・・知らんかった。


家庭菜園でも結構収穫できるトマトは、野生味の強い野菜だと思ってます。
我が家には庭があるので台所の残り水を撒くことがあるのですけど、たまーに、芽が出て大きくなって、実がなります・・!
味はそれなり。 でも、放っておいても育つ!  赤くなってきたら、鳥と競争でご飯のお共に。

明日もまた買いに行きます。 🍅 待ってろよ。









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『耳から始まる恋愛』

『耳から始まる恋愛』*思い出して-58

日曜、約束の日時にドアの前に立ってドキドキする。だって・・、そこは和叔父さんの部屋。
よく考えたら初めてなんだよな、ここに来たの。和叔父さんが俺の部屋に泊ってったことはあるけど、俺が来る用事は無いもんな。
(なんかお土産持ってくれば良かった? )
チャイムを押してから思ったけど、
「智? 開いてるよ」
「はーい」
ドアホンから聞こえる声に促されて、中へ。

「・・・すっご」
メールで読んでたけど、実際に見るのとはやっぱり違う。
「和叔父さんの本好きは知ってたけど」
「だから少し整理したんだって」
整理、って言っても、床の上の段ボール箱のほかに壁の本棚にはまだ本が一杯!
「和叔父さん、床が抜けない? 」
「たまたま用事で来た大家さんにも、言われたよ。それもあって不要になった本を分けたんだ」
よいしょ、と箱を持ち上げ玄関に持っていく。
「これ、どうするの? 」
「売ってしまうのと知り合いに引き取ってもらうのを分けた。これは売るもの。業者が来る前に玄関に出しておきたいから、手伝って」
「りょーかい」

玄関に積んだのは段ボール箱・・八箱! しかも、重い。

「ありがとう。智が来てくれて本当に助かった」
「そんなことないよ」
俺、二箱しか運べなかった。
ヨロヨロしてる俺に比べ、和叔父さんはすたすた運んでく。

「一人で運ぶのは大変だし、もったいない、って思ったりするから。智がいると段ボールを開ける気になれないから、ね」
ポン、と俺の頭を軽くたたきながらちょっぴり恥ずかしそうな和叔父さんは、なんか可愛い。



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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー18

市島さんの話もあって、取引先から頼まれていたお中元の礼状を一日早めに引き取りに行く。
「すみません、印刷を頼んだ営業二課の新井・・、」
「・・新井さん?! 引き取り、明日、じゃなかった? 」
「松上さん? お子さん、もう大丈夫なんですか? 」
受付に居たのは、本来ここにいる松上さん。確か子供がインフルエンザで、一家してうつって休んでたって聞いてたけど。
「ああ、うん、もう治ったから。それで、頼んでた印刷って、礼状だったわよ、ね? 」
「はい、そうです」
やっぱりー! って顔になった松上さん、
「それ、どうしても今日、必要? 」
「・・・何があったんですか? 」

嫌な予感が、する。
「あ、たいしたことじゃないの。ちょっと・・・」
「はっきり言ったらいいじゃないですか。吉田さんがミスしたんだ、って」
「成木さん!? 」
横から割って入ったのは、例の成木さん。 どこで聞いてたんだ。
「あんなに何度も言ってるのに、あの人汗を拭かなかったから。今から刷り直しじゃ早くて明後日ですよ」
俺が担当してたらこんなことにはならなかったんですけどねー、 ・・だと?
その、小馬鹿にしたような言い方には腹が立ったけど、
「松上さん、本当ですか? 」
「・・・、ええ。試し刷りの時には判らなかったんだけど、本刷りしてから・・」
「俺が見つけたんですよ。目は良いですからね」

オマエには聞いてない。

「あの、吉田さんには」
「吉田さーん。新井さん、来ましたよー! 」

だから、オマエが呼ぶな。

ニヤニヤしながら、わざと大声で吉田さんを呼ぶ成木・さん、に、ムカついてくる。
「おぅ、新井さん。 済まん、わしが失敗してな」
やって来た吉田さん、疲れた顔。そしてタオルで汗をぬぐう。
「あーもー。制汗剤使ってください、って、あれほど言ったじゃないですか。汗臭いですよ、吉田さん。
ともかく、あれは吉田さんの責任ですから、何とかしてくださいね」
「ああ、分かってるよ」

吉田さん、そいつに言わせっぱなししないでくださいよ!






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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー19

どっちにしても見ないと話にならないから、実物を見せてもらうことに。
けど、何でこいつが付いて来るんだ?!

「これだよ」
「・・? 全然普通ですよ? 」
チェックをするために作られた部屋は小さくて、男が三人も入ると窮屈だ。
やたら強い照明の下、差し出された葉書は、俺が思ってた通りの出来栄えで見た目にはほぼ異常なし。すると、
「新井さんも見えないんですかぁ。 しょーがないですね」
俺が見ていた礼状をサッと引ったくり、
「ほォーら、ここ。よく見てください。あるでしょ? 」
鼻を膨らませて言う成木・さんの指さすところをよく見てみると、
「あ」
水滴をポトリと落としたような跡が。言われなければ判らないくらい薄っすらと、だけど。
「本刷りの原本に、吉田さん、よせばいいのに屈み込んでチェックしてたから汗が落ちたんですよ。
俺、止めてください、って何回も言ったのに吉田さん、懲りないんですから」

懲りない、んじゃ無くて、最後は人の目のチェックが大切なんだ! ・・って、俺は吉田さんに何度も言われた。
苑田さんだって、
「機械に頼り過ぎるな」
いつも言ってる。
成木・さんの言い分にも頷けるところはあるけど、チェックし忘れたら大変なんだぞ!
と言いたくなったけど。


「分かりました。俺はこれでもいいと思うので、判断は向こうの方に任せます。一応予仮押さえしておきたいので、最短の日時、出してください」
「すぐ、やっとく。
けど新井さん、本当に良いのかい? 」
「できるだけ頑張ってみます」
吉田さんがこんなことでしょんぼりするくらいなら・・、は大げさだけど、俺だって汗かきながら営業してる。気持ちはすごーっく分かる。

「無理だと思いますけどねー」
俺なら絶対やり直しだな。と嫌味を言いながら離れていく成木・さんに中指立てたくなった。

この日すぐ、相手先に連絡を入れお互い時間がありそうだったので訪ねることに。

『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー20

「新井くん、ちょっと」
「はい、小野山課長」
出掛けようとしたら、呼ばれる。
「うちの印刷所で仕上がったもの、持っていくんだって? 」
「そうです」
少し考えていた課長、立ち上がり、
「時間はある? ・・そう、五分くらい」
「はい」

「新井くんは、成木くんのこと、知ってる? 」
自販機の奥に並んで座り、小野山課長が話し出す。
「印刷所の、ですね? 」
「・・・君も苦手にしてる? 」
「はい。 苦手と言うか」
「仕事は出来るけど、と言う感じかな? 」
否定も肯定もできなくて、黙ってしまうが、小野山課長は返事を待ってる。
「まだ、よく知らないので、あれこれ言えません。
気になるとしたら、独り言が多いな、というくらいで」
言って、気が付く。  そうだよ、あいつ、気に障ること言うんだ。でも、
「仕事は出来る・・・かも」
「そこが見えてるならいい。
ところで、見せてくれないか、品物」
「え? 礼状ですか? 」
頷く小野山課長に見本を手渡す。 受け取り、しばらく眺めてから
「ふぅん。良く見つけたね(成木くん)。」
「そう思います」
悔しいけど、パッと見、俺も見つけられなかった。
「それで君は、この欠陥品を相手先に売りつけに行くの? 」

欠陥品・・!? 

「違います! 俺は」
「自分でも気が付いてるミスを相手に知らせて、それでも『買ってくれ』と言うのかと、聞いてるんだ」
課長の声が厳しくなる。
「いいかい、これは‘名賀都商事’の商品だ。うちの品物を信頼して買ってくださるお客さまに、君はこれを押し付けてくるのか? 」
「そ・・」
そんなつもりはなかった。 ・・は言い訳、か。
俺は、成木・・くんに腹が立って、なにかで負かしてやろうと思ったんだ。 と分かってしまった。

「気付いてくれたようだね。
私たちは、大げさに言うなら会社を背負って仕事してる。今まで築いてきた信用を無くすようなことはしないで欲しい」
小野山課長の言葉は、耳にも心にも痛かった。




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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー21

小野山課長が仕事に戻って、俺は落ち込み。
「欠陥品、か・・」
そうだよな。コップだって、最初から傷がついてたり模様がずれて印刷されてたら売り物にならない。もしくは安売りだ。
業界でも信用されてる名賀都商事の営業をしてるのに、俺はそれに傷をつけてしまいかねないことをやろうとした。

自分で、好きで選んで入った会社なのに。


「どうした? 」
「苑田さん?! 」
いや、ここは自販機があるから苑田さんが来ても全然不思議じゃないんだけど。
「顔が萎(しお)れてるぞ」
自販機のボタンを押しながら俺を見てクスッと笑う。
「萎れてる、って・・」
「青菜に塩。おまえに分かるように言うなら、ナメクジに」
「わーっ、それ言わないで・ください。想像しちゃうじゃないですかっ」
ばたばた頭の上で手を振る。危うくタメ口になりそうになって、それも焦る。
「仕事の失敗なら仕事で取り返せ」
「・・・はいっ」

苑田さんと話しただけで浮上するなんて、俺って単純。
よし、と気合を入れて立ち上がった。


礼状を頼まれた蒼元社へ行き、連絡した時言おうとしたこととは別の事を切り出す。






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雑談のビックリ箱

雑談のビックリ箱その185

キャー―ッ!!
またやってしまいましたっ!!  予約投稿が23:00になってました・・・。 ゴメンナサイ‼‼ 🙇


カレンダー、来週から 9月 です!

月日の経つのはなんて早い・・。
まあ、台風5号とお盆(旧盆)が過ぎてから、昼間は蝉、夜は蟋蟀(こおろぎ。・・こんな字だったんだ!)と虫の音が聞こえてきたり、朝晩涼しくなってきたりと、季節は確実に動いてきてましたけどね。

実りの秋、山では様々な動物と遭遇するニュースが見られます。 ただ。 今年は熊🐻 に出会う機会が特に多いような。。

実物は、動物園の中で見たことがあるだけの私。
野外でも屋内でも、野生の熊に遭遇したことはありません。 だからでしょう、遠くの出来事、な気持ちが87% 。(どこから出てきたのかは不明)

ネコ目(食肉科) に属するクマサンたち(エッ、そうなの?!)。 ヒグマを例にとると、
1::嗅覚は、3キロも先にある動物の死肉の臭いをかぎつける。
2::聴覚も犬並みの能力。 とか、人間くらいだよー、とか。 でも、肉食獣だから、耳は前方へ向けられてるんですよ。
ただし、猫みたいに動かないけど。 笑
3::視覚。これは、動体視力がとても良いようです。 置いてある餌より、動いてる餌のほうを捕まえるのが得意。 ・・らしい。

そして 4::味覚。熊は「 とても美味しい! 」と感じた味を非常に良く覚えているそうで、同じ味を再び得るためには執拗な努力を惜しまない生き物。  ・・・ソウダッタノカ。 だから蜂蜜を食べたり、人間の食べ残しを漁るんだね・・。
イヤそこでしみじみしてはいけないんだった!  ゴミは必ず持ち帰ろう!

さらに、ハンター相手の頭脳戦もやってしまう。
自分の足跡を逆にたどって――つまり後ろ歩きして――追手の目をくらませる(熊の止め足)、とか、🐻撃たれた!(でも致命傷じゃない。死んだふり~。 ハンター来た。逆襲!)グワーッ! なんて事もするそうな。


でも、木に上る姿とか、じゃれ合いとか見てる分には可愛いんだ。 足を投げ出して座って、両前足で瓶を抱えてミルク飲む姿も。
外見で一番はパンダ! あのポテポテ・コロコロは癒されます。 (*^-^*)q

と。。
どちらにしても、山は動物たちの領分だと思ってるので、入る時は気をつけたい、です。




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本文

『耳から始まる恋愛』*思い出して-41

箱詰めされた本は、無事業者が引き取り、玄関が元の広さに戻る。そして、
「あと・・五分くらいかな? 智、この後出かける先でご飯とか食べる? 」
「ううん、昼過ぎだから、食べてから行くつもり」
「ならよかった。あ、そうそう、チリソースは大丈夫だったね? 」
「? うん」
何でチリソース? と思っていたら、
ピンポーン! とドアチャイム。

「おいひ・・、アツッ」
「熱いんだから気を付けて」
言いながら俺の持ってるピザの端から垂れてるチーズを指で掬う。
その指が長くてしなやかに動いて、チーズを食べ・・、その手と口になぜか、ドキ。
「でも、一緒に食べられて嬉しかったよ」
俺のドキドキを知らない和叔父さんがにっこり笑う。
「もしダメだったら、持って帰ってもらおうと思ってたんだ」

そんなこと考えてたの? だから、ピザ?

「言ってくれればよかったのに。和叔父さんの約束なら一番なんだから」
「・・嬉しい事、言ってくれるね」
俺の一番好きな笑顔をしてくれた。 それだけでピザが何倍も美味くなる。

食後のコーヒーの時、ふと思い出して、聞いてみた。

「和叔父さん・・。聞いてもいい? 」
「答えられるものならね。勉強は無理だけど」
「・・・あの、さ。自分を犠牲にして、仲間を助けるのって」


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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー22

「百地課長さん、キツかったなー」
帰りの電車に揺られながら思いだす。

「遅れるのは構いませんが、納期は守ってくれるんでしょうね」
「名賀都商事が印刷した礼状、に意味があるんですよ? 」

小野山課長に注意されてなかったら、もっとあからさまに言われたかもしれない。
「でもなぁ。吉田さんに胸叩いちゃったしな・・・」
電車の揺れが、俺の気分みたいだった。


成木くんに会いたくないからグズグズ引き延ばしていたけど、吉田さんには報告しなくちゃ。 と、翌日の午後、デスクワークの合間に印刷所へ向かう。
「こんにちは」
「はい。あ、新井さん」
受け付けは松上さんだった。 ホッとして、
「印刷機のスケジュール知りたいんですけど」
「ああ、礼状ね。ちょっと待って」
ええと、ええと、と言いつつキーボードを叩く松上さん。どうしたんだろ? 扱い慣れてるはずなのに。
「あった。・・・あれ? 」
「どうしました? 」
「・・・もう一回やってみる」
さっきより慎重に、何か見ながら操作して。
「・・。そんなこと、あるの? 」
「松上さん? 」
眉を寄せて画面を見てたけど、印刷所の方見て、
「成木くーん! ちょっと来てー」

げっ。一番会いたくない名前。

「今無理―っす! あと七分くらい待ってくれ・・、さい」
「分かったー」
俺は、全然分かんないですよ、松上さん!





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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー23

‘成木くん待ち’の間、何がどうなってるのか把握できず気分が斜め下になってく。
「・・新井さん、成木くん苦手? 」
いきなり言われて取り繕えず、頷いてしまった。松上さん、苦笑して、
「正直ね。まあ、だいたいの人が新井さんみたいな反応するわ。でも、もう少し見守ってあげてほしいな。
吉田さんとは全然違うタイプだけどいい子なのよ。吉田さんのことだって、慕ってるみたいだし」
「え? ・・・あれで? 」
驚く俺に、
「人それぞれよ。私も最初は戸惑ったけど、間違ったことは言わないでしょ? 」
「はあ・・・」
そうかなぁ、と思ったところへ、
「なんすか? 」
いきなり成木く・ん、登場。 足音も聞こえなかった俺はちょっとビビって体がのけ反る。
「成木くん。 『松上さん、何の用ですか? 』 って言ってくれる? 」
あ、って顔になった成木くん、
「松上さん、用事、なんですか? 」
言い直す。

案外、真面目?

まじまじ、と成木くんを見てる俺に構わず、
「うん。今、印刷機のスケジュール見てたんだけど、更新した? 」
「した・・、しました。でも、通常の変えてないし」
「それはいいの。成木くんがちゃんとしてるのは分かってるから。何を入れたのか聞きたかっただけ」
何してたの? と優しく問いかける松上さんから、チラッと俺に目を向ける。・・俺?
「やり直し。・・・・礼状の」
「礼状? 新井さんの? 」
「だってあれじゃ使い物にならないし、納期短かった」
「やって・・、くれたの? 成木くんが? 」

驚いた。





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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー24

吉田さんの汗の跡を見つけた時のことを思い出せば、やり直しなんてやらない・・、やりたがらないだろう、と決めつけてたから。
「納期は何がなんでも守る。それが俺たちの仕事、て吉田さん、言ってた」
「うん、そうだよ! 」
成木くんの口から吉田さんのことが出て、嬉しくなって松上さんたちの話に、割り込んでしまった。

解ってるんだ、成木くん。

「俺、今頼みに来たんだ。その礼状もう一度印刷してほしいって。
それと」
「まだ、あんの? 」
「・・お礼言おうと思って。

礼状の・・不具合、見つけてくれてありがとう。助かった」
言い方や態度にはまだモヤっとするけど、見つけてくれたのは彼なんだし。一晩考えて、やっぱり言おうと決めたお礼を言い頭を下げた。

「べ・・別に。仕事なんで。あの、俺もう行っていっすか? 出来上がり・・」
そっぽ向いて答えた成木くんを呼ぶように、印刷機のブザーが鳴る。聞こえた途端、すっ飛んで行ってしまった。

一昨日くらいだったら、
「あいつ、何様? 」
とか怒っただろうけど、今日は、
「仕事、好きなんだ」
と思うようになってる。自分の気の持ちようで相手の見え方が真逆になるのを、初めて体感した。

「でも、あれは無いよ。せめて、’失礼します‘くらい・・」
「言ってあげれば? 成木くん、覚えが良いから、次は言えるようになってるわ」
ええっ?
「松上さん? 」
「新井さんも時々、心の声がだだ漏れするのよね? 」
にこにこ笑顔の松上さんに、
「・・・言ってました? 」
恐るおそる聞くと、
「後輩を見守る先輩、の顔してたわよ」
恥ずかしくて、穴があったら入りたかった。





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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー25

もう一度松上さんに確認してもらって明日には礼状を受け取れるのが分かり、ホッとする。
蒼元社には間に合いそうだ。残りは、
(吉田さんに、なんて言おう)

多分、吉田さんは判ってる。
印刷機は一人で動かしちゃいけないはずだし、新人が印刷のスケジュールを勝手に更新するなんで無理な話だ。
でも、所長や吉田さんが居れば、別。

まさかあいつ、吉田さん、わざと付き合わせてやり直ししたのか・・?

「松上さん、吉田さんは? 」
「吉田さん? 来てるわよ。」
「分かりました。ありがとう」
探しに行こうとして、時計が目に入る。そろそろ戻らないと。
「終業時間くらいにまた来ます 」


レポートを纏め、少し気が弛んだ時、松上さんの、
‘さっき所長と話してたわ’
が、ぽこっと脳内に浮かんでくる。
所長と話・・。 いや、べつに話くらいするよ。俺だって部長と会ったら話するし。
けど、タイミングが。

終業の時報まで残り五分くらい。ここでウダウダするくらいなら、聞きに行こう。







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