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『プリズム』

『プリズム』32*指輪ー33」

吉田さんが戻ってきた、は、あッという間に知れ渡ったらしい。

「今で言うなら 秒っ殺 ってとこだな」
社食で隣り合って座って話題にすると、こんな返事。
「会いに行ったか? 北森」
「いや。何も変わってないって聞いたから、用事あったら行く」
「・・クールだな」
「そりゃ、三年とか経ってたら見に行くけどさ、半月くらいだろ? そう変わらないって」
「まーな」

喜んで会いに行ったの、俺以外にも居るんだぞ。

ずるずるーっ、と冷やし中華をすすりながらその音に紛らせて言っていた。


八月に入り、花火大会の話が出始める頃、吉田さんから、声がかかった。
「新井さん、次の土曜、空いてるかい? 夜」
「夜ですか? 多分空いてたと思いますけど」
ちょっと待ってください、と手帳を取り出す。
「んーー・・・っと、ああ、二十時以降なら大丈夫です」
「ちょっと遠いんだが、花火大会があるんだ。行ってみないかい? 」
「遠い、ってどれくらいですか? 」
「車で、確か・・、おーい、成木」
「はい」

成木くん? 

「なんですか? 」
「新井さんを誘ったんだが、どこだった? 」
「今、手が離せないんで、後でメール入れます。新井さん、社内PCのアドレス教えてください」
社内のメールアドレス?  めったに使わないから・・。何にしたんだっけ?

首をひねる俺に、
「なら、俺のアドレス書く・・、書きますから、メールください」
「あ、うん」
メモを取り出し、スラスラ書いて差し出す。 そのメモより、ペンの方が気になった。
「何ですか? 」
「そのペン。すごく書きやすそうだ」
「これ、エマルジョンインク*です」
「見せてもらって、いい? 」
一瞬、硬くなったけど、
「  どうぞ 」
手に取って、感触とメーカーを確かめる。書き心地も知りたかったけど、‘早く返せ’ オーラが感じられて、止めた。





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* 油性のしっかりした手ごたえと、ジェル(水性)のさらさらした軽さを兼ね備えたエマルジョンインク。
なめらかな書き味と鮮やかで濃い筆記線を実現しているそうです。



 成木くん、良いの持ってるね!

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コメント

No title

秒っ殺♩
良いではないの!
きっと今の所まだ、吉田さんが帰って来てくれたことに
喜んでる人沢山いると思うしね(^O^☆♪
(成木君慣れしてない人は吉田さんと言うワンクッション欲しいだろう)

成木君はこだわり派なのかもですねぇ。
新井君もまだまだ知らない文具が…
どこに情報が転がってるかわかりませんネwww

花火大会?チョット遠め?横/浜 かしら?伊/豆辺り?
はたまた思い切って、大/曲とか??
オバちゃん達、あんまり遠いと行けるかしら←行く気満々ww

別の日に、浴衣で苑田君と花火鑑賞てのも🎆いいんじゃない 腐腐

Re: No title

うさメリさま。 ようこそ。


> きっと今の所まだ、吉田さんが帰って来てくれたことに
> 喜んでる人沢山いると思うしね(^O^☆♪
> (成木君慣れしてない人は吉田さんと言うワンクッション欲しいだろう)

ですね。会社のためにも成木くんのためにも、吉田さんはしばらくいて欲しい人。案外、印刷所の人たちが一番ほっとしてるかも。


> 成木君はこだわり派なのかもですねぇ。

「うん。日本て文具の種類が多いから良い。でも、外国も行きたい」
おぉ、前向き。 行く時は新井くんに言っちゃダメよ。悔しがるから。( ´艸`)


> 花火大会?チョット遠め?横/浜 かしら?伊/豆辺り?
>
> オバちゃん達、あんまり遠いと行けるかしら←行く気満々ww

車で往復できる距離です、一応。でも、有名な花火大会だと混むからなあ。 帰れなかったら、お泊り?   腐


> 別の日に、浴衣で苑田君と花火鑑賞てのも🎆いいんじゃない 腐腐

それもいいですね。 この時期、必ずどこかでやってますから。
「ひろさん、浴衣、買いに行こう! 」
「一人で着られるようになったらな。(俺は出来るけど)」
「だから、練習するにも実物がないとっ」
「・・・しょうがないな」
苑田が言いくるめられてる。 珍しい。。



ありがとうございました。
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