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『プリズム』

『プリズム』34*風が吹くー80

しばらくは、服を脱ぐ小さな衣擦れとデッサンする鉛筆の音だけだった。最後の一枚に、さすがに躊躇う。
「それも取ってください」
手が止まった俺を見て、なぜ迷うのか? と紀里さんが不思議そうに言いつなぐ。
「私は行為の最中の人たちも描いているので、裸は見慣れています。苑田さんは今日中に帰られるのでしょう? 時間が惜しいので急いでください。もし体臭が気になるなら、あのドアの向こうにシャワールームがあります」
あけすけな言葉に、笑いがこみ上げる。
「体臭を気にする年ではないです」
吹っ切れて、全部脱いだ。そのあと、言われた通りポーズをとる。どれくらい時間が経っただろう。
「お疲れさまでした。ありがとうございます、苑田さん」
紀里さんが満足したように手を止め、声をかけてきた。大きく息をつく。思った以上に疲労していたが、これで終わり、と・・・、気が緩む。それを狙っていたように、
「紀里。苑田の色気を見ずに帰らせる気か? 」
悪魔の囁き。
「佐々木様、それは」
「佐々木翁。濡れ場は無し、と仰いましたよね? 」
俺たちの抗議をスルーし、
「この男の色気は逸品と聞く。・・が、まあ、時間も少なくて描ききれぬかもしれん。やめておくか」
聞こえるように呟く。キッと眉が上がる紀里さん。
「佐々木様、今なんと言われました? 」
「おや、聞こえてしまったかの? ひとり言じゃ、そう怒るな。美人が怒ると怖い」
わざとらしく首を竦め、素知らぬ顔で立ち上がる。
「さて、帰ろうか」
「いいえ。私には出来ない、と言われて引き下がるわけにはいきません! 」
「濡れ場は無し、と約束した。今回は諦めてくれ」
「駄目です。苑田さんは今日しか居ないんですから」
「大丈夫じゃ。苑田はここのナンバーを持っておる。呼び出せばよい」
俺抜きで進む話に呆れていたが、
「ナンバー? どういうことです? 」
割り込む。
「このビルは会員しか入れぬ決まり。二度めに入った人間は全て登録され記録が残る。おまえも立派なメンバーなんじゃ」
いっそにこやかに返答する内容に血の気が引く。

俺が、このビルに登録されてる?

「ですが」



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 話が、変な方に向いてます。
苑田、帰れるんでしょうか・・・?
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コメント

No title

佐々木さん、お年めしたらね、可愛い方が好かれると思うの(そうなりたい…)
だからね、カマかけるとかアオるとかましてやウソつくとか
そしてその嘘可愛くないし…🤥
もー😤とにかくやめてーーーっ!!!!!!
紀里さんも乗るなーーーっ!!
(この人案外チョロい人なのかしら?)

まったく…ナンバー持ってるとかバクダンまで落とすし💣…
(本当に💣仕掛けてやろうか⁉️)

オバちゃんタクシーもう呼んでおいたよ!!
早く帰してあげてぇぇぇぇ

Re: No title

うさメリさま。 ようこそ。


> 佐々木さん、お年めしたらね、可愛い方が好かれると思うの(そうなりたい…)
>
> そしてその嘘可愛くないし…🤥

「儂は嘘なと付いておらんぞ、うさメリさん。紀里が知らないのは気の毒、と思っただけじゃ☻」
佐々木翁ー! わざと言ったくせにっ!


> 紀里さんも乗るなーーーっ!!
> (この人案外チョロい人なのかしら?)

芸術家は、馬鹿にされるの嫌いな人がいますからね。。
「私は、知りたいだけです」
う~~んん、、苑田のフェロモン、中毒性がMAXなんだけど・・


> (本当に💣仕掛けてやろうか⁉️)

う・う・うさメリさま~~っ! ソレハイケマセン、オヤメクダサイ(棒読み
掃除腐で大嶌ビルも出入り自由なうさメリさまでも、それをやったら出禁になります。今回は我慢してください


> オバちゃんタクシーもう呼んでおいたよ!!

おおお、早手回しですね! ・・・でも、第2幕が――― っ、あわわ。 何でも・何でもないですっ!



あ・ありがとうございましたー!

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