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『プリズム』

『プリズム』3*元気の出るおまじないー4

「すいません・・・でした・・・。」
「いいって。気にするな。」
「でも・・・」
結局、苑田さんは俺の面倒を見てまだ部屋にいる。あの後一回うがいをし、それでまた吐いた俺を見かねたのか、近くのコンビニまで行ってくれてドリンクやら何やら買ってきてくれたんだ。


「みっともないとこ、見られちゃいましたね・・」
椅子にへたり込み、恥ずかしくて顔も上げられない。そしたら、
「そんなことはない。部屋の中まで頑張ったじゃないか。」
励ますように声が返って来て、思わず苑田さんを見る。
「俺もうっかりしていた。カクテルってのはベースに強い酒を使う事もあるから、何杯も飲むと酔うのも早くなる。
おまえが楽しそうに飲んでいたから、つい勧めすぎた。」
悪かったな。と、ホッとする笑顔で、済まなさそうに言う。
なんだか、癒される・・・。

「俺も昔は無茶をしたことがあるからあんまり言えないが、酒には呑まれないように気をつけろよ。それと、パンくらいなら食べられるだろ?ゼリーもある。適当に食べたら寝るんだな。明日、ちゃんと出てこい。」
ぽんぽん、と軽く頭をたたいて、向かい合って座っていた椅子から立ち上がる。
「そのださん」
「んー?」
咄嗟に呼び止め、赤くなる。なにやってんだ、俺。
「あ・の・・、苑田さんは?」
「俺か?タクシー捕まえて帰る。」

あっ、そうか。タクシー、帰しちゃったんだ。俺のせいで。

「じゃ、じゃあ、泊まっていってくださいっ」
突然言われて、苑田さんの目が丸くなる。
「この辺、タクシーなんてほとんど通らないし、俺のせいで・・・」
「おまえのせいじゃない。中島さんにも頼まれたし、嫌なら来てない。」
ちゃんと寝るんだぞ、と背中を向けられ、焦る。
「苑・・・・」
立ち上がろうとして、ドタッッ、と派手に転んだ。椅子か、テーブルの足に引っかかったんだ。
「新井?」
「・・痛って~~・・」
「何、やってんだ。まだ酔ってるのか?」
起きるのに手を貸してくれ、しょうがないな、とクスクス笑う。

「背広掛けるものあるか?」
「は・・?」
「皺に出来ないだろう?それと、何か俺が着られるもの。」
子守りしてやるから、安心して寝るんだな。そう言って上着を脱いだ。


眠れない。

苑田さんは俺のスエットを着て、寝心地が悪いだろうソファで寝ている。
こんな風に誰かが泊まるなんてことが無かったから、布団の予備もあるはずが無く、ほんとに申し訳ないと思ったけど。
「たまにはいいさ。」
明るく笑い飛ばしてくれて。

俺の方は。
早く寝ないといけないのに苑田さんが気になって、ウトウトしては目覚め、苑田さんの寝息を意識して、の繰り返し。


翌朝は、見事にどよんとした朝になった。

「お早う・・・ございま・す・・、苑ださん・・」
もぞもぞ起きだし、すでに支度している苑田を見てあいさつすると、
「お早う。・・二日酔いの見本みたいな顔してる。まだ時間あるから、熱いシャワー浴びてこい。急げ。」
「・・・分かりました・・」
こう言われ、逆らえず浴室に向かう。

少しさっぱりして、着替えて出てくるといい匂いがしていた。
「苑田さん」
朝食の支度をしている背中に声をかける。
「勝手に冷蔵庫開けて使ったから、後でチェックしとけよ。食べたら出る・・・。」
言いながら振り返り俺を見た苑田さんの動きが、止まる。
「はい。・・・済みません、それに、朝ご飯・・・あの?」
「あ、ああ。食べたら行こう。味に文句は聞かないからな。」

自分が作るより立派な朝食を食べ(ゆっくり味わえなかったのが残念)、玄関を出たら、ため息がこぼれた。

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