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『プリズム』

『プリズム』6*焼き鳥屋と二人の実家ー3

「やれやれ、汗だくだ。」
「すいません、俺のせいで。」
「いいから、先にシャワー浴びてこい。・・・・っと、その前に。」
こっち来い、と苑田さんに手招きされたのは全身が映る大きな鏡の前。
「あの・・」
「動くなよ」
「はあ」
背中越しの苑田さんが別の部屋入り、戻ってくる。何やら肩に当てる気配の後、
「まあ何とかなるだろう。」
そう言って差し出されたのは真新しい着替え一式。
「苑田さん、これ・・・」
「俺の趣味だからおまえの感覚とは違うし、サイズも会わないと思うけど、一日くらいいいだろ?」
「一日って・・」
全然嫌じゃないけど、
「いいから。風呂はその先、右手のドアだ。」
押し切られ、着替えを持たされる。

{ここから少し(しばらく?)苑田目線です。


~~「ありがとうございました。」
そう言って出てきた新井は、思っていた以上に服が体に合っていた(同じサイズでもメーカーによって多少差がありますから)。
「何とかなってる。おかしくないな。」
すこしほっとして自分の着替えを持つ。
「俺も入ってくる。飲みたいならビール出してあるから」

髪を乾かし、部屋に戻ると新井が本棚の前にいる。どうやら本の題名(タイトル)を読んでいるらしい
「あ・・、ドラッガ―がある。・・・「最後の授業」?・・・うわ、洋書。えー、宗教史? なに、それ?・・・天文書。星座の本だ。あれ・・・、こんなとこに「レッドクリフ」のDVD見っけ。」

「こら」

「わっ!」

慌てて振り向く顔へ、冷えたビールを押し当てる。
「冷たっ・・」
「クローゼットを覗くよりはいいが、新井の好きなコミックは無いぞ。」
「あ・いえ・・、その」
「まあいい。」
何とも言えない表情に笑いがこぼれる。

テーブルにつき缶ビールを開け、コン、とあわせて喉に流し込む。
「今日はお疲れさん。」
「い・いえ、却って迷惑かけて・・、済みませんでした。」
恐縮する新井に、
「そうだな・・。もうあの店にも行けなくなった。ここにあるのが最後か。」
と一本つまむと、
「あ・・謝って、きます。苑田さんに迷惑かからないようにしますから、そんなこと言わずにまた一緒に行ってください!」
必死になって言い返してくる。その様子に、
「くくっ・・。冗談だ。次からメニュー制覇を目指そうな。」
すぐ撤回した。 新井の顔がぱっと明るくなる。
「よかったあ。俺、まだ行きつけの店って少ないんです。あそこ、気取らず行けるんで重宝してて。次も苑田さんと行けるの、楽しみです。」
一気に言うと、照れ隠しか、ビールを呷(あお)る。
逸らした喉の白さがやけに目に付いた。
(きっと痕がついたら目立つだろうな・・・・)
キスマークを想像し、なに馬鹿な事を、と打ち消す。

「苑田さん・・。苑田さんって、あんなにいっぱい本読んでるんですね。」
酔って、少し目が潤んでいる新井にドキッとして、返事がぎごちなくなる。
「あ・・、まあ、な。」
「何回も読んだ本、ありますよねー?」

ちょっと驚く。

「何でそう思う?」
「あー・・、その、目の高さにある本はよく読むものだ、って聞いた事あるんで」
「誰に?」
「おふくろです。苑田さんみたく本が好きで、・・・でも目茶苦茶なんです。」
思い出し笑いまでするから、聞きたくなった。
「例えばどんな?」
「恋愛物が多いですけど・・。古典っていうんですか、源氏物語とかあって。なんとかクイーンとか。ほかにSFやら幽霊が出てくるのやら魔法モノやら。」
「へええ。」
想像して笑う俺に口を尖らせて、
「そんなのが廊下にカバーもかけずにズラッと並んでたら、恥ずかしくって友達呼べないじゃないですか。おまけに、一人暮らし始めたら俺の部屋まで侵略してきて。」
帰るたんび本が増えてるんです、と不満をもらす。
「面白いお母さんだな一度会ってみたい。」
「苑田さん来たら、おふくろきっと喜びます。俺、一人っ子だから。」
「一人?上も下もいそうな感じだけど。」
「ああ、それは・・、親戚の子がいっぱいいてよく行ったり来たりしてるからだと思います。
どうかしましたか?」
「いや、話しやすいから、きょうだいいるのかと思っただけだ。」

そうか。新井は一人っ子か。




苑田にはお兄さんがいましたが、今は一人。そして、新井は一人っ子。どちらもお嫁さんをもらう立場ですね。
今は。
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コメント

エッチなDVDは無かったかぁ

ますみ様 こんにちは(^o^)

苑田くん、着替えの気遣いまで…
何ですがこの柔らかい感じ!
シャワー浴びた後思わず抱き締めてしまいそうな…

だって~喉元白いんでしよ♪
ビールを飲み込んだ時の喉仏が上下するのもエロ目線でみてたりして(*^^*)
もう苑田くんは、新井君にシッカリRock On な対象になってるんですね!!
って、アレッ?苑田くんて、現在は受け? でしたよね?
新井君に対しては攻めの感情?
それに最初の苑田くんは、ノンケ君でした。。。
もう女性には戻れない身体になってしまったんでしょうか…(そこはBL!)

それに、嫁を貰う立場…今は
今は。ですもんネ( ̄▽ ̄)b

新井君今日は苑田さんち!
借りた着替え!
母に会ってみたい言われ嬉しい!
眠れるかなぁ(^.^)

No title

『全然嫌じゃない』新井君 もしもーし 自分の気持ちに疎い子
まだでしょうけど
恋愛小説  ハーレー・・・でしょうかね 友人に勧められ
中学で読み出しました 今みたいにBLがなかった時代
なんかとっても素敵になった作者さんがいて ファンレターを
出版社に出したことがありました とても丁寧に返信が来たのを
思い出しました コレ大事ですよね ますみさまも忙しい中 リコメしていただき ゆっくり読みほうですが嬉しいです

Re: エッチなDVDは無かったかぁ

うさメリさま。 ようこそ。

>エッチなDVDは無かったかぁ

あは。このタイトルについ笑いが・・・。はい、苑田には必要ないですから。


>何ですがこの柔らかい感じ

そうですね。苑田も新井くんのこと、気に入ってますし、年子の兄だった隆裕に似ている部分があったりして、つい構うんです。
あ、喉ですか?日に焼けない部分って意外に白いからドキッとしたんでしょう(笑)。
苑田自身は何でもOK(進藤の接待させられているせいで)です・・。
まだ、結婚の夢は持っています。儚い希望として。


>眠れるかなぁ

うさメリさま。まだ焼き鳥も、苑田の冷蔵庫にビールもあります。そして・・・腐腐。


ありがとうございました。

Re: No title

nichika さま。 ようこそ。

>新井君 もしもーし 自分の気持ちに疎い子

ハイハイ(笑)。そうです、今はカッコイイ先輩+お兄さんみたいな気分でしょう。今まで新井の周囲にいなかったタイプです、苑田。無意識で惹かれています。


>恋愛小説  ハーレー・・・でしょうかね 

ご名答! 私は1~3冊くらいですが、新井母、本棚一段分埋まってます(すごい・・)。
え?nichika さま、中学から?・・・・自分の年を噛みしめてしまいました・・・。
ファンレター、丁寧な返信。   素敵な想い出ですね。


私も、読んでくださる皆さまと、こうやってダイレクトにやり取りできるのがすごく楽しいです。
きっとkiri様も同じだと思います。そして、このブログ村に参加されている方がたも。


ありがとうございました。

No title

そして・・・腐腐。

いやぁ~~~~~❤ 思わせぶりですぅ~~~

私も焼き鳥に誘われて、ワイン2杯飲んじゃいましたぁ

フワフワしてますぅ

因みにあては、マグロのやまかけとソラマメです
赤ワインなのに(爆
でも〆はチョコレート!
ほぼ毎日赤ワインにチョコレートで締めます(●^o^●)

Re: No title

うさメリさま。 ようこそ。

>ワイン2杯

いいですねェ。私もお酒好きです(強くは無いですけど)が、ダンナ様も、主人の両親も飲まない人。
ワインとか買っても、いつしか料理酒に・・・。 好きな方には怒られそう(汗)。

アテは、豪華でヘルシー・・な感じ(マグロって聞くだけで高そうですし、ソラマメは旬のものでしょう?)。

〆のチョコレート、バレンタインの頃はバラエティに富んでいたかと想像します。
ちょっとの贅沢ですね。


ありがとうございました。


お兄さんと年子でしたか

もっと上のお兄さん想像してました。


読む頻度で収納場所を替えるってわかります。
読まなきゃいけない本もわざと取りやすい場所に収納するんですけど、結果は・・・

今でもハーレ読んでます~
と言ってもデジタルコミックです。
BLコミックって、本での連載なので、何となく区切りのあるものが多いですよね。
数十ページの数話ってところで。(そうじゃないのもありますが)
ハーレクィーンは150ページで1話。
途中で2回盛り上がりがあるって映画の構成に似ているんですよね。
それで、そんなのも読みたくなるんです。

Re: お兄さんと年子でしたか

蝶丸さま。 ようこそ。

>もっと上のお兄さん想像してました。

・・・説明不足だったかもしれませんね(汗)。 はい、年齢差、1年とちょっとです。ただ、学年は2つちがいます。お兄さん、早生まれです。


>今でもハーレ読んでます~

ロマンスの世界ですか。 いいですねえ~~。
わたしは少なくて・・。2・3日前本屋さんに行った時も、時代小説、SFマンガを買ってしまいました・・。
あ、でも、ここでLOVE補充しています。

苑田たちの話も、ハ―レ・シリーズのようになれるといいんですが。


ありがとうございました。
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