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『プリズム』

『プリズム』6*焼き鳥屋さんと二人の実家ー5

 苑田のお兄さんの話が出てきます。




 年子の兄は、家庭教師のバイトで桐生 修(きりゅう おさむ)という男性と知り合い・・、恋に落ちた。
最初は、信じられなかった。 まさか、同性相手に恋愛感情を持つなんて。
しかも相手には家庭があったのだ。

気付いた時、初めて隆裕と激しい言い争いをした。

「・・・・分かってる。わかってるんだ、のり(兄・隆裕は弟・範裕をこう呼んでいた)。」
「分かってるんならどうして?相手は男じゃないか、たか!(弟は兄をこんな風に呼んでいました)・・・やめろよ、そんなの。遊ばれてるんだ。」
「違う!好きになったのは・・、俺のほうなんだ。
何度も間違いだって思った。離れようとした。でも、・・・だめだった。あの人が欲しい。他に、何も要らない。」
「俺や、家族もか?そして知られて、うしろ指指されてもか!?」

そこまで言った時、さすがに目を逸らした。けれど、俺をまっすぐに見て震える声で、
「・・そうだ・・・・」

「にいさん・・・」

どちらかと言えば物静かな兄の、初めてみせた激情だった。
程なく、隆裕は、家を出た。
そして。。桐生と同乗していた車で事故に遭い、二人とも死亡する。


俺以上に両親はショックを受けた。
息子が、道ならぬ恋をしたことも、何も言わず逝ってしまったことにも。
知らされたのは、事故死の連絡があり、駈けつけた霊安室で桐生の家族から彼の日記を投げつけるようにして見せられた、時だった。
「申し訳ありませんでした・・・・!」

その後も相手の家の玄関先で土下座までし、何度も謝っていた。
そして母は、息子の四十九日が済んだすぐあと心労で亡くなり、父まで倒れ入院した。

あとは壊れるだけの家族を支えてくれたのは、母の従姉だった伯母だ。
「死んだらみんな仏様、よ。楽しかったことだけ思い出してあげなさい。それが一番の供養なんだから。」
と、俺と父さんの背中を叩くように励ましてくれ、家に住み込んでくれたんだ。

「私は、静代さん(苑田母です)みたいに出来ないけど。」
いいながら、俺たちに手伝わせ、家事も、小さな庭の手入れもしてくれた。きっとあの時間が無かったら、今でも下ばかり向いて人の視線に怯えながら生きていただろう。



「ぅ・・ん・・・・」
新井が寝返りを打って、ハッと現実の時間に戻る。
「明日も仕事だ・・。」
自分に言って、シャワーを浴び、新井を起こさないようにベッドへ入る。
(今度実家に戻ったら、予備の寝具を持ってこよう)
眠りに落ちながら思った。~~


(日が変わり、新井くんの視点に戻ります)


翌日。
「・・・・何で、苑田さんが・・・?」
って言うか、俺はどうして苑田さんと一緒のベッドで寝てるんだ?
さっき夢うつつで、体の前にあった温かいものが心地よくてぎゅっと抱きしめていたら、

「・・・新井、抱き枕にしてもいいが、もう少し力を抜いてくれないか?」

苑田さんの声が聞こえて仰天した。
「あっ、はっ、はいッ!」
急に目が見え始めた、気がしてウロウロ見回せば、ここ・は・・・、間違いなく苑田さんの部屋で、一緒に、ベッドに寝ていた。俺は、いったい?

思い出せ・・、おもいだせ・・・。思い出・・・・した。
焼き鳥屋のあと、苑田さんのところに来たんだった!

「す・・すいませんっ。俺、また迷惑かけて・・・・」
「そうでもない。昨夜は大人しかったし、俺も寝ていて蹴飛ばされなかったしな。」
うーんと大きな伸びをしながら答える苑田さん。寝ぐせのついた髪のせいでいつもより若く見えて、
「そんなこと、思っちゃ悪いだろ」
と自分に突っ込んだ。
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コメント

No title

事故だったんですよね?
心中するつもりではなかったのですよね?


日記の内容の一節にそのようなニュアンスに取れなくもない事が書いてあったりしたら、
それが誤解を招く要因になってしまい
他の不運も重なって、結果心中と言う捉え方をされてしまったと言う事… (私はそう思いたいです)

そんな状況での伯母さんの言動 真似できる事ではないですよね!!
たった一人でも頼もしい味方が居ることに安堵します。


そして現実に戻ってみれば…

またまたやらかしてますねぇ。。新井君
まだ プチュ~ した所までの思い出しには到達していないようですけど(笑)

なんだかこの二人、ボケとツッコミの良いコンビに見えてきました~~\(^o^)/



ますみ様
先日のコメの件ですが、3つも行ってたとは・・・
お手数かけてスミマセンでした。
でもホント不思議です。
スマホから送ったんです。PCから送ればならなかったのかしら…

日記

苑田さんが理不尽な要求されているのが辛いです。
こんな平穏な時を前にすると余計そう思います。

日記には何が書いてあったんでしょう?
隆裕の方が好きだったみたいなので、迫ったとか、そういうことかしら?

苑田さんが不憫でならない~
先に経緯を知っちゃったものだから、余計に~

ますみさんは紙媒体派なんですね。

よかったらSFコミックは何を購入されたか教えてもらえますか?私も結構好きです。
最近はそこまで手が回ってないですけどね。

大雨、大丈夫でしたか?
大津も1日大雨でした。
石川県もTVでひどかったって言ってましたね。

Re: No title

うさメリさま。 ようこそ。

>事故だったんですよね?

苑田たちが知らないので詳しく言う事は出来ませんが、心中ではないです。叔母の和美さんがちゃんと話しますので、気を長~くして待っててくださいね。
そして和美さん、苑田の家族が大好きなんです。いつでも味方。  こんな女性(ひと)がいると心強く、安心です。


>プチュ~ した所までの思い出しには到達していないようですけど

思い出せたのは・・、

「えっと、・・トイレに連れてってもらったのは。何とか思い出せました、けど・・。
そっから先は・・・苑田さんがそばにいて・・・。
(サ―ッと青ざめて)ま・まさか俺、気持ち悪くなったりしてませんよね?!・・・・・こわくて、苑田さんに聞けない・・・。」=新井談

だそうです。笑。


>ボケとツッコミの良いコンビ

ぷぷっ。そうそう。特に苑田の方が気を許しています。


あ、コメの件は・・、私もよそ様にお邪魔すると妙な具合になることがありますから、どうぞお気になさらず。
スマホからだったんですね?私もスマホなので直せるようならやってみます(ただ、メカ音痴なので上手くいけばイイのですけど・・汗)。


ありがとうございました。


Re: 日記

蝶丸さま。 ようこそ。

>苑田さんが理不尽な要求されているのが辛いです。

苑田のことを気にかけていただき、嬉しいです。ですが・・・・、まだ、あるんです(タラ~~)。
今の苑田は、新井が気を許せる存在になっています。


>日記には何が書いてあったんでしょう?

苑田兄・隆裕は、告白するつもりありませんでした。ですが、百人一首の中の歌、
’忍ぶれど 色にいでりけり 我が恋は ものや思うと 人の問うまで(人に知られ ないようにずっと思いを秘めてこらえてきたが、とうとう気持ちが素振りに出てしまった ようだ。)
という感じで、修さんに気付かれてしまったんです。

修さんも好意は持っていました。けど同性だし・・。気持ちの揺れや悩みなど書いてあったと思われます。


>苑田さんが不憫でならない~

最後はちゃんと恋人みつけます。もちろん進藤には天罰が。エンディングは遠いのですけど・・・。


>ますみさんは紙媒体派なんですね。

はい。本の方がすぐ出せてパッと見られて、好きなんです。

あ、SFですね。  今私がハマっているのは、
水月 郁見(みずき いくみ)先生の’護樹騎士団物語’--徳間書店
茅田 砂胡(かやた すなこ)先生の’スカーレット・ウィザード(これは2年くらい前のものです)’ 
                 ’クラッシュ・ブレイズ’
というシリーズ物です。正統派・・とは言えないかもしれませんが、面白いですよ。

昔は、キャプテン・フューチャーとか、レンズマン、火星の戦士、などのシリーズを読んでいました。 懐かしいなあ。

蝶丸さまの気に入るものがあるといいですね。


こちらの雨はそれほどでもありませんでしたが、実家の方は田んぼに水が入ったりしてすごかったそうです。


ご心配までしていただき、 ありがとうございました。

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