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『プリズム』

『プリズム』24*それぞれ、一歩ずつ-25


俺と絹里さんが別れた・・、ことは、誰もまだ知らない。いつか知られるだろうけど、絹里さんに悪くて、あんまり見せつけるような感じにならないようにしないと。
「あ、でも、苑田さんに言ってない」
「なんだ? 新井、おまえまた苑田さんに相談か? 」
「え? 違うよ北森。仕事じゃないから」
ポンと肩を叩く同期の言葉に答える。
「絹里さんのことなら、小野山課長か中島部長だろ? 」
「は? 何それ? 」
「・・仲人の話じゃないのか? 」
「なこ・・! 」
大声になりかけ、慌てて北森を引っ張り廊下の隅へ。
「な・何で仲人になるんだ? 」
「何でって・・。おまえ、婚約とか考えてないのか? 」
「当たり前だろっ。まだ・・、二ヶ月しか」
「おまえなあ」
北森は呆れたように、
「絹里さんに今でもアピってる奴らがいるんだ、って知らないのか? 」
「『今でもアピって』? 」
「そ。おまえと絹里さんの仲は公認だけど婚約とか言ってないし、指輪もしてない。まだ隙がある、ケンカでもしたらチャンスだって、手ぐすね引いてるのが・・・と」
社員用通用口に方を向いてる北森が急いで言葉を切る。振り帰ると、
「お早うございます」
中畝さんが俺を睨むようにして挨拶し、通り過ぎた。
「お早うございます、中畝さん」
「お早うッす」
挨拶を返し、角を曲ったのを確かめてから北森が、
「あ・・ぶね。聞こえたかと思った。中畝さん、一番絹里さんに近付いてるんだ。用心しないと、かっ攫われるぞ」
それでも小声で俺に忠告する。 ありがたいんだけど・・・。
「わかった。サンキューな」
心配してくれる気持ちだけは受け取って、仕事モードに切り替えた。


年度末のバタバタが仕事以外のことを押しやって、心の隅の山積みにしていく。
中畝さんのことも、絹里さんの事も、父さんが言ってた事も。
気になる事はあるけど、それ以上に、
「ひろさんが、足りない・・」
きっと俺より忙しいんだろう。最近、席に座っている姿を見かけない。いても、仕事モード全開で話しかけられない。

集中力が切れて、ひと息入れようと缶コーヒーを手に屋上へ出る。 と、先客が。
「新井? 」
「ひ・・、苑田さん」
「やあ。君も、休憩? 」
市島さんまで。

何だか二人で話をしていたみたいだ。
「あの、俺、邪魔なら・・」
「そんな事は無い。ちょうど良かった、今、チーム営業の話をしていたんだ」
苑田さん、同意を求めるように市島さんを見る。
「そうなんだ、新井くん。
私は、君たちに教えてもらうことばかりだったから最後のプレゼンくらいは、と思って相談していたところなんだよ」
「プレゼン? 」
そんなの、あったっけ? 首を傾げる俺に苑田さんは苦笑して、
「ほら、ね。新井は右から左に聞き流してる」
「だって、レポートだけでよかったんじゃ」
「『今後の参考にするから』と三月初めの合同会議で言われたんだけど」
覚えてなかったかい? と市島さんに言われて考えて。思い出した。
「そう言えば、専務とかの前で話をするとか、聞いたような・・・」





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 新井くん、仕事に追われてます。まるで夏休み終了間際に宿題を必死に片付けてる小学生?
それでなのか、でっかい忘れ物(笑)。



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コメント

こんばんは~(*゚▽゚)ノ

私、苑田さんが甘い声で『たか……しっ』って新井くんの下の名前を呼ぶのも好きなのですが、今回のように仕事モードで『新井』って呼んでるのも、めちゃくちゃ好きです~。うわぁってにやにやしちゃいました♥

苑田先輩、私にも仕事教えて欲しいです~。

仕事のみできる男。最高にセクシーです~。

今日もにやにやありがとうございました。

No title

なんだか噂が独り歩きして、仲人とかまで進んじゃってるような…?
一応みんなが知ってしまっている二人になっている訳ですからね。。。
これも仕方が無い事なんでしょうけど、
噂が大きくなればなるほど真実が知られた時の波紋は大きなものになりますからねぇ…

いや…腐ばチャンですけどね!苑田君と仲がいい方がいい派ですけどね!
決してオバちゃん噂に尾ヒレはヒレ付けて流してなんかはないですよ
中畝君の事なんかもね、見てればわかるでしょ。
何かにつけ目線と顔の向きが絹里さんに向いてるし、
新井君の事睨むようにして見てるしwww
噂を流すならそっちの方向で尾ヒレはヒレ付けて流すわよ~ww←流しちゃダメよ


プレゼンの件も、新井君はどうするかなんて話も出てたんでしょう。
でも、苑田君の勘はズバリ当たりww覚えて無かったwww
きっと市島さん、苑田君は新井君の事をよくわかってると思ってたんじゃないかな~?
苑田君は余程の事が無い限り仕事にプライベートは持ちこんでないよ!
まったく…まだまだだなぁ新井君…
嫌味な仲間だったら、チクチク言われてる所だよ~~
集中集中!!www

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Re: タイトルなし

ひかるさま。 ようこそ。


> 私、苑田さんが甘い声で『たか……しっ』って新井くんの下の名前を呼ぶのも好きなのですが、今回のように仕事モードで『新井』って呼んでるのも、めちゃくちゃ好きです~。うわぁってにやにやしちゃいました♥

ふふ、市島さんの晴れ舞台ですもんね。重役方もいるし、出しゃばっちゃイケマセン。
仕事中の苑田、たまにおっかないんです。  ひかるさまの気に入っていただけて光栄♪


> 苑田先輩、私にも仕事教えて欲しいです~。

「ひかるさん、それ、止めといたほうかいいかもっすよ。そりゃあ教えてはくれますけど、肝心なとこは「自分でやった方が良い」からって・・。なぁ新井」
「北森、おまえもか? 俺なんかしょうッ中言われて・・、ほら」
「おわ、耳にタコが3匹も!」
いや、これは冗談ですが(笑)。   基本、仕事好きですもんね、苑田は。



ありがとうございました。

Re: No title

うさメリさま。ようこそ。


> なんだか噂が独り歩きして、仲人とかまで進んじゃってるような…?

> 噂が大きくなればなるほど真実が知られた時の波紋は大きなものになりますからねぇ…

こんなに大きくなってしまてるから、収めるには困難も。。新井くん、何か策でもあると良いんですけど。
苑田には頼れませんし・・。
絹里さんには中畝さんが居るから大丈夫。


> 中畝君の事なんかもね、見てればわかるでしょ。
> 何かにつけ目線と顔の向きが絹里さんに向いてるし、
> 新井君の事睨むようにして見てるしwww

本人たちは案外気付いてないんですよ~。 周囲から見れば丸解りなのに(笑)。
やきもきされて複雑な新井くん。中畝さんとは戦う以前の問題・・。 ガンバッテクダサイ。


> プレゼンの件も、新井君はどうするかなんて話も出てたんでしょう。
> でも、苑田君の勘はズバリ当たりww覚えて無かったwww

> まったく…まだまだだなぁ新井君…

「す・・済いません。 ですけど、俺も営業になって初めての年度末で、忙しいんですよハンパ無く。。でも必死に片付けてるんですよ・・はあぁ(ため息)。ひろさん・・、こっち向いてくれないかなぁ。元気になれるんだけど」
これはまだ当分苑田の愛のムチが必要ですね。。



ありがとうございました。

Re: No title

鍵コメさーさま。 ようこそ。


ええ、集中するのは良いんですが視界が狭くなるというか・・・。同時並行的に物事を進めるのはまだ無理なようです~。 笑
「全く。。今年度中はまだ許してもらえるかもしれないけど、4月からは新入社員も入るし先輩になるんだぞ、新井。 しごき方が足りないのかな・・? 」
「えっえー、ひろ、じゃない、苑田さんっ、俺、また言われるの? ’自分で考えろ’って・・」
「当たり前だ。営業は仕事を取って来て一人前」
「・・・はーい」

あはは、昼間は苑田が圧倒的に優位です。 しかし夜は。

「ひろさ・・、ひろ、さん。ここ? もっと? 」
「や、ゃだ・・ぁ、そこば・か触・・んっ」     形勢逆転。 腐腐



ありがとうございました。
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